多機関共同指導加算って、どんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
「多機関共同指導加算」という加算を聞いたのですが、どんな場面で算定するものなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
入院している患者さんが退院して自宅での療養に移行するとき、さまざまな職種・機関が一緒に指導を行う――その体制を評価するのが「多機関共同指導加算」です。退院時共同指導料2(区分番号B005)の注3に位置づけられた加算で、令和8年度(2026年度)の点数は2,000点です。
みらい(新人医療事務)
2,000点って、かなり高いですね。何がそんなに評価されているんですか?
あおい(元・医療事務)
ポイントは「3者以上の関係機関が一堂に会して指導する」点です。退院後の生活を支えるためには、かかりつけの医療機関だけでなく、薬局・訪問看護・ケアマネジャーなど多くの関係者が情報を共有する必要があります。その手間と調整力を評価しているわけですね。
退院時共同指導料2と多機関共同指導加算の関係

みらい(新人医療事務)
「退院時共同指導料2」と「多機関共同指導加算」――どちらが親で、どちらが子の関係なんですか?
あおい(元・医療事務)
退院時共同指導料2(B005)が親の点数で、多機関共同指導加算はその注3に規定された加算です。構造を整理するとこうなります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| B005 退院時共同指導料2(本体) | 入院医療機関が在宅療養担当側と共同して指導・文書提供 | 400点 |
| 注2 加算(医師同士) | 入院医と在宅担当医が共同で指導した場合 | +300点 |
| 注3 多機関共同指導加算 | 3者以上の多機関が共同で指導した場合 | +2,000点 |
みらい(新人医療事務)
注2と注3は同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示に「注3に規定する加算を算定する場合は、(注2は)算定できない」と明記されています(令和8年厚生労働省告示第69号)。つまり、3者以上が揃う場合は注3(多機関共同指導加算)を算定し、注2(医師同士の加算)との重複算定はできません。より手厚い連携には多機関共同指導加算のほうが評価が高い設計です。
算定要件(令和8年度)
多機関共同指導加算 算定要件の核心
みらい(新人医療事務)
具体的に何をすれば算定できるのか教えてください。3者以上というのは、誰と誰が集まればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
算定要件の根拠は令和8年厚生労働省告示第69号(B005注3)です。大きく2つの要件があります。
自院で確認する順番
第一の要件(主体): 入院中の保険医療機関の「保険医又は看護師等」が共同指導の主体になること。
第二の要件(3者以上): 次の職種・機関のうちいずれか3者以上と共同して指導を行うこと。
- 在宅療養担当医療機関の保険医若しくは看護師等
- 保険医である歯科医師若しくはその指示を受けた歯科衛生士
- 保険薬局の保険薬剤師
- 訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 相談支援専門員
第三の要件(文書提供): 指導内容を文書で在宅療養担当医療機関等に情報提供すること。
みらい(新人医療事務)
「3者以上」の「者」は機関のことですか、職種のことですか?
あおい(元・医療事務)
上記に列挙された職種・機関のカテゴリが「者」です。留意事項通知に基づけば、退院後の療養上必要な説明及び指導を、これらのうち3者(3機関・3職種)以上と「共同して行った場合」が要件です。たとえば「在宅担当医・保険薬剤師・ケアマネジャー」の3者であれば要件を満たす可能性があります。ただし、自院の患者への適用が要件を満たすかどうかは、個々の状況で確認が必要です。
3者以上とカウントできる主な職種・機関(令和8年度)
- 在宅療養担当医療機関の保険医・看護師等
- 歯科医師(保険医)・歯科衛生士(歯科医師の指示を受けた者)
- 保険薬局の保険薬剤師
- 訪問看護ステーションの看護師(准看護師を除く)・PT・OT・ST
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 相談支援専門員(障害者・障害児の計画相談支援)
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、施設基準の届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
多機関共同指導加算自体は、告示上、専用の施設基準・届出は規定されていません(令和8年度・告示69号で確認した範囲)。退院時共同指導料2の算定要件を満たしたうえで、共同指導の参加者が3者以上であれば算定の候補になります。なお、施設基準の状況は告示・通知の改正で変わることがあるため、最新の公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
でも退院時共同指導料2のほうには何か条件がありましたよね?
あおい(元・医療事務)
B005(退院時共同指導料2)自体の注4に、入退院支援加算(A246)を算定する患者に対しては退院支援計画を策定・説明・文書提供して在宅療養担当医療機関と共有した場合に限り算定、という要件があります。注意点として整理しておきましょう。
算定前に確認が必要な主なポイント
- 退院時共同指導料2(B005本体)の算定要件を満たしているか
- 入退院支援加算(A246)算定患者の場合、退院支援計画の策定・共有が行われているか
- 注2(医師同士加算)との重複算定はできない(注3算定時)
- 多職種が参加したことを記録し、文書で情報提供しているか
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院が算定できるんですか?クリニックは対象外ですか?
あおい(元・医療事務)
B005 退院時共同指導料2は「保険医療機関に入院中の患者」に対して「当該(入院)保険医療機関」が算定するものです。病院・診療所の入院部門が算定主体になります。入院機能を持つ医療機関であれば、大病院だけでなく有床診療所でも算定の候補になりえます。
みらい(新人医療事務)
在宅側の訪問クリニックなどは算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
在宅療養担当医療機関は退院時共同指導料1(B004)を算定する側です。多機関共同指導加算(B005注3・2,000点)は、患者が入院している医療機関の算定です。
| 立場 | 算定する点数 |
|---|---|
| 入院医療機関(在宅側と共同指導を実施) | 退院時共同指導料2(B005)+多機関共同指導加算(注3) |
| 在宅療養担当医療機関 | 退院時共同指導料1(B004) |
みらい(新人医療事務)
算定できる回数は?
あおい(元・医療事務)
告示上、退院時共同指導料2(B005)は「当該入院中1回に限り算定する」が原則です(令和8年度・告示69号)。難病等の特別な管理を要する患者については、入院中に複数回算定できる場合があるとされていますが、その具体的な要件(ただし書きの対象疾病等)は留意事項通知・告示をご確認ください。多機関共同指導加算も同様に、回数の取り扱いは公式資料での確認が必要です。
算定タイミングと同日算定の注意点
みらい(新人医療事務)
いつ指導を行えばいいんですか?退院当日じゃないとダメですか?
あおい(元・医療事務)
退院時共同指導料2は「入院中」の指導が要件です。退院前に多機関が集まって指導を行い、文書で情報提供することが基本です。退院当日に限定されているわけではありませんが、退院後の療養環境を整えるための指導ですので、退院前の一定時期に実施するのが一般的です。
みらい(新人医療事務)
介護支援等連携指導料(B005-1-2)とは同日に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の規定では、同一日に「B005の注3に掲げる加算(介護支援専門員または相談支援専門員と共同して指導を行った場合に限る)」を算定した場合は、介護支援等連携指導料(1・2)は別に算定できないと規定されています。日程が重なる場合は特に注意が必要です。
同日算定の注意(令和8年度)
- 多機関共同指導加算(注3、介護支援専門員・相談支援専門員との共同の場合)と介護支援等連携指導料(B005-1-2)は同日算定不可
- 注2(300点加算)と注3(多機関共同指導加算)は重複算定不可(注3算定時は注2を算定しない)
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算に何か変化はありましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号(B005注3)に基づき、現行の多機関共同指導加算の点数・算定要件・対象職種を確認しました。今回(2026年6月確認・厚労省告示ベース)の範囲で、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけての多機関共同指導加算に関する主な変更は確認されていません(2026年6月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
ということは、2,000点という点数も変わっていないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。一次情報で確認した範囲では、点数・共同指導の対象職種・3者以上という基準は継続している状態です。ただし、改定の詳細確認は公式の告示・通知を直接参照し、自院の実態に照らして判断してください。
令和8年度 多機関共同指導加算の骨格(厚労省告示69号)
- 算定点数: 2,000点(退院時共同指導料2に加算)
- 対象: 入院医療機関が3者以上の機関・職種と共同指導を実施した場合
- 届出: 告示上、専用の施設基準・届出の規定は確認されていません(令和8年度・告示69号範囲)
- 算定回数: 告示上は入院中1回が原則(特例の詳細は留意事項通知・告示で確認が必要)
- 注2(医師同士加算・300点)との同時算定: 不可
自院での確認フロー

みらい(新人医療事務)
うちの病院でこの加算を算定できるか確認するには、どこから手をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に確認していきましょう。
自院で確認する順番
ステップ1(対象患者の確認): 退院を控えた患者で、退院後に在宅療養に移行する患者かどうかを確認する。
ステップ2(退院時共同指導料2の算定要件確認): 在宅療養担当医療機関と共同指導が実施できるか、患者の同意は得られているかを確認する。入退院支援加算算定患者の場合は退院支援計画の策定・共有も必要。
ステップ3(3者以上の参加確認): 在宅担当医・薬局・訪問看護・ケアマネジャー・歯科医師等のうち3者以上が参加できるかを多職種と事前に調整する。
ステップ4(実施・記録): 共同指導を実施し、参加者・内容を記録。文書で在宅療養担当医療機関等に情報提供する。
ステップ5(請求確認): レセプトで正しいコードで算定されているか、注2との重複がないかを確認する。
よくある取り漏れポイント
よくある取り漏れ(令和8年度)
- 在宅側の医師とだけ指導して「注2(300点)」のみ算定し、薬剤師やケアマネジャーも参加していたのに多機関共同指導加算(2,000点)を算定し忘れる
- 参加職種が2者で指導し、3者以上の要件を満たしていないのに算定してしまう(算定NG)
- 准看護師のみが訪問看護ステーション側の参加者で、要件の「准看護師を除く」に該当し、3者のカウントが崩れるケース
- 同一日の介護支援等連携指導料との重複算定(算定NG)
よくある質問
みらい(新人医療事務)
テレビ会議(オンライン)で指導しても算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知等の公式資料に基づく確認が必要です。退院時共同指導に関して、ビデオ通話等によるオンライン実施が可能かは、自院の担当者が最新の疑義解釈・通知を確認して判断してください。算定要件の解釈は審査支払機関でも確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院期間が短い患者(DPC病院での短期入院など)でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
B005 退院時共同指導料2は入院中1回の算定が原則です。入院期間の長さによる制限は告示上明示されていませんが、実際に多機関が共同指導を実施できるだけの調整期間があるかが実務上のポイントになります。個々のケースで確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
相談支援専門員は障害福祉サービスの担当者のことですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。告示の定義では、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業に係る相談支援専門員、または児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業に係る相談支援専門員です。対象となる患者が介護保険ではなく障害福祉サービスを利用する場合に関係してきます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、もう少し詳しく確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や共同指導の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。