みらい(新人医療事務)
部長から「療養病棟、夜間看護加算って取れてるんだっけ?」って聞かれたんですけど、正直よくわかっていなくて…。夜間看護加算ってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
夜間看護加算は、療養病棟入院基本料(区分番号A101)の注12に規定されている加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、1日につき50点を所定点数に加算する、という仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「療養病棟」限定なんですね。うちの病棟も対象になるか、まず何を見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
大前提として、区分番号A101 療養病棟入院基本料を算定している病棟の入院患者が対象です。一般病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料など、A101以外の入院料を算定している病棟は、この加算の対象にはなりません。まずは自院の病棟がどの入院料を算定しているかを確認するところから始めるとよいと思います。
夜間看護加算の対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
療養病棟であれば、どこでも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは慎重に見る必要があります。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号関連の医科点数表)では、対象がこう定義されています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、夜間看護加算として、1日につき50点を所定点数に加算する。」つまり、A101療養病棟入院基本料を算定している病棟の中でも、別途定められた施設基準を満たし、届出を行った病棟に入院している患者だけが対象という構造です。「療養病棟だから自動的に算定候補」ではなく、「療養病棟+施設基準クリア+届出」の3つがそろって、初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、療養病棟=対象、じゃないんですね。じゃあその施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
点数と算定区分(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
先に点数の整理をしておきますね。令和8年度の医科点数表上の位置づけは、こちらの表の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 夜間看護加算 |
| 区分番号 | A101 療養病棟入院基本料 注12 |
| 点数 | 1日につき50点 |
| 対象病棟 | 療養病棟入院基本料(A101)を算定する病棟 |
| 届出 | 必要(地方厚生局長等へ) |
| 併算定制限 | 注13の看護補助・患者ケア体制充実加算とは別に算定できない |
| 年度 | 令和8年度(2026年度) |

みらい(新人医療事務)
「別に算定できない」ってどういうことですか? 両方は無理ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。同じA101の注に規定されている看護補助・患者ケア体制充実加算(注13)とは、同時に算定することができません。告示の条文でも「この場合において、注13に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算は別に算定できない。」と明記されています。どちらか一方を選ぶ形になるので、自院の看護配置や看護補助者の体制を踏まえて、どちらの加算を目指すのが現実的かを整理しておく必要があります。
施設基準の中身を具体的に見る
みらい(新人医療事務)
ここが一番気になるところです。施設基準って、何をどれだけ満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の保医発通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)に定められている「療養病棟入院基本料の注12に規定する夜間看護加算の施設基準」を確認すると、大きく次の内容が書かれています。「(1) 当該病棟において、夜勤を行う看護要員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が16又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。ただし、看護要員の配置については、療養病棟入院基本料を届け出ている病棟間においてのみ傾斜配置できるものであること。なお、当該病棟において、夜勤を行う看護要員の数が前段に規定する数に相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護要員の数は、前段の規定にかかわらず、看護職員1を含む看護要員3以上であることとする。」もう一つは、「(2) 夜間看護加算を算定するものとして届け出た病床に入院している患者全体(延べ患者数)に占めるADL区分3の患者の割合が5割以上であること。」という要件です。
みらい(新人医療事務)
16対1の夜勤配置と、ADL区分3の患者さんが半分以上、ですね。数字がはっきりしているのは助かります。
あおい(元・医療事務)
はい。さらに同じ施設基準の中には、看護職員の負担軽減・処遇改善に関する体制整備も含まれています。通知の記載を要約せずにそのまま引くと、「(3) 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制として、次の体制を整備していること。ア 当該保険医療機関内に、看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に関し、当該保険医療機関に勤務する看護職員の勤務状況を把握し、その改善の必要性等について提言するための責任者を配置すること。イ 当該保険医療機関内に、多職種からなる役割分担推進のための委員会又は会議(以下この項において「委員会等」という。)を設置し、「看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」を作成すること。」という内容です。
みらい(新人医療事務)
委員会を作って計画も立てないといけないんですね。結構な体制整備が必要なんだ…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。加えて、夜間看護加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者について、次のような院内研修の受講要件も定められています。「(4) 夜間看護加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者は、以下の基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講した者であること。」その基礎知識として、通知には「ア 医療制度の概要及び病院の機能と組織の理解 イ 医療チーム及び看護チームの一員としての看護補助業務の理解 ウ 看護補助業務を遂行するための基礎的な知識・技術 エ 日常生活にかかわる業務 オ 守秘義務、個人情報の保護 カ 看護補助業務における医療安全と感染防止等」の6項目が挙げられています。看護補助者一人ひとりの研修受講状況まで確認が必要になる点は、見落としやすいポイントだと思います。
施設基準は自院で個別に確認が必要です
夜勤要員数の計算方法(傾斜配置の扱いを含む)や、ADL区分3の割合の算出方法、研修の実施状況は、病棟ごとの実態によって結果が変わります。この記事の内容は一般的な整理であり、自院が実際に施設基準を満たしているかどうかは、届出済みの現況・記録・研修受講実績などを個別に確認する必要があります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
届出に関する事項も、同じ保医発通知の中で定められています。「届出に関する事項: 療養病棟入院基本料の注12に規定する夜間看護加算及び注13に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算並びに障害者施設等入院基本料の注9に規定する看護補助加算及び注10に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算を届け出る場合は、別添7の様式9、様式13の3及び様式18の3を用い、当該加算に係る看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制について届け出ること。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
様式が3つも出てきました。様式9と様式13の3と様式18の3、ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。通知の記載どおり、様式9・様式13の3・様式18の3を用いて届け出る形になります。各様式の具体的な記入項目は、通知本文や様式そのもので個別に確認する必要があります。すでに療養病棟入院基本料の届出をしている病棟でも、夜間看護加算のための届出は別途必要になるので、「療養病棟の届出はしているから大丈夫」と思い込まないことが大事です。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の場合は、まず地方厚生局への届出手続きから確認する必要があります。

算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
届出が終われば、あとは毎日算定していく感じですか?
あおい(元・医療事務)
基本的には1日につきの加算なので、対象の入院患者について、入院している日ごとに算定する形になります。ただし注意点がいくつかあります。まず、先ほど触れた通り、注13の看護補助・患者ケア体制充実加算とは同時に算定できません。もう一点、夜勤を行う看護要員の数について、通知には「(22) 「注12」及び「注13」に規定する夜間看護加算及び看護補助・患者ケア体制充実加算を算定する各病棟における夜勤を行う看護要員の数は、基本診療料の施設基準等の第五の三の(1)イ①に定める夜間の看護職員の最小必要数を超えた看護職員1人を含む看護要員3人以上でなければ算定できない。」という記載もあります。
みらい(新人医療事務)
「最小必要数を超えた」というのがポイントなんですね。ただ看護師さんが3人いればいいわけじゃなさそうです。
あおい(元・医療事務)
その通りです。もともとの入院基本料に必要な最小必要数に「上乗せ」して確保している人数が問われる、という構造になっています。日々の勤務表と施設基準の要件を照らし合わせて、継続的に基準を満たしているかを確認していく必要があります。
よくある取り漏れ
注13との選択ミス: 夜間看護加算と看護補助・患者ケア体制充実加算はどちらか一方しか算定できません。届出時にどちらを選ぶか整理せずに進めると、後から算定できないことに気づくケースがあります。 研修記録の未整備: 看護補助者の院内研修を実施していても、受講記録が個人単位で残っていないと、施設基準の充足を後から証明しづらくなります。 ADL区分3割合の継続確認: 届出時点では5割以上でも、入退院の状況によって割合が変動します。定期的な確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしておきたいのですが、当サイトが収録している令和8年度の一次資料(告示・保医発通知)の範囲では、夜間看護加算そのものの新設・廃止・点数変更を示す記載は確認されていません。点数は1日につき50点のままです。ただし、比較対象となる令和6年度時点の一次資料は、現時点で当サイトの収録範囲に含まれていないため、「点数以外の要件(施設基準・様式など)も含めて完全に変更なし」と断定することはできません。前回改定からの詳細な差分については、厚生労働省が公表する個別改定項目の資料等で改めて確認することをおすすめします。
改定確認のポイント
点数が変わっていなくても、施設基準の細目(人員配置の計算方法、研修要件、届出様式など)だけが改定されているケースは珍しくありません。「点数据え置き=要件も同じ」と思い込まず、届出内容を最新の通知と突き合わせておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちが算定候補かどうか、どの順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
整理すると、次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 自院の病棟が区分番号A101 療養病棟入院基本料を算定しているかを確認する
- 夜勤を行う看護要員の数が、入院患者数16人(またはその端数)ごとに1人以上、かつ看護職員1人を含む看護要員3人以上になっているかを確認する
- 夜間看護加算を算定する病床の入院患者に占めるADL区分3の患者の割合が5割以上かを確認する
- 看護職員の負担軽減・処遇改善に関する責任者の配置、委員会の設置、計画の策定・周知ができているかを確認する
- 看護補助者の院内研修(年1回以上)の受講状況を確認する
- 別添7の様式9・様式13の3・様式18の3で地方厚生局長等への届出が済んでいるかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れなく確認できそうです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか? まず、療養病棟以外の病棟でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。夜間看護加算はA101療養病棟入院基本料の注12に規定された加算なので、療養病棟以外(一般病棟や回復期リハビリテーション病棟など)の入院基本料を算定している病棟は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
看護補助・患者ケア体制充実加算と、どちらを選べばいいか迷ったらどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
それぞれ施設基準や点数の構造が異なるので、自院の看護職員・看護補助者の配置状況や、どちらの体制整備がすでに進んでいるかによって、現実的に届出しやすい方を検討することになります。個別の判断は、届出状況や体制を踏まえて確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしているか自分たちだけでは判断が難しい場合は、どうしたらいいですか?
あおい(元・医療事務)
そういう場合は、地方厚生局への確認や、審査支払機関への相談も選択肢になります。また、当サイトの加算チェッカーで確認したいポイントを整理してみるのもおすすめです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 療養病棟入院基本料 や 療養病棟療養環境加算 のページも、あわせて確認してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。