みらい(新人医療事務)
先生から「がん薬物療法体制充実加算って算定できないか確認して」って言われたんですが、正直はじめて聞く加算で…。これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
外来で抗がん剤治療を受けている患者さんに対して、薬剤師が診察前に服薬状況や副作用の情報を集めて医師に伝える体制を評価する加算ですよ。令和8年度の医科点数表では、外来腫瘍化学療法診療料(区分番号B001-2-12)の注9に規定されています。
みらい(新人医療事務)
外来腫瘍化学療法診療料の「おまけ」みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね、外来腫瘍化学療法診療料に上乗せする加算です。基準となる区分番号B001-2-12の点数表本文には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1のイの(1)又は(2)を算定する患者に対して、当該保険医療機関の医師の指示に基づき薬剤師が、服薬状況、副作用の有無等の情報の収集及び評価を行い、医師の診察前に情報提供や処方の提案等を行った場合は、がん薬物療法体制充実加算として、月1回に限り100点を所定点数に加算する」と定められています。まずは対象と点数から確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になる保険医療機関は、外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っている医療機関です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、外来腫瘍化学療法診療料1の届出があることが、がん薬物療法体制充実加算の施設基準の前提になっています。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件もあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。対象患者は「外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定する患者」です。点数表本文にも同じ文言があり、外来腫瘍化学療法診療料1のうち、イの(1)(2)区分に該当する算定を行った患者に限られます。ロ(イ以外の必要な治療管理を行った場合)の患者が対象になるかどうかは、この加算単独の記述からは確認できないため、自院で算定を検討する際は個別に確認したほうがよいと思います。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、がん薬物療法体制充実加算は月1回に限り100点です。単独では算定できず、外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)の算定に伴って加算する形になります。
| 項目 | 内容 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 加算名 | がん薬物療法体制充実加算 | - |
| 区分 | 外来腫瘍化学療法診療料1(区分番号B001-2-12)の注9 | - |
| 点数 | 100点 | 令和8年度 |
| 算定単位 | 月1回に限り | 令和8年度 |
| 対象患者 | 外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定する患者 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
100点って、金額でいうとどのくらいのイメージなんですか?
あおい(元・医療事務)
1点10円の計算なので、月1回100点なら1,000円分の加算候補という計算になります。ただしこれはあくまで点数表上の機械的な計算で、実際に算定できるかは施設基準や届出の状況次第です。金額の大小より、まずは体制が整っているかを確認するのが先ですね。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は結構細かそうですね…。
あおい(元・医療事務)
そうですね、当サイトが収録している一次資料(特掲施設基準 第6の8の4、令和8年保医発0305第8号)では、次の4点が挙げられています。
がん薬物療法体制充実加算の施設基準(令和8年度)
外来腫瘍化学療法診療料1の届出: 外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出を行っていること 専任の常勤薬剤師の配置: 化学療法に係る調剤の経験を5年以上有し、40時間以上のがんに係る適切な研修を修了し、がん患者に対する薬剤管理指導の実績を50症例(複数のがん種であることが望ましい)以上有する専任の常勤薬剤師が配置されていること 個室の確保: 患者の希望に応じて、患者の心理状況及びプライバシーに十分配慮した構造の個室を使用できるように備えていること 診察前の情報収集体制: 薬剤師が、医師の診察前に患者から服薬状況、副作用等の情報収集及び評価を実施し、情報提供や処方提案等を行った上で、医師がそれを踏まえて、より適切な診療方針を立てることができる体制が整備されていること
みらい(新人医療事務)
「40時間以上のがんに係る適切な研修」って、具体的にはどんな研修を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
この点は前回改定(令和6年度)に公表された疑義解釈で考え方が示されています。「現時点では、日本病院薬剤師会、日本臨床腫瘍薬学会又は日本医療薬学会が認めるがんに係る研修について修了していることを指す」とされていて、届出の添付書類としては、日本病院薬剤師会認定のがん薬物療法認定薬剤師、日本臨床腫瘍薬学会認定の外来がん治療認定薬剤師、日本医療薬学会認定のがん専門薬剤師のいずれかであることを証する文書を指すとされています。前回改定(令和6年度)時点の疑義解釈のため、届出前には最新の取り扱いを一次資料で確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
薬剤師さんの経歴やプライバシーに配慮した個室まで確認しないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。人員配置と設備の両方が絡むので、薬剤部門と事務方で一緒にチェックする加算だと思います。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。がん薬物療法体制充実加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の前提になっています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、届出には様式39の3に関する文書(研修修了・実績50症例を確認できる文書)の添付が言及されています。届出済みであれば算定候補になりますが、届出前の状態では算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
外来腫瘍化学療法診療料1の届出とは別物ってことですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、別の届出です。外来腫瘍化学療法診療料1の届出があることを前提としたうえで、がん薬物療法体制充実加算独自の施設基準を満たして、別途届出を行う必要があります。両方の届出状況を確認することが大切です。
算定タイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(留意事項通知、令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、「外来腫瘍化学療法診療料1を届け出た保険医療機関において、外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定する患者に対して(5)のイ及びウに掲げる業務について、医師の指示を受けた薬剤師による業務のうち、医師の診察前に服薬状況、副作用の有無等の情報を患者から直接収集し、評価を行った上で、当該医師に当該患者に係る情報提供、処方提案等を行った場合は、月1回に限り100点を所定点数に加算する」とされています。加えて「必要に応じて、医師の診察後においても、抗悪性腫瘍剤、副作用に対する薬剤等の使い方等について、適宜患者に対して説明を行うこと」とも記載されています。
算定にあたっての確認ポイント
月1回までという回数制限があります。また、薬剤師が「医師の診察前」に情報収集・評価を行い、医師に情報提供・処方提案を行うという業務の順序そのものが要件になっているため、業務フローが整っていない場合は算定候補にならない可能性があります。連携充実加算(外来腫瘍化学療法診療料1の注8・月1回150点)など、同じ外来腫瘍化学療法診療料1に紐づく別の加算との組み合わせ可否については、当サイトが収録している一次資料の範囲では明確な記述が確認できていません。同時算定を検討する場合は、審査支払機関や公式資料で個別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
これって令和8年度の改定で新しくできた加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいところです。令和6年度(2024年度)に公表された疑義解釈(令和6年度・2024年4月12日公表)の時点で、すでに「外来腫瘍化学療法診療料の注9に規定するがん薬物療法体制充実加算」という表現で、月1回100点・研修40時間などの施設基準が言及されています。つまり、この加算の枠組み自体は前回改定(令和6年度)から存在していたことが確認できます。
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では、点数(100点・月1回)や施設基準の骨格について、前回改定(令和6年度)時点の内容から令和8年度にかけての変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省一次情報ベース)。ただし、これは当サイトが参照した資料の範囲での確認であり、細部の解釈や運用が更新されている可能性はあるため、届出時には最新の告示・通知を必ずご確認ください。
時系列の整理
令和6年度(2024年度): 外来腫瘍化学療法診療料の注9としてがん薬物療法体制充実加算(月1回100点)の枠組みが存在(疑義解釈で言及) 令和8年度(2026年度): 点数表・留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号ほか)で同様に月1回100点・研修40時間等の施設基準が規定。当サイトの確認範囲では大きな変更は確認されていません
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの場合、何から確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っているか確認する 対象患者(外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定する患者)がいるか確認する 化学療法調剤の経験5年以上・研修40時間以上・実績50症例以上の専任常勤薬剤師を配置できるか確認する 患者のプライバシーに配慮した個室を用意できるか確認する 薬剤師が医師の診察前に情報収集・評価を行い、医師に情報提供する業務フローを整備できるか確認する 様式39の3など届出に必要な書類を準備し、地方厚生局へ届出を行う

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってどこですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
薬剤師の実績要件の見落とし: 常勤であることに加えて、化学療法調剤経験5年以上・研修40時間以上・薬剤管理指導実績50症例以上のすべてを満たす必要があります。いずれか一つでも不足していると施設基準を満たしません 業務の順序の未整備: 「医師の診察前」に薬剤師が情報収集・評価を行うという順序そのものが要件です。診察後に薬剤師が確認するフローになっている場合は、要件を満たさない可能性があります 個室の確保: 化学療法室のレイアウトによっては、プライバシーに配慮した個室が用意できていないケースがあります 外来腫瘍化学療法診療料1との届出の別建て: 外来腫瘍化学療法診療料1の届出だけでは足りず、がん薬物療法体制充実加算そのものの届出が別途必要です
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこの資料を見て書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省が公表している医科点数表と疑義解釈資料です。がん薬物療法体制充実加算は外来腫瘍化学療法診療料(区分番号B001-2-12)の注9に規定されており、令和8年度診療報酬改定の医科点数表(別表第一)と、疑義解釈資料の送付について(その2)医科 問20を参照しています。施設基準の詳細(特掲施設基準 第6の8の4、令和8年保医発0305第8号)と留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)も参照していますが、最新の告示・通知番号は改定のたびに変わるため、届出前には厚生労働省の公表ページで最新版をご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。