みらい(新人医療事務)
「ハイリスク妊産婦共同管理料」って名前を聞いたんですけど、これってどういうときに算定候補になる項目なんですか?
あおい(元・医療事務)
産科の患者さんを、診療所などの紹介元と、入院を受け入れる病院とが共同で診ていくときに関わる管理料です。令和8年度の医科点数表では区分番号B005-4とB005-5の2つに分かれていて、紹介する側と受け入れる側でそれぞれ算定できる可能性がある、というのが特徴です。
みらい(新人医療事務)
2つに分かれているんですね。それぞれ点数も違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、点数が異なります。まず点数区分を整理しますね。
点数の区分(Ⅰ)と(Ⅱ)
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年度)では、ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)とハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)が別区分として定められています。表にまとめました。
| 区分番号 | 名称 | 点数(令和8年度) | 算定する側 |
|---|---|---|---|
| B005-4 | ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ) | 800点 | 患者を紹介した保険医療機関 |
| B005-5 | ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ) | 500点 | 患者の入院を受け入れた病院 |

みらい(新人医療事務)
紹介した側と受け入れた側、両方が算定候補になるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の告示では「B005-4 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ) 800点」「B005-5 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ) 500点」とそれぞれ点数が定められていて、算定する医療機関の側が異なります。ただしどちらも、算定できるかどうかは施設基準の届出と、共同で医学管理を行った事実の両方が揃っていることが前提です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ次は、それぞれどうやって算定するのか、仕組みを知りたいです。
算定の仕組み: 紹介元と紹介先でどう分かれるか
あおい(元・医療事務)
まず(Ⅰ)から見ていきましょう。厚生労働省の留意事項通知では、次のように定められています。「ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、診療に基づき患者を紹介した医師(以下この項において「紹介元医師」という。)が、当該患者が入院中である紹介先の病院に赴き、紹介先の病院の医師と共同で、医学管理等を行った場合に患者1人につき1回に限り、算定できるものであり、その算定は紹介元医師が属する保険医療機関において行う。」紹介元の医師が、実際に紹介先の病院まで出向いて、その病院の保険医と一緒に医学管理を行うことが条件で、算定は紹介元の保険医療機関で行う、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
紹介元の先生が病院まで行かないといけないんですね。診療録にも何か書く必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ留意事項通知に「ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定する場合、紹介元医師の診療録には、紹介先の病院において患者の医学管理等を行った事実を記載し、紹介先の病院の診療録には紹介元医師による医学管理等が行われた旨を記載する。」とあります。紹介元・紹介先の両方の診療録に、共同で医学管理を行った事実を記録しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
では(Ⅱ)はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
(Ⅱ)は紹介先の病院側が算定するものです。留意事項通知には「ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)は、紹介元医師の属する保険医療機関がハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合に、紹介先の病院において算定する。」と定められています。つまり(Ⅱ)は、紹介元が(Ⅰ)を算定していることが前提になっている点が重要です。
みらい(新人医療事務)
紹介先の病院なら、どこでも(Ⅱ)を算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは要確認です。告示のB005-5の注には「区分番号A236-2に掲げるハイリスク妊娠管理加算の注又は区分番号A237に掲げるハイリスク分娩管理加算の注1に規定する施設基準に適合するものとして届け出た病院である保険医療機関において」という条件が付いています。つまり、ハイリスク妊娠管理加算またはハイリスク分娩管理加算の施設基準を届け出ている病院であることが前提です。この届出がない病院では、算定候補にならない可能性があります。
紹介先が「どんな病院か」を先に確認
(Ⅰ)を算定する紹介元の医療機関側も、紹介先の病院がハイリスク妊娠管理加算またはハイリスク分娩管理加算の施設基準に適合する届出病院かどうかを確認しておく必要があります。告示では「ハイリスク妊娠管理加算の注又は…ハイリスク分娩管理加算の注1に規定する施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に限る」とされているため、紹介先が要件を満たしていない場合は対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの範囲も決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示では「診療に基づき紹介した患者(別に厚生労働大臣が定める状態等であるものに限る。)」という限定がかかっています。この「別に厚生労働大臣が定める状態等」の具体的な中身は、当サイトが収録している一次資料の範囲では個票までは確認できていないので、ここは「患者がその対象状態に該当するか」を告示の別表・関連通知で個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
併算定はどうなっているんですか。他の項目と一緒に算定できたりできなかったりしますか?
併算定の取り扱い(併せて算定できるもの・できないもの)
あおい(元・医療事務)
ここは要件がはっきり書かれているので、順番に見ていきますね。まず、算定できない組み合わせです。留意事項通知に「ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合は、「A001」再診料、「A002」外来診療料、「C000」往診料及び「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」等は算定できない。」とあります。
同日に算定できない項目に注意
(Ⅰ)を算定した日は、再診料・外来診療料・往診料・在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」などは算定できません。同日の他の算定項目と重複していないか、レセプト作成時に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
でも、紹介するときに使う診療情報提供料とは一緒に算定できたりしないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは例外規定があります。留意事項通知には「紹介元医師による紹介に基づき紹介先の病院に入院している患者に対して、当該紹介元医師が病院に赴き診療、指導等を行った場合において、その患者について、「B009」診療情報提供料(Ⅰ)が既に算定されている場合であっても、その算定された日を除き、ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定できる。」とあります。つまり診療情報提供料(Ⅰ)を算定した日そのものは重複を避ける必要がありますが、それ以外の日であれば、どちらも算定候補として検討できる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
救急で搬送したようなケースはどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
救急搬送診療料とは併算定できる整理です。留意事項通知に「ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、「C004」救急搬送診療料と併せて算定することができる。」と明記されています。さらに「自院にて診療していた妊産婦の状態に異常が認められたために、他院へ搬送する場合において、医師が搬送先医療機関まで付き添い、搬送先の病院の医師と共同で医学管理等を行った場合においても算定できる。」という規定もあります。搬送に付き添って共同管理を行ったケースも算定候補になり得る、ということですね。
併算定の全体整理
- ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)と同日の再診料・外来診療料・往診料・在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」: 算定できない
- 診療情報提供料(Ⅰ): 算定日が別であれば算定候補(同日は不可)
- 救急搬送診療料: 併せて算定候補
みらい(新人医療事務)
併算定のルールはわかりました。次は施設基準と届出について教えてください。
施設基準と届出
あおい(元・医療事務)
まず大前提として、この管理料は届出制です。告示のB005-4・B005-5いずれの注にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という条件があります。届出をしていない保険医療機関では、算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな施設基準を満たす必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
特掲診療料の施設基準(令和8年保医発0305第8号)に定められています。「ハイリスク妊産婦共同管理を共同で行う保険医療機関の名称、住所及び電話番号を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」というのが1つ目の要件です。もう1つ「(1)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。」とあり、自院のホームページがある場合は原則としてそこにも掲示内容を載せておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
掲示だけでいいんですか? 意外とシンプルですね。
あおい(元・医療事務)
施設基準そのものはシンプルですが、忘れずに確認したいのは「共同で管理を行う相手の医療機関」が固定的に決まっていて、その名称・住所・電話番号を掲示している状態になっているか、という点です。共同管理の体制が実際に動いているかどうかも、届出内容と一致している必要があります。届出の有効性そのものは自院での確認が必要で、この記事だけで断定はできません。
届出済みであることが前提
ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)(Ⅱ)は、いずれも地方厚生局長等への届出が前提の管理料です。「届出済みであれば算定候補」という位置づけであり、届出をしていない場合や、共同管理先の掲示要件を満たしていない場合は、対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 紹介した(または紹介された)患者が「別に厚生労働大臣が定める状態等」に該当するハイリスク妊娠・分娩の患者かを確認する
- 紹介先の病院がハイリスク妊娠管理加算またはハイリスク分娩管理加算の施設基準を届け出た病院かを確認する
- 紹介元の医師が実際に病院に赴き、病院の保険医と共同で医学管理を行った事実があるかを確認する
- 共同管理を行う相手医療機関の名称・住所・電話番号を掲示し、原則ウェブサイトにも掲載しているかを確認する
- 自院(紹介元・紹介先とも)が地方厚生局長等に施設基準の届出を済ませているかを確認する
- 同日に算定できない項目(再診料・外来診療料・往診料・在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」等)と重複していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で確認していけば、算定候補かどうかの見通しが立てやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ、どの段階も「資料上はこう定められている」という整理であって、自院の届出状況や患者さんの状態が実際に条件を満たしているかは、個別に確認しないと最終的な判断はできません。
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
よくある取り漏れ
取り漏れが起きやすいポイント
- 紹介先の病院がハイリスク妊娠管理加算やハイリスク分娩管理加算の届出病院かどうかを確認せず、紹介だけで(Ⅰ)(Ⅱ)を算定できると思い込んでしまう
- 紹介元医師が実際に病院に赴いて共同管理を行った事実を、双方の診療録に記載し忘れる
- 診療情報提供料(Ⅰ)を算定した同じ日に、ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)も重ねて算定しようとしてしまう
- 共同管理を行う相手医療機関の名称・住所・電話番号の掲示や、ウェブサイトへの掲載を更新し忘れる
みらい(新人医療事務)
なるほど、紹介先の病院側の要件を見落とすパターンが多そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。紹介元だけでなく、紹介先の届出状況までセットで確認する、という視点を持っておくと取り漏れを防ぎやすいと思います。
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この管理料に変更はあったんですか?
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが収録している一次資料の範囲では変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数・算定要件・施設基準のいずれについても、令和6年度時点の資料との比較ができるだけの一次資料が現時点で揃っていないため、「変更なし」と断定するのではなく、「確認できる範囲では差分が見当たらない」という整理にとどめます。改定内容が更新され次第、この記事も見直します。
みらい(新人医療事務)
最後によくある質問を教えてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。紹介元・紹介先どちらの立場か、届出状況や共同管理の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。