みらい(新人医療事務)
「難病等複数回訪問加算」ってはじめて聞いたんですけど、うちの訪問看護でも関係あるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
在宅患者訪問看護・指導料や同一建物居住者訪問看護・指導料を算定している医療機関なら関係してくる可能性がある加算です。対象になる患者さんへ1日に複数回訪問看護・指導を行った場合に、所定点数へ上乗せできる仕組みですよ。令和8年度(2026年度)の医科点数表をもとに整理していきますね。
みらい(新人医療事務)
「複数回」ということは、1日に2回とか3回とか訪問した時の加算ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料と「C005-1-2」同一建物居住者訪問看護・指導料、それぞれの注に規定されていて、対象となる患者に1日2回、または3回以上の訪問看護・指導を行った場合に算定候補になります。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が定める疾病等の患者、いわゆる「別表第七」に掲げる疾病等の患者が中心です。厚生労働省の留意事項通知には次のように書かれています。
対象患者(別表第七)
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度に該当するもの)、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者、または人工呼吸器を使用している状態の患者です。(令和8年度・厚生労働省留意事項通知の別表第七掲載疾病等)
みらい(新人医療事務)
それだけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別表第八に掲げる状態等の患者(在宅酸素療法指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理などを受けている状態の患者や、人工肛門・人工膀胱を設置している状態の患者など)も対象に含まれます。加えて、急性増悪や終末期、退院直後などで一時的に頻回の訪問看護・指導が必要と認められた患者も対象になり得ます。厚生労働省の留意事項通知には次のように示されています。
留意事項通知の記載(算定対象の考え方)
「在宅患者訪問看護・指導料の「注3」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注3」に規定する難病等複数回訪問加算は、(5)の厚生労働大臣が定める疾病等の患者又は一時的に頻回の訪問看護・指導を行う必要が認められた患者に対して、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合に算定する。」(令和8年度・厚生労働省留意事項通知)
みらい(新人医療事務)
なるほど、疾病名がはっきり決まっているんですね。うちの患者さんが当てはまるか、まず確認しないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この時点では「算定候補になり得る」という段階です。実際の該当有無は、患者さんの病名・状態と一覧を照らし合わせて確認する必要があります。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
算定する区分番号によって仕組みが違います。まず、在宅患者訪問看護・指導料(C005、同一建物等居住者を除く単独の患者)の場合はシンプルです。
| 訪問回数 | 点数 |
|---|---|
| 1日に2回 | 450点 |
| 1日に3回以上 | 800点 |
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表には次のように記載されています。
点数表の記載(C005 注3)
「1及び2については、注1ただし書に規定する別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者又は同注ただし書の規定に基づき週7日を限度として所定点数を算定する患者に対して、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医が必要と認めて、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合は、難病等複数回訪問加算として、それぞれ450点又は800点を所定点数に加算する。」(令和8年度・医科点数表)
みらい(新人医療事務)
同一建物に住んでいる患者さんが複数いる場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)のほうは、その日にこの加算または精神科複数回訪問加算を算定する患者の合計人数によって点数が変わります。1日に2回の場合はこちらです。
| 同一建物内の対象人数 | 点数 |
|---|---|
| 1人又は2人 | 450点 |
| 3人以上9人以下 | 400点 |
| 10人以上19人以下 | 370点 |
| 20人以上49人以下 | 350点 |
| 50人以上 | 330点 |
あおい(元・医療事務)
1日に3回以上の場合は、さらに「月20日目まで」と「月21日目以降」で区分が分かれます(1人又は2人の区分のみ日数による区分がなく一律です)。
| 同一建物内の対象人数 | 月20日目まで | 月21日目以降 |
|---|---|---|
| 1人又は2人 | 800点(区分なし) | 800点(区分なし) |
| 3人以上9人以下 | 720点 | 690点 |
| 10人以上19人以下 | 630点 | 520点 |
| 20人以上49人以下 | 480点 | 350点 |
| 50人以上 | 410点 | 300点 |
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の点数表には次のように記載されています。
点数表の記載(C005-1-2 注3)
「1及び2については、注1ただし書に規定する別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者又は同注ただし書の規定に基づき週7日を限度として所定点数を算定する患者に対して、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医が必要と認めて、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合は、難病等複数回訪問加算として、同一日に、当該加算又は区分番号I012に掲げる精神科訪問看護・指導料の注11に規定する精神科複数回訪問加算を算定する患者(同一建物等居住者に限る。)の合計人数に応じて次に掲げる区分に従い、1日につき、いずれかを所定点数に加算する。」(令和8年度・医科点数表)
みらい(新人医療事務)
人数のカウントがちょっと複雑ですね……。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の留意事項通知でも、この人数の数え方について補足があります。
人数カウントの注意
「同一建物居住者訪問看護・指導料の「注3」に規定する難病等複数回訪問加算を算定する場合にあっては、同一建物等居住者で同一日に、当該加算又は「I012」精神科訪問看護・指導料の「注 11」に規定する精神科複数回訪問加算を同一日に算定する患者の合計人数及び1日当たりの訪問看護・指導の実施回数に応じて、算定する。また、1日に3回以上の訪問看護・指導を実施する場合で同一建物等居住者の合計人数が3人以上の場合における「月 20 日目まで」と「月 21 日目以降」の区分については、算定する日における、月の初日以降に当該加算又は精神科複数回訪問加算のいずれかを算定した日数に応じて、該当する区分を算定する。」(令和8年度・厚生労働省留意事項通知)
みらい(新人医療事務)
同一建物内で精神科複数回訪問加算を算定している患者さんがいる場合は、その人数も合わせてカウントする必要があるということですね。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算は届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に固有の施設基準の届出は確認されていません。ただし、土台となる在宅患者訪問看護・指導料等の算定要件(対象患者の病状把握、訪問看護計画書の作成・見直し、実施記録の整備など)は満たしておく必要があります。届出の要否は自院の状況によって変わり得るので、最終的には地方厚生局への確認をおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、この加算は在宅患者訪問看護・指導料と同一建物居住者訪問看護・指導料のどちらか一方でしか算定できません。厚生労働省の点数表には次のように書かれています。
併算定できない組み合わせ
「在宅患者訪問看護・指導料を算定した場合には、区分番号C005-1-2に掲げる同一建物居住者訪問看護・指導料又は区分番号I012に掲げる精神科訪問看護・指導料は、算定しない。」(令和8年度・医科点数表、C005 注20)
「同一建物居住者訪問看護・指導料を算定した場合には、区分番号C005に掲げる在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号I012に掲げる精神科訪問看護・指導料は、算定しない。」(令和8年度・医科点数表、C005-1-2 注7)
みらい(新人医療事務)
なるほど、どれか一つを選ぶ形なんですね。回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体に月あたりの算定回数の上限は、当サイトが収録している資料の範囲では確認されていません。ただし、同一建物居住者訪問看護・指導料で1日3回以上訪問する場合は、月の初日以降にこの加算または精神科複数回訪問加算を算定した日数に応じて「月20日目まで」と「月21日目以降」の区分が変わるので、月をまたぐカウントには注意が必要です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表・留意事項通知)の範囲では、前回改定(令和6年度)からのこの加算の点数・算定要件の変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。念のため、自院で保管している令和6年度時点の資料と見比べて、区分や点数に差異がないか確認しておくと安心です。
改定確認のポイント
点数だけでなく、対象患者の定義(別表第七・別表第八)や、同一建物等居住者の人数カウント方法についても、最新の留意事項通知で確認することをおすすめします。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが別表第七の疾病等、別表第八の状態等、または一時的に頻回の訪問看護・指導が必要と認められた患者に該当するか確認する
- 在宅患者訪問看護・指導料(C005)と同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)のどちらで算定しているかを整理する
- 1日に2回か3回以上か、訪問看護・指導の実施回数を記録で確認する
- 同一建物居住者の場合は、同一日にこの加算または精神科複数回訪問加算を算定する患者の合計人数を数える
- 訪問看護計画書・報告書に、頻回訪問が必要な理由や実施状況を記載する
- 併算定できない組み合わせ(在宅患者訪問看護・指導料と同一建物居住者訪問看護・指導料の重複算定等)になっていないかを最終確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。
よくある取り漏れ
同一建物内の人数カウント漏れ: 精神科複数回訪問加算を算定している患者さんも合算対象に入ることを見落としがちです。
月をまたぐ日数カウントのずれ: 同一建物居住者訪問看護・指導料で1日3回以上の場合、月の初日からの算定日数で区分が変わるため、月初のカウントを取り違えると点数区分を誤りやすいです。
訪問看護計画書・報告書への記載漏れ: 頻回の訪問看護・指導が必要な理由を計画書・報告書に記載していないと、確認の際に説明が難しくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 在宅患者訪問看護・指導料 や 同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科複数回訪問加算 と合わせて確認しておくと理解が深まります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。