みらい(新人医療事務)
「難病患者処置加算」ってカルテで見かけたんですけど、これって普通のリハビリとかにもつく加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこはよくある誤解ポイントです。実はこの加算、あらゆる処置につくものではなく、J118-4「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」という特定の処置にだけ紐づく加算なんですよ。令和8年度の医科点数表でそう定められています。
みらい(新人医療事務)
ロボットスーツ、HALみたいなやつですか? 対象がすごく限定的なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。まずはこの加算がどういう仕組みなのか、順番に見ていきましょう。
難病患者処置加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「難病患者処置加算」って、何に対する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の令和8年度医科点数表では、J118-4「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)(1日につき)」の所定点数1,100点に対して、指定難病の患者さんに実施した場合に900点を加算する仕組みとして定められています。告示の原文では次のように書かれています。
告示の原文(令和8年度)
対象・点数: 「難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する指定難病の患者であって、同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されているもの(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に対して実施された場合には、難病患者処置加算として、900点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、指定難病の患者さんで、医療受給者証を持っている、もしくはそれに準じる基準を満たすと診断されている方が対象、ってことですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。ただし「指定難病」であればどんな処置でも対象になるわけではなく、あくまでJ118-4の歩行運動処置を受けた場合に限られる点が、確認が必要なポイントです。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、どんな医療機関でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は限定的です。まず、J118-4の歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)自体を実施できる体制が前提になります。厚生労働省の留意事項では、対象疾患についてこう書かれています。
対象疾患(留意事項通知より)
対象疾患: 「脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー又はHTLV-1関連脊髄症(HAM)若しくは遺伝性痙性対麻痺による痙性対麻痺を有する患者」に対して、ロボットスーツを装着し、関連学会が監修する適正使用ガイドを遵守して実施した場合に算定する。
みらい(新人医療事務)
けっこう具体的な疾患名が並んでいますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。その上で、その患者さんが「指定難病」として医療受給者証を交付されている、もしくは特定医療費の支給認定基準を満たすと診断されている場合に、900点の難病患者処置加算が候補になる、という二段構えの整理です。対象患者に該当するかどうかは、診療録や医療受給者証の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
病床の有無による除外は告示上見当たりませんが、ロボットスーツの導入や適正使用ガイドの遵守、カンファレンス体制など、実施できる体制があるかどうかがまず前提になります。届出のある保険医療機関かどうかは、次の章で見ていきましょう。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度時点で確認できている数字を並べますね。
| 項目 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| J118-4 歩行運動処置(ロボットスーツによるもの) | 1,100点 | 1日につき |
| 難病患者処置加算(指定難病患者に実施した場合) | 900点 | 所定点数に加算 |
| (参考・別建て)導入期の加算 | 2,000点 | 1日につき、5週間以内9回に限る |
みらい(新人医療事務)
一番下の「導入期の加算」は、難病患者処置加算とは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは混同しやすいので注意してください。告示の注3では「導入期5週間に限り、1日につき2,000点を9回に限り加算する。」とだけ書かれていて、「難病患者処置加算」という名称はついていません。名称が明記されているのは注2の900点のほうだけです。導入期の加算が実際に自院で算定候補になるかは、この記事の主役である「難病患者処置加算」とは別枠として、公式資料や審査支払機関で改めて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
なるほど、900点の加算と、別建ての2,000点の加算を混ぜて考えないほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。告示の注1に明記されています。
施設基準・届出(令和8年度)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。」と定められています。届出をしていない保険医療機関では、算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな施設基準を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の個別項目(人員配置や設備の詳細等)は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。届出の具体的な様式・要件は、地方厚生(支)局への届出書類や厚生労働省の施設基準通知で確認が必要です。ロボットスーツを用いた歩行運動処置を実施する体制(適正使用ガイドの遵守、複数職種によるカンファレンス体制など)が前提になっている点は、留意事項からも読み取れます。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、この加算はJ118-4の歩行運動処置を実施した日に、その所定点数へ上乗せする形で算定候補になります。処置を実施していない日に単独で算定候補になることはありません。
回数・カンファレンスの注意
留意事項では「計画された5週間以内に実施される9回の処置が終了した際には、担当の複数職種が参加するカンファレンスにより、9回の処置による歩行機能の改善効果を検討すること」とされています。また「通常の歩行運動に比して客観的に明確な上乗せの改善効果が認められると判断される場合に限り、本処置を継続して算定できる」とも定められており、継続する場合はカンファレンスの検討結果を診療録・診療報酬明細書に記載する必要があります。
みらい(新人医療事務)
記録を残しておかないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。カンファレンスの要点(9回前後の結果を含む)を診療録に、症状詳記を診療報酬明細書に記載することが留意事項で求められています。この記録がないと、継続分の算定根拠が確認できなくなってしまいます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの主な変更点は確認されていません(2026年8月確認・厚生労働省の令和8年度医科点数表ベース)。ロボットスーツを用いた歩行運動処置とその加算の枠組み自体は、複数回の改定を経て整備されてきた経緯がありますが、令和8年度時点で当サイトが確認できている一次資料からは、点数・施設基準・対象疾患の大きな変更点は見当たりません。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、そのまま今の情報で確認すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし改定情報は随時更新されるので、算定候補かどうかを最終確認する際は、必ず最新の告示・通知にあたるようにしてください。

自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象患者がJ118-4の対象疾患(脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症等)に該当するか診療録で確認する
- その患者が指定難病の医療受給者証を交付されている、または特定医療費の支給認定基準を満たすと診断されているかを確認する
- 自院がJ118-4歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)の施設基準の届出をしているかを確認する
- 適正使用ガイドの遵守体制と、複数職種によるカンファレンス体制が整っているかを確認する
- カンファレンスの検討結果・症状詳記を診療録・診療報酬明細書に記載できる運用になっているかを確認する
みらい(新人医療事務)
これを順番にチェックしていけば、算定候補かどうか見えてきそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。1つでも欠けていると算定候補にならない可能性があるので、順番に潰していくのがおすすめです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
代表的なものを挙げますね。
取り漏れがちなポイント1
対象疾患の勘違い: 「難病患者処置加算」という名前から、指定難病の患者さんに行う処置全般に使えると思われがちですが、対象はJ118-4の歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)に限られます。ほかの処置には、この加算は原則としてつきません。
取り漏れがちなポイント2
注2と注3の混同: 900点の難病患者処置加算(注2)と、導入期5週間に限る2,000点×9回の加算(注3)は、告示上は別の項目です。どちらの要件を満たしているか、別々に確認する必要があります。
関連する難病患者向けの加算
みらい(新人医療事務)
「難病患者処置加算」以外にも、難病の患者さん向けの加算ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、入院基本料に上乗せする加算として、難病等特別入院診療加算や、そのうちの一区分にあたる難病患者等入院診療加算があります。こちらは処置ではなく入院基本料への加算なので、対象や仕組みが異なります。あわせて確認しておくと、難病の患者さんに関する加算の全体像が見えやすくなりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。