みらい(新人医療事務)
診療所からの紹介で入院した患者さんについて、うちの先生が入院先の病院まで出向いて、病院の先生と一緒に説明をすることがあるんです。これって何か算定できるものがあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
それはおそらく「開放型病院共同指導料」に関わる場面ですね。診療所の医師が紹介先の病院(開放型病院)に赴いて、病院側の医師と共同で療養上必要な指導を行った場合の指導料です。令和8年度(2026年度)の医科点数表にある項目で、算定候補になるかどうかは、いくつかの条件を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
開放型病院というのは、普通の病院とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。誰でも紹介患者を入院させて共同指導ができるわけではなく、施設基準の届出をした病院だけが「開放型病院」として扱われます。まずはこの制度の全体像から確認していきましょう。
開放型病院共同指導料とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう場面で使う点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所などの医師が診察して紹介した患者さんが、開放型病院に入院しています。その開放型病院に紹介元の医師が実際に赴いて、病院側の医師と共同で療養上必要な指導を行った場合に算定する指導料です。厚生労働省の医科点数表には、区分番号B003(開放型病院共同指導料(Ⅱ))についてこう定められています。「注 診察に基づき紹介された患者が開放型病院に入院中である場合において、当該開放型病院において、当該患者を診察した保険医療機関の医師と共同して療養上必要な指導を行った場合に、患者1人1日につき1回算定する。」
みらい(新人医療事務)
「開放型病院」という言葉、ここでも出てきますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。開放型病院とは、厚生労働大臣が定める開放利用に係る施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関のことです。届出をしていない病院に紹介患者が入院していても、この点数の対象にはなりません。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
この加算概念には2つの区分があります。紹介元の医師(診療所側)が算定するものと、開放型病院側が算定するものです。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定する医療機関 |
|---|---|---|---|
| B002 | 開放型病院共同指導料(Ⅰ) | 350点 | 患者を紹介した(入院させた)保険医療機関 |
| B003 | 開放型病院共同指導料(Ⅱ) | 220点 | 開放型病院(受け入れ側) |
みらい(新人医療事務)
350点と220点、どちらもうちの診療所で算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の該当箇所には、それぞれ「B002 開放型病院共同指導料(Ⅰ) 350点 注1 診察に基づき紹介された患者が、別に厚生労働大臣が定める開放利用に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(以下この表において「開放型病院」という。)に入院中である場合において、当該開放型病院に赴いて、当該患者に対して療養上必要な指導を共同して行った場合に、患者1人1日につき1回算定する。」「B003 開放型病院共同指導料(Ⅱ) 220点」と定められています。同じ日に行われた共同指導について、紹介元が350点、開放型病院側が220点をそれぞれ算定する形で、どちらもうちの診療所で算定できるわけではありません。そこは誤解しやすいところなので、次の章でしっかり整理しますね。
どちらの医療機関が、どちらの点数を算定するのか
みらい(新人医療事務)
さっきの表を見ると、350点は紹介した医療機関、220点は開放型病院側とありました。つまりうちの診療所が算定候補になるのは350点の方、ということでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一般的な整理としてはその理解で近いです。留意事項通知にも、開放型病院共同指導料(Ⅰ)は「開放型病院に自己の診察した患者を入院させた保険医が、開放型病院に赴き、開放型病院の保険医と共同で診療、指導等を行った場合に1人の患者に1日につき1回算定できるものであり、その算定は当該患者を入院させた保険医が属する保険医療機関において行う」とされ、開放型病院共同指導料(Ⅱ)は「当該患者を入院させた保険医の属する保険医療機関が開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合に、開放型病院において算定する」という関係になっています。
みらい(新人医療事務)
つまり、診療所側と病院側が別々に、それぞれの点数を算定する仕組みなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同じ共同指導という行為に対して、紹介元と紹介先がそれぞれ自院の請求として算定する形です。ですので、うちの診療所が算定候補になるかを確認するときは、自院の届出状況だけでなく、相手方の開放型病院が施設基準を届け出ているか、そして自院の医師がその開放型病院の登録医師として登録されているかという、両方の医療機関にまたがる条件を見る必要があります。
取り漏れが起きやすいポイント
共同指導を実施した記録が「開放型病院に赴いたこと」だけで止まっていて、紹介元・開放型病院双方の診療録に「共同して指導等を行った事実」の記載が残っていないと、算定の裏付けが弱くなります。留意事項通知では、開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定する場合、患者を入院させた保険医の診療録には開放型病院において指導等を行った事実を、開放型病院の診療録には紹介元の指導等が行われた旨を、それぞれ記載することとされています。
施設基準(開放型病院側の要件)
みらい(新人医療事務)
開放型病院になるための施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
開放型病院共同指導料に関する施設基準として、厚生労働省の告示・通知にいくつかの条件が定められています。主なものを整理しますね。
自院で確認する順番
- 病院の施設・設備の開放利用について、地域の医師会等との合意(契約等)があり、病院の運営規程等にそれが明示されていること
- 当該2次医療圏で、病院の開設者と雇用関係にない10以上の診療所の医師・歯科医師が登録している、または地域の医師・歯科医師の5割以上が登録していること
- 開放病床が概ね3床以上あること
- 届出前30日間の実績(開放病床の利用実績・共同指導の実績・開放病床利用率2割以上)を有すること
みらい(新人医療事務)
この施設基準は、紹介元の診療所ではなく、開放型病院側が満たす条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準の通知にも「開放型病院共同指導料に関する施設基準(1) 当該病院の施設・設備の開放について、開放利用に関わる地域の医師会等との合意(契約等)があり、かつ、病院の運営規程等にこれが明示されていること。」「(3) 開放病床は概ね3床以上あること。」と定められていて、届出主体は開放型病院です。なお、届出前30日間の実績要件のうち、開放病床の利用率が2割以上という基準については、通知に「ただし、地域医療支援病院においてはこの限りではない。」と定められていて、地域医療支援病院はこの利用率要件の対象外とされています。診療所側で確認すべきなのは「紹介先の病院がこの施設基準を届け出た開放型病院かどうか」、そして「自院の医師がその開放型病院の登録医師名簿に載っているかどうか」の2点です。登録がなければ、実際に共同指導を行っても算定候補として整理しにくくなります。
施設基準の充足はAIが判定できません
施設基準を満たしているかどうかの最終判断は、届出内容や実地の運用状況によって変わります。自院や連携先の病院が実際に基準を満たしているかは、届出書類や地方厚生局への確認が必要です。
届出(開放型病院側)
みらい(新人医療事務)
届出はどんな書類が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
開放型病院共同指導料の施設基準に係る届出は、様式9を用いることとされています。通知にも「(1) 開放型病院共同指導料の施設基準に係る届出は、別添2の様式9を用いること。」「(4) 登録医師又は歯科医師の名簿(登録医師等の所属する保険医療機関名を含む。)を別添2の様式 10 を用いて提出すること。」とあり、登録医師・登録歯科医師の名簿は所属する保険医療機関名を含めて様式10で提出します。厚生労働省が公開している届出書等の様式一覧にも、「開放型病院共同指導料」の届出には様式9・様式10が対応することが示されています。届出前30日間の実績(開放病床の利用実績や共同指導の実績、開放病床利用率)や、地域医師会等との契約内容、病棟の配置図・平面図なども合わせて記載・提出する必要があります。
みらい(新人医療事務)
これは病院側の事務さんが準備する書類、という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
基本的にはそうですね。診療所側としては、自院の医師の氏名や所属が登録医師名簿(様式10)に正しく反映されているかを、開放型病院側に確認しておくと安心です。
算定タイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合、同じ受診機会について初診料・再診料・外来診療料・往診料・在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)は別に算定できません。医科点数表の注2にも「2 区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A001に掲げる再診料、区分番号A002に掲げる外来診療料、区分番号C000に掲げる往診料、区分番号C001に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号C001-2に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は別に算定できない。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
他にも注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
退院時共同指導料2との関係にも注意が必要です。退院時共同指導料2の算定要件には「5 区分番号B003に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅱ)は別に算定できない。」と明記されていて、同じ入院で両方の指導料を使い分けることはできません。どちらの指導料で整理するかは、指導の目的や実施状況によって変わってくるので、個別のケースでは自院の判断だけで決めず、算定要件を確認したうえで整理することをおすすめします。回数の面では、開放型病院共同指導料は患者1人1日につき1回の算定です。共同指導を複数日にわたって行った場合は、それぞれの日に算定候補になり得ますが、同一日に重複して算定するものではありません。
よくある取り漏れ
紹介元の診療所で、開放型病院への訪問や共同指導の記録がカルテの別の項目(往診記録や訪問記録など)に紛れてしまい、指導料としての算定機会に気づかないまま終わってしまうケースがあります。共同指導を行った日付・相手先医師・指導内容を診療録に明確に残しておくことが、後から算定候補かどうかを確認する際の助けになります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この指導料に変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(医科点数表・留意事項通知・施設基準通知)の範囲では、開放型病院共同指導料(Ⅰ)(350点)・開放型病院共同指導料(Ⅱ)(220点)の点数、算定要件、施設基準について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。今後の告示・通知の追加が確認された場合は、内容を改めて反映します。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 紹介した患者が入院している病院が、開放型病院として施設基準を届け出ているか確認する
- 自院の医師が、その開放型病院の登録医師名簿(様式10)に登録されているか確認する
- 実際に開放型病院に赴いて、病院側の医師と共同で療養上必要な指導を行ったか確認する
- 共同指導を行った事実が、紹介元・開放型病院双方の診療録に記載されているか確認する
- 同一の受診機会に初診料・再診料等を別に算定していないか、退院時共同指導料との重複がないかを確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらうと、うちの診療所単独では完結しない加算だということがよくわかります。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。開放型病院共同指導料は、紹介元の診療所と開放型病院、両方の状況がそろって初めて算定候補になる指導料です。片方の準備が整っていないと、実際に共同指導を行っても算定候補として整理しにくくなります。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。