みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの摘要欄に「食道用アプリケーター加算」って書いてある請求を初めて見たんですが、これってどういう場面で付く加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。これはM004密封小線源治療という放射線治療の処置に対して付く加算の一つです。食道がんなどに対して、食道の中に線源を入れる専用の器具(アプリケーター)を使って腔内照射をしたときに算定候補になります。令和8年度時点の点数は6,700点です。
みらい(新人医療事務)
密封小線源治療そのものとは別に、器具を使ったから追加で点数が付く、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。密封小線源治療(M004)の本体点数に「注」として加算するしくみになっています。厚生労働省の医科点数表(M004 密封小線源治療(一連につき)の告示・注)には「5 食道用アプリケーター又は気管、気管支用アプリケーターを使用した場合は、食道用アプリケーター加算又は気管、気管支用アプリケーター加算として、それぞれ6,700点又は4,500点を所定点数に加算する。」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
「それぞれ」ということは、食道用と気管・気管支用のどちらを使ったかで点数が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。食道用アプリケーターを使えば6,700点、気管・気管支用アプリケーターを使えば4,500点です。同じ患者さんの同一治療で両方を同時に算定するものではなく、実際に使用した器具に応じて一方を選ぶ形になります。気管・気管支用アプリケーター加算については別の記事(気管、気管支用アプリケーター加算)でも整理しているので、あわせて確認してみてください。
対象となる医療機関・患者・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな患者さんに使われるものなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
M004密封小線源治療は、がんなどの病変に密封小線源(放射性物質を封じ込めた線源)を挿入して照射する治療法です。食道用アプリケーター加算は、その中でも食道がん等に対して、食道の管腔内に専用のアプリケーターを挿入して腔内照射を行った場合に算定候補になります。対象になるのは、あくまで密封小線源治療を実施できる体制を持つ保険医療機関で、実際に食道用アプリケーターを使用した一連の治療です。
みらい(新人医療事務)
「一連につき」という言葉もよく出てきますが、これはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
M004の注1には「注1 疾病、部位又は部位数にかかわらず、一連につき算定する。」と書かれています。つまり、1回の治療の中で照射回数を重ねても、疾病や部位・部位数にかかわらず、一連の治療として1回分の加算になるという考え方です。1回の照射ごとに毎回積み上げて算定するものではない、という点は事務処理の際に間違えやすいポイントです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
M004密封小線源治療の注5に定められている、アプリケーター使用時の加算点数はこちらです。
| 加算名 | 点数(令和8年度) | 算定単位 |
|---|---|---|
| 食道用アプリケーター加算 | 6,700点 | 一連につき |
| 気管、気管支用アプリケーター加算(参考) | 4,500点 | 一連につき |

みらい(新人医療事務)
食道用のほうが点数が高いんですね。
あおい(元・医療事務)
数字だけを見て有利・不利と判断するものではありませんが、事務作業としては「どちらのアプリケーターを使ったか」をカルテ・治療記録で必ず確認してから、対応する加算コードで請求することが大切です。医科診療行為マスター上のコードとしては180018770が食道用アプリケーター加算(密封小線源治療)に対応します。
施設基準・届出の考え方
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
断定はできないのですが、確認しておきたいポイントがあります。厚生労働省の「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)」では、放射線治療関連の届出区分(A6専門的な治療・処置(⑤放射線治療))のコード一覧に「A 6 専門的な治療・処置(⑤ 放射線治療) 180018770 食道用アプリケーター加算(密封小線源治療)」と、食道用アプリケーター加算のコードが含まれています。
みらい(新人医療事務)
ということは、届出が要る扱いになっているんですか?
あおい(元・医療事務)
この一覧に載っているということは、密封小線源治療(放射線治療)の施設基準届出の対象区分にこのコードが含まれている、ということです。ただし、この加算単体で個別の届出様式があるわけではなく、M004密封小線源治療を実施するための施設基準(放射線治療を担当する体制など)の届出状況に含まれる形と考えられます。自院がこの区分で届出済みかどうかは、届出書類の控えや地方厚生局への提出履歴で確認が必要です。
届出状況は自院で必ず確認
届出の有無・区分は医療機関ごとに異なります。「届出をしていないので対象外」「届出をしていれば必ず算定できる」と単純に判断せず、自院の届出書類・地方厚生局への提出履歴を確認してください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
ほかの加算と一緒に算定するときに、気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
M004の注には、食道用アプリケーター加算以外にもいくつかの加算が並んでいます。たとえば、注4の前立腺癌に対する永久挿入療法を行った場合の線源使用加算(線源使用加算)は、注6の放射性粒子加算とは同時に算定できないという記載があります。食道用アプリケーター加算自体は注5に独立して定められていますが、同一の一連の治療の中でどの注に基づく加算を積み上げているか、レセプト作成時に一つずつ照合することが欠かせません。
みらい(新人医療事務)
画像誘導密封小線源治療加算というのも見たことがあります。
あおい(元・医療事務)
それは注8の加算で、放射線治療を専ら担当する常勤医師が画像誘導密封小線源治療(IGBT)を行った場合に、一連につき1,200点が加算されるものです(画像誘導密封小線源治療加算)。食道用アプリケーター加算とは算定要件が別なので、条件に当てはまる場合は両方の確認が必要です。
複数の注を積み上げるときの注意
M004密封小線源治療には注2〜8まで複数の加算・費用計算の規定があります。どの注に基づく加算を算定しているかを一つずつ突き合わせ、要件を満たさない注を誤って積み上げないよう確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から点数は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表・施設基準届出の手続き通知)の範囲で確認した限りでは、食道用アプリケーター加算そのものの新設・廃止・点数変更を示す個別改定項目の資料は見つかっていません。前回改定(令和6年度)からの主な変更は、確認できる一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月)。
改定差分の確認について
点数が変わっていないように見えても、施設基準や届出の手続きが改定で変更されているケースもあります。最新の一次資料で点数・施設基準の両方を確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算の対象になりそうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- M004密封小線源治療を実施する体制(放射線治療を担当する医師・設備)があり、施設基準の届出を行っているか確認する
- 食道がん等に対する腔内照射で、食道用アプリケーターを実際に使用したかを治療記録・カルテで確認する
- 気管、気管支用アプリケーター加算など、他のアプリケーター加算と混同していないか確認する
- 線源使用加算・画像誘導密封小線源治療加算など、同じ一連の治療の中で他に算定候補になる注がないか確認する
- 以上を満たしていれば算定候補として扱い、最終判断は自院の届出状況と公式資料で確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
よく挙がるのは次のようなケースです。
取り漏れの例
アプリケーターの種類の記録不足: 食道用と気管・気管支用のどちらを使用したかがカルテに明記されておらず、加算の選択に迷うケースがあります。 一連の治療単位の誤解: 「一連につき」の考え方を、照射のたびに毎回算定できると誤解してしまうケースがあります。 併算定する注の見落とし: 線源使用加算や画像誘導密封小線源治療加算など、同じ密封小線源治療の中で他に算定候補になる注を見落とすケースがあります。
みらい(新人医療事務)
どれも「治療記録をどこまで細かく確認しているか」が分かれ目になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。器具の種類・実施内容・届出区分の3点を、治療記録とレセプトで突き合わせる習慣があると、取り漏れも過剰請求も防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。