みらい(新人医療事務)
あおいさん、点滴注射のレセプトを見ていたら「血漿成分製剤加算」という項目がついてるものがあったんですけど、これはどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
点滴注射や中心静脈注射で血漿成分製剤を使ったときに、患者さんへの説明をきちんと行った場合に算定候補になる加算ですね。区分番号G004「点滴注射」の注3と、区分番号G005「中心静脈注射」の注1に、それぞれ同じ内容で規定されています。
みらい(新人医療事務)
「血漿成分製剤」って、輸血と同じものですか?
あおい(元・医療事務)
よく混同されるんですが、別の区分です。輸血料(区分番号K920)は輸血そのものの費用で、血漿成分製剤の輸注は「注射」の部で扱われます。まずはこの区別から確認していきましょう。
血漿成分製剤加算とは
みらい(新人医療事務)
まず、この加算の基本的な考え方を教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表では、点滴注射の項目に次のように規定されています。
医科点数表 G004 点滴注射(1日につき)注3(令和8年度)
「血漿成分製剤の注射を行う場合であって、1回目の注射に当たって、患者に対して注射の必要性、危険性等について文書による説明を行ったときは、血漿成分製剤加算として、当該注射を行った日に限り、50点を所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
中心静脈注射(区分番号G005)でも、注1に同じ内容の規定があります。
医科点数表 G005 中心静脈注射(1日につき)注1(令和8年度)
「血漿成分製剤の注射を行う場合であって、1回目の注射に当たって、患者に対して注射の必要性、危険性等について文書による説明を行ったときは、血漿成分製剤加算として、当該注射を行った日に限り、50点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
ポイントは何ですか?
あおい(元・医療事務)
3つあります。1つ目は「血漿成分製剤の注射(点滴注射または中心静脈注射)を行う場合」であること。2つ目は「1回目の注射に当たって文書による説明を行ったとき」であること。3つ目は「当該注射を行った日に限り」加算する、という算定タイミングの限定です。説明さえすれば毎回50点がつく、というものではありません。
みらい(新人医療事務)
「1回目の注射のときだけ」ということは、2回目以降は説明しなくてもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこはあとで詳しく確認しますが、複数回にわたって輸注する場合は概ね1週間ごとに説明が必要、という留意事項通知の規定があります。単純に「初回だけ」とは言い切れない部分なので、順番に見ていきましょう。
対象となる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな場面が対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言自体は「保険医療機関」とされていて、病院・診療所を限定していません。点滴注射や中心静脈注射で血漿成分製剤を使う場面がある医療機関であれば、対象になり得る書き方です。ただし、実際に血漿成分製剤を扱う機会があるかどうかは診療内容によって差があるので、自院での使用実態の確認が出発点になります。
みらい(新人医療事務)
入院患者でも外来患者でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
点滴注射(G004)は入院・外来どちらも算定できる項目ですし、中心静脈注射(G005)も同様です。血漿成分製剤加算はこれらの所定点数に対する加算なので、入院・外来を問わず、血漿成分製剤の注射を行い、要件を満たす説明を行った場合に算定候補になり得ます。ただし個別のケースで実際に算定候補になるかは、診療内容と説明記録の有無で変わってくる点にご注意ください。
点数の整理
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 加算が付随する手技 | 加算点数 | 算定単位 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 点滴注射(G004) | 50点 | 当該注射を行った日に限り | G004注3(令和8年度医科点数表) |
| 中心静脈注射(G005) | 50点 | 当該注射を行った日に限り | G005注1(令和8年度医科点数表) |
あおい(元・医療事務)
どちらの手技に伴う場合でも点数は同じ50点です。中心静脈注射の注1は「G004点滴注射の(3)に規定する血漿成分製剤加算の例による」と規定されていて、点滴注射側の要件がそのまま準用される構造になっています。

みらい(新人医療事務)
同じ日に点滴注射と中心静脈注射を両方行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そもそも医科点数表のG005中心静脈注射の注2では、中心静脈注射の費用を算定した患者については、同一日に行われた点滴注射(G004)の費用は算定しないと規定されています。手技自体が同日併算定されない前提なので、血漿成分製剤加算についても、その日に成立している手技(点滴注射または中心静脈注射のいずれか)の側でのみ算定候補になると考えるのが自然です。この点は自院のレセプト担当と一度整理しておくと安心です。
対象になる血漿成分製剤の範囲
みらい(新人医療事務)
「血漿成分製剤」って、具体的に何を指すんですか?アルブミン製剤とかも入るんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは間違えやすいポイントです。留意事項通知では、対象になる血漿成分製剤の範囲がはっきり定義されています。
留意事項通知 血漿成分製剤の定義(令和8年度)
「『注3』に規定する血漿成分製剤とは、新鮮液状血漿及び新鮮凍結人血漿等をいい、血漿分画製剤(アルブミン製剤、グロブリン製剤等)は含まれないが、血漿成分製剤に準じ、患者に対して輸注の必要性等の説明を行うよう努めること。」
あおい(元・医療事務)
つまり対象になるのは新鮮液状血漿・新鮮凍結人血漿等で、アルブミン製剤やグロブリン製剤といった血漿分画製剤はこの加算の対象には含まれません。ただし、血漿分画製剤についても同様の説明を行うよう努めることとされていて、日本輸血・細胞治療学会の「輸血療法実践ガイド」の遵守も努力目標として示されています。
みらい(新人医療事務)
「含まれないが、努める」ということは、努力目標であって、算定要件そのものではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。血漿分画製剤の説明は努力義務にとどまり、血漿成分製剤加算そのものの算定要件ではありません。加算の直接対象は新鮮液状血漿・新鮮凍結人血漿等に限られる、という理解で確認を進めてください。
文書による説明のルール(最も重要な要件)
みらい(新人医療事務)
この加算でいちばん大事なところはどこですか?
あおい(元・医療事務)
「文書による説明」の中身です。留意事項通知では、次のように細かく規定されています。
留意事項通知 文書による説明の内容(令和8年度)
「『注3』に規定する『文書による説明』とは、1回目の輸注を行う際(当該患者に対して複数回の輸注を行う場合は概ね1週間毎)に、別紙様式20又はこれに準ずる様式により、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)に対して、輸注の必要性、副作用、輸注方法及びその他の留意点等について説明することをいう。」
あおい(元・医療事務)
ここでのポイントは3つです。1つ目は説明のタイミング(1回目の輸注時、複数回にわたる場合は概ね1週間ごと)。2つ目は使う様式(別紙様式20またはこれに準ずる様式)。3つ目は説明の対象者(患者本人、ただし理解が困難な小児や意識障害者等の場合はその家族等)です。
みらい(新人医療事務)
「概ね1週間毎」ということは、1週間以上続けて輸注する患者さんには、途中でもう一度説明が必要になるということですね。
あおい(元・医療事務)
そう読み取れる規定です。初回に説明したから以降はずっと不要、というわけではなく、複数回の輸注が続く場合は概ね1週間ごとの再説明が想定されています。この頻度の考え方は、算定候補かどうかの確認で見落としやすい部分なので、注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
説明した後の書類の扱いはどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
そこも留意事項通知に明記されています。
留意事項通知 説明文書の交付・保管(令和8年度)
「説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付することとする。」
あおい(元・医療事務)
患者(または家族等)から署名または押印を得ること、その文書を患者に交付すること、そして写しを診療録に添付すること。この3点セットが揃って初めて、要件を満たす説明になります。診療録への添付が抜けていると、実施していたとしても記録として確認できず、算定候補としての説明が不十分になりかねません。
緊急時など説明が輸注後になる場合
みらい(新人医療事務)
急いで輸注しなきゃいけない場面で、事前に説明している時間がないこともありますよね?
あおい(元・医療事務)
その点も留意事項通知でカバーされています。
留意事項通知 緊急時の取扱い(令和8年度)
「緊急その他やむを得ない場合は、輸注後に説明を行った場合も算定できるが、この場合輸注後速やかに行うこととする。」
あおい(元・医療事務)
緊急その他やむを得ない事情があれば、輸注後の説明でも算定候補になり得ますが、その場合は「輸注後速やかに」行う必要があります。時間が経ってからまとめて説明するような運用は、この規定の趣旨に合わない可能性があるので注意してください。
届出について
みらい(新人医療事務)
この加算は施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは他の加算と少し違うところです。今回確認した告示の条文には、無菌的分割製剤作成加算のような「あらかじめ地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」といった届出を前提とする文言は見当たりません。つまり、届出そのものよりも、患者への説明手続きと記録が要件の中心になっている加算と考えられます。
届出の要否は自院で必ず確認
今回確認した一次資料の範囲では、血漿成分製剤加算に施設基準の届出を求める記載は見当たりませんでした。ただし、届出の要否や運用の細部については、自院の地方厚生局への確認・公式資料での再確認をおすすめします。「届出不要と断定できる」という趣旨ではありません。
算定タイミング・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで注意すべきことはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、加算がつくのは「当該注射を行った日に限り」です。説明をした日と実際の注射日がずれる場合、加算がつくのはあくまで注射を行った日という整理になります。
算定タイミングに関する注意
血漿成分製剤加算は、点滴注射(G004)または中心静脈注射(G005)の所定点数に対する加算です。点滴注射・中心静脈注射そのものの算定要件(注射量の基準など)を満たしていない場合は、そもそも加算の前提となる本体点数が算定候補になりません。まず本体の算定可否から確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
在宅で中心静脈栄養法の指導管理料を算定している患者さんの場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表のG005中心静脈注射の注3では、在宅中心静脈栄養法指導管理料(C104)を算定している患者に対して行った中心静脈注射の費用は算定しないと規定されています。この場合、中心静脈注射の所定点数が算定候補にならないため、それに付随する血漿成分製剤加算も同様に算定候補にはならないと考えられます。在宅指導管理料との重複関係は、見落としやすいポイントです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
取り漏れ・記録漏れのよくあるパターン
- 血漿成分製剤の注射は行ったが、説明文書への署名・押印の取得や診療録への写しの添付が漏れていた
- 複数回にわたる輸注で、初回の説明のみ記録し、概ね1週間ごとの再説明の記録がなかった
- 血漿分画製剤(アルブミン製剤等)にも同じ加算がつくと誤解し、対象外の製剤で算定してしまった
- 緊急時に輸注後の説明となったが、「速やかに」行った記録が診療録に残っていなかった
あおい(元・医療事務)
いずれも「実施はしているが記録が要件を満たしていない」というパターンが多い印象です。文書の様式・署名・診療録添付という3点セットを、輸注のたびにチェックする運用にしておくと、取り漏れも算定漏れも防ぎやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回の記事の裏取りで確認した一次資料(令和8年度医科点数表のG004点滴注射注3・G005中心静脈注射注1、および留意事項通知の該当部分)の範囲では、血漿成分製剤加算そのものの点数・算定要件に変更があったことを示す記載は確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数は50点のまま、説明要件の内容にも変更を示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
点数表・留意事項通知という一次資料を確認した範囲で変更点が見当たらなかった、という言い方が正確です。改定に関する個別の告示・通知すべてを確認できているわけではないため、「一次資料の範囲では変更は確認されていません」という表現にとどめています。前回改定(令和6年度)時点の資料との厳密な突き合わせは、今回のデータベースには収録がなく、必要であれば厚労省の官報・告示の履歴で個別に確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
自院で確認する順番
- 点滴注射または中心静脈注射で、新鮮液状血漿・新鮮凍結人血漿等の血漿成分製剤を使用しているかを確認する
- 1回目の輸注時(複数回にわたる場合は概ね1週間ごと)に、別紙様式20またはこれに準ずる様式で文書による説明を行っているかを確認する
- 説明文書について、患者(または家族等)から署名・押印を得て患者に交付し、その写しを診療録に添付しているかを確認する
- 緊急時に輸注後の説明となった場合、輸注後速やかに説明を行った記録が残っているかを確認する
- ここまで満たしていれば、血漿成分製剤加算の算定候補として整理できる

あおい(元・医療事務)
この順番で確認していくと、実施の有無だけでなく、記録の要件を満たしているかまで含めて整理できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。血漿成分製剤の使用状況や説明文書の運用を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 G004点滴注射・G005中心静脈注射 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)G004点滴注射・G005中心静脈注射関連部分(当サイトが収録している一次資料の範囲。原本PDFのURLは告示改正に伴い変更されることがあるため、最新版は下記の令和8年度改定まとめページからご確認ください)
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省まとめページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
みらい(新人医療事務)
同じ注射関連の加算には、他にどんなものがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ点滴注射(G004)の項目には、無菌的分割製剤作成加算という別の加算もあります。また、注射に関する加算としては生物学的製剤注射加算も近い位置づけです。あわせて確認しておくと、自院の注射関連加算の整理がしやすくなりますよ。