賦活検査加算とは
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「賦活検査加算」って加算を見つけたんですけど、これって何の検査についてくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
脳波検査についてくる加算ですよ。区分番号D235「脳波検査」の注に定められていて、脳波検査をする際に睡眠賦活検査または薬物賦活検査を行った場合に、250点を所定点数に加算するという仕組みです。厚生労働省の医科点数表(令和8年度)では、D235の本体点数が720点、そこに賦活検査加算250点が上乗せされる構成になっています。
みらい(新人医療事務)
「賦活検査」ってあまり聞いたことがないんですが、どんな検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
脳波は安静にしている状態だけだと異常が出にくいことがあるので、わざと脳を活性化させる負荷をかけて異常波を誘発しやすくする検査です。睡眠状態にして記録する「睡眠賦活検査」と、薬剤を使って誘発する「薬物賦活検査」の2種類があります。てんかんの診断などで、通常の脳波だけでは所見が乏しいときに追加で行われることが多い検査です。
みらい(新人医療事務)
どちらの検査をやったかで点数が変わるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがポイントです。告示の原文には「これらの検査の別にかかわらず250点を所定点数に加算する」とあります。睡眠賦活検査でも薬物賦活検査でも、加算点数は一律250点で、種類による差はありません。まずはこの一次資料の文言を押さえておきましょう。
対象になる医療機関・検査の場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
前提として、D235脳波検査そのものを算定できる医療機関であることが必要です。神経内科やてんかん専門外来、小児科、脳神経外科などで脳波検査を実施している医療機関が主な対象になります。そのうえで、検査の中で睡眠賦活検査または薬物賦活検査を実施した場合に、賦活検査加算の算定候補になるという整理です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは、てんかんの疑いがある人が中心ですか?
あおい(元・医療事務)
実際の臨床ではてんかんの鑑別診断が多い印象ですが、公式資料に「対象疾患」が明記されているわけではありません。告示・留意事項通知には「脳波検査に当たって睡眠賦活検査又は薬物賦活検査を行った場合」という算定要件のみが定められています。対象疾患を限定した記載は資料の範囲では確認できていないので、疾患名で対象・対象外を判断するのではなく、実施した検査の内容(賦活検査を行ったかどうか)で判断する加算だと理解しておくのが安全です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、疾患名でなく検査内容で見るんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。同じ考え方は他の検査加算にも共通しています。「どんな患者さんか」ではなく「どんな検査を実際に行ったか」が算定要件の軸になっている加算だと意識しておくと、カルテ記載や検査オーダーの確認もしやすくなりますよ。似た構造の加算に、区分番号D216サーモグラフィー検査に上乗せされる負荷検査加算があります。こちらも検査の種類・回数にかかわらず一律の点数を加算する仕組みなので、あわせて確認しておくと理解が深まります。
点数の内訳を確認する
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の医科点数表をもとに表にしました。
| 区分 | 内容 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| D235 | 脳波検査(過呼吸、光及び音刺激による負荷検査を含む。) | 720点 | 同時8誘導以上の記録が前提 |
| 賦活検査加算(注1) | 睡眠賦活検査又は薬物賦活検査を行った場合 | 250点 | 検査の種類・回数にかかわらず一律250点 |
| 他医療機関描写分の診断(注2) | 当該保険医療機関以外で描写した脳波を診断した場合 | 70点 | 1回につき。賦活検査加算とは別の規定 |

みらい(新人医療事務)
表の一番下の「他医療機関描写分の70点」は、賦活検査加算とは別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、混同しやすいポイントです。D235の注は2つあって、注1が今回の「賦活検査加算250点」、注2が「他院で記録した脳波を自院で診断した場合の70点」という別の規定です。同じ区分番号の中に2つの注があるので、レセプトを見るときはどちらの加算・特例点数なのかを区別して確認してください。
点数を書くときの確認ポイント
賦活検査加算250点: D235脳波検査の注1に定める加算。睡眠賦活検査・薬物賦活検査のどちらでも一律250点。 注2の70点: 賦活検査加算とは別の規定で、他院描写分の脳波診断に対するもの。混同しないよう区別する。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、賦活検査加算そのものに固有の施設基準や届出要件を定めた記載は確認できていません。告示にあるのは「検査に当たって睡眠賦活検査又は薬物賦活検査を行った場合」という算定要件のみです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでも算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。あくまで「賦活検査加算という項目単体には、確認できる範囲で施設基準の明記が見当たらない」というところまでです。D235脳波検査自体の算定可否や、貴院が届け出ている施設基準の全体像は、自院の届出状況を個別に確認する必要があります。似た区分番号のD235-2「長期継続頭蓋内脳波検査」には別途施設基準の届出を求める注があるので、隣接する区分と混同しないことも大切です。
みらい(新人医療事務)
届出の有無は自己判断せず、必ず確認ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「届出なしで問題ない」と決めつけず、貴院の届出状況を地方厚生局への届出書類や院内の管理台帳で確認したうえで判断してください。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
一番大事なのは、D235脳波検査そのものが成立している検査であることです。留意事項通知には「脳波検査を算定するものは、同時に8誘導以上の記録を行った場合である」とあります。8誘導未満で脳波を測定した場合は、D235ではなく「D214脈波図、心機図、ポリグラフ検査」の検査数に読み替えて算定する扱いになります。
みらい(新人医療事務)
8誘導未満だと、賦活検査をやっても加算はつかないんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にはっきり書かれています。「種々の賦活検査(睡眠、薬物を含む。)を行った場合も、同区分の所定点数のみにより算定する」とあるので、8誘導未満でD214に読み替える場合は、賦活検査を実施していてもD214の所定点数だけで算定し、賦活検査加算250点は上乗せされない扱いになります。誘導数の記録を確認せずに「賦活検査をやったから250点加算」と機械的に判断すると、算定要件を満たさない可能性があるので注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
もう一つ、判断料との関係も気になります。
あおい(元・医療事務)
そこも一次資料に記載があります。D234の通則に「区分番号D235からD237-3までに掲げる脳波検査等については、各所定点数及び区分番号D238に掲げる脳波検査判断料の所定点数を合算した点数により算定する」とあります。つまり、D235(+賦活検査加算)とD238脳波検査判断料は、別区分としてそれぞれ合算して算定する構成になっている、という点も押さえておくとレセプト確認がしやすくなります。
8誘導未満は賦活検査加算の対象外になり得る
脳波検査が同時8誘導以上で記録されていない場合、区分番号はD214に読み替えられ、賦活検査を実施していても賦活検査加算250点は上乗せされません。誘導数の記録を必ずカルテ・検査記録で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知(D235脳波検査の注1・留意事項(1)〜(3))の範囲を確認したかぎりでは、賦活検査加算250点という点数、および「睡眠賦活検査又は薬物賦活検査を行った場合に検査の種類にかかわらず一律加算する」という算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年8月・厚労省一次情報ベースの確認)。
みらい(新人医療事務)
変更なしと言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
言い切るのではなく、「今回確認できた一次資料の範囲では変更が見当たらなかった」という言い方にとどめています。個別改定項目の解説資料など、今回参照できなかった資料に別の記載がある可能性もゼロではないので、最終的な判断は自院で最新の告示・通知を確認したうえで行ってください。
改定チェックの考え方
点数が同じでも、施設基準や算定要件だけが変わる改定は珍しくありません。「点数が変わっていないから安心」と決めつけず、算定要件の文言そのものを毎回確認する習慣が安全です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
D235脳波検査を実施したか、そして同時8誘導以上で記録できているかを確認する。 検査の中で睡眠賦活検査または薬物賦活検査を行ったかを、検査記録・レポートで確認する。 賦活検査を行った場合、検査の種類(睡眠・薬物)にかかわらず250点の加算候補として整理する。 D238脳波検査判断料の合算や、D235の注2(他院描写分70点)など、隣接する規定と混同していないかを確認する。 自院の届出状況や運用ルールと突き合わせ、最終的な算定可否は院内のレセプト担当者・審査支払機関に確認する。

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていけば、抜け漏れが少なそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の「検査の種類にかかわらず一律250点」という点と、1番目の「8誘導以上の記録が前提」という点はセットで確認してください。ここを見落とすと算定要件を満たさないまま加算してしまうリスクがあります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でありがちな取り漏れとか、逆に算定しすぎてしまうケースってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、賦活検査を実施したこと自体が検査オーダーや実施記録に残っていて、レセプト担当者が見落として加算し忘れるケースです。睡眠賦活検査は検査の流れの一部として自然に行われることもあるので、記録に「賦活」という言葉が明示的に出てこないと見逃されやすいんです。
みらい(新人医療事務)
逆に算定しすぎてしまうケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、8誘導未満でD214に読み替えているのに、賦活検査を実施したからと250点を上乗せしてしまうケースは注意が必要です。留意事項通知のとおり、この場合はD214の所定点数のみで算定する扱いなので、賦活検査加算は別立てで算定できません。
取り漏れ・算定しすぎ 両方の確認ポイント
取り漏れ: 検査記録に「睡眠賦活検査」「薬物賦活検査」の実施が書かれていないか、記載形式を統一して見落としを防ぐ。 算定しすぎ: 8誘導未満でD214に読み替えている場合は、賦活検査加算は別立てで算定しない。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。