みらい(新人医療事務)
あおいさん、ちょっと相談です。「質量分析装置加算」って名前をレセプトチェックのリストで見つけたんですけど、うちの検査室でも算定候補になるものでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これは検体検査の「細菌培養同定検査」という検査にプラスして算定する加算です。まずは令和8年度(2026年度)の一次資料でベースから確認していきましょう。
質量分析装置加算とは何ですか
みらい(新人医療事務)
そもそも「細菌培養同定検査」ってどんな検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には「細菌培養同定検査は、抗酸菌を除く一般細菌、真菌、原虫等を対象として培養を行い、同定検査を行うことを原則とする」とあります。区分番号はD018です。患者さんの検体を培養して、どんな菌がいるかを特定する検査ですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、その検査に「質量分析装置」を使うとプラスになる、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。点数表のD018「注3」には「入院中の患者に対して、質量分析装置を用いて細菌の同定を行った場合は、質量分析装置加算として、40点を所定点数に加算する」と規定されています。培養で得られた菌を、質量分析装置(MALDI-TOF MS等)を使ってスピーディーに同定した場合の加算、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
40点なんですね。ベースの検査自体は別に点数があるということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。D018の所定点数(検体の部位ごとに180点〜240点、簡易培養は60点)に、条件を満たしたときだけ質量分析装置加算の40点を上乗せする形です。加算単独では算定できません。

対象になるのはどんな場面ですか
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者」というのが気になります。外来の患者さんは対象外なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
収集した一次資料(点数表・留意事項通知)では、対象を「入院中の患者」と明記している一方、外来患者に関する記載は確認できていません。ここは断定せず、外来分については算定候補と言い切らずに要確認としておくのが安全です。
みらい(新人医療事務)
あと「当該保険医療機関内で実施する際に」ともありましたよね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知には「『注3』に規定する質量分析装置加算については、入院中の患者に対して細菌培養同定検査を当該保険医療機関内で実施する際に、質量分析装置を用いて細菌の同定を行った場合に、所定点数に加算する」とあります。院内で培養・同定まで完結させているケースが前提と読み取れます。外部の検査センターに委託している場合は、この加算の対象になるかどうか自院で確認が必要です。
対象になりうる場面(要確認)
入院中の患者の検体であること: 外来患者については一次資料に明記が確認できていません。 院内(当該保険医療機関内)で実施していること: 委託検査の場合は対象外になる可能性があります。 質量分析装置で菌の同定まで行っていること: 培養のみ・簡易培養のみでは対象外の可能性があります。
点数とコードを確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
数字を一覧で見たいです。表にしてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表(別表第一)に載っている数字を表にまとめました。
| 区分番号 | 項目 | 点数 |
|---|---|---|
| D018 1 | 口腔、気道又は呼吸器からの検体 | 180点 |
| D018 2 | 消化管からの検体 | 200点 |
| D018 3 | 血液又は穿刺液 | 240点 |
| D018 4 | 泌尿器又は生殖器からの検体 | 190点 |
| D018 5 | その他の部位からの検体 | 180点 |
| D018 6 | 簡易培養 | 60点 |
| D018 注3(本加算) | 質量分析装置加算 | 40点 |
みらい(新人医療事務)
注1・注2もありましたけど、それは別の加算ですか?
みらい(新人医療事務)
マスターコードみたいな数字は無いんですか?
あおい(元・医療事務)
医科診療行為マスター上の管理コードは当サイトの整理では区分番号D018「注3」に対応する形で扱っていますが、記事で個別の数字コードを断定的に示すのは避けています。レセプトコンピュータへの登録時は、自院のマスター・レセコンの表示で「質量分析装置加算」の項目を確認するのが確実です。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
質量分析装置加算そのものについて、収集した一次資料の範囲では別途の届出や特別な施設基準を求める記載は確認できていません。同じD018グループの嫌気性培養加算・真菌培養加算も、当サイトで確認した範囲では届出不要・施設基準指定なしとして扱われています。ただし「確認できていない」であって「不要と保証する」ものではないので、最終的には自院の地方厚生局への確認をおすすめします。
届出・施設基準の確認について
本加算に個別の届出様式が存在するかどうかは、必ず地方厚生局への確認、または最新の告示・通知でご確認ください。当サイトの整理は一次資料に基づく確認候補であり、届出の要否を保証するものではありません。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけるポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、質量分析装置加算は「細菌培養同定検査(D018)を実施した場合」に上乗せする加算なので、D018自体が算定されていないと単独では算定候補になりません。次に、対象は入院中の患者に限られる点。そして、院内実施であることです。外部委託検査室に質量分析装置での同定を依頼したケースまで対象になるかどうかは、一次資料からは読み取れないため、算定前に確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
簡易培養(区分6)のときはどうですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「嫌気性培養又は真菌培養のみを行った場合は、『1』から『6』までの所定点数のみ算定し、『注1』又は『注2』の加算は算定できない」という記載があります。この規定は注1・注2について書かれたものですが、注3(質量分析装置加算)も同じD018の枠組みの注加算であるため、算定条件を満たしているかどうか検体・検査内容ごとに個別確認するのが安全です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定に関する個別改定項目の一次資料をあたりましたが、質量分析装置加算(D018注3)について、点数・算定要件・対象患者・施設基準のいずれについても、変更を明記した資料は見つかりませんでした。今回収集した一次資料(点数表・留意事項通知)の範囲では、前回改定からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
改定差分の確認範囲
点数: 40点の記載を確認(変更の記載なし)。 対象患者・実施場所: 「入院中の患者」「当該保険医療機関内」の要件に変更の記載なし。 施設基準・届出: 別途の届出・施設基準を求める記載は今回も確認できていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの検査室が算定候補かどうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に見ていくのがおすすめです。
自院で確認する順番
対象患者を確認する: 質量分析装置での同定を行った検体が、入院中の患者のものかどうかを確認します。 実施場所を確認する: 培養から同定までを自院内(当該保険医療機関内)で行っているか、外部委託していないかを確認します。 D018の算定状況を確認する: 細菌培養同定検査(区分1〜5)が算定されているか、レセプトを確認します。 装置と記録を確認する: 質量分析装置を用いて菌の同定を行った記録(検査結果・実施記録)が残っているかを確認します。 届出の要否を確認する: 念のため地方厚生局や審査支払機関に、届出の要否を確認します。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、D018本体の点数だけ算定して、質量分析装置加算の40点を付け忘れているケースです。検査室では質量分析装置を日常的に使っていても、レセプト側で加算の紐付けが漏れることがあります。
取り漏れが起きやすいポイント
加算の付け忘れ: 質量分析装置で同定した記録があるのに、40点の加算が算定されていないケース。 入院・外来の混同: 外来検体にも同じ運用で加算を付けてしまい、後日確認が必要になるケース。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。