みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトを見ていたら「認知症夜間対応加算」という項目を見つけました。夜間の対応で何か加算が取れるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。認知症夜間対応加算は、令和8年度(2026年度)の診療報酬でいうと、A314「認知症治療病棟入院料」の「注2」として設けられている加算のことです。認知症治療病棟という特定入院料を届け出ている病棟が対象になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど。どんな病棟でも取れるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まずは「うちの病棟が認知症治療病棟入院料を届け出ているか」が入口になります。そこがスタートラインなので、今日は対象・点数・施設基準・届出の順番で一緒に確認していきましょう。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう狙いで設けられているんですか?
あおい(元・医療事務)
A314認知症治療病棟入院料は、幻覚・妄想・夜間せん妄・徘徊などの精神症状や行動異常が特に著しい重度の認知症患者さんを対象にした、急性期に重点を置いた集中的な治療のための入院料です。夜間はこうした症状が強く出やすく、看護の手が特に必要になります。認知症夜間対応加算は、その夜間の看護体制を手厚くしている病棟を評価する加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
夜勤の体制がしっかりしていることが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の留意事項通知でも「当該病棟に夜勤を行う看護要員が3人以上の場合に算定できる」と示されています。夜間の見守りや対応を評価する趣旨だと読み取れますね。
対象になる医療機関・病棟
みらい(新人医療事務)
対象になるのは、具体的にどんな医療機関ですか?
あおい(元・医療事務)
認知症治療病棟入院料(認知症治療病棟入院料1または2)を届け出ている保険医療機関の精神病棟が対象です。認知症夜間対応加算は、その病棟がさらに別の施設基準を満たして届け出た場合に、入院患者について算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
外来や一般病棟では取れないということでしょうか?
あおい(元・医療事務)
認知症夜間対応加算はA314認知症治療病棟入院料の注加算なので、この入院料を算定している病棟が土台になります。まずは自院の届出区分を確認するのが確実です。関連する入院料としては 認知症治療病棟入院料 のページも参考になりますよ。
対象の確認ポイント
病棟区分: 認知症治療病棟入院料1または2を届け出ている病棟か 患者: 精神症状・行動異常が特に著しい重度の認知症患者が入院しているか 夜間体制: 夜勤を行う看護要員が3人以上の日か
点数・コード

みらい(新人医療事務)
気になる点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数は、入院期間に応じて2段階になっています。医科診療行為マスター(令和8年度)で確認すると、次のとおりです。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 認知症夜間対応加算(入院30日以内) | 84点 | 1日につき |
| 認知症夜間対応加算(入院31日以上) | 40点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
入院してからの期間で点数が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。入院初期の30日以内は84点、31日以上になると40点と、日数に応じて設定されています。留意事項通知でも「当該患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき」と、期間で分ける書き方になっています。どちらも1日につき算定する形なので、算定日数の管理が大切になりますね。
点数の扱いに関する注意
点数は入院期間で区分が変わります。30日以内と31日以上で自動的に切り替わるため、入院日からの経過日数を正しく管理する必要があります。実際の算定可否と日数区分は、自院の届出状況とレセプト運用に沿ってご確認ください。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
基本診療料の施設基準等の通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号)では、認知症夜間対応加算の施設基準として大きく2つが示されています。1つ目は看護体制、2つ目は行動制限最小化への取り組みです。
みらい(新人医療事務)
まず看護体制から教えてください。
あおい(元・医療事務)
通知には「認知症治療病棟入院料1、認知症治療病棟入院料2のいずれの場合も、夜勤を行う看護要員が3名以上の場合に算定できる」と明記されています。つまり夜勤帯に看護要員が3名以上いることが土台の条件です。
みらい(新人医療事務)
もう1つの行動制限最小化というのは?
あおい(元・医療事務)
施設基準では「行動制限最小化に係る委員会において次の活動を行っていること」が求められています。身体的拘束などの行動制限をできるだけ少なくするための委員会活動を行っている病棟であることが条件になっています。留意事項通知でも、この加算を算定する病棟は「行動制限を最小化する取組を実施した上で算定する」とされ、取組内容はA311精神科救急急性期医療入院料の例によるとされています。
施設基準の確認ポイント
看護要員: 夜勤を行う看護要員が3名以上か 委員会: 行動制限最小化に係る委員会で所定の活動を行っているか 取組: 行動制限を最小化する取組を実施した上で算定しているか
みらい(新人医療事務)
委員会があるかどうか、うちでも確認しないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。看護部門や医療安全の担当部署に、行動制限最小化に係る委員会の運用状況を確認しておくと安心です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、それだけで算定していいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、届出が必要です。認知症夜間対応加算は、施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た病棟であることが前提です。届出には様式48が用いられます。
みらい(新人医療事務)
様式48ですね。何か例外はありますか?
あおい(元・医療事務)
通知には、認知症夜間対応加算の様式48に係る届出について「医療保護入院等診療料の届出を行っている場合は、別に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと」と示されています。すでに関連する届出をしている場合の取り扱いが定められているので、自院がどの届出をしているかを合わせて確認するとよいですね。
届出に関する注意
届出済みの病棟であることが算定の前提です。「届出済みであれば算定候補」と考え、届出の有無・区分は自院の届出控えや地方厚生(支)局への届出状況で必ず確認してください。届出前の算定はできません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和6年度から令和8年度で、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
認知症夜間対応加算について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は、今回確認した厚生労働省の一次情報(令和8年度の告示・留意事項通知・医科診療行為マスター)の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月)。
改定差分の確認状況
点数区分: 入院30日以内84点/31日以上40点(令和8年度時点) 施設基準: 夜勤看護要員3名以上・行動制限最小化委員会(令和8年度時点) 変更: 前回改定(令和6年度)との比較で主な変更は確認されていません(2026年8月・厚労省一次情報ベース)
みらい(新人医療事務)
大きく変わっていないなら、運用は続けやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし訂正通知や疑義解釈が後から出ることもあります。最新の点数・要件は、必ず令和8年度の公式資料で確認する習慣をつけておきましょう。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、自院が算定候補になるかは、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に確認していくのがおすすめです。次のステップで整理してみましょう。
自院で確認する順番
- 自院の病棟が認知症治療病棟入院料1または2を届け出ているか確認する
- その病棟で夜勤を行う看護要員が3名以上かを確認する
- 行動制限最小化に係る委員会の活動が行われているかを確認する
- 様式48による届出(または医療保護入院等診療料の届出)の状況を確認する
- 対象患者の入院期間(30日以内か31日以上か)を確認して点数区分を判断する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、どこがネックになるか見えてきますね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特に「委員会の活動」と「届出の状況」は事務だけでは判断しづらいので、看護部門や医療安全の担当と連携して確認するのがポイントです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なものを挙げてみますね。
よくある取り漏れ・注意点
日数区分の切り替え忘れ: 入院30日以内(84点)から31日以上(40点)への切り替えを見落とす 夜勤要員の確認漏れ: 夜勤を行う看護要員が3名以上という条件を日々確認できていない 届出前の算定: 施設基準は満たしているのに届出が済んでいない状態での算定 委員会活動の未確認: 行動制限最小化に係る委員会の活動状況を把握していない
みらい(新人医療事務)
日数の切り替えは、うっかりしそうです。
あおい(元・医療事務)
入院期間に応じて点数が変わる加算は、切り替えのタイミングを台帳やシステムで管理しておくと取り漏れや過剰算定を防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。病棟区分や夜勤体制、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。