みらい(新人医療事務)
先輩、麻酔科のレセプトをチェックしていたら「乳児加算」という項目を見つけたんですけど、これって何点つく加算なんですか? 母子健康手帳を持ってきた赤ちゃんの患者さんだったので、気になって。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。「乳児加算」は、麻酔を行ったときの患者さんの年齢に応じてつく加算のひとつです。令和8年度の医科点数表でいうと、第11部「麻酔」の通則2に定められています。
みらい(新人医療事務)
通則2って、麻酔の項目全部に共通するルールってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。今日はこの乳児加算について、対象になる場面、点数の考え方、施設基準や届出の要否、算定時の注意点まで、一次資料で確認しながら整理していきましょう。
乳児加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、乳児加算はどんな場面でつくんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号、医科点数表)第11部麻酔の通則2には、次のように定められています。「未熟児、新生児(未熟児を除く。)、乳児又は1歳以上3歳未満の幼児に対して麻酔を行った場合は、未熟児加算、新生児加算、乳児加算又は幼児加算として、当該麻酔の所定点数にそれぞれ所定点数の100分の200、100分の200、100分の50又は100分の20に相当する点数を加算する」。
みらい(新人医療事務)
つまり、乳児に麻酔を行ったときに算定候補になる加算、ってことですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ここで大事なのは、乳児加算は年齢によって4段階に分かれる区分のうちのひとつだということです。未熟児と新生児(未熟児を除く)は所定点数の100分の200(+100%)、乳児は100分の50(+50%)、1歳以上3歳未満の幼児は100分の20(+20%)と、対象年齢によって加算割合が変わります。
みらい(新人医療事務)
未熟児・新生児・乳児・幼児で、それぞれ違う名前の加算になっているんですね。混同しないように気をつけないと。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に乳児加算という名前は、他の部(手術や入院基本料など)にある「乳幼児加算」「幼児加算」と紛らわしいので、あとで整理します。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
この加算、病院じゃないと算定できないとか、施設の種類による制限ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
通則2の条文自体には、医療機関の種類(病院か診療所か、外来か入院かなど)を限定する記載は確認できません。麻酔料や神経ブロック料を算定する保険医療機関であれば、対象患者が乳児であれば算定候補になる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
対象患者は「乳児」ということですが、具体的に何歳から何歳までを指すんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
条文では「未熟児、新生児(未熟児を除く。)、乳児又は1歳以上3歳未満の幼児」という並びで区分されていて、乳児は新生児と1歳以上3歳未満の幼児のあいだに位置づけられています。ただし、乳児の具体的な年齢の起算日(生後何日から何歳未満までか)そのものは、この一次資料の範囲では明記されていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、この患者さんは乳児にあたるのかどうか、自分で判断していいのか迷いますね。
あおい(元・医療事務)
そこは資料に無い具体を補って断定はできないところです。年齢区分の詳細な取り扱いは、自院の算定担当者や審査支払機関に確認することをおすすめします。
点数の考え方(割合加算であることに注意)
みらい(新人医療事務)
「乳児加算」って聞くと、なんとなく「乳児加算=◯点」って固定の点数がつくイメージだったんですが、違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこ、実は誤解しやすいポイントです。通則2の乳児加算は固定点数の加算ではなく、実施した麻酔の所定点数に対する「割合」の加算です。条文どおりに言うと「所定点数の100分の50に相当する点数」を加算するので、ベースになる麻酔の点数によって、加算される点数も変わります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、ベースの麻酔が高点数なら加算も大きくなるし、低点数なら加算も小さくなるってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まずは通則2の4区分を表で整理しておきましょう。
| 区分 | 対象年齢等 | 加算割合 |
|---|---|---|
| 未熟児加算 | 未熟児 | 所定点数の100分の200(+100%) |
| 新生児加算 | 新生児(未熟児を除く) | 所定点数の100分の200(+100%) |
| 乳児加算 | 乳児 | 所定点数の100分の50(+50%) |
| 幼児加算 | 1歳以上3歳未満の幼児 | 所定点数の100分の20(+20%) |

みらい(新人医療事務)
未熟児・新生児は+100%、乳児は+50%、幼児は+20%と、年齢が上がるほど加算割合が下がっていくんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。年齢が低いほど麻酔の管理に手間とリスクがかかる、という考え方に沿った区分だと整理できます。
具体的な点数のイメージ
みらい(新人医療事務)
実際にどれくらいの点数になるのか、具体例で見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
では、告示の点数表に載っている麻酔の所定点数を使って、乳児加算を加えた場合のイメージを計算してみましょう。
| 麻酔の種類(区分番号) | 所定点数 | 乳児加算(+50%) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| L001 吸入麻酔又は静脈麻酔による鎮静(10分未満) | 120点 | +60点 | 180点 |
| L002 硬膜外麻酔(腰部) | 800点 | +400点 | 1,200点 |
みらい(新人医療事務)
硬膜外麻酔の腰部だと、乳児加算だけで400点も加わるんですね。金額でみると大きいです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、これはあくまで通則2の条文どおりに計算した目安です。実際の合計点数は、麻酔管理料や神経ブロック料、酸素加算など他の項目の算定状況によっても変わってきますので、レセプト作成時は個々の実施内容に沿って確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この乳児加算を算定するのに、事前に地方厚生局へ届出をしておく必要ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
通則2の条文を確認したかぎりでは、乳児加算そのものに個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりません。麻酔を行った患者さんの年齢によって自動的に判定される加算、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでも算定候補になるってことですね!
あおい(元・医療事務)
そこは言い切らないでおきましょう。この一次資料の範囲では届出に関する記載が確認できなかった、というだけで、算定要件の全体像(麻酔そのものの算定要件や、併せて算定する項目の施設基準など)は別に存在します。最終的な届出の要否は、自院の届出状況や地方厚生局への確認をおすすめします。
算定のタイミングと考え方
みらい(新人医療事務)
年齢の判定って、いつの時点を基準にすればいいんでしょうか。手術の予約日? それとも実際に麻酔をした日?
あおい(元・医療事務)
条文は「麻酔を行った場合は……加算する」という表現になっているので、実際に麻酔を実施した時点の年齢が基準になる、という読み方が自然です。予約時点では乳児でも、実施が遅れて幼児の年齢に入ってしまえば、区分が変わる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
日をまたぐようなケースは特に注意ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。誕生日や月齢の節目が近い患者さんは、実施日ベースで年齢を再確認する習慣をつけておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この乳児加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
第11部麻酔の通則2にある未熟児加算・新生児加算・乳児加算・幼児加算の加算割合(100分の200、100分の200、100分の50、100分の20)について、当サイトが確認できた令和8年度の一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、それはそれで安心材料ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、これは「今回確認した資料の範囲で変更が見当たらなかった」という意味です。今後の告示改正や疑義解釈で取り扱いが更新される可能性はあるので、算定時点の最新情報は都度確認するようにしましょう。
レセプトでの確認ポイント
みらい(新人医療事務)
乳児加算を算定したとき、レセプト上ではどう記載すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
診療報酬明細書の記載要領に関する資料には、「第11部通則2 麻酔の乳児加算を算定した場合」は、レセプトの摘要欄に「乳」という略号を、「手術・麻酔」欄に記載する、という整理が示されています。
みらい(新人医療事務)
「乳」の一文字が入っているかどうかで、乳児加算を算定しているレセプトかどうか見分けられるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。自院のレセプトを見返すときのチェックポイントとして覚えておくと役立ちます。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象患者が乳児にあたるか(新生児・未熟児・1歳以上3歳未満の幼児と区別して)を確認する
- 算定対象が麻酔料または神経ブロック料であるかを確認する
- 麻酔を実施した時点の年齢を診療録で確認する
- 通則2の割合(100分の50)で加算点数を計算する
- レセプト摘要欄に「乳」の略号が入っているかを確認する
よくある取り漏れ・間違えやすいポイント
固定点数だと思い込まない
乳児加算は「◯点」という固定加算ではなく、麻酔の所定点数に対する割合(100分の50)の加算です。ベースになる麻酔の点数を確認したうえで計算する必要があります。
似た名前の加算と混同しない
「乳児加算」という名前の加算は、第11部麻酔の通則2以外にも、第10部手術の通則にある「乳幼児加算」(3歳未満の乳幼児が対象、100分の100)や、入院基本料の「乳幼児加算・幼児加算」など、部が異なると対象年齢や加算割合が異なる別の加算として存在します。麻酔の乳児加算と、手術や入院基本料の乳幼児加算を同じものとして扱わないよう注意が必要です。
幼児加算との境目に注意
1歳以上3歳未満の患者さんは、乳児加算ではなく幼児加算(100分の20)の対象になります。麻酔実施日の年齢が1歳の誕生日前後になる患者さんは、区分を取り違えやすいポイントです。
対象外と決めつけない
条文の年齢区分にあてはまらないように見えるケースでも、対象外と即断はできません。診療録の生年月日と麻酔実施日を突き合わせたうえで、確認が必要な場合は自院の算定担当者や審査支払機関に相談することをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、気になっていた点をいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
乳児加算は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
通則2の条文には医療機関の種類を限定する記載は確認できません。麻酔料や神経ブロック料を算定する場面であれば、診療所・病院を問わず算定候補になり得ますが、実際の算定可否は自院の届出状況や実施内容によって変わるため確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
硬膜外麻酔と組み合わせる場合の加算はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
硬膜外麻酔併施加算のように、麻酔の種類ごとに別の加算が定められているケースもあります。乳児加算とあわせて算定する場合の合計点数は、それぞれの算定要件を個別に確認してから計算してください。
みらい(新人医療事務)
1歳を超えたばかりの患者さんは、どちらの加算になりますか?
あおい(元・医療事務)
1歳以上3歳未満であれば、幼児加算の対象年齢になります。乳児加算とは加算割合(100分の20)も異なるので、麻酔実施日時点の年齢を必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の年齢や麻酔の種類を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。