みらい(新人医療事務)
院長から「うちは小児科もやっているから、乳幼児夜間加算って取れるんじゃないか」と言われたんですけど、正直よくわかっていなくて…。乳幼児夜間加算って、そもそもどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表にある加算で、6歳未満の乳幼児に対して、小児科を標榜する医療機関が夜間の時間帯に診療を行った場合に、通常の夜間加算より手厚い点数を算定できる仕組みです。初診料・再診料・外来診療料など、複数の診療の種類に対応する形で用意されていて、点数は令和8年度時点で65点から200点まで、全部で15区分に分かれています。
みらい(新人医療事務)
15区分もあるんですか。1つの加算だと思っていました…。
あおい(元・医療事務)
「乳幼児夜間加算」という名前は共通なんですが、算定のベースになる診療(初診料なのか再診料なのか、あるいは小児科外来診療料なのかなど)によって点数が変わる、という構造なんです。まずは基本の考え方から確認していきましょう。
乳幼児夜間加算とは
みらい(新人医療事務)
「通常の夜間加算」と、この「乳幼児夜間加算」は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いわゆる通常の夜間加算にあたる時間外加算は、診療時間外・休日・深夜に受診したときに、初診料や再診料に上乗せされる加算です。これに対して乳幼児夜間加算は、小児科を標榜する医療機関が、6歳未満の乳幼児に対して夜間の時間帯に診療を行った場合に、通常の夜間加算に代えて算定する、より高い点数の加算です。厚生労働省の令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)のA000初診料の規定では、次のように書かれています。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな条件なんですか?
あおい(元・医療事務)
「小児科を標榜する保険医療機関(注7のただし書に規定するものを除く。)にあっては、夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間、休日又は深夜(当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間に限る。)において6歳未満の乳幼児に対して初診を行った場合は、注7の規定にかかわらず、それぞれ200点、365点又は695点を所定点数に加算する。」という規定です。このうち「夜間」の部分にあたる200点が、いわゆる乳幼児夜間加算の初診料版です。休日・深夜は別の名前の加算になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、休日や深夜は別カウントなんですね。夜間だけを指す名前なんだ。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく2つの条件があります。1つ目は、標榜診療科として小児科を持つ保険医療機関であること(ただし、専ら夜間の救急医療確保のために設けられている医療機関は、別の体系が適用されるため対象外です)。2つ目は、患者が6歳未満の乳幼児であることです。この2つがそろったうえで、診療を行った時間が「夜間であって厚生労働大臣が定める時間」に当てはまるかどうかを確認する流れになります。
みらい(新人医療事務)
「夜間であって厚生労働大臣が定める時間」というのが、ちょっとふわっとしていますね…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。具体的な時刻の範囲は個別の告示・通知で定められていて、医療機関ごとの表示診療時間とも関わってきます。ここは資料を確認しないと自己判断できない部分なので、自院の診療時間表と照らし合わせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
初診と再診で対象になる患者さんの範囲は同じですか?
あおい(元・医療事務)
考え方は同じで、初診・再診・外来診療料のいずれについても「6歳未満の乳幼児」が対象です。ただし、算定できる点数はどの診療に対する加算かによって変わります。次の章で、その点数の一覧を見てみましょう。
点数の一覧(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
点数の一覧、見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の医科診療行為マスターに登録されている区分をまとめると、次のようになります。いずれも6歳未満の乳幼児が対象で、夜間の時間帯における加算です。
| 算定の元になる診療 | 点数(令和8年度) | 備考 |
|---|---|---|
| 初診料 | 200点 | 小児科標榜医療機関の初診時 |
| 再診料 | 135点 | 入院外・入院いずれも同水準 |
| 外来診療料 | 135点 | 200床以上病院の再診相当 |
| 小児科外来診療料(初診時相当) | 85点 | 初診料の加算から115点を減じた水準 |
| 小児科外来診療料(再診時相当) | 65点 | 再診料・外来診療料の加算から70点を減じた水準 |
| 地域包括診療料(再診時相当) | 135点 | 再診料の加算と同水準 |
| 小児かかりつけ診療料(初診時相当) | 200点 | 初診料の加算と同水準 |
| 小児かかりつけ診療料(再診時相当) | 135点 | 再診料の加算と同水準 |
| 外来腫瘍化学療法診療料(初診時相当) | 200点 | 初診料の加算と同水準 |
| 外来腫瘍化学療法診療料(再診時相当) | 135点 | 再診料の加算と同水準 |
みらい(新人医療事務)
同じ「夜間」なのに、65点から200点までかなり幅がありますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。小児科外来診療料は、初診料・再診料などの費用をまとめて算定する「包括払い」の診療料なので、それに合わせて加算の点数も調整されています。厚労省の告示では、「区分番号A000に掲げる初診料の注7及び注8に規定する加算を算定する場合については、それぞれの加算点数から115点を減じた点数を、区分番号A001に掲げる再診料の注5及び注6に規定する加算並びに区分番号A002に掲げる外来診療料の注8及び注9に規定する加算を算定する場合については、それぞれの加算点数から70点を減じた点数を算定するものとする。」と定められています。200点から115点を引くと85点、135点から70点を引くと65点になる、という計算です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、単純に別の点数が決まっているんじゃなくて、計算式があるんですね。
点数を確認するときのポイント
どの診療をベースに算定するか: 初診料・再診料・外来診療料・小児科外来診療料・地域包括診療料・小児かかりつけ診療料・外来腫瘍化学療法診療料のどれに対する加算かで点数が変わります。 休日・深夜との混同に注意: 「乳幼児夜間加算」は夜間の時間帯だけを指す名称です。休日・深夜はそれぞれ別の名前・別の点数の加算になります。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できている一次資料の範囲では、乳幼児夜間加算そのものに専用の施設基準の届出は明記されていません。適用の可否は、標榜診療科として小児科を届け出ているかどうかと、専ら夜間救急医療の確保のために設けられている医療機関(注7ただし書に規定するもの)に該当するかどうかで判断される構造になっています。
みらい(新人医療事務)
「届出はいらない」と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。標榜診療科の届出状況や、地域の救急医療体制における自院の位置づけによって扱いが変わる可能性があるため、最終的には地方厚生局への確認、または審査支払機関への確認が必要です。「届出済みであれば候補になる」という前提で、まずは自院の届出内容を確認するところから始めるのが安全です。
夜間救急医療確保のための医療機関は対象外
専ら夜間における救急医療の確保のために設けられている保険医療機関(初診料の注7ただし書に規定するもの)は、乳幼児夜間加算(注8・注9等)の対象から除外され、別の体系(それぞれ230点・345点など)が適用されます。自院がこの区分に該当するかどうかも、あわせて確認が必要です。
算定タイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
実際に算定するとき、気をつけたほうがいいことはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず、算定できるのはあくまで「夜間の時間帯」に該当する診療です。休日や深夜に診療した場合は、乳幼児夜間加算ではなく、それぞれ別の区分(乳幼児休日加算・乳幼児深夜加算に相当するもの)が適用されます。次に、通常の乳幼児加算(6歳未満の乳幼児に対する基本の加算)とは重複して算定しない構造になっている点にも注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
乳幼児加算と乳幼児夜間加算、両方は取れないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。初診料の規定では「6歳未満の乳幼児に対して初診を行った場合は、乳幼児加算として、75点を所定点数に加算する。ただし、注7又は注8に規定する加算を算定する場合は算定しない。」とされています。つまり、通常の乳幼児加算(75点)と、夜間・休日・深夜の加算(乳幼児夜間加算を含む)は、どちらか一方だけが算定される関係です。
みらい(新人医療事務)
併算定できない組み合わせがあるのは、レセプトを見るときに気をつけないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。診療時間の記録と、算定した加算の種類が対応しているかどうかを、月次のレセプト点検で確認する体制を作っておくと安心です。
| 時間帯の区分 | 該当する加算(小児科標榜・乳幼児対象) | 通常の夜間・休日・深夜加算との関係 |
|---|---|---|
| 夜間(告示で定める時間) | 乳幼児夜間加算(本記事の対象) | 通常より高い点数に置き換わる |
| 休日 | 乳幼児休日加算相当の区分 | 別区分・別点数 |
| 深夜 | 乳幼児深夜加算相当の区分 | 別区分・別点数 |
みらい(新人医療事務)
併算定の可否も、一度整理しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
はい。よく確認されるパターンをまとめると、次のようになります。
| 組み合わせ | 併算定の可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 乳幼児夜間加算 + 通常の乳幼児加算 | 併算定不可 | どちらか一方のみ算定 |
| 乳幼児夜間加算 + 時間外加算 | 併算定不可 | 乳幼児夜間加算が時間外加算に代わる形で算定される |
| 乳幼児夜間加算(初診) + 乳幼児夜間加算(再診) | 同一日には通常発生しない | 初診・再診いずれか一方の点数で算定 |
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できている一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号および関連の医科診療行為マスター)の範囲では、乳幼児夜間加算の点数構成や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの明確な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。ただし、点数据え置きに見える加算でも、施設基準や人員配置の要件だけが改定される場合もあるため、届出内容や算定要件の細部は、最新の告示・通知で定期的に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「変わっていなさそう」で終わらせずに、毎回確認したほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特に小児科領域は、地域の医療体制に関わる加算の見直しが行われることもあるので、改定のたびに一次資料をチェックする習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 標榜診療科として小児科を届け出ているかを確認する(専ら夜間救急医療確保のための医療機関に該当しないかもあわせて確認)
- 対象の患者が6歳未満の乳幼児であるかを診療録で確認する
- 診療を行った時刻が、告示で定められた「夜間」の時間帯(自院の表示診療時間内)に該当するかを確認する
- 算定のベースになる診療が、初診料・再診料・外来診療料・小児科外来診療料などのどれに当たるかを確認し、対応する点数を確認する
- 通常の乳幼児加算や、休日・深夜の加算と重複算定していないかをレセプト点検で確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちが算定候補かどうか、だいぶ整理できそうです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
代表的なのは、診療時間が夜間の時間帯にまたがっていたのに、通常の初診料・再診料だけで算定してしまうケースです。また逆に、休日や深夜の診療なのに「夜間」の区分で算定してしまう取り違えも起こりやすいポイントです。
よくある取り漏れ・取り違え
時間帯の記録漏れ: 受付時刻・診療時刻の記録が曖昧だと、夜間・休日・深夜のどの区分に当たるか後から判断できなくなります。 小児科外来診療料との混同: 小児科外来診療料を算定している場合は、初診料・再診料の加算点数からそれぞれ115点・70点を減じた点数になる点を見落としやすいです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
乳幼児夜間加算は、どんな場合に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
小児科を標榜する医療機関で、6歳未満の乳幼児に対して夜間の時間帯に初診・再診等を行った場合の算定候補です。標榜診療科の届出状況、患者の年齢、診療時刻の3点がそろっているかどうかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
通常の夜間加算と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
通常の夜間加算(注7)は年齢を問わない一般的な加算ですが、乳幼児夜間加算は小児科標榜医療機関が6歳未満の乳幼児を対象に算定するもので、通常の夜間加算よりも高い点数が設定されています。
みらい(新人医療事務)
届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できている資料の範囲では、専用の施設基準の届出は明記されていません。ただし標榜診療科の届出状況によって扱いが変わるため、自院の届出内容を確認したうえで、必要に応じて地方厚生局や審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
休日や深夜に診療した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
休日・深夜は乳幼児夜間加算とは別の区分(乳幼児休日加算・乳幼児深夜加算に相当するもの)が適用され、点数も異なります。夜間の区分と混同しないよう注意してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や診療時間帯を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。