みらい(新人医療事務)
院長から「うちの診療所、乳幼児時間外特例医療機関加算って算定候補になるか調べておいて」って言われたんですが、正直この加算名、初めて聞きました…。
あおい(元・医療事務)
長い名前ですよね。ひとことで言うと、「時間外特例医療機関」に該当する医療機関が、6歳未満の乳幼児に夜間の時間外診療を行ったときに算定候補となる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づく内容として、一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「時間外特例医療機関」って、うちみたいな普通のクリニックでも当てはまるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがまず最初の分かれ道ですね。厚生労働省の告示の留意事項では、「当該特例の適用を受ける保険医療機関(以下「時間外特例医療機関」という。)とは、客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の4の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関をいう」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
「次に掲げる保険医療機関」って、具体的にはどんな医療機関なんですか?
あおい(元・医療事務)
3つのタイプが挙げられています。①地域医療支援病院、②救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所、③病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院、のいずれかです。つまり、都道府県の医療計画の中で夜間救急を担う医療機関として位置づけられていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、一般の診療所は基本的に対象外の可能性が高いってことですね…。
あおい(元・医療事務)
対象外の可能性はありますが、断定はできません。病院群輪番制に参加している有床診療所も含まれると明記されているので、「うちは診療所だから関係ない」と決めつけず、自院が都道府県の医療計画上どう位置づけられているかを確認することが大切です。
乳幼児時間外特例医療機関加算の対象患者・場面
みらい(新人医療事務)
医療機関側の要件はわかりました。次は、どんな患者さんに、どんな場面で算定候補になるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
対象患者は6歳未満の乳幼児です。そして場面は、「夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間」に初診・再診を行った場合に限られます。この時間について、告示の留意事項では「別に厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
ちょっと複雑ですね…。つまり、深夜(午後10時から午前6時)と休日は含まれない、夕方から夜のはじめくらいの時間帯ってことですか?
あおい(元・医療事務)
おおむねそのイメージで合っています。深夜や休日にあたる時間帯は、この加算ではなく休日加算・深夜加算の扱いになります。留意事項でも「時間外特例医療機関において、休日加算又は深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する」と明記されていますよ。
点数はいくら?(令和8年度の算定要件)

みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、初診料・再診料・外来診療料それぞれの「注」に規定があります。乳幼児(6歳未満)の場合の点数は次のとおりです。
| 算定の場面 | 通常(乳幼児以外) | 乳幼児(6歳未満)の場合 |
|---|---|---|
| 初診料(A000)の時間外加算の特例 | 230点 | 345点 |
| 再診料(A001)の時間外加算の特例 | 180点 | 250点 |
| 外来診療料(A002)の時間外加算の特例 | 180点 | 250点 |
| 小児科外来診療料に含める場合(初診相当) | 115点 | 230点 |
| 小児科外来診療料に含める場合(再診相当) | 110点 | 180点 |
みらい(新人医療事務)
表の下2行、点数が違うのはなぜですか?
あおい(元・医療事務)
小児科外来診療料を算定している患者さんの場合、初診料・再診料側の加算をそのまま合算するのではなく、決まった点数を差し引く規定があるからです。告示では「区分番号A000に掲げる初診料の注7及び注8に規定する加算を算定する場合については、それぞれの加算点数から115点を減じた点数を、区分番号A001に掲げる再診料の注5及び注6に規定する加算並びに区分番号A002に掲げる外来診療料の注8及び注9に規定する加算を算定する場合については、それぞれの加算点数から70点を減じた点数を算定するものとする」と定められています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、345点から115点引くと230点、250点から70点引くと180点になりますね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。当サイトの整理では、算定される場面(初診・再診・外来診療料・小児科外来診療料等)によって区分が細かく分かれ、点数はおおむね180点から345点の範囲になります。ただし、実際にどの区分が該当するかは診療の形態によって変わるので、レセプト担当の方と一緒に確認することをおすすめします。
施設基準・届出はどう確認する?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは少し注意が必要なところです。この加算は「専任の担当者を配置する」といった通常の施設基準届出とは性質が異なり、都道府県が作成する医療計画に自院が救急医療機関として記載されているかどうかがベースになります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、届出書類そのものの様式までは確認できていません。
届出要否は一律に断定できません
時間外特例医療機関にあたるかどうかは、地域医療支援病院の承認、救急病院等省令に基づく認定、病院群輪番制への参加といった、医療計画上の位置づけによって決まります。自院がどの区分に該当するかは、都道府県の医療計画や地方厚生局への確認が必要です。届出の要否についても、自院の位置づけが確定してから判断することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出さえ出せば誰でも算定候補になる、というものではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出の前に、そもそも医療計画上の位置づけを満たしているかどうかが出発点になります。ここを確認しないまま「うちも算定できるはず」と思い込むのは避けたいところです。
算定タイミング・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、重複算定を防ぐルールがいくつかあります。まず、6歳未満の乳幼児に対する通常の乳幼児加算(初診75点・再診38点)は、この時間外特例の加算と同時には算定しません。告示でも「ただし、注7又は注8に規定する加算を算定する場合は算定しない」とされています。
みらい(新人医療事務)
他にも気をつけることはありますか?
小児科標榜医療機関の特例と混同しない
6歳未満の乳幼児に対する夜間・休日・深夜の特例には、小児科を標榜する医療機関向けの別の規定(乳幼児夜間加算・乳幼児休日加算)もあります。告示ではこの規定について「小児科を標榜する保険医療機関(注7のただし書に規定するものを除く。)にあっては」と定められており、時間外特例医療機関に該当する場合は、この乳幼児時間外特例医療機関加算の規定が優先されます。名前も点数も似ているため、自院がどちらの区分に該当するのか条文ベースで確認しましょう。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集した一次資料の範囲では、この加算に関する前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数や時間外特例医療機関の定義について、変更を示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、それはそれで安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうとも言えますが、あくまで当サイトが確認できた資料の範囲での結論です。気になる場合は、最新の告示・通知を自院でも直接確認することをおすすめします。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院はどこから確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認してみましょう。
自院で確認する順番
- 自院が時間外特例医療機関(地域医療支援病院/救急病院等省令認定の救急病院・救急診療所/病院群輪番制病院・輪番制参加の有床診療所・共同利用型病院)に該当するか、都道府県の医療計画を確認する
- 該当する場合、診療を行った時間が「夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間」にあたるか確認する(深夜・休日は対象外で、それぞれ深夜加算・休日加算の扱いになる)
- 患者が6歳未満の乳幼児かどうかを確認する
- 通常の乳幼児加算・時間外加算・夜間早朝等加算と重複算定していないか確認する
- 該当する区分(初診料/再診料/外来診療料/小児科外来診療料等)に応じた点数で算定候補として整理する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ①
時間外特例医療機関に該当するのに、通常の時間外加算(乳幼児以外と同じ扱い)で算定してしまい、乳幼児向けの上乗せ分(例えば初診料なら230点ではなく345点)を取りこぼしているケースがあります。6歳未満の患者かどうかを、受付・レセプト担当が把握できているか確認しましょう。
よくある取り漏れ②
休日・深夜の時間帯に診療したにもかかわらず、時間外特例の加算をそのまま算定してしまうケースです。休日・深夜にあたる場合は、休日加算・深夜加算に切り替える必要があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
うちは救急病院の認定は受けていませんが、病院群輪番制には参加しています。対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
病院群輪番制病院、または輪番制に参加している有床診療所・共同利用型病院も、時間外特例医療機関の対象に含まれると告示の留意事項に明記されています。ただし、自院が「参加している」と扱われる要件を満たしているかは、地域の輪番制の運用状況によって変わるため、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
6歳未満かどうかは、いつの時点で判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では、診療を行った時点の年齢で考えるのが基本的な整理ですが、境界年齢に近いケースなど細かい取り扱いは、疑義解釈や自院の算定ルールと合わせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
通常の乳幼児加算と一緒に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
できません。告示では「注7又は注8に規定する加算を算定する場合は算定しない」とされており、この時間外特例の加算を算定する場合、通常の乳幼児加算(初診75点・再診38点)は別途算定しない扱いです。
みらい(新人医療事務)
自院だけで判断がつかないときはどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
そんなときは、次の章でご案内する加算チェッカーも活用してみてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。