みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトを点検していたら「頸部郭清術併施加算」という項目が出てきました。これって、何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある加算ですね。ざっくり言うと、頭頸部などの決められた手術と一緒に「頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)」を行ったときに、手術の点数へ上乗せする加算です。まず「対象になる手術かどうか」と「頸部郭清術を実際に併せて行ったか」の2点を確認するのが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
頸部郭清術って、そもそもどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では「頸部郭清術(ネックディセクション)とは、頸部リンパ節群が存在する頸部領域の腫瘍細胞を根絶するため、当該領域の組織(筋、リンパ節、静脈、脂肪、結合織等)を広範囲に摘出することをいう」と説明されています。頭頸部のがん手術などで、首まわりのリンパ節を含めた組織をまとめて取り除く処置だと考えるとイメージしやすいですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。それを別の手術と一緒にやると加算になるんですね。
頸部郭清術併施加算とは(令和8年度の考え方)
みらい(新人医療事務)
この加算の位置づけを、もう少し整理して教えてください。
あおい(元・医療事務)
これは単独の項目というより、対象となる手術の「注」に定められた上乗せです。令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号 医科点数表)では、対象手術について「区分番号K469に掲げる頸部郭清術を併せて行った場合は、所定点数に片側の場合は4,000点を、両側の場合は6,000点を加算する」と規定されています。つまり主となる手術があって、それに頸部郭清術を併施したときに点数が加わる、という構造です。
みらい(新人医療事務)
「片側」と「両側」で点数が分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。頸部郭清を片側だけ行ったか、両側行ったかで金額が変わります。ここは実際の術式を確認して区分を選ぶ必要があります。「両側やったから当然6,000点」と決めつけず、手術記録と照らして片側・両側のどちらに当たるかを確かめるのが安全です。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で見たいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づくと、次のとおりです。あくまで対象手術の所定点数に「加算」する点数で、この加算だけを単独で算定するものではありません。

| 区分 | 加算点数(令和8年度) | 算定単位 |
|---|---|---|
| 片側 | 4,000点 | 対象手術の所定点数に加算 |
| 両側 | 6,000点 | 対象手術の所定点数に加算 |
みらい(新人医療事務)
参考までに、頸部郭清術そのものの点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号K469の頸部郭清術は、独立して行った場合の点数として片側27,670点、両側37,140点が定められています。ただし、これは「頸部郭清術を単独(本区分)で算定するとき」の点数です。対象手術と併せて行った場合は、この本体点数ではなく、先ほどの併施加算(片側4,000点・両側6,000点)で評価する扱いになります。ここは混同しやすいので、次の見出しで整理しますね。
独立して行った場合との違い(併施か単独か)
みらい(新人医療事務)
同じ頸部郭清術なのに、点数の付き方が変わるんですね。ややこしいです。
あおい(元・医療事務)
そこが一番のポイントです。留意事項通知では「頸部郭清術を他の手術に併せて行った場合は、手術の『通則9』に規定されている所定点数を算定するものとし、独立して行った場合には本区分の所定点数を算定する」とされています。かみくだくと、対象手術と一緒に行ったなら併施加算として、頸部郭清術だけを独立して行ったなら区分番号K469の本体点数として評価する、という切り分けです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「他の手術のついでに、首のリンパ節をちょっと取った」ような場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも通知に定めがあります。「他の手術に併せて行った頸部リンパ節の単なる郭清は手術の所定点数に含まれ、別に算定できない」とされていて、単なる郭清は上乗せの対象にならない、という整理です。なお「単独に行った場合は、区分番号K627リンパ節群郭清術の『2』により算定する」とも書かれています。「頸部郭清術の併施加算」と「単なるリンパ節郭清」は別物なので、どちらに当たるかを手術内容から判断する必要があります。
併施か単独かの判断に注意
対象手術と併せて行ったのか、頸部郭清術を独立して行ったのか、それとも他手術に伴う単なるリンパ節郭清なのかで、算定の考え方が変わります。手術記録の内容と一次資料を照らし合わせ、断定せずに確認することをおすすめします。
対象となる手術・頸部郭清術との関係
みらい(新人医療事務)
どの手術と併せたときに、この加算の対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、対象手術として「区分番号K439、K442の2及び3、K455、K458、K463の1及び3並びにK463-2に掲げる手術」が挙げられています。いずれも頭頸部領域の手術で、これらに頸部郭清術(区分番号K469)を併せて行った場合に、片側4,000点・両側6,000点の加算が候補になります。
みらい(新人医療事務)
区分番号だけだと、どの手術か分かりにくいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ここは区分番号がそのまま告示に列挙されているので、実際の術式が対象区分に該当するかは、令和8年度の医科点数表で正式名称と併せて確認するのが確実です。「頭頸部の手術だから当然対象」と決めつけず、算定しようとしている手術の区分番号が、告示に挙がった対象区分に含まれるかを一つずつ照合するのが安全な進め方です。
対象手術の確認ポイント
手術の区分番号を確認: 実施した主たる手術が、告示に列挙された対象区分(K439、K442の2・3、K455、K458、K463の1・3、K463-2)に該当するか。 頸部郭清術の併施を確認: その手術と同時に、区分番号K469の頸部郭清術を行ったか。 片側か両側かを確認: 頸部郭清を片側で行ったか、両側で行ったか。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算を取るには、施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
頸部郭清術併施加算そのものについては、当サイトが収録している告示・留意事項の範囲では、施設基準や事前の届出を求める定めは確認できません。手術に付随する「注」の加算という位置づけです。ただし、これは「届出が一切いらない」と断定できるという意味ではなく、対象手術そのものの算定要件や、自院の届出状況・施設基準の充足は別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
同じ「注」に、届出が必要な加算もあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
混同しやすいところですね。同じ対象手術の「注」には、放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検を行った場合の「頭頸部悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算(3,000点)」も定められていて、こちらは「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」行った場合の加算とされています。頸部郭清術併施加算とセンチネルリンパ節生検加算は別の加算なので、どの加算を算定しようとしているのかを取り違えないようにしましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、頸部郭清術併施加算の点数(片側4,000点・両側6,000点)や、対象手術・併施の考え方について、前回改定(令和6年度・2024年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
「変更が確認されていない」というのは、どう受け止めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
現時点で当サイトが持っている一次資料の範囲では差分が見当たらない、という意味です。診療報酬は疑義解釈や訂正通知で運用の細部が補足されることがあるので、最新の告示・通知・疑義解釈を都度確認するのが確実です。点数だけでなく、対象手術の区分や算定の考え方も含めて、最新の一次資料で確認することをおすすめします。
前回改定との対比(確認範囲)
令和6年度(2024年度): 頸部郭清術併施加算として、対象手術に併せた頸部郭清術に片側・両側の加算が設定。 令和8年度(2026年度): 当サイト収録の一次資料の範囲では、点数・対象・考え方に主な変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを組むとき、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと整理しやすいですよ。最終的な判断は、手術記録と令和8年度の一次資料を突き合わせて行ってください。

自院で確認する順番
- 実施した主たる手術の区分番号が、告示に列挙された対象手術(K439、K442の2・3、K455、K458、K463の1・3、K463-2)に該当するかを確認する。
- その手術と併せて、区分番号K469の頸部郭清術を行ったかを手術記録で確認する。
- 頸部郭清が片側か両側かを確認し、片側4,000点・両側6,000点のどちらの区分かを判断する。
- 「他手術に伴う単なるリンパ節郭清」ではないか、独立した頸部郭清術ではないかを留意事項通知の考え方で確認する。
- 対象手術そのものの算定要件・自院の届出状況・審査支払機関の取扱いを最終確認する。
みらい(新人医療事務)
手術記録との突き合わせが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算は「どんな手術に」「頸部郭清術を」「片側か両側か」という事実で決まるので、記録を根拠に確認していくのが基本になります。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
この加算で、うっかりしがちなポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず対象手術に該当しているのに、併施した頸部郭清術の加算を付け忘れるケース。逆に、単なるリンパ節郭清を併施加算として拾ってしまうと、過剰算定につながります。
よくある取り漏れ・取り違え
付け忘れ: 対象手術+頸部郭清術を併施したのに、加算を計上していない。 片側・両側の取り違え: 両側実施なのに片側で計上している、またはその逆。 単なる郭清との混同: 手術に含まれる単なるリンパ節郭清を、別に加算してしまう。 独立実施との混同: 頸部郭清術を独立して行った場合の本体点数(区分番号K469)と、併施加算を取り違える。
みらい(新人医療事務)
「取り忘れ」も「取りすぎ」も、どちらも避けたいですね。
あおい(元・医療事務)
はい。だからこそ、手術記録と一次資料を根拠に、片側・両側や併施の有無を一つずつ確認していくのが結局は近道です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した手術の区分や頸部郭清の併施状況を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は厚生労働省の一次資料(令和8年度)を整理したもので、個別の算定可否を保証するものではありません。