みらい(新人医療事務)
「食堂加算」という名前を初めて見たんですが、これも診療報酬の加算なんですか?何点くらいのものですか?
あおい(元・医療事務)
はい、食堂加算は入院時食事療養費・入院時生活療養費の中に位置づけられている加算です。ここが少し独特なところなんですが、この加算は「点数」ではなく「円」で決まっています。令和8年度(2026年度)時点で、金額は1日につき50円です。
みらい(新人医療事務)
点数じゃなくて円なんですか?普通の加算と違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。入院時食事療養費・入院時生活療養費は、他の診療報酬点数(1点10円で計算するもの)とは別枠で、厚生労働大臣が定める基準に基づいて円単位の金額が直接決まっています。食堂加算もその枠組みの一部で、入院患者が病棟や診療所に備え付けの食堂で食事をとった場合に、1日単位で加算される仕組みです。
食堂加算とは(対象・条件)
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の通知では次のように定められています。
対象の考え方(厚労省通知)
- 前提: 入院時食事療養(Ⅰ)または入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行っている保険医療機関であること
- 施設: 要件を満たす食堂を備えている病棟または診療所に入院していること
- 患者: 食事療養の食堂加算は、療養病棟に入院している患者を除いた患者が対象
みらい(新人医療事務)
「療養病棟に入院している患者を除く」というのが気になります。療養病棟の患者さんは食堂加算の対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
食事療養(入院時食事療養)側の食堂加算は、療養病棟に入院する患者を除く、とされています。療養病棟に入院し入院時生活療養(Ⅰ)を算定する患者については、生活療養側にも同じ1日50円の食堂加算が別途規定されているんです。つまり「療養病棟の患者は食堂加算そのものが取れない」という意味ではなく、食事療養の枠と生活療養の枠のどちらで扱われるかが変わる、という理解が近いです。うちの患者さんがどちらの枠に該当するかは、入院時食事療養(Ⅰ)なのか入院時生活療養(Ⅰ)なのか、まずそこから確認することが候補判断の入り口になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、除外というより区分の違いなんですね。
令和8年度の金額区分
みらい(新人医療事務)
具体的な金額を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
入院時食事療養と入院時生活療養、それぞれの基準額と食堂加算の金額を表にすると、こうなります。
| 区分 | 内容 | 金額(令和8年度) |
|---|---|---|
| 入院時食事療養(Ⅰ) | 通常の食事療養を行う場合 | 730円(1食につき) |
| 入院時食事療養(Ⅰ) | 流動食のみを提供する場合 | 665円(1食につき) |
| 入院時食事療養(Ⅰ)加算 | 特別食加算 | 76円(1食につき、1日3食を限度) |
| 入院時食事療養(Ⅰ)加算 | 食堂加算 | 50円(1日につき) |
| 入院時食事療養(Ⅱ) | 通常の食事療養を行う場合 | 596円(1食につき) |
| 入院時食事療養(Ⅱ) | 流動食のみを提供する場合 | 550円(1食につき) |
| 区分 | 内容 | 金額(令和8年度) |
|---|---|---|
| 入院時生活療養(Ⅰ)食費 | 通常の食事の提供を行う場合 | 644円(1食につき) |
| 入院時生活療養(Ⅰ)食費 | 流動食のみを提供する場合 | 590円(1食につき) |
| 入院時生活療養(Ⅰ)居住費 | 温度・照明・給水等の療養環境の形成 | 458円(1日につき) |
| 入院時生活療養(Ⅰ)加算 | 食堂加算 | 50円(1日につき) |

みらい(新人医療事務)
食堂加算は食事療養でも生活療養でも同じ50円なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、金額自体は共通です。ただし食堂加算は入院時食事療養(Ⅱ)や生活療養の基準額とは別枠の「加算」なので、対象になるのは入院時食事療養(Ⅰ)または入院時生活療養(Ⅰ)を届け出ている医療機関に限られる点は押さえておきたいところです。
施設基準(食堂の広さ)
みらい(新人医療事務)
「食堂を備えている」というのは、どのくらいの広さがあれば認められるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知に、床面積の基準が明記されています。
食堂の床面積基準(厚労省通知)
- 当該加算の算定に該当する食堂の床面積は、内法で当該食堂を利用する病棟または診療所に係る病床1床当たり0.5平方メートル以上とする
- 食堂は他の病棟との共用や、談話室等との兼用であっても、1床当たり0.5平方メートル以上の要件を満たしていれば差し支えない、とされています
みらい(新人医療事務)
兼用でもいいなら、ハードルはそこまで高くないかもしれないですね。
あおい(元・医療事務)
そう見えるケースもありますが、「内法(うちのり)による測定」という点が実務上のつまずきどころです。壁芯(へきしん)で測った面積ではなく、壁の内側で測った実際に使える床面積で計算する必要があるので、平面図をもとに正確に測り直す作業が必要になります。自己判断せず、届出時に地方厚生局の確認を受けることをおすすめします。
届出と、他の加算との重複に関する注意
みらい(新人医療事務)
食堂加算だけを単独で届け出ることはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、食堂加算は入院時食事療養(Ⅰ)または入院時生活療養(Ⅰ)の届出とセットで扱われる加算です。単独の届出制度というより、食事療養(Ⅰ)・生活療養(Ⅰ)の届出書の中で食堂加算についてもあわせて確認・記載する形になります。届出様式や必要な添付書類(食堂の平面図など)は、所属する地方厚生局が案内している届出書の様式で確認が必要です。
他の加算との重複算定に注意
厚生労働省の通知では「診療所療養病床療養環境加算1、精神療養病棟入院料等の食堂の設置が要件の一つとなっている点数を算定している場合は、食堂加算をあわせて算定することはできない」とされています。すでに食堂の設置が要件になっている他の加算・入院料を算定している病棟では、食堂加算を重ねて算定できるかどうかを事前に確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じ食堂を根拠に、二重で加算をもらうことはできないということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解で近いです。うちの病棟がどの入院料・加算の施設基準で食堂を届け出ているか、いま一度棚卸ししてみることをおすすめします。特別食加算も同じ入院時食事療養(Ⅰ)の枠組みにある加算ですので、あわせて確認しておくと、入院時食事療養(Ⅰ)全体としての届出漏れに気づきやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)と比べて、食堂加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定(令和8年6月1日適用)では、入院時食事療養(Ⅰ)の基準額が670円から730円に引き上げられました。前回改定(令和6年度)でも640円から670円への引き上げがありましたので、食費の基準額は改定のたびに見直しが続いている項目です。
改定の推移(食費基準額・厚労省告示ベース)
- 令和6年度改定: 入院時食事療養(Ⅰ) 640円 → 670円
- 令和8年度改定(令和8年6月1日適用): 入院時食事療養(Ⅰ) 670円 → 730円
- 食堂加算そのものの金額(1日50円)や食堂の床面積基準(1床あたり0.5平方メートル以上)は、当サイトが確認した一次資料の範囲では変更は確認されていません
みらい(新人医療事務)
基準額は上がっているのに、食堂加算は50円のまま据え置きなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが確認した令和8年3月5日厚生労働省告示第76号の範囲では、食堂加算の金額そのものへの改定は確認できませんでした。基準額の見直しと施設基準の見直しは別々に行われることもあるので、「据え置き=見落とし」ではなく「対象は別項目」と捉えるのが正確です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院・診療所が食堂加算の対象になるか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 入院時食事療養(Ⅰ)または入院時生活療養(Ⅰ)を届け出ているか確認 — 食堂加算は(Ⅱ)の医療機関では対象になりません
- 食堂の有無と床面積を確認 — 内法で病床1床あたり0.5平方メートル以上あるか、平面図をもとに測り直す
- 共用・兼用の状況を確認 — 他病棟との共用や談話室との兼用でも、床面積要件を満たしているか
- 患者の入院区分を確認 — 療養病棟入院患者かどうかで、食事療養側・生活療養側どちらの食堂加算になるかが変わる
- 他の加算との重複がないか確認 — 診療所療養病床療養環境加算1、精神療養病棟入院料等、食堂設置がすでに要件になっている加算を算定していないか
- 届出様式・添付書類を確認 — 入院時食事療養・生活療養等の届出書に必要事項が記載されているか、地方厚生局に確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
食堂加算で見落としがちなポイントってありますか?
よくある取り漏れ(1)食堂を持っているのに未届出
実際に食堂を運用しているのに、食堂加算の届出そのものをしていないケースがあります。談話室やデイルームを食堂として兼用している場合、「あれは談話室だから」と加算の対象と気づいていない医療機関も見られます。まずは自院の平面図と実際の運用を照らし合わせてみてください。
よくある取り漏れ(2)内法での再測定をしていない
届出時に壁芯面積のまま申請してしまい、内法で測ると基準に届かない、または逆に基準を満たしているのに壁芯の数字だけで「うちは対象外」と判断してしまうケースがあります。内法での実測を一度きちんと行うことをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。詳細な金額・施設基準・届出手続きは、必ず一次資料と自院の状況を照らし合わせてご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準(平成18年3月6日厚生労働省告示第99号、直近改正: 令和8年3月5日厚生労働省告示第76号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa7831&dataType=0
- 入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の実施上の留意事項について(保医発0305第14号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4907&dataType=1&pageNo=1
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や食堂の面積を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。