みらい(新人医療事務)
「高度医療体制加算」っていう名前、うちの病院のマスターに出てきたんですけど、これって何の加算なんですか。名前だけだとちょっとイメージが湧かなくて。
あおい(元・医療事務)
これは救命救急入院料(区分番号A300)の注4に規定されている加算です。救命救急入院料を算定している病棟で、重篤な救急患者さんへの医療体制が整っていることを地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、1日につき所定点数に加算できる仕組みですよ。
みらい(新人医療事務)
「救命救急」ってことは、うちみたいな一般の診療所は関係ないですよね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算は救命救急入院料を算定する病棟がある病院向けで、診療所や外来単独の算定では対象になりません。まずは自院が救命救急入院料を算定している病棟を持っているかどうかが出発点になります。
対象医療機関・対象病棟
みらい(新人医療事務)
対象になる病棟について、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象は、区分番号A300「救命救急入院料」を算定している病棟です。救命救急入院料には点数区分がいくつかありますが、この加算自体は救命救急入院料の算定を前提にした「注」の加算なので、まず救命救急入院料の算定要件を満たしていることが前提になります。救命救急入院料そのものについては救命救急入院料のページで確認できますよ。
みらい(新人医療事務)
なるほど、土台になる入院料があって、その上に乗る加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。似た位置づけの加算に、同じ注3で規定されている救急体制充実加算(1〜3、500点〜1,500点)もあります。名前が似ているので混同しやすいのですが、区分番号の「注」が違う別の加算です。詳しくは救急体制充実加算のページも参考にしてください。
点数
みらい(新人医療事務)
気になる点数、教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表(別表第一)のA300救命救急入院料 注4には、次のように書かれています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において救命救急医療が行われた場合には、1日につき100点を所定点数に加算する。」つまり1日につき100点の加算です。

| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A300 救命救急入院料 注4 | 高度医療体制加算 | 100点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
100点だけなんですね。同じ注3の救急体制充実加算とはずいぶん点数が違いますね。
あおい(元・医療事務)
はい、注3の救急体制充実加算は届出区分に応じて500点・1,000点・1,500点と幅がありますが、注4の高度医療体制加算はどの区分でも1日100点で共通です。点数表の条文上、この2つは別の注で規定された別の加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
マスターを見ると、この加算に4つのコードがひも付いていたんですが、これはどういうことですか。
あおい(元・医療事務)
支払基金の医科診療行為マスターでは、救命救急入院料の点数区分(何日目か、どの区分か等)の組み合わせごとに別のコードが発行されているためです。当サイトが確認した範囲では、190139670・193005770・193307070・193507370の4コードいずれも「高度医療体制加算」100.00点として登録されていて、加算そのものの名称・点数は共通でした。どの区分の組み合わせがどのコードに対応するかまでは、当サイトが収録している資料の範囲では特定できていないので、詳細は医科診療行為マスターで確認することをおすすめします。
| コード(医科診療行為マスター) | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| 190139670 | 高度医療体制加算 | 100.00点 |
| 193005770 | 高度医療体制加算 | 100.00点 |
| 193307070 | 高度医療体制加算 | 100.00点 |
| 193507370 | 高度医療体制加算 | 100.00点 |
名称についての注記
点数表(告示)の条文自体には「高度医療体制加算」という名称は明記されていません。当サイトが確認した範囲では、この名称は支払基金の医科診療行為マスター(新設コード一覧)で管理されている名称です。レセプトコンピュータ上の表示名として使われていると考えられますが、正式な条文上の呼び方は「救命救急入院料の注4に規定する加算」です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか。人員配置とか、細かい基準があるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(基本診療料の施設基準等の一部を改正する件)には、救命救急入院料の注4に規定する施設基準として「重篤な救急患者に対する医療を行うにつき必要な体制が整備されていること」と書かれています。当サイトが確認した範囲では、この一文が施設基準の本体で、注3の救急体制充実加算のような点数区分ごとの詳細なスコア基準は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
それだけだと、具体的に何をどう整えればいいのか分かりにくいです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。人員配置や設備の詳細な要件が別途、施設基準の届出手続きに関する通知の別添に定められている可能性がありますが、当サイトが今回確認した資料の範囲では、その詳細部分までは確認できていません。自院で検討する際は、地方厚生局に確認するか、施設基準の届出に関する通知の該当箇所を直接確認することをおすすめします。
施設基準の詳細は個別確認が必要です
「重篤な救急患者に対する医療を行うにつき必要な体制」という基準の解釈・具体的な人員配置基準は、施設基準の届出に関する通知(留意事項通知の別添等)で別途定められている可能性があります。自院の体制がこの基準を満たすかどうかは、当サイトの記事だけで判断せず、地方厚生局または公式資料での確認が必要です。
届出
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですよね。
あおい(元・医療事務)
はい、注4の条文にも「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」と明記されているので、届出は前提条件です。届出をしていない状態では、体制が実際に整っていたとしても算定候補にはなりません。逆に言えば、届出済みであれば算定候補として検討できる段階に進めます。
みらい(新人医療事務)
届出の様式とか、必要な添付書類は何ですか。
あおい(元・医療事務)
そこは当サイトが今回確認した一次資料の範囲には含まれていませんでした。届出様式や添付書類は、施設基準の届出に関する通知の様式集で確認するか、地方厚生局の窓口に問い合わせるのが確実です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや回数の制限はありますか。
あおい(元・医療事務)
条文の「1日につき」という書き方から、救命救急入院料を算定する日ごとに、その日1回だけ加算する形になります。入院初日だけ算定できる小児加算(注6)のような「初日限定」の書き方にはなっていない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
救急体制充実加算と両方同時に算定できるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
注3の救急体制充実加算と注4の高度医療体制加算は、点数表の条文上は別々の「注」として書かれています。ただし、それぞれの施設基準を実際にどちらも満たし、両方の届出をしているかどうかで話が変わってきます。当サイトが確認した範囲の条文だけでは、両方の同時算定を明確に禁止する記載は見当たりませんでしたが、断定はできないので、自院の届出内容と実際のレセプト運用を踏まえて確認が必要です。
算定可否は自院の届出状況で変わります
この加算は救命救急入院料を算定していること、地方厚生局長等への届出を済ませていること、実際に重篤な救急患者への医療体制が整っていることが前提です。いずれか一つでも欠けていると算定候補にはなりません。最終的な算定可否は、自院の届出内容と診療実態に照らして個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(新設加算)
みらい(新人医療事務)
この加算は前からあったんですか、それとも新しくできたものですか。
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した支払基金の「新設コード一覧(医科)」には、190139670をはじめとする該当コードが掲載されていました。これは令和8年度診療報酬改定にあわせて新しく作られたコードの一覧です。つまり、高度医療体制加算そのものが令和8年度改定で新設された加算である可能性が高いと考えられます。
みらい(新人医療事務)
令和6年度の時点では存在しなかった、ということですね。
あおい(元・医療事務)
当サイトが今回確認した資料の範囲では、令和6年度の点数表にこの加算に該当する条文は見当たっていません。ただし、令和6年度以前の資料まで全件を突き合わせたわけではないので、「完全に初めての新設」と断定はせず、「新設コード一覧に掲載されている令和8年度改定の新しい加算」という言い方にとどめておきます。
| 時期 | 高度医療体制加算(A300注4)の状態 |
|---|---|
| 令和6年度(2024年度)改定時点 | 当サイトが確認した資料の範囲では該当条文なし |
| 令和8年度(2026年度)改定 | 新設コード一覧に掲載。1日100点の加算として運用開始 |
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院が算定候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか。
あおい(元・医療事務)
大きく4つのステップで確認するとわかりやすいです。順番に見ていきましょう。

自院で確認する順番
- 救命救急入院料を算定している病棟か: A300救命救急入院料の算定病棟でなければ、そもそもこの加算の対象になりません。
- 重篤な救急患者への医療体制が整っているか: 施設基準の「重篤な救急患者に対する医療を行うにつき必要な体制」に自院の体制が該当するか、院内で確認します。
- 地方厚生局長等への届出を済ませているか: 届出をしていなければ、体制が整っていても算定候補にはなりません。
- 算定候補として院内で検討する: 1〜3を満たしていれば、レセプト担当・医事課で算定候補として具体的な運用を検討します。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れとか、逆に算定してはいけないケースとか、注意点はありますか。
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しておきますね。
取り漏れ・誤算定になりやすいポイント
- 注3との混同: 救急体制充実加算(注3・500点〜1,500点)と高度医療体制加算(注4・100点)は別の加算です。名称や配置場所が近いので、どちらの届出をしているか、どちらを算定したいのかを条文の注番号で確認してください。
- 届出前の算定: 体制が実際に整っていても、地方厚生局長等への届出が完了していなければ、その期間は算定候補になりません。
- 救命救急入院料を算定していない日の扱い: 「1日につき」の加算のため、救命救急入院料を算定していない日には基本的に対象になりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の詳細が公式資料でも読み取りにくかったのが印象的でした。
あおい(元・医療事務)
そうですね。今回の一次資料では条文と施設基準の要点までは確認できましたが、人員配置などの細部は別の通知に委ねられている可能性があります。院内で検討する際は、この記事の情報だけで判断せず、必ず一次資料や地方厚生局への確認を組み合わせてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。