みらい(新人医療事務)
「冠動脈形成術(血栓内膜摘除)併施加算」という加算をレセプトの点検で見つけたんですけど、これはどんな時につく加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
心臓血管外科の手術に関わる加算です。令和8年度の医科点数表では、冠動脈、大動脈バイパス移植術(区分番号K552)または冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの、区分番号K552-2)を行うときに、同時に冠動脈形成術(血栓内膜摘除)も行った場合、所定点数に10,000点を加算すると定められています。
みらい(新人医療事務)
つまり、バイパス手術だけなら対象外で、血栓内膜摘除もあわせて行ったときだけ算定候補になる、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。もう少し丁寧に言うと、告示本文には「冠動脈形成術(血栓内膜摘除)を併せて行った場合は、10,000点を加算する。」とあります。K552・K552-2どちらの区分にも同じ注記があるので、人工心肺を使う術式でも使わない術式でも、この考え方は共通です。
対象医療機関・対象患者/場面
みらい(新人医療事務)
この加算って、うちみたいな診療所でも算定候補になり得るんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
基となる手術がK552・K552-2(冠動脈、大動脈バイパス移植術)という非常に大規模な開心術です。実際に行うのは心臓血管外科の体制を持つ入院医療機関がほとんどと考えられます。ただし、点数表の条文自体に「病院に限る」「診療所は対象外」という明文の記載までは、当サイトが確認した一次資料の範囲では見当たりません。診療所での実施は現実的ではない可能性が高いものの、対象外と言い切るのではなく、自院で実際に当該手術を実施しているかどうかで判断する必要があります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件みたいなものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文上は、患者の疾患名や重症度についての要件は書かれていません。あくまで「K552またはK552-2の手術に際して、冠動脈形成術(血栓内膜摘除)を併せて行ったかどうか」という、実施した手技そのものが算定の起点になります。手術記録・診療録に血栓内膜摘除を行った旨が具体的に記載されているかを、まず確認することになります。

点数・コード
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらってもいいですか? バイパス手術本体の点数もあわせて知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)から、関係する区分をまとめます。
| 区分番号 | 名称 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| K552 | 冠動脈、大動脈バイパス移植術(1吻合のもの) | 75,160点 |
| K552 | 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合又は3吻合のもの) | 89,250点 |
| K552 | 冠動脈、大動脈バイパス移植術(4吻合以上のもの) | 102,250点 |
| K552-2 | 同(人工心肺を使用しないもの・1吻合) | 66,570点 |
| K552-2 | 同(人工心肺を使用しないもの・2吻合又は3吻合) | 91,350点 |
| K552-2 | 同(人工心肺を使用しないもの・4吻合以上) | 104,350点 |
| (注加算) | 冠動脈形成術(血栓内膜摘除)併施加算 | 10,000点 |
みらい(新人医療事務)
この10,000点は、吻合数に関係なく一律なんですね。
あおい(元・医療事務)
条文の書き方を見る限りそうです。K552・K552-2それぞれの「注」に「冠動脈形成術(血栓内膜摘除)を併せて行った場合は、10,000点を加算する。」とだけ書かれていて、吻合数による段階分けはされていません。なお、単独で冠動脈形成術(血栓内膜摘除)だけを行う区分番号K551という手術も別に存在しますが、これはK552・K552-2と併せて行った場合の「加算」とは別物です。K551は1箇所76,550点・2箇所以上79,860点という独立した手術点数で、K552・K552-2の注加算とは条文上の位置づけが異なりますので、混同しないよう注意してください。
算定の考え方(施設基準・届出)
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、別途の届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
この点は正直に言うと、当サイトが確認した一次資料(令和8年度医科点数表の告示・留意事項通知)の範囲では、この併施加算そのものに固有の届出要件は見当たりませんでした。ですので「届出不要」と決めつけることはできず、要確認という扱いにしています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ何を確認すればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
まず、基となるK552・K552-2の手術自体を自院で行える体制か(心臓血管外科の実施医療機関としての届出状況)を確認してください。そのうえで、当該加算固有の届出有無については、自院が地方厚生局へ提出している届出書類や、契約している審査支払機関の案内で最終確認するのが確実です。届出済みであれば算定候補になりますが、未確認の場合は先に施設基準・届出状況を洗い出す必要があります。
対象施設の考え方
K552・K552-2は大規模な開心術であり、実施できるのは心臓血管外科の体制を持つ病院が中心と考えられます。ただし点数表の条文自体に「病院に限る」という明文までは確認できていないため、対象外と断定はせず、自院で当該手術を実際に実施しているかどうかで判断してください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、令和8年3月5日付の留意事項通知(保医発0305第6号)には、「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術、「K552-2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)及び「K614」血管移植術、バイパス移植術におけるバイパス造成用自家血管の採取料については、当該所定点数に含まれ別に算定できないと明記されています。血管採取の手技料を別立てで請求することはできません。
みらい(新人医療事務)
吻合の数え方でも注意点があるんでしたっけ。
あおい(元・医療事務)
はい。同じ通知に、吻合とは、グラフトと冠動脈の吻合部位のことであり、1本のグラフトを用いて冠動脈の2箇所について吻合を行った場合は2吻合とみなすとあります。グラフトの本数ではなく、吻合部位の数で数える点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
人工心肺を使う・使わないで途中で切り替えた場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
これも通知に規定があります。「K552-2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)を「K602」経皮的心肺補助法と併施した場合は、「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術により算定するとされています。術中に人工心肺補助が必要になったケースでは、区分番号自体がK552側に変わる点を押さえておく必要があります。この場合も、血栓内膜摘除を併せて行っていれば、K552側の注加算として10,000点の算定候補になると考えられますが、個別のレセプト記載は自院での最終確認をおすすめします。
よくある取り漏れ1
K552・K552-2の手術記録はあっても、血栓内膜摘除を行った旨が診療録・手術記録に具体的に記載されていないと、加算の根拠が示せません。手術記録の記載を先に確認しましょう。
よくある取り漏れ2
吻合数を「グラフト本数」で数えてしまう記載ミスがあると、点数の階層(1吻合/2吻合又は3吻合/4吻合以上)を誤る可能性があります。留意事項通知の定義(吻合部位の数)で数え直してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、令和8年度の告示・留意事項通知(K552・K552-2の該当箇所)を確認しましたが、冠動脈形成術(血栓内膜摘除)併施加算そのものについて、点数(10,000点)や算定要件の変更を示す記載は見当たりませんでした。前回改定(令和6年度)分の一次資料との突き合わせまでは今回実施できていないため、「変更なし」と断定はせず、(一次資料の範囲で)変更は確認されていません(確認日: 2026-08・厚労省告示・留意事項通知ベース)とお伝えします。
改定差分の確認ポイント
K552・K552-2の基本点数(吻合数ごとの区分)は改定のたびに見直されることがあります。この併施加算(10,000点)自体とあわせて、基となる手術の点数も改定年度ごとに最新の告示で確認することをおすすめします。

自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
最終的に自院で確認する手順を教えてください。
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- K552またはK552-2(冠動脈、大動脈バイパス移植術)を実際に実施したかを確認する
- 同じ手術の中で、冠動脈形成術(血栓内膜摘除)を併せて行ったかを手術記録で確認する
- バイパス造成用の自家血管採取料を別立てで請求していないか確認する(所定点数に含まれ別算定不可)
- 吻合数を「吻合部位の数」で正しく数え直し、該当する点数区分を確認する
- 自院の届出状況(心臓血管外科の実施体制等)と審査支払機関の案内で最終確認する
みらい(新人医療事務)
冠動脈、大動脈バイパス移植術のように時間を要する心臓血管外科手術では、外科医療確保特別加算のような、長時間・高難度手術に関する加算もあわせて検討されることがあると聞きました。
あおい(元・医療事務)
そうですね。対象診療科や実施医の要件など、算定要件は加算ごとに異なりますので、この併施加算とは別に個別の確認が必要です。同じ手術を行った際にほかにも算定候補がないか、あわせて洗い出しておくと取り漏れを防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
K551という手術と、この併施加算はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
K551「冠動脈形成術(血栓内膜摘除)」は、それ単独で行った場合の独立した手術区分です(1箇所76,550点・2箇所以上79,860点)。一方、今回の併施加算10,000点は、K552またはK552-2(バイパス移植術)を行う際に、あわせて血栓内膜摘除を行った場合に、バイパス移植術側の所定点数に上乗せする形の加算です。同じ「冠動脈形成術(血栓内膜摘除)」という手技名が出てきますが、算定の位置づけが違うので取り違えないようにしてください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が必要かどうか、まだよくわかっていない場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
その場合は「対象外」と決めつけず、自院の届出書類や地方厚生局への提出状況をまず確認してください。今回の記事は当サイトが確認できた一次資料の範囲をまとめたものなので、実際の届出状況や個別のレセプト記載については、自院での確認、または審査支払機関への確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。