みらい(新人医療事務)
あおいさん、「医師配置加算」ってうちの診療所でも算定候補になるんでしょうか?名前だけ見ると、医師を置いていれば取れそうな気がするんですけど。
あおい(元・医療事務)
気持ちはわかりますが、名前だけで判断するのは危ないですよ。この医師配置加算は、有床診療所入院基本料(区分番号A108)に対する加算の1つで、令和8年度時点で厚生労働省の告示・通知に定められた施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出た有床診療所だけが算定候補になります。まずは全体像から確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
はい、お願いします!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の一次資料では、この加算は「医師配置加算1」と「医師配置加算2」の2区分に分かれています。似た名前の加算に「精神科急性期医師配置加算(区分番号A249)」というものもありますが、こちらは精神病棟の入院料に対する別の加算です。今日扱うのはあくまで有床診療所(A108)側の医師配置加算なので、混同しないよう注意してくださいね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の該当条文には「有床診療所(療養病床に係るものを除く。)であって、看護配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する」とあります。つまり対象は「有床診療所入院基本料を算定している有床診療所」で、対象患者は「その診療所に入院している患者」です。療養病床(有床診療所療養病床入院基本料)は対象外という点も押さえておきたいですね。
みらい(新人医療事務)
療養病床は別枠なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。有床診療所入院基本料(/addition/a108)を算定している患者が前提になるので、まずそちらの届出状況を確認するのが出発点になります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、次のとおり2区分になっています。1日につきの加算です。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 医師配置加算1 | 120点 | 1日につき |
| 医師配置加算2 | 90点 | 1日につき |
あおい(元・医療事務)
条文上は「医師配置等につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する」という規定になっていて、「イ 医師配置加算1 120点」「ロ 医師配置加算2 90点」と続きます。どちらか一方の区分に該当すれば、その区分の点数が加算候補になります。

みらい(新人医療事務)
医師配置加算1のほうが点数が高いんですね。ということは要件も厳しいんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そのとおりです。次で詳しく見ていきましょう。
施設基準
みらい(新人医療事務)
医師配置加算1の要件を知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年3月5日付の保医発0305第7号(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)には「医師配置加算1については、次のいずれかに該当する診療所であること」として、6つの項目が挙げられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ア | 在宅療養支援診療所であって、過去1年間に訪問診療を実施した実績があること |
| イ | 全身麻酔、脊椎麻酔又は硬膜外麻酔(手術を実施した場合に限る)の患者数が年間30件以上であること |
| ウ | 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急診療所であること |
| エ | 在宅当番医制又は病院群輪番制に参加している有床診療所であること |
| オ | がん性疼痛緩和指導管理料(B001の22)を算定していること |
| カ | 夜間看護配置加算1又は2を算定しており、夜間の診療応需態勢を確保していること |
あおい(元・医療事務)
このア〜カのうち、いずれか1つに該当していれば医師配置加算1の施設基準候補になります。あわせて、医師数の数え方についても定めがあって、「施設基準に係る当該有床診療所における医師数は、常勤の医師(週4日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週31時間以上である者をいう。)の他、非常勤医師の実労働時間数を常勤換算し算入することができる」とされています。常勤換算の際は「当該保険医療機関における常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は、32時間)の勤務をもって常勤1名として換算する」という計算方法です。
みらい(新人医療事務)
常勤換算まで細かく決まっているんですね。じゃあ医師配置加算2の要件も同じような感じですか?
あおい(元・医療事務)
そこが正直なところで、当サイトが収録している一次資料の範囲では、医師配置加算2に固有の個別項目(ア〜カのような具体的な要件)は確認できていません。医師配置加算1の要件(ア〜カ)に該当しない場合の区分として位置づけられていると考えられますが、断定はできない状態です。医師配置加算2での届出を検討する場合は、届出書の様式や地方厚生局の窓口で個別に確認することをおすすめします。
施設基準は3値で確認を
医師配置加算1のア〜カのいずれかに該当するかどうかは、実績データ(訪問診療件数・全身麻酔等の件数など)を伴う判断です。「算定候補」「要確認」「対象外の可能性」のいずれになるかは、自院の実績と届出内容を突き合わせないと確定しません。
届出要否
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出なしでも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、届出は必要です。条文にも「地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関」という要件が明記されているので、施設基準を満たしているだけでは算定候補になりません。実際の届出様式(様式12の5「有床診療所入院基本料の医師配置加算の施設基準に係る届出書添付書類」)では、「以下のうち、加算を算定するものを○印で囲むこと。医師配置加算1・医師配置加算2」としたうえで、「医師配置加算1に係る事項」として、在宅療養支援診療所としての訪問診療実績、全身麻酔等の患者数(年間30例以上)、救急診療所としての認定の有無などを○で示す欄が設けられています。
みらい(新人医療事務)
届出書に実績を書く欄があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「届出済みであれば候補」という言い方になりますが、届出の有無と実績の記載内容は必ず自院で確認してくださいね。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
点数表では、医師配置加算(注5)と看護配置加算・夜間看護配置加算・看護補助配置加算(注6)は別々の区分として規定されています。資料上は両方とも「有床診療所である保険医療機関に入院している患者について」1日につき加算する仕組みなので、それぞれの施設基準を満たし、それぞれ届け出ていれば、両方とも算定候補になり得ます。ただし、実際に両方を算定できるかどうかは、届出内容と自院の体制で必ず確認してください。
あおい(元・医療事務)
なお、レセプトの記載上は、次の略号で「入院基本料・加算」の項の「入院」欄に記載する扱いになっています。事務処理の際の目印として知っておくとよいと思います。
| 区分 | レセプト略号 | 記載欄 |
|---|---|---|
| 医師配置加算1 | 有医1 | 「入院基本料・加算」の項「入院」欄 |
| 医師配置加算2 | 有医2 | 「入院基本料・加算」の項「入院」欄 |
よくある取り漏れ①
医師配置加算1のア〜カのうち、自院で該当しそうな項目(例: 在宅療養支援診療所としての訪問診療実績)があるのに、届出をしていないケースがあります。実績はあっても届出が無ければ算定候補にはなりません。
よくある取り漏れ②
非常勤医師の実労働時間を常勤換算する際の計算(所定労働時間32時間未満の場合は32時間として計算)を誤ると、施設基準を満たしているかどうかの判断がずれることがあります。常勤換算の計算式は毎回条文どおりに確認しましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心で、前回改定(令和6年度)時点の医師配置加算の条文そのものは収録範囲に含まれていません。そのため、点数・施設基準の新設や変更の有無を一次資料同士で突き合わせて断定することはできない状態です。令和8年度の点数表・施設基準通知の範囲では、医師配置加算1・2について120点・90点という点数と、上で紹介したア〜カの施設基準が確認できています。前回改定からの変更点を厳密に知りたい場合は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」など個別改定項目の資料もあわせてご確認ください。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
結局、うちの診療所で確認すべき順番を教えてください。
あおい(元・医療事務)
確認する順番は、こんな流れになります。

自院で確認する順番
- 有床診療所入院基本料(/addition/a108)を届け出ているか確認する
- 医師配置加算1のア〜カのいずれかに該当する実績があるか確認する(訪問診療実績・全身麻酔等の年間件数・救急診療所認定など)
- 該当がない場合は、医師配置加算2での届出が可能かどうかを地方厚生局に確認する
- 常勤・非常勤医師の人数を、条文の常勤換算方法(所定労働時間週31時間以上・32時間未満は32時間として計算)で数え直す
- 届出様式(様式12の5)に必要事項を記載し、地方厚生局長等へ届け出る
みらい(新人医療事務)
この順番なら自院でも確認できそうです!
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。