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令和8年度最終更新 2026-08-11T02:28:23+00:00出典あり

生体部分肺移植術の提供者費用加算とは?令和8年度の確認ポイント

編集監修: 福島 裕介(医師・循環器内科)

3行でわかる

令和8年度の生体部分肺移植術(提供者の療養上の費用)加算。0点。

この記事の案内役

  • みらい

    みらい新人医療事務

    医療事務になって1年目。算定や施設基準はまだ勉強中。読者の代わりに素朴な疑問を質問します。

  • あおい

    あおい元・医療事務(10年)

    レセプト・施設基準・届出を長く担当したベテラン。根拠と確認手順をやさしく解説します。

みらい

みらい新人医療事務

先生、「生体部分肺移植術(提供者の療養上の費用)加算」っていう項目を見つけたんですが、点数の欄が0点になっていて混乱しています…これって本当に算定できるものなんですか?

あおい

あおい元・医療事務

いい質問ですね。0点だから算定できない、という意味ではないんです。これは「固定の点数が決まっていない」加算で、生体部分肺移植を行ったときに、肺を提供してくれた方(提供者・ドナー)の入院や検査にかかった費用を、実際に行った医療行為の点数を積み上げて計算し、移植を受けた患者さんの診療報酬明細書に加算する仕組みになっています。

みらい

みらい新人医療事務

固定点数がないのは珍しいですね。どんな場面で使うものなんですか?

あおい

あおい元・医療事務

対象になるのは、K514-6「生体部分肺移植術」を実施する保険医療機関です。生体部分肺移植では、肺を提供する方(ドナー)自身にも入院・検査・手術という医療行為が発生しますが、ドナーは病気の治療を受けているわけではありません。そこで、ドナーにかかった療養上の費用を、移植を受けた患者さん側のレセプトにまとめて計算・加算する、という特殊な仕組みが設けられています。令和8年度の一次資料をもとに、順番に確認していきましょう。

生体部分肺移植術(提供者の療養上の費用)加算とは

みらい

みらい新人医療事務

つまり、ドナーの医療費を移植を受けた患者さんの点数に乗せる、というイメージですか?

あおい

あおい元・医療事務

その通りです。厚生労働省の医科点数表(告示)では、K514-6生体部分肺移植術の注1として「生体部分肺を移植した場合は、生体部分肺の摘出のために要した提供者の療養上の費用として、この表に掲げる所定点数により算定した点数を加算する」と定められています。つまり、ドナーが実際に受けた診察・検査・手術などの医療行為を、医科点数表に照らして一つひとつ算定し、その合計点数を生体部分肺移植術の所定点数に加算する、という考え方です。

みらい

みらい新人医療事務

定額ではなく、実際にかかった医療行為の積み上げなんですね。

あおい

あおい元・医療事務

はい。ですので「何点の加算か」という質問には、定額ではお答えできません。ドナーの入院期間や検査内容によって毎回変わる、実費精算に近い加算だと理解しておくとよいと思います。

対象医療機関・対象患者/場面

みらい

みらい新人医療事務

どんな医療機関が関係してくるんでしょうか?

あおい

あおい元・医療事務

基本的には、K514-6生体部分肺移植術を実施する保険医療機関(移植側)が対象になります。厚生労働省の留意事項通知では「生体肺を移植する場合においては、日本移植学会が作成した『生体部分肺移植ガイドライン』を遵守している場合に限り算定する」とされていて、この加算はあくまで生体部分肺移植術そのものが算定できる場面に付随するものです。ガイドライン遵守は生体部分肺移植術全体の算定要件になりますので、まずそこを満たしているかが出発点になります。

みらい

みらい新人医療事務

対象になる病気も決まっているんですか?

あおい

あおい元・医療事務

はい。同じ留意事項通知では、生体部分肺移植術の対象疾患として、肺動脈性肺高血圧症、肺静脈狭窄症、特発性間質性肺炎、気管支拡張症、肺サルコイドーシス、嚢胞性線維症など、複数の進行性肺疾患が列挙されています。加えて「肺・心肺移植関連学会協議会」が承認するその他の進行性肺疾患も対象に含まれるとされています。この対象疾患の充足は、生体部分肺移植術そのものの算定要件であり、本加算固有の要件ではありませんが、土台としてあわせて確認しておきたいポイントです。

みらい

みらい新人医療事務

提供者(ドナー)側の患者さんは、どういう扱いになるんですか?

あおい

あおい元・医療事務

ドナーは病気の治療を受けているわけではないので、ドナー自身の名前でレセプトが立つわけではありません。ドナーにかかった療養上の費用は、移植を受けた患者さん(レシピエント)のレセプトの中に、この加算という形でまとめて計上される、という流れです。この関係性を医療事務の方が正しく理解しておくことが、請求ミスを防ぐポイントになります。

点数の考え方(令和8年度)

生体部分肺移植術と提供者の療養上の費用加算の関係(令和8年度)

みらい

みらい新人医療事務

同じ手術のまわりには、他にも似たような加算がありますよね。整理してもらえますか?

あおい

あおい元・医療事務

生体部分肺移植まわりの点数をまとめると、次のようになります。

項目点数(令和8年度)備考
K514-6 生体部分肺移植術(所定点数)130,260点移植を受けた患者さんに算定する基本点数
提供者の療養上の費用加算(本加算)実費計算(所定点数により算定した点数を加算)固定点数ではなく、ドナーの医療行為に応じて算出
抗HLA抗体検査加算4,000点抗HLA抗体検査を行った場合に加算
両側肺移植加算45,000点両側の肺を移植した場合に加算
K915 生体臓器提供管理料5,000点移植を行った保険医療機関で別建てに算定
みらい

みらい新人医療事務

本加算だけ点数の欄が数字じゃないんですね。

あおい

あおい元・医療事務

そうなんです。留意事項では「生体肺を移植する場合においては肺提供者から移植肺を摘出することに係る全ての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分肺移植術の所定点数に加算する」とされていて、ドナーに行った診療行為ひとつひとつを点数表に当てはめて計算する形になります。医科点数表の注2では「肺移植者に係る組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれる」とされていますので、この加算とは別に組織適合性試験を単独で算定しないよう注意が必要です。

みらい

みらい新人医療事務

食事の費用はどう扱われるんですか?

あおい

あおい元・医療事務

そこも独特のルールがあります。留意事項では、肺提供者の療養上の費用には食事の提供も含まれるとされていて、具体的には入院時食事療養費の算定基準によって計算した費用額を10円で除して得た数と、他の療養上の費用に係る点数を合計する、という計算方法が示されています。そして、この場合は肺提供者から食事に係る標準負担額を求めることはできない、とも明記されています。つまり、ドナーに食費の自己負担分を請求することはできない、という点は取り違えやすいので気をつけたいところです。

みらい

みらい新人医療事務

灌流の費用はどうなりますか?

あおい

あおい元・医療事務

医科点数表の留意事項には「生体部分肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる」と明記されています。灌流にかかった費用も、提供者の療養上の費用加算とは別に単独で請求することはできない、と理解しておくとよいと思います。

施設基準

みらい

みらい新人医療事務

施設基準の届出は必要なんでしょうか?

あおい

あおい元・医療事務

この加算そのものに固有の施設基準が定められているかどうかは、当サイトが確認できた一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。土台となるK514-6生体部分肺移植術の算定にあたっては、日本移植学会の生体部分肺移植ガイドラインを遵守していることが要件とされていますので、まずはその遵守状況を確認するのが第一歩になります。なお、施設基準等の届出に関する手続きの取扱いをまとめた厚生労働省の資料では、本加算の医科診療行為マスターコードが「C16 開胸手術(9日間)」という区分の中に、K514-6生体部分肺移植術や移植用部分肺採取術(生体)などとあわせて掲載されていることが確認できます。この区分が具体的にどの届出要件に対応するかまでは、当サイトが確認した資料の範囲では特定できていないため、実施体制の届出状況については個別に確認することをおすすめします。

届出要否

みらい

みらい新人医療事務

届出はどうすればいいですか?

あおい

あおい元・医療事務

本加算単体の届出手続きについて、当サイトが確認できた一次資料の中には明確な記載が見当たりませんでした。届出が必要かどうか、必要な場合の様式については、地方厚生局が公表している施設基準の届出手続きに関する資料や、貴院を担当する地方厚生局への確認をおすすめします。届出済みであれば算定候補になりますが、未確認のまま算定を進めるのは避けたいところです。

算定タイミング・注意点(併算定・請求のルール)

みらい

みらい新人医療事務

請求のときに気をつけることはありますか?

あおい

あおい元・医療事務

とくに大事なのが、移植を行った保険医療機関と、移植に使う肺を摘出した保険医療機関が異なるケースです。

摘出病院と移植病院が異なる場合の請求ルール

留意事項では、肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を摘出した保険医療機関とが異なる場合、診療報酬の請求は肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねるとされています。請求にあたっては、肺移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肺提供者の療養上の費用に係る合計点数をあわせて記載するとともに、肺提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付することとされています。摘出側・移植側それぞれの医療事務が連携して記載漏れがないか確認することが重要です。

みらい

みらい新人医療事務

摘要欄への記載を忘れそうで怖いです…。

あおい

あおい元・医療事務

そうですね。ここは実務上の取り漏れが起きやすいポイントです。ドナー側の診療報酬明細書を別途添付する必要がある点もあわせて、院内のチェック体制に組み込んでおくと安心です。あわせて、K915生体臓器提供管理料は移植を行った保険医療機関で算定するとされていますので、摘出側・移植側どちらで算定するかも取り違えないようにしたいところです。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)

みらい

みらい新人医療事務

前回の令和6年度改定から、この加算の内容は変わったんでしょうか?

あおい

あおい元・医療事務

当サイトが確認できる一次資料(令和8年度の医科点数表・留意事項通知)の範囲では、この加算の算定方法や計算式そのものに関する前回改定(令和6年度)からの変更点は特定されていません(確認日: 2026年8月)。ドナーの療養上の費用を所定点数により算出して加算するという基本的な考え方は、当サイトが参照できた資料の中では一貫しています。ただし、点数表全体の改定内容は多岐にわたるため、貴院で算定する際は最新の告示・通知を必ずご確認ください。

改定差分は基本点数だけでなく計算方法も確認

改定のたびに、生体部分肺移植術本体の所定点数(130,260点)だけでなく、提供者の療養上の費用加算の計算方法や、抗HLA抗体検査加算・両側肺移植加算などの周辺項目に変更がないかもあわせて確認しておくと安心です。

自院で確認する順番

自院で確認する順番(令和8年度)

みらい

みらい新人医療事務

実際に算定を検討するとき、どんな順番でチェックすればいいですか?

自院で確認する順番

  1. K514-6生体部分肺移植術を実施する予定があるか確認する
  2. 対象疾患に該当するか、日本移植学会の生体部分肺移植ガイドラインを遵守した診療体制になっているかを確認する
  3. 肺提供者(ドナー)に行った診療行為(診察・検査・入院・食事等)を洗い出し、点数表に当てはめて算出する
  4. 摘出を行う保険医療機関と移植を行う保険医療機関が同一か、異なるかを確認する
  5. 異なる場合は、請求先(移植側)とレセプト摘要欄への記載内容、添付するドナー側明細書の準備を確認する
  6. 抗HLA抗体検査加算・両側肺移植加算・K915生体臓器提供管理料など、あわせて算定候補になる項目の有無を確認する

よくある取り漏れ

ドナーから食費の自己負担を求めていないか

留意事項では、ドナーの療養上の費用の計算には食事の提供も含まれる一方、ドナーから食事に係る標準負担額を求めることはできないとされています。ドナーに通常の入院患者と同じ自己負担を求めてしまっていないか、あらためて確認しておきたいポイントです。

組織適合性試験・灌流費用を二重に算定していないか

医科点数表の注では、肺移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれるとされ、留意事項でも灌流の費用が所定点数に含まれるとされています。提供者の療養上の費用加算とは別に、組織適合性試験や灌流の費用を単独で別算定していないか、確認しておく価値があります。

自院が算定候補か確認したい方へ

みらい

みらい新人医療事務

うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!

あおい

あおい元・医療事務

自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。

最終確認のお願い

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。

公式情報・参考資料

あおい

あおい元・医療事務

この記事の内容は、以下の厚労省公式資料(令和8年度)を根拠としています。詳細は必ず一次資料でご確認ください。

参考資料(厚労省公式・令和8年度)

よくある質問

生体部分肺移植術(提供者の療養上の費用)加算は単独で算定できますか?

単独では算定できません。K514-6生体部分肺移植術の注1に位置づけられた加算で、生体部分肺移植術が算定される場面でのみ関係します。

この加算の点数はいくらですか?

固定点数ではなく、肺提供者(ドナー)が実際に受けた診療行為を医科点数表に当てはめて算出した点数の合計を加算する仕組みです。

摘出病院と移植病院が異なる場合の請求はどうなりますか?

請求は移植を行った保険医療機関で行い、分配は相互の合議に委ねます。レセプト摘要欄への記載とドナー側明細書の添付が必要です。

自院が算定候補になるか確認しましょう

加算チェッカーが、自院で確認すべき項目を質問形式で整理します。結果は算定可否を確約するものではなく、院内確認や地方厚生局等への確認に進むための参考情報です。

加算チェッカーで確認する

自院の体制から取り漏れ候補を試算する

病床数・診療場面など自院の体制を入力すると、確認すべき加算(取り漏れ候補)を整理します。患者数を入れると「取れた場合の概算インパクト(目安)」も試算できます。算定可否や算定額を保証するものではなく、院内確認や個別相談に進むための出発点です。

取り漏れシミュレーターで試算する

最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(厚生労働省告示・通知等)・審査支払機関の判断でご確認ください。 本ページは 令和8年度 の情報です。

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