疾患別等診療計画加算ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
「疾患別等診療計画加算」という名前、レセプトの勉強を始めたばかりだとちょっと身構えちゃいます。これって何に対する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の外来で行う「精神科デイ・ナイト・ケア」に対する加算候補の一つですよ。区分番号でいうと「I010-2」ですね。精神科デイ・ナイト・ケアは1日につき1,000点の基本点数がありますが、その療法について、疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に、疾患別等診療計画加算として40点を所定点数に加算できる、という仕組みです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、ベースの精神科デイ・ナイト・ケアに、診療計画を作ったときだけ上乗せされる加算、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ここは大事なポイントで、「精神科デイ・ナイト・ケアをやっていれば自動でつく」ものではなく、疾患等に応じた診療計画をきちんと作成して実施した場合に算定候補になる、という条件付きの加算です。診療計画を作らなければ、基本点数の1,000点だけになります。
どんな場面で対象になりますか?
みらい(新人医療事務)
どういう患者さんに、どんな場面で使う加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、精神科デイ・ナイト・ケア(区分番号I010-2)を実施している患者さんです。精神科デイ・ナイト・ケアそのものは、精神疾患を有する方の社会生活機能の回復を目的として行うもので、実施時間は患者1人あたり1日につき10時間を標準とする、とされています。
みらい(新人医療事務)
1日10時間ってけっこう長いですね。
あおい(元・医療事務)
はい。その長い時間の中で、多職種が共同して患者さんの疾患等に応じた診療計画を作成し、それに基づいて実施した場合に、疾患別等診療計画加算の算定候補になります。単に「デイ・ナイト・ケアをやっている」だけでは、この加算の対象にはなりません。診療計画の作成・記載が、算定候補になるかどうかの分かれ目です。
みらい(新人医療事務)
精神科ショート・ケアとか精神科デイ・ケアでも同じ加算が使えるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、疾患別等診療計画加算という名称の加算が明記されているのは、区分番号I010-2 精神科デイ・ナイト・ケアの注5です。精神科ショート・ケアやデイ・ケアの「大規模なもの」にも、多職種が疾患等に応じた診療計画を作成することが算定要件として組み込まれていますが、こちらは点数区分自体(小規模・大規模の別)に組み込まれた要件で、疾患別等診療計画加算という別建ての加算ではありません。混同しないように確認したいところですね。
点数と算定の仕組み
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?似た名前の加算がありそうで、ちょっと不安です。
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 項目 | 点数 | 算定単位・条件 |
|---|---|---|
| I010-2 精神科デイ・ナイト・ケア(基本点数) | 1,000点 | 1日につき |
| 早期加算(注4・治療開始等から1年以内) | 40点 | 1日につき加算(本加算とは別建て) |
| 疾患別等診療計画加算(注5・本加算) | 40点 | 疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に加算 |

みらい(新人医療事務)
早期加算も同じ40点なんですね……名前が似ているので気をつけないと、レセプトで取り違えそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。早期加算は「治療開始や退院からの期間」で決まる加算、疾患別等診療計画加算は「疾患等に応じた診療計画を作って実施したかどうか」で決まる加算です。どちらも精神科デイ・ナイト・ケアの注書きに規定されていますが、算定の考え方はまったく別物なので、レセプト記載の際は分けて確認したいですね。
みらい(新人医療事務)
それぞれ届出とかも別なんですか?
あおい(元・医療事務)
早期加算については別の記事で整理していますので、気になる方はそちらもあわせてご覧ください。早期加算(精神科デイ・ケア等)
施設基準と診療計画の作り方
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、精神科デイ・ナイト・ケアそのものが、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定する、とされています。つまりベースの精神科デイ・ナイト・ケア自体に施設基準の届出が必要、ということですね。
みらい(新人医療事務)
それはベースの話ですよね。疾患別等診療計画加算そのものにも、別の施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが今回のポイントです。留意事項通知では、注5に規定する加算の対象となる患者は、多職種が共同して特掲診療料施設基準通知の別添2の様式46の2又はこれに準じる様式により疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に、加算する、とされています。つまり、疾患別等診療計画加算そのものについて「別途の施設基準届出」が明記されているわけではなく、多職種共同での診療計画作成という運用要件を満たしているかどうかが問われる形です。
みらい(新人医療事務)
「多職種が共同して」というのは、具体的にどんな職種を指すんでしょう?
あおい(元・医療事務)
そこまでの具体的な職種構成は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。医師を含む複数の職種が共同して計画を作成する、という枠組みは示されていますが、詳細な職種の組み合わせは自院の届出内容や地方厚生局への確認が必要です。ここは断定せず、確認が必要な項目として扱ってくださいね。
届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
結局、届出は必要なんですか、不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく二段階に分けて考えるとわかりやすいです。まず、精神科デイ・ナイト・ケア自体の施設基準届出は必須です(注1)。そのうえで、疾患別等診療計画加算については、別添2の様式46の2又はこれに準じる様式による疾患等に応じた診療計画の作成・記載が求められており、これは診療計画の作成・記録という運用面の要件として示されています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に固有の届出様式・届出手続きの明記は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出済みだから絶対に算定できる、というわけでもないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。「精神科デイ・ナイト・ケアの届出済みであれば加算の算定候補になります」とは言えても、実際に多職種で診療計画を作成し、様式の内容を満たして記載しているかどうかは、日々の運用の話になります。断定はできませんので、自院の運用を確認したうえで、確認が必要な項目として扱ってください。
算定タイミング・回数・併算定の注意
算定タイミングの確認ポイント
疾患別等診療計画加算は、精神科デイ・ナイト・ケアを算定する日ごとに自動でつく加算ではありません。疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に加算する、とされているため、計画未作成の日には算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
精神科デイ・ナイト・ケア自体にも、回数の制限とかあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ベースの精神科デイ・ナイト・ケアには期間による制限があります。精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアのいずれかを最初に算定した日から起算して1年を超える期間に行われる場合には、週5日を限度として算定する、とされています。さらに3年を超える期間に週3日を超えて算定する場合には、長期の入院歴を有する患者を除き、当該日における点数は所定点数の100分の90に相当する点数により算定する、というルールもあります。
みらい(新人医療事務)
それって疾患別等診療計画加算にも影響するんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科デイ・ナイト・ケアの所定点数が減額される日であっても、疾患等に応じた診療計画を作成して行っていれば、疾患別等診療計画加算そのものの算定要件を欠くわけではありません。ただし、加算は「所定点数に加算する」形なので、ベースの点数の変動と合わせてレセプト上の点数計算を確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
週4日以上、長期間続けて算定するケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのケースについては疑義解釈でも取り上げられています。1年以上精神科デイ・ケア等を継続している患者に対し、診療計画を作成の上、週4日以上の精神科デイ・ケア等を実施する場合、疾患別等診療計画加算の算定要件を満たしている場合には、別に算定可能である、とされています。なお、疾患別等診療計画加算を算定する場合に作成する診療計画は、1年以上継続している患者に週4日以上の精神科デイ・ケア等を実施する場合に、精神保健福祉士等による意向の聴取を踏まえて作成する診療計画と同一で差し支えない、ともされています。二重に計画を作る必要はない、ということですね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
今回の令和8年度改定で、この加算に何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
疾患別等診療計画加算そのものの枠組みは、当サイトが収録している一次資料(令和8年度医科点数表・留意事項通知)の限りでは、平成24年度・平成28年度の疑義解釈で扱われている内容と同じ考え方が引き継がれています。多職種共同での診療計画作成という要件、様式46の2又はこれに準じる様式という取扱い、いずれも過去の疑義解釈の内容と整合しています。
改定差分の確認範囲(前回改定・令和6年度との比較)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)から疾患別等診療計画加算の点数(40点)・算定要件(多職種共同での診療計画作成)に関する変更は確認されていません(2026年8月時点の確認)。ただし、令和8年度改定全体の詳細な個別改定項目までは当サイトの収録範囲を超えるため、疑義があれば厚生労働省の公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と決めつけず、確認できた範囲で書いているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。点数だけでなく、施設基準や算定要件も含めて確認したうえで、当サイトで確認できた範囲内での記載であることを明記するようにしています。
自院で確認する順番

自院で確認する順番
- 精神科デイ・ナイト・ケア(I010-2)の施設基準届出を行っているか確認する
- 対象患者に対して、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成しているか確認する
- 診療計画が特掲診療料施設基準通知の別添2の様式46の2、またはこれに準じる様式(短期目標・長期目標・プログラム内容・実施頻度・必要期間などを含む)になっているか確認する
- 診療終了後に、計画に基づいて行った診療方法や結果の評価を行い、その要点を診療録等に記載しているか確認する
- ここまで確認できたら算定候補。最終判断は自院の届出内容と公式資料、審査支払機関への確認を行う
みらい(新人医療事務)
5番目、最後に自分たちで確認、というのが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトの整理はあくまで確認の入り口です。最終的な判断は自院の届出状況と実際の運用を照らし合わせて行ってください。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント(1)様式の作り込み
様式46の2に準じる様式であれば、短期目標及び長期目標、必要なプログラム内容と実施頻度、精神科デイ・ケア等を必要とする期間等が記載されていれば、様式は問わない、とされています。逆にいえば、これらの項目が抜けていると、様式として不十分と判断されるおそれがあります。自院独自の様式を使っている場合は、必須項目が揃っているか改めて確認したいところです。
取り漏れやすいポイント(2)早期加算との混同
先ほどの点数表でも触れたとおり、精神科デイ・ナイト・ケアには疾患別等診療計画加算(注5・40点)のほかに、早期加算(注4・40点)という別の加算もあります。どちらも同じ40点のため、レセプト上でどちらの加算要件を満たして算定しているのかを、院内で明確に区別して記録しておくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
計画を作ったつもりでも、記載が薄いと後から指摘されそうで怖いです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。診療終了後の評価と診療録等への記載も、留意事項通知で触れられている要件なので、計画を作って終わりではなく、実施後の記録まで一連の流れとして確認しておくと安心です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法(医科点数表)令和8年度版 I010-2 精神科デイ・ナイト・ケア https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1) 医科(精神科デイ・ケア等に関するQ&A) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。