みらい(新人医療事務)
あおいさん、「療養病棟・一般病棟入院期間加算」っていう名前を見つけたんですけど、これってどんな加算なんですか? 療養病棟と一般病棟、両方書いてあってちょっと混乱しています。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。名前だけ見ると分かりにくいんですが、これは区分番号A100「一般病棟入院基本料」の中にある入院期間に応じた加算(注3)が、療養病棟に入院している患者さんに例外的に適用される場面で使われる区分なんです。令和8年度(2026年度)の医科点数表がベースになっています。
みらい(新人医療事務)
療養病棟なのに、一般病棟の入院基本料の仕組みが使われるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省が指定する期間において、新型インフルエンザ等感染症の患者やその疑似症患者が療養病棟に入院した場合、区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料を算定する旨を地方厚生局長等に届け出た保険医療機関では、その患者について例外的に一般病棟入院基本料の例により算定することになっています。この時に一緒に発生するのが、一般病棟入院基本料の「注3」に規定されている入院期間加算です。
この加算の対象になる場面
みらい(新人医療事務)
つまり、療養病棟の患者さん全員に関係する加算ではないんですね?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは誤解しやすいポイントです。対象になるのは、次の条件を満たす場合に限られます。
対象になりうる場面(確認が必要)
患者要件: 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症の患者、またはその疑似症患者であること 病棟要件: 当該患者が療養病棟に入院していること 届出要件: 保険医療機関が、当該患者について区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料を算定する旨を地方厚生局長等に届け出ていること 期間要件: 入院日から起算した日数が、加算の対象区分(14日以内・15日以上30日以内)に該当すること
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が指定する期間」っていうのも気になります。常に対象になるわけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。この規定は、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症の患者・疑似症患者が発生し、厚生労働大臣が期間を指定した場合に適用される仕組みです。平時から常時算定できるものではなく、指定期間の有無や自院の届出状況を都度確認する必要がある、という前提で読んでおくのが安全です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表のA100一般病棟入院基本料の注3に定められている入院期間加算がそのまま適用されます。入院期間に応じて2区分あります。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 対象となる入院期間 |
|---|---|---|
| 14日以内の期間 | 450点 | 入院日から起算して14日以内 |
| 15日以上30日以内の期間 | 192点 | 入院日から起算して15日目から30日目まで |

みらい(新人医療事務)
450点と192点、どちらも1日につきの点数ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、いずれも1日につき所定点数に加算する形です。入院が31日目以降になると、この入院期間加算そのものは対象外になります。日数の数え方は「入院日から起算して」という表現が使われているので、入院初日を1日目として数える点も確認しておくと安心です。
点数の元になっている区分に注意
この2区分(450点・192点)は、A100一般病棟入院基本料の注3に定める入院期間加算のうち、通常の入院基本料に対応する金額です。同じ注3には、特別入院基本料等に対応する低い金額(14日以内300点・15日以上30日以内155点)も定められていますが、これは別の区分として扱われます。自院がどちらの体系で算定しているかは、届出内容と合わせて確認が必要です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算だけを単独で届け出る、みたいなことはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
この入院期間加算自体に独立した施設基準や届出様式があるわけではありません。ベースになっているのは、療養病棟入院基本料(A101)を算定する病棟としての届出と、新型インフルエンザ等感染症の患者・疑似症患者について区分番号A100一般病棟入院基本料を算定する旨の地方厚生局長等への届出、この2つの届出・要件です。
みらい(新人医療事務)
2つ目の届出、聞いたことがないかもしれません……
あおい(元・医療事務)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく特例的な運用に関わる届出なので、平時の運用ではなじみが薄いかもしれませんね。療養病棟入院基本料を算定している医療機関であっても、この届出をしていなければ、この入院期間加算の対象にはなりません。届出の要否や様式は、地方厚生局への確認が必要な範囲です。
自院で確認する順番
- 自院が療養病棟入院基本料(A101)の届出病棟かどうかを確認する
- 新型インフルエンザ等感染症の患者・疑似症患者を一般病棟入院基本料の例により算定する旨の届出をしているか確認する
- 該当患者が実際に入院しているか、入院日からの経過日数(14日以内/15日以上30日以内)を確認する
- 該当する場合、A100一般病棟入院基本料の注3に定める点数(450点・192点)を算定候補として整理する
- 不明点は地方厚生局または審査支払機関に確認する
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いちばん大事なのは「入院期間の数え方」です。14日以内と15日以上30日以内という区分は、あくまで入院日を起点にした通算日数で判定されます。転棟や算定区分の切り替えがあった場合でも、入院期間の起算日をどこに置くかで、どちらの点数区分に該当するかが変わってくる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
併せて算定できない項目とかもあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
この入院期間加算は一般病棟入院基本料の所定点数に対する加算という位置づけなので、基本的には一般病棟入院基本料(の例による算定)とセットで考えるものです。個別の併算定可否については、公式資料に明記された範囲でしか判断できないので、資料に記載がない組み合わせについては「対象外の可能性」も含めて確認が必要、という前提で扱うのが安全です。
断定はできません
この記事で示した点数・要件は、令和8年度の医科点数表に基づく整理です。実際に算定候補になるかどうかは、患者の該当性(新型インフルエンザ等感染症またはその疑似症)、厚生労働大臣が指定する期間の有無、自院の届出状況によって変わります。最終的な算定可否は自院での確認が必須です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定と比べて、この加算は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが確認した一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。点数区分(14日以内450点・15日以上30日以内192点)自体は、一般病棟入院基本料の入院期間加算として長く使われている水準と同じです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、去年から準備していたことをそのまま続けていいってことですか?
あおい(元・医療事務)
点数の水準としてはそう見えますが、「変更なし」と即断するのではなく、施設基準・対象要件・様式など点数以外の部分も含めて、改定のたびに一次資料で確認するのが安全です。特にこの加算は感染症法上の特例に紐づく仕組みなので、指定期間の運用ルール自体が変わることもあり得ます。
前回→今回の整理
令和6年度: A100一般病棟入院基本料の注3に入院期間加算あり(14日以内450点・15日以上30日以内192点) 令和8年度: 同じ枠組みが継続。療養病棟の特例適用時にも同じ点数区分が使われる整理は変わらず
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
よく挙がるのは次のようなケースです。
見落としやすいポイント
届出の見落とし: 療養病棟入院基本料の届出だけを確認して、新型インフルエンザ等感染症患者を一般病棟入院基本料の例により算定する旨の届出を確認していない 日数のずれ: 入院日の起算を誤り、14日以内区分と15日以上30日以内区分を取り違える 対象患者の誤認: 一般の療養病棟入院患者にもこの加算が適用されると思い込んでしまう
みらい(新人医療事務)
最後のところ、私も最初そう思ってしまいました……
あおい(元・医療事務)
そこはこの加算でいちばん誤解が多い部分だと思います。あくまで新型インフルエンザ等感染症の患者・疑似症患者という限定された対象に関わる仕組みなので、通常の療養病棟入院患者全般には適用されません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。