みらい(新人医療事務)
「病変検出支援プログラム加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これって内視鏡のAIみたいなものですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。大腸内視鏡検査でポリープを見つけるのを助ける画像診断プログラムを使った場合の加算です。令和8年度の点数表では、K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の「注3」として規定されています。
みらい(新人医療事務)
K721ということは、内視鏡でポリープを切除する手術に上乗せする加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。K721には注1・注2・注3の3つの加算があって、病変検出支援プログラム加算はそのうちの1つです。まず対象になる場面から確認しましょう。
どんな場面で対象になる加算ですか?
みらい(新人医療事務)
まず、どんな検査・処置のときに関係してくるか教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、大腸内視鏡検査を実施する際に、大腸内視鏡動画からポリープの特徴を解析して検出を助けるプログラム医療機器を使い、実際にポリープを切除した場面です。厚生労働省の留意事項通知には「『注3』に規定する病変検出支援プログラム加算については、大腸内視鏡検査を実施する際に、大腸内視鏡動画から大腸ポリープの持つ特徴を解析し検出支援を行うプログラム医療機器のうち、大腸内視鏡検査に関し専門の知識及び経験を有する医師が用いた場合に、用いない場合と比較して診断精度が上昇することが示されていると認められた製品を用いて診断を行い、診断されたポリープを切除した場合に、患者1人の一連の大腸内視鏡検査につき1回に限り算定できる」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「診断されたポリープを切除した場合」ってところがポイントですね。検出しただけじゃダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。実際に厚生労働省の疑義解釈でも、前回改定(令和6年度)時点の疑義解釈で次のように確認されています。病変検出支援機能を使わずに大腸内視鏡検査を実施しポリープを切除した場合は、この加算は算定できないという回答です。プログラムを起動しただけで使っていなければ対象外になります。
使う場面の注意
検出支援プログラム医療機器を保有していても、その検査で実際に検出支援機能を使っていなければ、この加算の対象にはなりません。プログラムの使用有無をカルテ・ログで確認できるようにしておくことが大切です。
点数・コード区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか? K721自体の点数も気になります。
あおい(元・医療事務)
K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の本体点数と、注1〜注3の加算をまとめると次のようになります。
| 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| K721 1 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | 5,000点 |
| K721 2 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) | 7,000点 |
| 注1 | 消化管ポリポーシス加算(家族性大腸腺腫症・年1回) | 5,000点 |
| 注2 | バルーン内視鏡加算 | 450点 |
| 注3 | 病変検出支援プログラム加算(本加算) | 60点 |
みらい(新人医療事務)
病変検出支援プログラム加算は60点なんですね。厚労省の点数表そのものに書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の医科点数表には「3 病変検出支援プログラムを用いて実施した場合は、病変検出支援プログラム加算として、60点を所定点数に加算する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
注1の消化管ポリポーシス加算や注2のバルーン内視鏡加算とは、同時に算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
注1・注2・注3はそれぞれ要件が異なる別の加算です。同じ検査で複数の要件を満たす場面が理論上ありえますが、実際に同時算定できるかどうかは各加算の要件を個別に満たしているかで決まるため、レセプト作成時に一つずつ確認することが必要です。

使用する医療機器・医師の要件
みらい(新人医療事務)
「認められた製品」ってどんな製品が対象になるんですか? 自分たちで選んでいいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
誰でも自由に選べるわけではなく、「用いない場合と比較して診断精度が上昇することが示されていると認められた製品」という条件があります。具体的にどのプログラムが該当するかについて、前回改定(令和6年度)時点の疑義解釈では「現時点では、『内視鏡画像診断支援プログラムEndoBRAIN-EYE(医療機器承認番号30200BZX0020800)』が含まれる」と示されています。
みらい(新人医療事務)
EndoBRAIN-EYEという製品名が具体的に出ているんですね。今も同じ製品だけが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
この回答は前回改定(令和6年度)時点のものなので、その後に新しく認められた製品が加わっている可能性もあります。自院が導入している製品がこの加算の対象になるかは、製品の添付文書や販売元、あるいは地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
使う医師にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。厚生労働省の留意事項通知には「本加算は、内視鏡検査に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により実施された場合に算定することとし、本加算の算定に当たっては、手術の概要を診療録に記載し、大腸内視鏡動画から大腸ポリープの持つ特徴を解析し検出支援を行うプログラム医療機器を使用している画面の写しを診療録に添付すること」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
「5年以上の経験」と「画面の写しを診療録に添付」の2つがポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。医師の経験年数の要件と、診療録への記載・添付という記録要件の両方を満たす必要があります。どちらか一方だけでは算定候補になりません。
見落としやすいポイント
検出支援プログラムを使った検査でも、①内視鏡専門の知識・5年以上の経験を持つ医師が実施したか、②手技の概要をカルテに記載したか、③プログラム使用画面の写しをカルテに添付したか、の3点をすべて満たしているかを確認してください。1つでも抜けていると算定候補にならない可能性があります。
届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している留意事項通知の範囲では、医師の経験年数や診療録への記載といった実施要件が中心で、消化管ポリポーシス加算のような明確な届出様式の記載までは確認できていません。ただし、届出が不要と断定できるわけではなく、最終的な届出要否は自院が所在する地方厚生局・審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「届出なしで大丈夫」と決めつけない方がいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設基準の解釈は地方厚生局ごとに確認が必要な場合もあるので、届出済みであれば候補、未確認なら要確認、という整理で進めるのが安全です。
算定タイミングと回数制限
みらい(新人医療事務)
1回の検査で何回も算定できたりするんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。留意事項通知に「患者1人の一連の大腸内視鏡検査につき1回に限り算定できる」と明記されています。複数のポリープを同じ検査で切除しても、この加算自体は1回までです。
みらい(新人医療事務)
検査した日と切除した日がずれていたらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
「一連の大腸内視鏡検査」という表現になっているので、検出・診断から切除までが一連の診療の流れであることが前提になります。日をまたぐ場合の扱いに迷うケースでは、審査支払機関に確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
- 大腸内視鏡検査でK721(内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術)を実施しているかを確認する
- 診断精度の向上が示されていると認められた病変検出支援プログラム医療機器を使用しているかを確認する
- 内視鏡検査に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師が実施したかを確認する
- プログラムで検出したポリープを実際に切除したかを確認する
- 手技の概要と、プログラム使用画面の写しを診療録に記載・添付したかを確認する
- ここまで満たしていれば算定候補、抜けがあれば要確認として扱う

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、去年までとは何か変わったところがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
病変検出支援プログラム加算自体は前回改定(令和6年度)で新設された加算です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度点数表でもK721「注3」として同じ60点で規定されており、算定要件(専門知識・5年以上の経験を有する医師が実施、診断されたポリープを切除、患者1人の一連の検査につき1回限り)についても、前回改定時点の疑義解釈の内容と齟齬は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
つまり、点数も条件も基本的には変わっていないということですね。
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲ではそう見えますが、対象となる医療機器の一覧は追加・更新されていく可能性があります。前回改定(令和6年度)時点で示されていた製品例(EndoBRAIN-EYE)以外にも、その後に新しく認められた製品が増えているかもしれません。最新の対象製品リストは、都度、公式資料や製品の添付文書で確認することをおすすめします。
前回改定との比較
前回改定(令和6年度): K721「注3」として新設・60点・専門知識と5年以上の経験を持つ医師が実施し切除した場合に1回限り算定。 令和8年度: 同じK721「注3」・60点で規定(一次資料の範囲で変更は確認されていません)。対象製品の追加有無は都度要確認。
併算定・請求時の注意点
みらい(新人医療事務)
請求のときに気をつけることって他にありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、この加算はK721本体の点数(5,000点または7,000点)に上乗せする加算なので、K721自体が算定できていることが前提です。また、同じK721の注1(消化管ポリポーシス加算)や注2(バルーン内視鏡加算)とは要件が別のため、それぞれの条件を満たしているかを個別に確認してから合わせて算定するかどうかを判断してください。
みらい(新人医療事務)
検出支援プログラムを使ったのに、切除しなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その場合は算定候補になりません。留意事項通知にある「診断されたポリープを切除した場合」という条件を満たさないためです。検査だけで終わった場合や、経過観察になった場合は対象外の可能性が高いと考えてください。
算定できないケースの例
・病変検出支援プログラムを保有しているが、その検査では使用しなかった場合 ・プログラムでポリープを検出したが、切除には至らなかった場合 ・実施した医師が内視鏡専門の知識・5年以上の経験の要件を満たしていない場合 これらに該当する場合は、対象外の可能性があります。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
K721には他にも加算があるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。同じK721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の加算として、消化管ポリポーシス加算(注1・家族性大腸腺腫症の患者が対象)とバルーン内視鏡加算(注2)があります。どちらも対象となる場面や要件が異なるので、あわせて確認しておくと自院の算定漏れを防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。使用している検出支援プログラムや医師の経験年数、診療録の記載状況を入力すると、確認すべきポイントがはっきりします。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。