みらい(新人医療事務)
あおいさん、「看護補助・患者ケア体制充実加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これって何を評価する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
入院患者さんに対して身体的拘束をできるだけ行わない体制づくりと、看護職員と看護補助者が業務を分担・協働する体制を評価する加算ですよ。令和8年度の医科点数表では、療養病棟入院基本料・障害者施設等入院基本料・地域包括医療病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料の4つの入院料に、それぞれ「加算1・2・3」の3段階で設定されています。厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日保医発0305第7号)では、地域包括医療病棟入院料についてこう説明されています。「(14) 「注9」に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算は、看護職員と看護補助者の業務分担及び協働に資する十分な体制を評価するものである。」
みらい(新人医療事務)
4つの入院料に、それぞれ3段階…けっこうたくさんありますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。全部で18区分あって、点数は5点から190点までかなり幅があります。まずは「自分の病棟がどの入院料に当たるか」を確認するところから始めましょう。
この加算の対象になる病棟・患者は
みらい(新人医療事務)
どんな病棟が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で対象になっているのは、療養病棟入院基本料(注13)・障害者施設等入院基本料(注10)・地域包括医療病棟入院料(注9)・地域包括ケア病棟入院料(注5)の4つの入院料を算定している病棟です。
みらい(新人医療事務)
「業務分担及び協働に資する十分な体制」…つまり看護職員だけでなく看護補助者もしっかり配置されている、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そのイメージで合っています。ただし対象になる患者は病棟に入院している患者全員ではなく、それぞれの入院料の施設基準に適合する届出を行った病棟の入院患者に限られます。自院がどの入院料を算定しているかで、確認すべき点数区分が変わってきます。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?病棟ごとに違うんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。医科点数表の別表第一に、病棟ごと・加算1〜3ごとに個別の点数が定められています。順番に見ていきましょう。まず療養病棟入院基本料です。
| 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| 190829710 | 看護補助・患者ケア体制充実加算1 | 80点 |
| 190829810 | 看護補助・患者ケア体制充実加算2 | 65点 |
| 190829910 | 看護補助・患者ケア体制充実加算3 | 55点 |

あおい(元・医療事務)
条文ではこう書かれています。「13 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。ただし、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助・患者ケア体制充実加算3の例により所定点数に加算する。イ 看護補助・患者ケア体制充実加算1 80点 ロ 看護補助・患者ケア体制充実加算2 65点」(医科点数表 別表第一 A101 療養病棟入院基本料)
みらい(新人医療事務)
「身体的拘束を実施した日は加算3の例による」って、どういうことですか?
あおい(元・医療事務)
加算1や加算2を届け出ていても、実際にその患者さんに身体的拘束を行った日は、自動的に一番点数の低い加算3の扱いになる、という意味です。届出区分と実際の算定区分が日によってずれる可能性がある、というのはよく見落とされるポイントです。
みらい(新人医療事務)
なるほど…。次は障害者施設等入院基本料ですか?
あおい(元・医療事務)
はい。障害者施設等入院基本料では、入院期間によって「イ(14日以内)」「ロ(15日以上30日以内)」「ハ(それ以外)」の3区分があり、それぞれに加算1〜3があります。
| 期間区分 | 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|---|
| イ 14日以内 | 190830070 | 加算1 | 176点 |
| イ 14日以内 | 190830170 | 加算2 | 161点 |
| イ 14日以内 | 190830270 | 加算3 | 151点 |
| ロ 15〜30日 | 190830370 | 加算1 | 151点 |
| ロ 15〜30日 | 190830470 | 加算2 | 136点 |
| ロ 15〜30日 | 190830570 | 加算3 | 126点 |
| ハ イ・ロ以外 | 190887970 | 加算1 | 60点 |
| ハ イ・ロ以外 | 190888170 | 加算2 | 55点 |
| ハ イ・ロ以外 | 190888070 | 加算3 | 51点 |
みらい(新人医療事務)
期間によって点数が下がっていくんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院が長引くほど点数区分が下がる設計になっています。続いて地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料です。
| 病棟 | 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|---|
| 地域包括医療病棟入院料 | 190837270 | 加算1 | 25点 |
| 地域包括医療病棟入院料 | 190837370 | 加算2 | 15点 |
| 地域包括医療病棟入院料 | 190837470 | 加算3 | 5点 |
| 地域包括ケア病棟入院料 | 190858170 | 加算1 | 190点 |
| 地域包括ケア病棟入院料 | 190858270 | 加算2 | 175点 |
| 地域包括ケア病棟入院料 | 190858370 | 加算3 | 165点 |
あおい(元・医療事務)
地域包括ケア病棟入院料の条文にも同様の身体的拘束の特例があります。「5 (中略)当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。ただし、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助・患者ケア体制充実加算3の例により所定点数に加算する。イ 看護補助・患者ケア体制充実加算1 190点 ロ 看護補助・患者ケア体制充実加算2 175点 ハ 看護補助・患者ケア体制充実加算3 165点」(医科点数表 別表第一 A308-3 地域包括ケア病棟入院料)
みらい(新人医療事務)
一番高い190点は地域包括ケア病棟なんですね。逆に地域包括医療病棟は5点からと、幅がすごく広いです。
あおい(元・医療事務)
はい。同じ加算名でも入院料によって点数の水準がかなり違うので、「うちの病棟はどの点数区分に当たるか」を、算定候補として確認するときは必ず病棟の種類から特定する必要があります。
施設基準(加算1〜3で何が変わるか)
みらい(新人医療事務)
加算1・2・3の違いは何なんですか?点数以外にも基準が違うんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、看護補助者の経験年数や配置数の要件が段階的に変わります。療養病棟入院基本料の加算1を例にすると、留意事項通知にはこうあります。「11の2 療養病棟入院基本料の注13に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算の施設基準 (1) 看護補助・患者ケア体制充実加算1の施設基準 ア 当該保険医療機関において3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が、5割以上配置されていること。 イ 主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が100又はその端数を増すごとに1以上であること。」
みらい(新人医療事務)
3年以上の経験者が5割以上…これは結構ハードルが高そうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし加算2・3になると要件が緩和されます。同じ通知にこう続きます。「(2) 看護補助・患者ケア体制充実加算2の施設基準 (1)のイからオを満たすものであること。 (3) 看護補助・患者ケア体制充実加算3の施設基準 (1)のウ及びエを満たすものであること。」加算2は「3年以上5割配置」の要件(ア)を外した基準です。
みらい(新人医療事務)
加算3が満たすべき「ウ」「エ」って、具体的には何が書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の別の箇所にこう定められています。「ウ 11の(1)から(5)までを満たしていること。ただし、(4)のエについては、看護補助者が行う業務内容ごとに業務範囲、実施手順、留意事項等について示した業務マニュアルを作成し、当該マニュアルを用いて院内研修を実施していること。エ 当該病棟の看護師長等が11の(6)のアに掲げる所定の研修を修了していること。また、当該病棟の全ての看護職員((6)のアに掲げる所定の研修を修了した看護師長等を除く。)が(6)のイの内容を含む院内研修を年1回以上受講していること。」つまり加算3は人員配置数の要件(イ)ではなく、業務マニュアルの整備や院内研修の実施・受講が中心の要件になります。障害者施設等入院基本料の施設基準は、通知の「16の2」に独立した項目として定められており、その中で「研修内容については、11の2の(1)のイの例による」と療養病棟の基準を参照している箇所があります。
施設基準は病棟ごとに個別に定められている
療養病棟入院基本料と障害者施設等入院基本料は、それぞれ通知の別項(11の2・16の2)で施設基準が定められています。地域包括医療病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料についても、各入院料の施設基準の中に看護補助・患者ケア体制充実加算の基準が組み込まれています。自院が算定候補になるかどうかは、必ず自院が算定している入院料の項目を確認してください。

届出
みらい(新人医療事務)
この加算って届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟の入院患者について算定できる、という条文になっています。届出をしていない場合は、実際に体制を整えていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば安心、というわけでもなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出後も、看護補助者の経験年数や配置数、院内研修の実施状況などの要件を満たし続けている必要があります。届出済みであれば算定候補になりますが、最終的な適合状況の確認は自院の届出書類と実際の配置状況を照らし合わせて行う必要があります。
算定のタイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大きく3つあります。1つ目は、身体的拘束を実施した日の扱いです。加算1・2を届け出ていても、その日に身体的拘束を実施すると、加算3の点数での算定に切り替わります。地域包括医療病棟入院料の留意事項では、こう明記されています。「(15) 「注9」については、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助・患者ケア体制充実加算1又は看護補助・患者ケア体制充実加算2の届出を行っている場合であっても、看護補助・患者ケア体制充実加算3を算定すること。この場合において、看護補助・患者ケア体制充実加算3の届出は不要である。」
みらい(新人医療事務)
届出区分と実際の算定が食い違う日もある、ということですね。
身体的拘束の最小化の取組が算定の前提
留意事項通知では「夜間看護加算及び看護補助・患者ケア体制充実加算は、療養生活の支援が必要な患者が多い病棟において、看護要員の手厚い夜間配置を評価したものであり、当該病棟における看護に当たって、次に掲げる身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。ア入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整える。」とされています。体制だけでなく、身体的拘束を最小化する取組の実施と記録が算定の前提になります。
あおい(元・医療事務)
3つ目は夜勤の看護要員数です。療養病棟入院基本料の夜間看護加算・看護補助・患者ケア体制充実加算については、「「注12」及び「注13」に規定する夜間看護加算及び看護補助・患者ケア体制充実加算を算定する各病棟における夜勤を行う看護要員の数は、基本診療料の施設基準等の第五の三の(1)イ①に定める夜間の看護職員の最小必要数を超えた看護職員1人を含む看護要員3人以上でなければ算定できない。なお、特別入院基本料を算定する場合は、当該加算は算定できない。」という要件があります。
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料だと算定できないんですね。うちが特別入院基本料かどうかも確認しないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。人員配置と算定できる入院料の組み合わせも、届出前に確認しておきたいポイントです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあったんですか?それとも令和8年度の新設ですか?
あおい(元・医療事務)
新設ではなく、名称変更です。厚生労働省の届出関係の通知には、施設基準等の名称が変更された項目の一覧表があり、そこにこう記載されています。「表4 施設基準等の名称が変更されたが、令和8年5月31日において現に当該点数を算定していた保険医療機関であれば新たに届出が必要でないもの 療養病棟入院基本料の注13に規定する看護補助体制充実加算 → 療養病棟入院基本料の注13に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算 障害者施設等入院基本料の注10に規定する看護補助体制充実加算 → 障害者施設等入院基本料の注10に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算」同じ表には、地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料についても「地域包括医療病棟入院料の注8に規定する看護補助体制充実加算 → 地域包括医療病棟入院料の注9に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算 地域包括ケア病棟入院料の注5に規定する看護補助体制充実加算 → 地域包括ケア病棟入院料の注5に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算」という記載があります。
みらい(新人医療事務)
つまり令和6年度(2024年度)改定までは「看護補助体制充実加算」という名前で、令和8年度(2026年度)改定で「看護補助・患者ケア体制充実加算」に名称が変わった、ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、この表の範囲ではそう読み取れます。そして重要なのは「令和8年5月31日時点で現に算定していた保険医療機関は、新たに届出が必要でない」とされている点です。つまりすでに旧名称で届出済みの病棟は、名称変更にあわせた再届出をしなくても、新しい名称の加算として扱われるという整理です。点数や施設基準の内容自体が変わったかどうかは、当サイトが確認できた一次資料の範囲では名称変更以外の変更点は確認されていません(2026年8月確認)。
令和6年度→令和8年度の変化(当サイトが確認できた範囲)
名称: 「看護補助体制充実加算」→「看護補助・患者ケア体制充実加算」に変更 対象病棟・注番号: 療養病棟入院基本料(注13)、障害者施設等入院基本料(注10)、地域包括ケア病棟入院料(注5)は据え置き。地域包括医療病棟入院料は注8→注9に変更 届出: 令和8年5月31日時点で算定していた病棟は再届出不要
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 自院が算定している入院料が、療養病棟入院基本料・障害者施設等入院基本料・地域包括医療病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料のいずれかに当たるか確認する
- 該当する入院料の看護補助・患者ケア体制充実加算の施設基準(看護補助者の経験年数・配置数・院内研修)を確認する
- 加算1〜3のどの区分の要件を満たしているか、通知の該当項目で確認する
- 身体的拘束を最小化する取組(アセスメント・記録・解除に向けた検討等)が実施・記録されているか確認する
- 夜間看護加算・看護補助加算・看護補助者配置加算など、同じ入院料内の他加算と併算定できない関係になっていないか確認する
- 施設基準の届出が済んでいるか、地方厚生局への届出書類を確認する
よくある取り漏れ
加算1・2で届け出ていても身体的拘束実施日は加算3扱い
届出区分が加算1や加算2であっても、その患者に身体的拘束を実施した日は、加算3の点数で算定する決まりです。届出区分をそのまま算定区分だと思い込んでいると、算定誤りにつながる可能性があります。
夜間看護加算・看護補助加算等との併算定不可を見落とす
療養病棟の夜間看護加算、障害者施設等の看護補助加算、地域包括ケア病棟の看護補助者配置加算は、それぞれ看護補助・患者ケア体制充実加算と同時には算定できません。どちらの加算で届出・算定するかは、自院の体制と点数を比較して確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病棟がどの区分の算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。算定している入院料や看護補助者の配置状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。