みらい(新人医療事務)
検査の加算一覧を見ていたら「濃縮前処理加算」というのが出てきたんですけど、これってどんな検査に関係する加算なんですか? 名前だけだと全然イメージがわかなくて…。
あおい(元・医療事務)
これは検体検査のうち、HIV-1核酸定量という検査に付く注加算なんです。令和8年度の医科点数表では、D023「微生物核酸同定・定量検査」という区分のなかの「18」番目の項目がHIV-1核酸定量で、そこに注記として濃縮前処理加算が定義されています。
みらい(新人医療事務)
「注記として定義されている」ということは、独立した検査ではなくて、あくまで何かのオプションなんですね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の告示の該当箇所にはこう書かれています。「18 HIV-1核酸定量 520点 注 検体の超遠心による濃縮前処理を加えて行った場合は、濃縮前処理加算として、130点を所定点数に加算する。」つまりHIV-1核酸定量そのものが520点で、そこに検体の超遠心による濃縮前処理という手技を加えたときだけ、130点が上乗せで加算される仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「超遠心による濃縮前処理」というのが具体的にどういう作業なのか、ちょっとイメージしづらいです…。
あおい(元・医療事務)
そこは私たちも公式資料に書かれている範囲でしかお伝えできません。告示の条文には「検体の超遠心による濃縮前処理を加えて行った場合」とだけ記載されていて、処理の細かい手順や機器の指定までは明記されていません。ですので、実際に自院の検査(または委託先の検査機関)がこの処理を行っているかどうかは、検査の実施記録や委託先からの報告書で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、資料に書かれていないことは推測で埋めない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは正確性のために徹底しています。ここからは、対象になる場面、点数、施設基準や届出の要否、そして自院で確認すべき順番まで、一つずつ整理していきますね。
どんな場面で関係する加算?
みらい(新人医療事務)
まず、この加算がそもそもどんな医療機関・どんな場面で出てくるものなのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
濃縮前処理加算は、D023微生物核酸同定・定量検査のなかのHIV-1核酸定量を実施した場合にだけ関係してきます。HIV-1核酸定量自体は、HIV感染者の経過観察や、抗体検査などが陽性だった場合の確認診断といった場面で使われる検査です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算の対象となる医療機関の種別(診療所か病院か)や、外来か入院かによる限定は特に記載されていません。
みらい(新人医療事務)
ということは、診療所でも病院でも、外来でも入院でも、検査自体を実施して濃縮前処理を行っていれば候補になり得るということですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料に医療機関種別や外来/入院での限定が明記されていない以上、条文の文言のうえでは特に制限は見当たりません。ただし、これは「制限が確認できない」というだけであり、実際にHIV-1核酸定量そのものを自院で実施できる体制があるか(検査機器・検査委託先の対応可否など)は別の話です。まずは検査自体の実施可否と、そのなかで超遠心による濃縮前処理を行っているかどうかが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
検査を外部の検査機関に委託している場合はどうなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
そこは自院の検査運用によって変わってくる部分なので、断定はできません。委託先が超遠心による濃縮前処理を実施しているかどうか、また加算分の点数がどのように取り扱われているかは、委託先との契約内容や報告書の記載を確認していただくのが確実です。

点数とコードの整理
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう一度整理してもらえますか? HIV-1核酸定量本体と加算の点数がごっちゃになりそうで…。
あおい(元・医療事務)
点数の構成はこうなっています。区分番号はD023「微生物核酸同定・定量検査」で、そのなかの項目18がHIV-1核酸定量です。加算はこの項目18にのみ付く注加算という位置づけです。
| 項目 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D023「18」 | HIV-1核酸定量(本体の検査) | 520点 |
| 濃縮前処理加算(注加算) | 検体の超遠心による濃縮前処理を加えて行った場合 | 130点 |
| 合計(該当する場合) | HIV-1核酸定量+濃縮前処理加算 | 650点 |
みらい(新人医療事務)
130点というのは単独では算定できなくて、必ず本体のHIV-1核酸定量とセットになる、という理解で合ってますか?
あおい(元・医療事務)
はい、条文の書き方からもそう読み取れます。「所定点数に加算する」という表現になっているので、あくまでHIV-1核酸定量の点数に上乗せする形の加算です。濃縮前処理加算だけを単独で算定する、という運用は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
他のD023の項目、たとえばサイトメガロウイルス核酸定量とか、SARS-CoV-2核酸検出とかにもこの濃縮前処理加算は付くんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいポイントです。今回確認できた告示の該当箇所では、この注記はHIV-1核酸定量の項目(18)の直後にだけ記載されており、他の項目(17のサイトメガロウイルス核酸定量や19のSARS-CoV-2核酸検出など)には同様の注記が見当たりませんでした。同じD023のなかにある別の項目だからといって同じ加算が付くとは限らないので、対象は項目18のHIV-1核酸定量に限定して考えるのが安全です。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
加算というと、施設基準を満たして届出をしないといけないものが多い印象なんですが、これもそうですか?
あおい(元・医療事務)
確認した告示の条文には、濃縮前処理加算について施設基準への適合や地方厚生局長等への届出を求める文言は見当たりませんでした。同じD023のなかでも、たとえばHPV核酸検出や、ウイルス・細菌核酸及び薬剤耐性遺伝子多項目同時検出などの項目は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という条件が明記されていますが、濃縮前処理加算の注記部分にはそうした条件文がありません。
みらい(新人医療事務)
ということは、届出なしでも算定候補になり得るということですね?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている一次資料の範囲ではそう読み取れます。ただし、これは「条文に届出条件の記載が見当たらない」という確認結果であって、自院の他の届出状況や検査実施体制まで含めて算定を保証するものではありません。実際に算定する際は、レセプト記載や院内の検査実施記録で、超遠心による濃縮前処理を行った事実を確認できる状態にしておくことをおすすめします。
施設基準・届出に関する注意
本記事で確認できた一次資料の範囲では、濃縮前処理加算そのものに施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。ただし解釈には限界があるため、自院での取り扱いは必ず最新の告示・留意事項通知、または審査支払機関への確認をあわせて行ってください。
算定のタイミング・記録の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いちばん大事なのは、「HIV-1核酸定量を実施した」ことと「その検体に超遠心による濃縮前処理を加えた」ことの両方が記録として残っている状態にすることです。加算だけを切り離して算定することはできないので、検査オーダーや検査結果報告書のなかで、通常のHIV-1核酸定量と濃縮前処理を行ったケースとが区別できるようにしておくと、後から見直すときにも確認しやすくなります。
みらい(新人医療事務)
回数制限のようなものはあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
確認できた条文のなかには、月1回までといった回数制限の文言は見当たりませんでした。ただしこれは今回参照した資料の範囲での確認結果です。HIV-1核酸定量自体の算定条件(経過観察や確認診断としての実施など)は別途あるはずなので、そちらの回数の考え方も含めて自院で運用ルールを確認しておくと安心です。
併算定・回数についての確認
濃縮前処理加算単体の回数制限は、確認できた一次資料の範囲では明記が見当たりませんでした。HIV-1核酸定量本体の算定条件・回数の考え方とあわせて、自院のレセプト担当者や審査支払機関に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度のときから何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが参照している令和8年度の告示(D023「18」HIV-1核酸定量および濃縮前処理加算の該当箇所)を確認した限りでは、点数(HIV-1核酸定量520点、濃縮前処理加算130点)や、施設基準・届出の記載が見当たらない点について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切らないようにしています。今回確認できたのはあくまで令和8年度時点の告示条文であり、令和6年度時点の条文と1行ずつ突き合わせた比較資料までは確認できていません。ですので、「今回確認した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません」という言い方が正確です。もし過去に届出内容や算定実績が令和6年度のルールに基づいて設定されている場合は、念のため最新の告示・留意事項通知でも点数や記載内容をご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医院やクリニックで「これは算定候補になるかも」と思ったとき、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- D023「18」HIV-1核酸定量を実施しているかを確認する(経過観察・確認診断など、検査を行った目的とあわせて記録を確認)
- その検体に対して、超遠心による濃縮前処理を加えているかを、検査部門または検査委託先の記録で確認する
- 濃縮前処理を行った事実が、検査結果報告書やカルテ上で客観的に確認できる状態になっているかをチェックする
- HIV-1核酸定量(520点)に濃縮前処理加算(130点)を上乗せしてレセプトに記載できる状態か、院内のレセプト担当者と確認する
- 施設基準・届出については一次資料に明確な条件が見当たらないため、不明点があれば審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
意外と、加算そのものよりも「濃縮前処理を行った記録が残っているか」が肝になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそのとおりです。検査手技自体は検査部門や委託先が行うことが多いので、レセプト担当者だけで完結せず、検査を実施した部門との連携が確認のポイントになります。
よくある取り漏れ・誤解
取り漏れになりやすいケース
HIV-1核酸定量を実施していても、検体に超遠心による濃縮前処理を加えたかどうかの記録が検査結果報告書に明示されていないと、加算の算定漏れに気づきにくいことがあります。検査委託先からの報告書フォーマットを確認し、濃縮前処理の有無が読み取れるかをチェックしておくと安心です。
他の項目と混同しやすいケース
D023には多数の項目(サイトメガロウイルス核酸定量、SARS-CoV-2核酸検出、結核菌群関連の検査など)が並んでいますが、確認できた条文上、濃縮前処理加算の注記はHIV-1核酸定量(項目18)にのみ付いています。他の項目にも同様の加算があると思い込まないよう、対象は項目18に限定して確認してください。
他の検体検査系加算も気になる方へ
みらい(新人医療事務)
検体検査の加算って他にもいろいろありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。たとえば入院中の患者以外を対象に、当日中に検体検査の結果を文書で情報提供した場合に加算される外来迅速検体検査加算のように、検体検査に関する加算はいくつかの区分にまたがって存在しています。適用の条件は加算ごとにまったく異なるので、それぞれ個別に条文を確認する必要がありますが、検体検査まわりの加算を横断的にチェックしたい場合は、あわせて確認してみるとよいと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。まず、この加算は自費診療でも使えるものですか?
あおい(元・医療事務)
濃縮前処理加算は診療報酬点数表のなかの注加算なので、保険診療の枠組みのなかでの加算です。自費診療の取り扱いについては、この記事で確認した一次資料の対象外になります。
みらい(新人医療事務)
検体検査を院内で実施せず、外部の検査機関にすべて委託している場合でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
検体検査を外部委託している場合の算定の取り扱いは、委託契約の内容や検査実施の主体によって整理の仕方が変わってくる可能性があります。一次資料のなかで明確に記載されている範囲を超える判断になるので、ここでは断定を避け、自院の契約内容とあわせて確認が必要な点として扱っていただければと思います。
みらい(新人医療事務)
この加算だけを、HIV-1核酸定量をやらずに算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
それはできません。条文が「所定点数に加算する」という形になっている以上、HIV-1核酸定量(520点)を算定していることが前提です。濃縮前処理加算だけを単独で算定する運用は想定されていません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。検査の実施状況や検体処理の内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。