みらい(新人医療事務)
先生、レセプトを見ていたら「特定薬剤副作用評価加算」という項目が出てきたんですけど、これってどんな加算なんですか?初めて見ました。
あおい(元・医療事務)
これは精神科の外来でよく出てくる加算ですね。抗精神病薬を服用している患者さんについて、薬の副作用を専用の評価尺度できちんと数値化して確認したときに算定できる加算候補になります。令和8年度も25点として設定されていますよ。
みらい(新人医療事務)
25点なんですね。抗精神病薬を出している患者さんなら誰でも算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。ただ様子を聞くだけでは足りなくて、決まった評価方法を使うことが条件になっています。順番に見ていきましょう。
特定薬剤副作用評価加算とは
みらい(新人医療事務)
まず、この加算がどんな場面のためのものか教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象は「抗精神病薬を服用中の患者」です。精神保健指定医またはこれに準ずる者が、通常行う副作用の有無等の確認に加えて、薬原性錐体外路症状評価尺度という尺度を使って、副作用の程度を定量的かつ客観的に評価します。その評価結果をもとに、薬物療法の治療方針を決定した場合に算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「錐体外路症状」って聞き慣れない言葉ですけど、要は抗精神病薬の副作用の一種ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。抗精神病薬でみられる代表的な副作用のひとつを、感覚的にではなく尺度を使って測るという点がポイントです。単に「副作用ないですか?」と聞くだけの診察とは別に、決まった評価の手順を踏んだ場合に算定候補になる、という位置づけです。

点数と算定できる場面(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は25点で決まってるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の医科点数表で25点、月1回に限り算定できると定められています。ただ、この加算は単独の項目ではなく、2つの基本の診療報酬に「注」として乗っかる形になっているんです。
| 適用される基本項目 | 根拠となる注 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| I002 通院・在宅精神療法 | 注5 | 25点 | 月1回限り |
| I002-2 精神科継続外来支援・指導料 | 注4 | 25点 | 月1回限り |
みらい(新人医療事務)
2つあるんですね。どちらで算定するかは、患者さんの通院の仕方で変わるということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。通院・在宅精神療法で診ている患者さんなら注5、精神科継続外来支援・指導料で診ている患者さんなら注4、という形で、どちらの基本項目を算定しているかに対応しています。ただし、I002の注5には対象となる区分が細かく決められています。告示では「1のハの(1)並びに2のハの(1)及び(2)」が対象と定められていて、通院精神療法では診療時間30分以上の区分(1のハの(1)、精神保健指定医410点・それ以外390点)、在宅精神療法では60分以上の区分(2のハの(1)、精神保健指定医590点・それ以外540点)と30分以上60分未満の区分(2のハの(2)、精神保健指定医410点・それ以外390点)が対象になります。逆に、通院・在宅どちらも診療時間30分未満の区分(通院は1のハの(2)、在宅は2のハの(3)、いずれも精神保健指定医315点・それ以外290点)は注5の対象に含まれていません。診療時間の区分によって算定候補になるかどうかが変わるので、この点は自院のカルテ運用と照らして確認したいところです。
見落としやすいポイント
「抗精神病薬を出している」=「自動的に算定できる」ではありません。決まった評価尺度を使った評価と、治療方針の決定、診療録への記載という一連の手順を満たして初めて算定候補になります。
算定要件・評価の方法
みらい(新人医療事務)
具体的に何をすればこの加算の候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、次のような手順が示されています。
自院で確認する順番
- 抗精神病薬を服用中の患者であることを確認する
- 精神保健指定医またはこれに準ずる者が診察する
- 通常の副作用確認に加え、薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的・客観的に評価する
- その評価結果をもとに薬物療法の治療方針を決定する
- 別紙様式33に準じて評価内容を記録し、評価結果と決定した治療方針を診療録に記載する
みらい(新人医療事務)
様式33というのも決まっているんですね。自己流の評価表だとダメなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「別紙様式33に準じて評価を行い」と明記されています。全く同じ様式である必要まで断定はできませんが、様式33の項目に準じた内容で記録することが前提になっているので、様式の中身を実際に確認してから運用するのが安全だと思います。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算について地方厚生局への事前の届出を求める記載は見当たりません。多くの施設基準を伴う加算とは違って、告示の注書きの中には「あらかじめ届け出た保険医療機関において」といった届出を前提にする表現が出てきていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでも算定候補になるんですね!
あおい(元・医療事務)
そう言い切ってしまうのは避けたいところです。あくまで「今確認できている資料の範囲では届出を求める記載がない」ということで、実際の運用では医療機関ごとに算定要件の解釈や記録の整い方が異なります。届出の要否も含めて、最終的には自院の状況と最新の公式資料、審査支払機関への確認が必要です。
断定はできません
届出に関する記載が見当たらないからといって、すべての医療機関で自動的に算定候補になるわけではありません。評価尺度の実施体制、様式33に準じた記録、診療録への記載が整っているかを個別に確認してください。
併算定の注意(どちらか一方だけ)
みらい(新人医療事務)
さっき点数の表に2つの基本項目が出てきましたけど、両方同時に算定できたりはしないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは明確に決まっています。留意事項通知には、注5(通院・在宅精神療法)について「同一月に『I002-2』精神科継続外来支援・指導料の『注4』に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない」と定められています。あわせて注4(精神科継続外来支援・指導料)についても「同一月に『I002』通院・在宅精神療法の『注5』に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない」と、逆方向の除外も同じ通知に明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、同じ月にどちらか一方しか算定候補にならない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。月をまたいで両方の基本項目を使い分けることはあっても、同じ月に両方の注から二重に算定することは想定されていません。レセプト上でどちらの基本項目にひもづけて算定したかを、事務側でも把握しておくと確認がしやすくなります。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定のときと比べて、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度時点の同じ加算の記載と直接照合できる資料が今のところ手元にありません。そのため、点数や算定要件が前回改定からどう変化したかについて、確認できる一次資料の範囲では変更の有無を断定できない状態です。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と言い切るのも違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和8年度の告示・留意事項通知に記載されている内容(月1回25点、抗精神病薬服用患者を対象とした評価尺度による評価、様式33に準じた記録)は確認できていますが、前回改定との比較資料が揃うまでは「変更が確認できていない」という言い方にとどめておきます。気になる場合は、厚生労働省が公表している改定の概要資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか、何から確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは対象患者の有無からです。
自院で確認する順番
- 抗精神病薬を服用中の患者が通院・在宅精神療法または精神科継続外来支援・指導料で通院しているか確認する
- 診察を担当するのが精神保健指定医またはこれに準ずる者かを確認する
- 薬原性錐体外路症状評価尺度を用いた評価を実施できる体制があるか確認する
- 評価結果と治療方針を診療録に記載し、様式33に準じた記録を残せているか確認する
- 同一月に2つの基本項目の当該加算を重複算定していないか確認する
みらい(新人医療事務)
これを一通りクリアできていれば、算定候補として自信を持って良さそうですね。
あおい(元・医療事務)
候補としては整ってきますが、最終的な判断は自院の届出状況や診療録の記載内容、審査支払機関の確認を経てからにしてくださいね。
よくある取り漏れ
取り漏れがちなケース
抗精神病薬を服用中の患者に対して副作用の問診はしているものの、薬原性錐体外路症状評価尺度を使った定量的な評価まで実施しておらず、算定候補にできていないケースがあります。通常の問診と、尺度を使った評価は別物として扱われている点に注意してください。
診療録記載の抜け漏れ
評価は行っていても、その結果と決定した治療方針を診療録に記載していないと、算定要件を満たしているかどうかの確認が難しくなります。様式33に準じた記録を診療録内に残す運用を徹底しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
抗精神病薬を服用していれば、種類や量に関係なく対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には「抗精神病薬を服用している患者」という記載があり、種類数や量による除外を定めた記載は今回確認した範囲では見当たりません。ただし、関連する基本項目側には抗精神病薬などの投与種類数に応じた点数調整の規定もあるため、あわせて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
月の途中で通院・在宅精神療法から精神科継続外来支援・指導料に切り替わった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そのようなケースの扱いまで明記した記載は、今回確認できた資料の範囲では見つけられていません。同一月の重複算定ができない旨は明確なので、個別のケースは審査支払機関に確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
評価尺度はどこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
「薬原性錐体外路症状評価尺度」という名称と、留意事項通知に定める別紙様式33が手がかりになります。実際の様式の入手方法や記載内容は、自院が参照している告示・通知の別紙で確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 精神科継続外来支援・指導料 の記事もあわせてご覧ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。