みらい(新人医療事務)
先輩、在宅の患者さんの記録を見ていたら「特別訪問看護指示加算」っていう項目が出てきたんですけど、これって普段よく見る「訪問看護指示料」と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。特別訪問看護指示加算は、訪問看護指示料(区分C007)の注2に規定されている加算です。ベースの訪問看護指示料300点とは別に、一時的に頻回の訪問看護が必要になったときに上乗せで算定候補になるものなんです。
みらい(新人医療事務)
「一時的に頻回」っていうのがポイントなんですね。具体的にはどういう場面を想定しているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表の該当条文を見てみましょう。まず点数と算定単位から確認します。
特別訪問看護指示加算の点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
まずは点数を整理したいです。
あおい(元・医療事務)
はい、点数区分は次のとおりです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の医科点数表、C007訪問看護指示料の注2に規定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | C007 訪問看護指示料(注2) |
| 加算名 | 特別訪問看護指示加算 |
| 点数 | 100点 |
| 算定回数の限度 | 患者1人につき月1回(別に厚生労働大臣が定める者については月2回) |
| 届出 | 別途の届出は、本加算の算定要件として一次資料の範囲では確認されていません(届出要否は自院の届出状況・審査支払機関で要確認) |
| 対象年度 | 令和8年度(2026年度) |

みらい(新人医療事務)
100点で、月1回が基本。でも「別に厚生労働大臣が定める者」だと月2回まで算定候補になるんですね。この「定める者」って誰のことですか?
あおい(元・医療事務)
これは後ほど詳しく説明しますね。まずは算定要件そのものを一緒に見ていきましょう。
算定要件(どんな場合に算定候補になるか)
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな条件がそろえば算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)に、次のように書かれています。少し長いですが、そのまま引用しますね。「注2」に規定する特別訪問看護指示加算は、患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪、終末期、退院直後等の事由により、週4回以上の頻回の指定訪問看護を一時的に当該患者に対して行う必要性を認めた場合であって、当該患者の同意を得て、別紙様式18を参考に作成した特別訪問看護指示書を、当該患者が選定する訪問看護ステーション等に対して交付した場合に、1月に1回(別に厚生労働大臣が定める者については2回)を限度として算定する、とされています。
みらい(新人医療事務)
「急性増悪、終末期、退院直後等」というのがキーワードなんですね。あと「週4回以上の頻回」というのも具体的です。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここで大事なのは、続きの一文です。「ここでいう頻回の訪問看護を一時的に行う必要性とは、恒常的な頻回の訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている訪問看護の回数では対応できない場合であること」と明記されています。つまり、もともと頻回訪問が定常的に必要な患者さんについて、ずっとこの加算を算定し続けられるという整理ではない、ということですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。一時的な状態変化への対応、というのが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そして、その理由については特別訪問看護指示書に記載することも留意事項通知に明記されています。「また、その理由等については、特別訪問看護指示書に記載すること」とあります。
算定要件のポイント
急性増悪・終末期・退院直後等の事由: 主治医が診療に基づいて一時的な頻回訪問看護の必要性を認めること 週4回以上の頻回: 通常の訪問看護指示の回数では対応できない状態であること 患者の同意: 特別訪問看護指示書の交付には患者の同意が必要 別紙様式18を参考に作成: 特別訪問看護指示書の様式が定められている
実施期間の限度(14日以内)
みらい(新人医療事務)
特別訪問看護指示書を出したら、いつまでも頻回訪問看護を続けていいわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
その通りです。同じ留意事項通知に「なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること」と定められています。つまり、特別の指示に係る診療の日を起点として、14日以内という実施期間の限度があるということです。
みらい(新人医療事務)
14日というのは覚えておかないと危ないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この期間の考え方は自院だけで判断せず、留意事項通知の原文と実際のカルテ記載を突き合わせて確認することをおすすめします。
算定上の注意
頻回の指定訪問看護を実施できる期間は、特別の指示に係る診療の日から14日以内が限度とされています(留意事項通知)。この期間を超えて頻回訪問看護を継続する場合の扱いは、本記事の範囲では確認していません。個別の状況については、自院の届出状況や審査支払機関への確認が必要です。
月2回まで算定候補になる「厚生労働大臣が定める者」
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「厚生労働大臣が定める者」、気になっていました。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に定義が示されています。次の2つのいずれかに該当する場合です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ア | 気管カニューレを使用している状態にある者 |
| イ | 真皮を越える褥瘡の状態にある者(NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度、DESIGN-R2020分類ではD3・D4・D5に相当するもの) |
みらい(新人医療事務)
気管カニューレを使っている方や、褥瘡が進んでいる方だと、月2回まで算定候補になるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、褥瘡の重症度分類(NPUAPやDESIGN-R2020)の当てはめは医学的な評価そのものなので、この記事だけで判断せず、必ず主治医・訪問看護ステーションと確認しながら進めてください。

対象医療機関・対象患者/場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
特別訪問看護指示加算は、在宅の患者さんに対して訪問看護指示料を算定する診療所・病院が対象です。対象は入院患者ではなく、在宅で訪問看護を利用している患者さんという整理になります。別途の届出については、本加算の算定要件として一次資料の範囲では確認されていません。ただし、届出の要否にかかわらず、算定要件(急性増悪等の事由・患者の同意・特別訪問看護指示書の交付)を満たしているかどうかが個別に問われる点は変わりません。
みらい(新人医療事務)
届出がいらなそうだからといって、油断せずに要件をきちんと確認する必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出の要否にかかわらず、「算定した後に要件を満たしていなかった」という事後の指摘リスクは変わらないので、記録の残し方が大事になってきます。届出の要否そのものも、最終的には自院の届出状況や地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
訪問看護に関する加算は、ほかにも似たようなものがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、在宅医療の分野には訪問看護に関する加算がいくつかあります。たとえば夜間・早朝訪問看護加算のように、訪問看護の実施タイミングに応じた加算もあるので、あわせて確認しておくと自院の算定候補の見落としを防ぎやすくなりますよ。
精神科版との違い(取り違えに注意)
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算があるって聞いたんですけど、本当ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、とても紛らわしいので、ここは丁寧に区別しておきましょう。精神科の訪問看護指示料(区分I012-2)にも、よく似た仕組みの加算があります。ただし、こちらは「精神科特別訪問看護指示加算」という別の名前の加算で、根拠となる条文も区分番号も異なります。
みらい(新人医療事務)
名前が本当に似ていますね……。
あおい(元・医療事務)
同じ告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の中に、次のような条文があります。「当該患者が服薬中断等により急性増悪した場合であって、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医(精神科の医師に限る。)が、一時的に頻回の指定訪問看護を行う必要を認め、患者又はその家族等の同意を得て当該患者等の選定する訪問看護ステーションに対して、その旨を記載した精神科訪問看護指示書を交付した場合は、精神科特別訪問看護指示加算として、患者1人につき月1回に限り、100点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
点数は同じ100点なのに、名前も根拠条文も対象になる「指示書」も別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。表にすると次のようになります。
| 項目 | 特別訪問看護指示加算(今回の加算) | 精神科特別訪問看護指示加算 |
|---|---|---|
| 根拠区分 | C007 訪問看護指示料 注2 | I012-2 精神科訪問看護指示料 注2 |
| 主な事由 | 急性増悪、終末期、退院直後等 | 服薬中断等による急性増悪 |
| 交付する指示書 | 特別訪問看護指示書 | 精神科訪問看護指示書 |
| 点数・回数限度 | 100点、月1回(対象者は月2回) | 100点、月1回 |
名称の取り違えに注意
「特別訪問看護指示加算」と「精神科特別訪問看護指示加算」は、名称が似ていますが根拠となる区分番号(C007とI012-2)と算定事由が異なります。カルテ・レセプトを確認する際は、どちらの訪問看護指示書に基づく加算かを条文レベルで必ず確認してください。
併算定に関する留意点
みらい(新人医療事務)
訪問看護指示料自体について、他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
母体となる訪問看護指示料に関する留意点として、同じ告示に「訪問看護指示料を算定した場合には、区分番号I012-2に掲げる精神科訪問看護指示料は算定しない」という規定があります。つまり、訪問看護指示料とⅠ012-2精神科訪問看護指示料は、同一患者について同時に算定するものではないという整理です。
みらい(新人医療事務)
特別訪問看護指示加算は、この訪問看護指示料に付随する加算だから、その前提も踏まえて確認する必要があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。併算定の可否は個別のケースで変わり得るので、レセプトを組む際は必ず最新の告示・留意事項通知の原文と、自院のレセプトコンピュータの設定を突き合わせて確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
気になるところですよね。今回、当サイトが収載している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、留意事項通知)の範囲を確認しましたが、特別訪問看護指示加算そのものの点数・算定要件・対象者の定義について、前回改定からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更なしということも、ちゃんと確認しないとわからないですもんね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「変わっていない」という情報も、実際に条文を読んで初めて言えることです。今後、疑義解釈や訂正通知が出た場合は、当サイトでも随時反映していきます。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
では、実際にうちの患者さんで算定候補になりそうか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 主治医が診療に基づき、急性増悪・終末期・退院直後等の事由で頻回の訪問看護(週4回以上)が一時的に必要と判断しているか確認する
- 患者の同意を得ているか確認する
- 別紙様式18を参考に特別訪問看護指示書を作成し、患者が選定する訪問看護ステーション等に交付しているか確認する
- 交付した指示書の写しをカルテに添付しているか確認する
- 頻回訪問看護の実施が、特別の指示に係る診療の日から14日以内におさまっているか確認する
- 「厚生労働大臣が定める者」(気管カニューレ使用、真皮を越える褥瘡)に該当するかどうかで、月1回か月2回かを確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
理由の記載漏れ: 頻回訪問看護が必要な理由を特別訪問看護指示書に記載していないケース 14日を超えた実施: 特別の指示に係る診療の日から14日を超えて頻回訪問看護を継続してしまうケース 恒常的なケースへの誤用: 一時的な状態変化ではなく、恒常的に頻回訪問が必要な患者に安易に使ってしまうケース 精神科版との混同: 精神科訪問看護指示料(I012-2)の加算と条文を取り違えるケース
みらい(新人医療事務)
どれも、条文をちゃんと読んでいないと気づきにくいところですね。
あおい(元・医療事務)
はい。だからこそ、レセプト担当の方だけでなく、指示書を書く主治医の先生にも、要件を共有しておくことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
Q. 特別訪問看護指示加算に施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが収載している一次資料の範囲では、別途の届出は本加算の算定要件として確認されていません。ただし届出の要否にかかわらず、算定要件(急性増悪等の事由、患者の同意、特別訪問看護指示書の交付など)を満たしているかどうかは個別に確認が必要です。最終的には自院の届出状況や地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
Q. 月に2回算定候補になるのはどんな患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
A. 留意事項通知に定める「厚生労働大臣が定める者」、具体的には気管カニューレを使用している状態にある方、または真皮を越える褥瘡の状態にある方(NPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度、DESIGN-R2020分類D3・D4・D5相当)が対象とされています。該当するかどうかは医学的な評価が必要なので、主治医・訪問看護ステーションと確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 精神科の患者さんにも同じ加算が使えますか?
あおい(元・医療事務)
A. 精神科訪問看護指示料(I012-2)の患者さんについては、根拠条文が異なる「精神科特別訪問看護指示加算」という別の加算が対象になります。名称が似ているため、区分番号と交付する指示書の種類を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 前回の令和6年度改定との違いはありますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが収載している一次資料の範囲では、特別訪問看護指示加算そのものの点数・算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません。今後の疑義解釈等の追加情報にも注意していきましょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。