みらい(新人医療事務)
あおいさん、「内視鏡的留置術加算」っていう名前の加算を見つけたんですけど、これってどんな時に算定候補になるものですか?名前だけだとちょっと想像しにくくて…。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは消化器内視鏡検査の中でも「カプセル型内視鏡」を使う検査に関係する加算です。カプセルを自分で飲み込めない患者さんや、飲み込んでも食道や胃に長く留まってしまう患者さんに対して、内視鏡を使ってカプセルを十二指腸まで誘導した場合に、260点が所定点数に加算されるものなんですよ。
みらい(新人医療事務)
カプセル内視鏡って飲むだけだと思っていました。誘導が必要になることもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。誘導には「内視鏡的挿入補助具」という、薬事承認または認証を得た専用の器具を使います。消化器内視鏡を口から挿入して、この補助具でカプセル型内視鏡を十二指腸まで運ぶ、というイメージです。
対象になる検査は2つ
みらい(新人医療事務)
この加算、どの検査にひもづいているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、対象になる検査区分が2つあります。1つは区分番号「D310」小腸内視鏡検査の「注2」、もう1つは区分番号「D313」大腸内視鏡検査の「注4」です。どちらも内視鏡的留置術加算として260点が加算されますが、対象になるカプセル型内視鏡の項番が異なります。
みらい(新人医療事務)
項番が違うっていうのは、具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
D310小腸内視鏡検査では「3 カプセル型内視鏡によるもの」(1,700点)に対して注2が適用されます。D313大腸内視鏡検査では「2 カプセル型内視鏡によるもの」(1,550点)に対して注4が適用されます。同じ「内視鏡的留置術加算」という名前でも、根拠になっている条文(注2か注4か)と、ひもづく検査項目の番号が違う点は区別して確認してください。
D310とD313、対象条文の違い(令和8年度)
- D310 小腸内視鏡検査「注2」: 「3」カプセル型内視鏡によるもの(1,700点)が対象
- D313 大腸内視鏡検査「注4」: 「2」カプセル型内視鏡によるもの(1,550点)が対象
- いずれも「内視鏡的挿入補助具を用いて行った場合」に限り、内視鏡的留置術加算として260点を所定点数に加算
点数の整理
みらい(新人医療事務)
点数を表にすると分かりやすそうです。
あおい(元・医療事務)
まとめるとこうなります。
| 区分番号 | 検査名(対象項番) | 内視鏡的留置術加算 | 根拠となる注 |
|---|---|---|---|
| D310 | 小腸内視鏡検査「3」カプセル型内視鏡によるもの | 260点 | 注2 |
| D313 | 大腸内視鏡検査「2」カプセル型内視鏡によるもの | 260点 | 注4 |

あおい(元・医療事務)
点数表の原文では、D310について「3について、内視鏡的挿入補助具を用いて行った場合は、内視鏡的留置術加算として、260点を所定点数に加算する。」、D313について「2について、内視鏡的挿入補助具を用いて行った場合は、内視鏡的留置術加算として、260点を所定点数に加算する。」と、それぞれ注の中で規定されています。表現はほぼ同じですが、対象条文(注2/注4)と対象項番(3/2)を取り違えないようにしてくださいね。
どんな患者さんが対象になりますか
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件も知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、「カプセル内視鏡を嚥下できない患者又はカプセル内視鏡が食道若しくは胃に長時間滞留する患者」に対して、消化器内視鏡を経口的に挿入し、薬事承認又は認証を得ている内視鏡的挿入補助具を用いてカプセル型内視鏡を十二指腸に誘導し、D310の「3」またはD313の「2」のカプセル型内視鏡によるものを実施した場合に算定する、とされています。この条件は注2・注4のどちらにも共通して書かれています。
みらい(新人医療事務)
子どもの患者さんの場合は何か違いがありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。15歳未満の患者さんに実施する場合は、「小児の麻酔及び鎮静に十分な経験を有する常勤の医師が1人以上配置されている保険医療機関」で実施することが条件として明記されています。この人員体制が整っているかどうかは、算定候補になるかを左右する重要なポイントです。
D308との併算定に注意
留意事項通知では「この場合、「D308」胃・十二指腸ファイバースコピーの点数は別に算定できない。」と明記されています。内視鏡的留置術加算を算定する検査を実施した際は、D308胃・十二指腸ファイバースコピーを別建てで算定できない可能性がある点を確認してください。
施設基準・体制で確認したいこと
みらい(新人医療事務)
加算そのものの施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
内視鏡的留置術加算に固有の届出施設基準は、今回確認できた留意事項通知の範囲では明記が確認できていません。ただし、この加算がひもづく基礎の検査項目(D310の「3」カプセル型内視鏡、D313の「2」カプセル型内視鏡)には、それぞれ患者要件・体制要件があります。
みらい(新人医療事務)
基礎の検査のほうにも条件があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。D310の「3」カプセル型内視鏡によるものは、「消化器系の内科又は外科の経験を5年以上有する常勤の医師が1人以上配置されている場合に限り算定する」とされ、「カプセル内視鏡の滞留に適切に対処できる体制が整っている保険医療機関において実施すること」も条件になっています。D313の「2」カプセル型内視鏡によるものは、大腸ファイバースコピーが実施困難と判断された患者(癒着による到達困難、身体的負担が大きい合併症を有する場合など)に限り算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、内視鏡的留置術加算を検討する前に、そもそも基礎の検査自体の要件を満たしているかを見る必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で近いです。ただし対象外と決めつけず、まず基礎検査の要件充足を確認したうえで、内視鏡的留置術加算固有の要件(嚥下不能・長時間滞留、補助具の薬事承認、15歳未満の場合の人員配置)を重ねて確認する、という順番になります。
届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
届出はどうすれば良いですか?
あおい(元・医療事務)
内視鏡的留置術加算そのものについて、個別の届出様式が必要かどうかは、今回参照した留意事項通知の中では明記を確認できませんでした。断定はできませんので、基礎となるD310・D313の届出状況とあわせて、地方厚生局または審査支払機関に確認していただくのが確実です。
ガイドライン遵守・記載事項
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、「適応の判断及び実施に当たっては、関連学会が定めるガイドラインを遵守すること」と定められています。また、「内視鏡的挿入補助具を使用した患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を記載する」ことも条件です。この2点はレセプト作成の実務に直結するので、忘れずにチェックしてください。
算定前に確認しておきたいこと
- 薬事承認・認証の確認: 使用する内視鏡的挿入補助具が、カプセル内視鏡の挿入・配置用として薬事承認又は認証を得ているか
- 症状詳記の記載: 診療報酬明細書への症状詳記が必要(記載漏れは差し戻しの原因になりやすい)
- 15歳未満の人員配置: 小児の麻酔・鎮静に十分な経験を有する常勤医師の配置状況
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
内視鏡的留置術加算という名称、そしてD310小腸内視鏡検査の注2・D313大腸内視鏡検査の注4という条文構造自体は、令和4年度に発出された疑義解釈(区分番号「D310」小腸内視鏡検査の注2及び区分番号「D313」大腸内視鏡検査の注4に規定する内視鏡的留置術加算、として言及)の時点で既に存在していたことが確認できます。今回参照できた一次資料の範囲では、令和8年度改定によるこの加算固有の点数・要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら安心ですね。
あおい(元・医療事務)
「変更が確認できない」というのは、あくまで今回参照した資料の範囲での話です。改定のたびに要件が見直される加算もあるので、算定を検討するタイミングでは、必ず最新の告示・留意事項通知を自院でも確認するようにしてくださいね。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象患者か確認する: カプセル内視鏡を嚥下できない、または食道・胃に長時間滞留してしまう患者か
- 使用する補助具を確認する: カプセル内視鏡の挿入・配置用として薬事承認又は認証を得た内視鏡的挿入補助具を保有しているか
- どちらの検査になるか確認する: 小腸を目的とするD310(注2・「3」カプセル型内視鏡)か、大腸を目的とするD313(注4・「2」カプセル型内視鏡)か
- 基礎検査の要件を確認する: D310なら常勤医師の経験年数・滞留対応体制、D313なら大腸ファイバースコピー実施困難の患者要件
- 15歳未満の場合は人員配置を確認する: 小児の麻酔・鎮静に十分な経験を有する常勤医師が1人以上配置されているか
- ガイドライン遵守・症状詳記を確認する: 関連学会のガイドラインに沿った実施か、診療報酬明細書に症状詳記を記載できているか

関連する内視鏡検査の加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
内視鏡検査には他にも加算がありますよね。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちで実施しているカプセル内視鏡検査が、この加算の対象になるか確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。D310とD313どちらの検査に該当するか、内視鏡的挿入補助具の薬事承認状況、患者の該当条件などを整理しながら、確認すべきポイントを一緒に洗い出せます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。内視鏡的留置術加算の算定に際しては、対象条文(D310注2/D313注4)と対象患者要件、施設の人員体制を必ず自院で確認してください。