みらい(新人医療事務)
先輩、「地域連携夜間・休日診療料」ってレセプトで見かけたんですが、これってうちの診療所でも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは夜間や休日に地域の医師が連携して救急患者を診る体制を評価する診療料なんです。まずは制度の全体像から確認していきましょう。
地域連携夜間・休日診療料とは
みらい(新人医療事務)
そもそもどういう場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号B001-2-4「地域連携夜間・休日診療料」ですね。留意事項通知では「地域連携夜間・休日診療料は、保険医療機関が地域の他の保険医療機関の医師と連携をとりつつ、救急医療の確保のために、夜間、休日又は深夜に診療が可能な体制を保つことを評価するものである」と説明されています。1つの医療機関が単独で夜間当番をこなすのではなく、地域の医師会などと連携して急病センターのような体制を組む場合に候補になる診療料です。
みらい(新人医療事務)
「在宅当番医制」とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが重要なポイントです。留意事項通知には「地域連携夜間・休日診療料は地域の夜間・急病センター、病院等において地域の医師が連携・協力して、診療に当たる体制を評価したものであり、在宅当番医制で行う夜間・休日診療においては算定できない」と明記されています。単純な輪番の在宅当番医制とは区別される点に注意が必要です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1には「夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間、休日又は深夜において、入院中の患者以外の患者(区分番号B001-2-2に掲げる地域連携小児夜間・休日診療料を算定する患者を除く。)に対して診療を行った場合に算定する」とあります。つまり、入院中の患者は対象外、そして小児を対象にした「地域連携小児夜間・休日診療料(B001-2-2)」を算定する患者も除かれます。
みらい(新人医療事務)
対象患者にも制限があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知の(3)には「地域連携夜間・休日診療料は、夜間、休日又は深夜に急性に発症し、又は増悪した患者であって、やむを得ず当該時間帯に保険医療機関を受診するものを対象としたものである。したがって、慢性疾患の継続的な治療等のための受診については算定できない」とあります。急性期の救急対応が前提であって、慢性疾患の定期受診には使えない点は誤解しやすいので気をつけたいところです。
みらい(新人医療事務)
家族が代わりに相談に来たようなケースはどうですか?
あおい(元・医療事務)
それも対象外です。留意事項通知(8)には「患者本人が受診せず、家族などに対して指導等を行った場合には、当該診療料は算定できない」と明記されています。必ず患者本人を診療した場合が前提になります。
点数と院内トリアージ実施体制加算(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、地域連携夜間・休日診療料は200点です。さらに注2として「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関においては、院内トリアージ実施体制加算として、50点を所定点数に加算する」とされています。基本の点数に加えて、体制が整っていれば加算候補になる、という2段構えの構造です。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 算定条件の要点 |
|---|---|---|
| 地域連携夜間・休日診療料(B001-2-4) | 200点 | 施設基準の届出・夜間/休日/深夜・入院外患者 |
| 院内トリアージ実施体制加算(注2) | +50点 | 別途施設基準の届出が必要 |

みらい(新人医療事務)
200点と50点、どちらも届出が前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。地域連携夜間・休日診療料そのものも、院内トリアージ実施体制加算も、それぞれ別の施設基準に基づく届出が地方厚生局長等に受理されていることが前提になります。届出をしていない医療機関は、どちらの点数についても算定候補にはなりません。
回数制限に関する注意
留意事項通知(6)では「一連の夜間及び深夜又は同一休日に、同一の患者に対しては、地域連携夜間・休日診療料は原則として1回のみ算定する」とされています。病態の変化などでやむを得ず複数回受診があった場合は、診療報酬明細書の摘要欄に理由を詳細に記載することが求められます。
施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
地域連携夜間・休日診療料の施設基準(特掲診療料の施設基準等)には、次のような項目が挙げられています。
地域連携夜間・休日診療料の施設基準(要点)
- 救急患者を夜間、休日又は深夜において診療することができる体制を有していること
- 夜間、休日又は深夜に診療を担当する医師(近隣の保険医療機関を主たる勤務先とする者に限る)として3名以上を届け出ていること。診療を行う時間においては当該医療機関内に常時医師が2名以上配置されており、患者の来院状況に応じて速やかに対応できる体制があること
- 地域に、夜間・休日・深夜であって救急医療確保のためにあらかじめ定めた診療時間が周知されていること
- 緊急時に患者が入院できる体制、または他院との連携で入院できる体制が整備されていること
- 末梢血液一般検査、エックス線撮影を含む必要な診療が常時実施できること(同一敷地内の別の保険医療機関の設備を用いる場合も可)
みらい(新人医療事務)
院内トリアージ実施体制加算の方にも別の基準があるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。院内トリアージ実施体制加算の施設基準は、地域連携夜間・休日診療料の施設基準とは別に定められています。
院内トリアージ実施体制加算の施設基準(要点)
- トリアージ目標開始時間・再評価時間、トリアージ分類、トリアージの流れを含む院内トリアージの実施基準を定め、定期的に見直しを行っていること
- 患者に対して院内トリアージの実施について説明を行い、院内の見やすい場所への掲示等で周知していること
- 掲示事項は原則としてウェブサイトに掲載していること(自ら管理するホームページ等を有しない場合を除く)
- 専任の医師、または救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師が配置されていること
みらい(新人医療事務)
医師3名以上の届出と、常時2名以上の配置、両方満たす必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出医師数(3名以上)と、診療時間中の実配置数(常時2名以上)は別の要件として書かれているので、両方を満たしているか自院の体制表で確認することをおすすめします。なお、地域連携小児夜間・休日診療料の届出医師・診療医師とは兼務できますが、成人を診療できる体制であることが前提です。
届出の手続き
みらい(新人医療事務)
届出にはどんな書類が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
届出に関する事項として、次のように整理されています。
届出書類の要点
- 地域連携夜間・休日診療料の施設基準に係る届出は、別添2の様式7の2を用いる
- 院内トリアージ実施体制加算の施設基準に係る届出は、別添2の様式7の1の2を用いる
- 開放利用に関わる地域の医師会等との契約、および当該医療機関の運営規程等を記載する
みらい(新人医療事務)
2つの加算で別の様式を使うんですね、間違えやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。地域連携夜間・休日診療料本体と、院内トリアージ実施体制加算は届出様式が異なるので、どちらか一方だけ届出済みで、もう一方が未届けというケースも起こりえます。両方を算定候補にしたい場合は、それぞれの届出状況を分けて確認するのが安全です。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけるべき点はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、診療の記録面です。留意事項通知(4)(5)には「夜間、休日又は深夜における担当医師名とその主たる勤務先について、予定表を作成し院内に掲示するものとする」「地域連携夜間・休日診療料を算定する場合にあっては、診療内容の要点、診療医師名及びその主たる勤務先名を診療録に記載するものとする」とあります。
みらい(新人医療事務)
予定表の掲示と、診療録への記載が両方必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。それから、入院との関係も見ておきましょう。留意事項通知(7)には「入院中の患者については、地域連携夜間・休日診療料は算定できない。ただし、患者が地域連携夜間・休日診療料を算定すべき診療を経た上で入院した場合は、算定できる」とあります。診療後に入院となった場合の扱いは例外的に認められている、という整理です。
みらい(新人医療事務)
院内トリアージ実施体制加算はどんな場面で算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(10)には「専任の医師又は救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師により、時間外、休日又は深夜において救急外来を受診した患者(救急用の自動車及び救急医療用ヘリコプターで搬送された患者を除く。)に対して院内トリアージを実施する体制が整備されている保険医療機関において診療を行った場合に、当該患者について、院内トリアージ実施体制加算の施設基準に定める体制が確保されている時間帯に限り算定する」とあります。救急車・ドクターヘリで搬送された患者は対象外という点も見落としやすいポイントです。
トリアージの説明義務
留意事項通知(10)では「院内トリアージを行う際には、患者又はその家族等に対して、十分にその趣旨を説明すること」も求められています。体制を整えるだけでなく、患者への説明が運用として行われているかも確認しておきたい項目です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から何か変わった点はあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収載している一次資料は令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知が中心で、令和6年度時点の同じ文書との突き合わせ資料は今のところ確認できていません。そのため、点数(200点・院内トリアージ実施体制加算50点)や施設基準の記載内容が前回改定からどう変わったかは、この記事の時点では確認できていない状態です。
みらい(新人医療事務)
確認できていないなら、どう考えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
今の時点でお伝えできるのは、令和8年度の現行制度としては200点+院内トリアージ実施体制加算50点、施設基準・届出の内容は本記事に記載のとおり、ということです。前回改定からの変更点を厳密に知りたい場合は、厚生労働省が公表している改定関連資料(個別改定項目についてなど)を医療機関側でも直接確認することをおすすめします。当サイトでも一次資料が確認でき次第、この記事を更新します。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何から確認したらいいですか?
あおい(元・医療事務)
順を追って確認していきましょう。
自院で確認する順番
- 夜間・休日・深夜に地域の医師と連携して救急患者を診療する体制があるか(単独の在宅当番医制ではないか)
- 診療を担当する医師を3名以上届け出ており、診療時間中は常時2名以上を配置できているか
- 末梢血液一般検査・エックス線撮影を含む必要な診療が常時実施できるか、緊急時の入院体制があるか
- 地域連携夜間・休日診療料の施設基準届出(様式7の2)を地方厚生局に提出し受理されているか
- 院内トリアージを実施する場合は、専任の医師または救急医療3年以上の経験を持つ専任看護師を配置し、様式7の1の2で別途届出しているか

みらい(新人医療事務)
2種類の届出があること、ここでもう一度整理できました。
あおい(元・医療事務)
大事なポイントなので繰り返しますね。地域連携夜間・休日診療料本体の届出と、院内トリアージ実施体制加算の届出は別物です。どちらも算定候補にしたいなら、両方の様式・両方の施設基準を個別に満たしているか確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型例があります。
よくある取り漏れ
- 院内トリアージ実施体制加算の未届出: 地域連携夜間・休日診療料本体は届出済みでも、院内トリアージ実施体制加算は別途届出が必要なため、体制があっても未届けで50点を取りこぼしているケース
- 診療録記載の不備: 診療内容の要点・診療医師名・主たる勤務先名の記載が漏れていると、算定の根拠資料として不十分になりうる
- 複数回受診時の摘要欄記載漏れ: 同一夜間・深夜・休日に2回以上算定する場合の理由記載を忘れているケース
- 救急搬送患者への誤算定: 救急用自動車・救急医療用ヘリコプターで搬送された患者について院内トリアージ実施体制加算を算定してしまうケース(対象外)
みらい(新人医療事務)
届出の有無と、日々の記録、両方をセットで見直す必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。点数表の要件を満たしていても、記録や摘要欄の記載が不十分だと審査の場面で確認が必要になることがあります。日々の運用ルールとして定着させておくのが安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、令和8年度の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号、区分番号B001-2-4 地域連携夜間・休日診療料) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号、地域連携夜間・休日診療料関連部分)
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号、地域連携夜間・休日診療料・院内トリアージ実施体制加算に関する施設基準)
※留意事項通知・施設基準通知は改定に伴う訂正等でPDFの掲載番号が変更される場合があります。当サイトで確認できるURLが変わった場合は、厚生労働省の診療報酬改定関連ページから該当文書名で検索してください。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。