みらい(新人医療事務)
「気管、気管支用アプリケーター加算」っていう名前を初めてレセプトで見たんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
放射線治療の中でも「密封小線源治療」という治療法に付く加算です。がんの病巣のすぐ近くに小さな放射線源を入れて、体の外からではなく体の中から照射する治療なのですが、その際に気管や気管支に専用のアプリケーター(細い器具)を挿入して照射した場合に、この加算が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「密封小線源治療」がベースにあって、そこに器具の種類でプラスされる加算、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医科診療報酬点数表ではM004「密封小線源治療」の注5に定められていて、令和8年度(2026年度)の告示(厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」令和8年厚生労働省告示第69号 別表第一 医科診療報酬点数表 M004 注5)では「食道用アプリケーター又は気管、気管支用アプリケーターを使用した場合は、食道用アプリケーター加算又は気管、気管支用アプリケーター加算として、それぞれ6,700点又は4,500点を所定点数に加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
食道用は6,700点、気管・気管支用は4,500点なんですね。似た名前の加算がふたつあるので、間違えないようにしないと。
どんな場面で使う加算?
みらい(新人医療事務)
そもそも「密封小線源治療」って、どんな患者さんに行う治療なんですか?
あおい(元・医療事務)
主に肺がん・気管支がん・食道がんなど、腔内や組織内に放射線源を近接させて照射する治療で使われます。気管・気管支の内腔に病変がある場合に、気管支鏡などを使って専用のアプリケーターを病変の近くまで挿入し、そこから密封小線源(高線量率イリジウムなど)を送り込んで照射する、という流れです。
みらい(新人医療事務)
つまり「気管、気管支用アプリケーター加算」は、単独の処置ではなく、密封小線源治療をやったときの付随加算ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。単独の患者さんの症状だけでは判断できず、「密封小線源治療の腔内照射や組織内照射を、気管・気管支用のアプリケーターを使って実施したかどうか」がポイントになります。カルテや治療録に、使用したアプリケーターの種類が明記されているかを確認するのが第一歩です。
みらい(新人医療事務)
放射線治療科や呼吸器内科がある病院での話、というイメージでいいですか?
あおい(元・医療事務)
おおむねそうですね。密封小線源治療自体が高度な放射線治療なので、実施できる医療機関は放射線治療の体制が整った病院が中心になります。ただし、正確には施設ごとの体制次第なので、断定せず「実施しているかどうか」から確認していくのが安全です。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか? ベースの密封小線源治療の点数も知りたいです。
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度告示(厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく点数は次の表のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| M004-1 | 外部照射 | 80点 |
| M004-2イ | 腔内照射(高線量率イリジウム照射/新型コバルト小線源治療装置使用) | 12,000点 |
| M004-2ロ | 腔内照射(その他) | 5,000点 |
| M004-3イ | 組織内照射(前立腺癌に対する永久挿入療法) | 48,600点 |
| M004-3ロ | 組織内照射(高線量率イリジウム照射等) | 23,000点 |
| M004-3ハ | 組織内照射(その他) | 19,000点 |
| M004-4 | 放射性粒子照射(本数に関係なく) | 8,000点 |
| M004注5(食道用) | 食道用アプリケーター加算 | 6,700点 |
| M004注5(気管・気管支用) | 気管、気管支用アプリケーター加算 | 4,500点 |

みらい(新人医療事務)
気管、気管支用アプリケーター加算は、あくまでベースの治療の点数に上乗せする加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。密封小線源治療の点数(腔内照射5,000点や12,000点など)に、この4,500点を加算する形になります。単独では算定できない点は、レセプトを作るときに見落としやすいので注意が必要です。
医科診療行為マスターとの対応
当サイトの整理では、この加算は医科診療行為マスター上のコード「180018870」に対応する概念として登録しています。実際の請求では、密封小線源治療本体のコードとあわせてレセプトコンピュータのマスターで確認するのが確実です。
注1~注8の全体像(一連の算定ルール)
みらい(新人医療事務)
注のところに、他にもいろいろ書いてありますよね。全部見ておいたほうがいいですか?
あおい(元・医療事務)
気管、気管支用アプリケーター加算に直接関わる部分だけでも押さえておくと安心です。同告示のM004注1には「疾病、部位又は部位数にかかわらず、一連につき算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「一連につき」というのがポイントですか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ治療の中で複数回照射しても、疾病や部位の数にかかわらず、一連の治療として1回の算定になります。回数を分けて何度も算定できるわけではない、という点は特に確認が必要です。
注8との混同に注意
M004注8には「画像誘導密封小線源治療(IGBT)加算」という別の加算があり、こちらは「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」で「放射線治療を専ら担当する常勤の医師」が行った場合に限り、一連につき1,200点を加算するものです。気管、気管支用アプリケーター加算(注5)とは対象・要件が異なる別の加算なので、取り違えないようにしてください。
施設基準・届出はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
気管、気管支用アプリケーター加算そのものには、届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度告示のM004注5の条文を確認した範囲では、気管、気管支用アプリケーター加算そのものについて、個別の施設基準や届出は明記されていません。先ほどの注8(画像誘導密封小線源治療加算)のように「届け出た保険医療機関において」という文言は、注5には付いていないんです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで算定できる、と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。密封小線源治療自体が高度な放射線治療なので、実施する医療機関としての体制(放射線治療の専門医の配置、機器の管理体制など)は当然必要になりますし、告示・通知の全体を踏まえた運用上の確認が必要な場合もあります。当サイトが確認できた一次資料の範囲では「注5自体に個別の届出条項は見当たらない」というところまでで、最終的な要否は自院の顧問社労士や地方厚生局への確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から、この加算の点数や要件は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
確認してみましょう。令和6年度の告示(厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示」令和6年厚生労働省告示第57号 別表第一 医科点数表 M004 注5)でも、同じく「食道用アプリケーター又は気管、気管支用アプリケーターを使用した場合は、食道用アプリケーター加算又は気管、気管支用アプリケーター加算として、それぞれ6,700点又は4,500点を所定点数に加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
あれ、令和8年度の条文とまったく同じ文章ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが確認した令和6年度(2024年度)改定・令和8年度(2026年度)改定それぞれの告示原文を照らし合わせた範囲では、気管、気管支用アプリケーター加算の点数(4,500点)・算定要件(食道用アプリケーター又は気管、気管支用アプリケーターを使用した場合)に変更は確認されていません(2026年8月時点・厚労省告示原文ベース)。
前回改定(令和6年度)との対比
・令和6年度(2024年度)改定: M004注5 気管、気管支用アプリケーター加算 4,500点(食道用アプリケーター加算は6,700点) ・令和8年度(2026年度)改定: M004注5 気管、気管支用アプリケーター加算 4,500点(食道用アプリケーター加算は6,700点)※当サイトが確認した告示原文の範囲では同一
みらい(新人医療事務)
点数が変わらない加算もあるんですね。てっきり改定のたびに全部見直されるのかと思っていました。
あおい(元・医療事務)
加算によります。今回は密封小線源治療の全体の点数体系ごと据え置かれていた、という状態ですね。ただし、施設基準の通知や留意事項通知など、告示以外の部分で運用が変わっている可能性もゼロではないので、実際に算定する際は最新の通知もあわせて確認するのが安全です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で算定候補になるか確認するとき、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくとスムーズです。
自院で確認する順番
- 密封小線源治療(腔内照射・組織内照射など)を実施したかどうかをカルテ・治療記録で確認する
- その治療で気管・気管支用のアプリケーターを使用したかどうかを確認する
- 同一の一連の治療の中で、すでに気管、気管支用アプリケーター加算を算定していないか(一連につき1回)を確認する
- 食道用アプリケーター加算など、似た名前の加算と取り違えていないか確認する
- 密封小線源治療本体のレセプトコードとあわせて、医科診療行為マスターのコード(180018870)で最終確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
取り漏れの典型パターン
食道用との取り違え: 食道がんの治療で食道用アプリケーター(6,700点)を使ったのに、気管、気管支用アプリケーター加算(4,500点)で誤って登録してしまうケース。 加算の単独算定漏れ: 密封小線源治療本体は算定しているのに、アプリケーター加算の入力自体を忘れてしまうケース。 一連の考え方の誤解: 同じ一連の治療内で複数回照射しても、加算は一連につき1回である点を見落として重複算定してしまうケース。
みらい(新人医療事務)
名前が似ている加算同士の取り違えは、たしかにやってしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
レセプトチェックの段階で「使用したアプリケーターの部位(食道か、気管・気管支か)」を治療記録と突き合わせる運用にしておくと、取り違えを防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。