みらい(新人医療事務)
先生、「深夜往診加算」ってうちのクリニックでも算定候補になるものですか? 往診は月に何件かあるんですけど、深夜の対応もたまにあって。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。深夜往診加算は、往診料(C000)に上乗せする加算のひとつです。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、往診料の「注1」に規定されています。まずは何のための加算か、順番に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
往診料に「上乗せ」ということは、往診料だけでは深夜対応分は評価されないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の告示では、往診料そのものは720点で、そこに緊急往診加算・夜間・休日往診加算・深夜往診加算のいずれかを加算する仕組みになっています。深夜往診加算はこのうち、午後10時から午前6時までの時間帯に往診を行った場合の加算候補です。
深夜往診加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「深夜」ってどこからどこまでなんですか? 感覚的には夜遅くなら何でも深夜な気がしちゃいます。
あおい(元・医療事務)
そこは厚生労働省の留意事項通知で明確に定義されています。「夜間(深夜を除く。)とは午後6時から午前8時までとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする」とされていて、18時〜22時と6時〜8時の部分は夜間・休日往診加算の対象、22時〜翌6時の部分が深夜往診加算の対象という整理です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、夜間の中でもさらに深い時間帯だけが深夜往診加算になるんですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。加えて、往診料そのものにも要件があります。留意事項通知では「往診料は、患者又は家族等の患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には算定できない」と説明されています。つまり、深夜に定期訪問しても往診料自体の対象にはならないということです。
定期・計画的な訪問は往診料の対象外
深夜であっても、あらかじめ計画されていた定期訪問は往診料(したがって深夜往診加算も)の対象にはなりません。往診は「患者・家族からの求めに応じた緊急性のある訪問」であることが前提です。訪問診療として扱うべきケースかどうか、記録段階で確認が必要です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
深夜往診加算の点数って、どの医療機関でも同じ点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが少し複雑なところです。告示では大きく2つの軸で点数が分かれています。ひとつは「別に厚生労働大臣が定める患者」に対して行う往診かどうか、もうひとつは自院が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届け出ているかどうか、届け出ている場合はさらに病床の有無です。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める患者」というのは、どういう患者さんのことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは告示上の別区分で定められている対象で、当サイトが収録している一次資料の範囲では具体的な患者像までは確認できていません。この部分は個別の告示・通知を確認するか、加算チェッカーで自院の状況を照らし合わせて確認することをおすすめします。曖昧なまま「対象患者だから2,700点」と判断するのは避けたいところです。
点数区分を決める2つの軸
厚生労働大臣が定める患者かどうか: 対象患者に該当するかで点数の土台が変わります。自院の届出区分: 在宅療養支援診療所・病院として届け出ているか、届け出ている場合は病床の有無で加算額が変わります。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を見てみたいです!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく深夜往診加算の点数区分は次のとおりです。往診料720点に、この表の点数を加算します。

| 区分 | 医療機関・患者の条件 | 深夜往診加算 |
|---|---|---|
| イ(1) | 厚生労働大臣が定める患者・在支診/在支病(別に定めるもの)・病床を有する場合 | 2,700点 |
| イ(2) | 厚生労働大臣が定める患者・在支診/在支病(別に定めるもの)・病床を有しない場合 | 2,500点 |
| ロ | 厚生労働大臣が定める患者・在支診/在支病(イに規定するものを除く) | 2,300点 |
| ハ | 厚生労働大臣が定める患者・イ/ロ以外の保険医療機関 | 1,300点 |
| ニ | 厚生労働大臣が定める患者以外の患者に対して行う場合 | 485点 |
みらい(新人医療事務)
同じ深夜往診でも、点数が2,700点から485点まで開きがあるんですね。うちがどこに当てはまるのか、慎重に確認しないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。自院が在宅療養支援診療所・病院として届け出ているか、届け出ている場合は病床があるかどうかで、算定候補になる点数の区分が変わってきます。届出状況が変われば区分も変わるので、届出台帳と実際の運用が一致しているかも合わせて確認したいところです。
深夜の時間帯・標榜時間との関係
みらい(新人医療事務)
さっき「深夜は午後10時から午前6時」とうかがいましたけど、うちのクリニックは深夜も診療している日があります。その場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは見落としやすいポイントです。留意事項通知には「これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合、夜間・休日往診加算及び深夜往診加算は算定できない」と明記されています。つまり、深夜の時間帯がもともと自院の標榜診療時間に含まれている場合、その時間帯の往診は深夜往診加算の対象にならない可能性があります。
標榜時間が深夜帯に及ぶ医療機関は要確認
24時間診療や夜間外来を標榜している医療機関では、標榜時間と深夜往診加算の対象時間帯が重なっていないか確認が必要です。標榜時間内の往診は、深夜であっても加算の対象外になる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
標榜時間の設定次第で算定できるかどうかが変わってくるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ここは自院の届出内容(診療時間)と実際の往診記録を突き合わせて確認するしかありません。判断に迷う場合は、審査支払機関への確認も選択肢です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
深夜往診加算そのものに、届出が必要な施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
深夜往診加算自体を単独で新たに届け出るという形ではなく、点数区分が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の届出状況によって変わる、という構造になっています。在支診・在支病としての施設基準に適合し届け出ているかどうかが、どの区分の点数になるかを左右します。
みらい(新人医療事務)
つまり、届出の有無を確認しないと、自院がどの点数の区分になるか分からないということですね。
あおい(元・医療事務)
そういうことです。届け出ていない場合と、病床の有無で分かれる場合とで点数が変わるので、まずは自院の在支診・在支病の届出状況を総務・事務部門で確認することが最初のステップになります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、往診料の「注1」に規定される所定点数は、往診料に緊急往診加算・夜間休日往診加算・深夜往診加算などの加算点数を合算した点数を指します。深夜往診加算は、緊急往診加算や夜間・休日往診加算と重ねて算定するものではなく、該当する時間帯の区分ひとつを選ぶ形です。
みらい(新人医療事務)
重複して算定してしまわないように気をつけないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。加えて、患家における診療時間が1時間を超えた場合は、患家診療時間加算として30分またはその端数を増すごとに100点を別途加算できる、といった関連ルールもあります。深夜往診加算とあわせて、診療時間の記録も残しておくと確認がスムーズです。
記録として残しておきたい情報
往診を求められた時刻と経緯: 電話等で緊急に求められたことが分かる記録。実際に診療を行った時刻: 深夜(22時〜6時)にかかっているかの確認材料。診療時間: 患家滞在時間が1時間を超えたかどうかの判断材料。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、深夜往診加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している厚生労働省の告示・留意事項通知の範囲では、令和8年度改定において深夜往診加算そのものの新設・廃止といった変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。往診料の注1に規定される加算体系として、令和8年度も引き続き維持されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今までどおりの理解で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
基本的な仕組みは維持されていますが、点数改定のたびに区分や金額が見直される可能性はあります。「変更がなかった」という情報も含めて、算定の都度、最新の告示・通知を確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの場合はどう確認していけばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの確認順序を整理しますね。

自院で確認する順番
- 往診の経緯が「患者・家族からの求めに応じた緊急対応」であり、定期・計画的な訪問ではないことを確認する
- 実際に診療を行った時刻が午後10時から午前6時の深夜帯に該当するかを確認する
- その深夜帯が自院の標榜診療時間に含まれていないかを確認する
- 自院が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届け出ているか、届け出ている場合は病床の有無を確認する
- 上記を踏まえて、該当する点数区分(2,700点〜485点)の候補を整理し、レセプト担当者・院長で共有する
みらい(新人医療事務)
一つひとつ確認していけば、抜け漏れも防げそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
実際の現場でありがちな取り漏れパターンも共有しておきますね。
取り漏れが起きやすいポイント
時刻の記録が曖昧: 「深夜だった気がする」で処理してしまい、実際は22時前後で夜間・休日往診加算の対象だった、というケース。標榜時間の見落とし: 夜間外来を標榜しているクリニックで、標榜時間内の往診まで深夜往診加算として計上してしまうケース。届出区分の未確認: 在支診・在支病の届出内容が変わっていたのに、以前の区分のまま加算点数を計上してしまうケース。
計画的な訪問との混同に注意
「深夜に様子を見に行った」ケースでも、事前に計画されていた訪問であれば往診料・深夜往診加算の対象にはなりません。緊急性の記録が残っているかを都度確認しましょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。