みらい(新人医療事務)
先生、「精神科特別訪問看護指示加算」っていうのを初めて見たんですが、これって普通の「特別訪問看護指示加算」と同じものですか?
あおい(元・医療事務)
似た名前ですが別物ですよ。今日確認するのは精神科版です。精神科訪問看護指示料(I012-2)の注2に規定されている加算で、精神科の医師が交付する「精神科訪問看護指示書」に関するものです。一般科の患者向けの「特別訪問看護指示加算」(C007訪問看護指示料の注2)とは条文も対象患者も別なので、混同しないように気をつけましょうね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、精神科の患者さん向けなんですね。具体的にはどんな場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
服薬中断などで患者さんの状態が急に悪化してしまい、いつもより頻繁に訪問看護が必要になった、という場面です。そのときに精神科の医師が「一時的に頻回の指定訪問看護が必要」と判断し、その旨を記載した精神科特別訪問看護指示書を訪問看護ステーションに交付した場合に、算定候補になります。
精神科特別訪問看護指示加算とは
みらい(新人医療事務)
「精神科訪問看護指示料」と「精神科特別訪問看護指示加算」の関係を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
精神科訪問看護指示料(I012-2)は、精神科の医師が訪問看護ステーションに対して指示を出したときに算定する項目です。この指示料の注2に定められているのが、今日の主役である精神科特別訪問看護指示加算です。一次資料ではこう書かれています。「当該患者が服薬中断等により急性増悪した場合であって、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医(精神科の医師に限る。)が、一時的に頻回の指定訪問看護を行う必要を認め、患者又はその家族等の同意を得て当該患者等の選定する訪問看護ステーションに対して、その旨を記載した精神科訪問看護指示書を交付した場合は、精神科特別訪問看護指示加算として、患者1人につき月1回に限り、100点を所定点数に加算する」とされています。
みらい(新人医療事務)
「一時的に頻回」というのが引っかかります。具体的にどれくらいの状態を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
これは留意事項通知(保医発0305第6号、令和8年3月5日)で補足されています。「恒常的な頻回の指定訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている指定訪問看護の回数では対応できない場合」とされています。つまり普段からずっと頻回に訪問している患者さんではなく、一時的な悪化に対して短期間だけ回数を増やす場合が対象、という整理です。この区別は自院だけで判断せず、必ず条文の文言と照らし合わせて確認が必要です。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
この加算は診療所・病院いずれも対象になり得ますし、在宅療養の患者さんが対象になります。ただし、入院中の患者さんや外来受診のみの場面は対象外の可能性が高いです。あくまで在宅で療養している患者さんに対して、精神科の医師が指定訪問看護の指示を行う場面が前提になります。
みらい(新人医療事務)
「精神科の医師」というのは、精神科を標榜していれば誰でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
条文では「当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医(精神科の医師に限る。)」とされています。つまり、その患者さんの診療を実際に担当している精神科の医師である必要があります。標榜科だけでなく、実際の診療担当者が精神科の医師かどうかを自院で確認することが大切です。
点数・コード
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。年度は令和8年度で確認しています。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 精神科特別訪問看護指示加算 |
| 点数 | 100点 |
| 算定回数 | 患者1人につき月1回に限り |
| 区分 | 精神科訪問看護指示料(I012-2)注2 |
| 医科診療行為マスターコード | 180038770(当サイト収録マスター照合値) |
| 届出 | 不要 |
| 施設基準 | 不要 |
みらい(新人医療事務)
届出も施設基準もいらないんですね。それは助かります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算自体には届出や施設基準は定められていません。ただし、届出不要だからといって算定要件そのものが緩いわけではないので、次に説明する要件はしっかり確認してくださいね。
算定要件を詳しく確認する
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな手順を踏めば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の該当箇所を確認しましょう。ここも一次資料の文言をそのまま押さえておくのが安全です。
算定要件の一次資料(留意事項通知)
「注2」に規定する精神科特別訪問看護指示加算は、当該患者が服薬中断等により急性増悪した場合であって、当該患者の診療を担う保険医(精神科の医師に限る。)が、一時的に頻回の指定訪問看護を当該患者に対して行う必要性を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、別紙様式17の2を参考に作成した精神科特別訪問看護指示書を、当該患者等が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に、月1回に限り算定する。なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること。
みらい(新人医療事務)
「14日以内」というのは初めて知りました。これを見落としたら算定できなくなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは自院だけで断定はできませんが、留意事項通知に明記されている期間なので、指示書を交付してから頻回訪問看護が実施される時期を確認しておくべきポイントです。指示を出したのに実際の頻回訪問がずっと後になった、というケースは要確認事項として記録しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
指示書を作るときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の別の項目に、指示書の記載事項が定められています。
指示書作成時の記載事項(留意事項通知より)
患者の診療を行った精神科の医師は、指定訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに精神科訪問看護指示書及び精神科特別訪問看護指示書を作成すること。当該精神科訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った保険医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護ステーションに交付すること。また、当該精神科訪問看護指示書等には、原則として主たる傷病名の傷病名コードを記載すること。
みらい(新人医療事務)
電話番号や傷病名コードの記載漏れ、地味に見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。様式自体は別紙様式17の2を参考にするとされていますが、緊急連絡先と傷病名コードの記載は明記された要件なので、指示書を作る担当者と共有しておくとよいですね。
併算定・記録に関する注意
みらい(新人医療事務)
他の指示料や加算と一緒に算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体の併算定制限について、当サイトが確認した一次資料の範囲では明記されていません。ただし、精神科訪問看護指示料そのものは「同一月において、1人の患者について複数の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した場合であっても、当該指示料は、1月に1回を限度に算定する」とされており、指示料本体の算定回数ルールとの整合は必ず確認してください。個別のレセプト状況によって判断が変わり得るため、対象外と決めつけず、審査支払機関への確認も含めて要確認として扱うのが安全です。
あおい(元・医療事務)
また、交付した指示書の写しは診療録に添付することが留意事項通知で定められています。
記録の保管
主治医は、交付した精神科訪問看護指示書等の写しを診療録に添付すること。
みらい(新人医療事務)
記録の保管まで一次資料に書かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。届出や施設基準がない分、記録の残し方が後から算定根拠を確認するときの頼りになります。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の一次資料(留意事項通知・保医発0305第6号、令和8年3月5日)の記載内容を確認した範囲では、精神科特別訪問看護指示加算の点数(100点)、算定要件、届出不要という扱いに、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。「一時的に頻回の指定訪問看護」の考え方や14日以内という実施期間の記載も同様の内容で維持されています。
前回改定(令和6年度)との対比
点数・算定要件ともに、令和6年度時点の記載内容から大きな変更は確認されていません。ただし今後の改定で条文が見直される可能性はあるため、算定のたびに最新の一次資料(留意事項通知・告示)を確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
変わっていないとはいえ、毎回確認するくせをつけておいた方が良さそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。変更がない年でも、思い込みで確認を省略せず、最新の一次資料に当たる習慣は続けてください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どの順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の記載順に沿って、確認する順番をまとめますね。
自院で確認する順番
- 対象患者の状態確認: 服薬中断等により患者さんが急性増悪していないか、精神科の医師が診療に基づき確認する
- 一時的な必要性の判断: 恒常的な頻回訪問ではなく、一時的な状態変化への対応かどうかを確認する
- 同意取得: 患者本人またはその家族等から同意を得る
- 指示書作成: 別紙様式17の2を参考に精神科特別訪問看護指示書を作成し、緊急連絡先・傷病名コードを記載する
- 交付: 患者等が選定する訪問看護ステーションに指示書を交付する
- 実施期間の確認: 交付日から14日以内に頻回の指定訪問看護が実施されているか確認する
- 記録保管と算定: 指示書の写しを診療録に添付し、患者1人につき月1回に限り100点を算定候補として整理する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントはどこですか?
あおい(元・医療事務)
私がよく見るのはこのあたりです。
よくある取り漏れ
恒常的な頻回訪問との混同: 普段から頻回訪問が必要な患者さんに対して、この加算を算定候補としてしまうケース。「一時的」かどうかの判断が要確認です。
指示書の記載漏れ: 緊急連絡先や傷病名コードの記載が抜けたまま指示書を交付してしまうケース。
実施期間の未確認: 指示書交付後、14日以内に頻回の指定訪問看護が実施されたかを確認しないまま算定してしまうケース。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか? まず、月に2回以上服薬中断が起きた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「患者1人につき月1回に限り」と明記されています。月内に複数回の急性増悪があった場合の取り扱いについては、当サイトが確認した資料の範囲では詳細が書かれていないため、要確認として審査支払機関等に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーション側で何か準備しておくことはありますか?
あおい(元・医療事務)
この記事は医療機関側(指示を出す側)の算定要件を中心に整理したものです。訪問看護ステーション側の指定訪問看護の実施要件については、別途、訪問看護療養費側の資料を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
精神科以外の患者さんにも同じような加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、一般科の患者さん向けには特別訪問看護指示加算という別の加算があります。名前は似ていますが根拠となる条文も対象患者も異なるので、精神科の患者さんには今回の精神科特別訪問看護指示加算、それ以外の患者さんには別の加算、と区別して確認してください。あわせて基本となる精神科訪問看護・指導料の考え方も押さえておくと、全体像が整理しやすいと思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。