みらい(新人医療事務)
「緩和ケア病棟緊急入院初期加算」という名前を初めて見ました。緩和ケア病棟入院料とは別の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、これは緩和ケア病棟入院料の注2に規定されている加算です。在宅で緩和ケアを受けている患者さんが急変して、緩和ケア病棟に緊急入院した場合に、入院した日から起算して15日を限度に1日につき200点が所定点数に上乗せされます。令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知の内容をもとに整理していきます。
みらい(新人医療事務)
「在宅で緩和ケアを受けている患者さん」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし単に在宅患者を入院させれば算定候補になるわけではなく、連携している在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院からの事前の情報提供や、過去の連携実績など、いくつかの要件を満たす必要があります。一つずつ確認していきましょう。
緩和ケア病棟緊急入院初期加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどんな場面を想定しているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、「注2」に規定する緩和ケア病棟緊急入院初期加算は、当該保険医療機関と連携して緩和ケアを提供する別の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)(以下本項において「連携保険医療機関」という。)から在宅緩和ケアを受ける患者の病状が急変し、症状緩和のために一時的に入院治療を要する場合の緩和ケア病棟への受入れを通じ、在宅での緩和ケアを後方支援することを評価するものである、と説明されています。
みらい(新人医療事務)
つまり「在宅で緩和ケアを支えている診療所・病院の後方支援」という位置づけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が在宅緩和ケアを提供している患者さんについて、病状の急変時に緩和ケア病棟が受け皿になる、という連携の仕組みを評価した加算です。単独の病院だけで完結する加算ではなく、連携先との関係性が前提になっている点が特徴です。
点数・算定の仕組み(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる期間を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号の医科点数表では、当該保険医療機関と連携して緩和ケアを提供する別の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)により在宅での緩和ケアが行われ、当該別の保険医療機関からあらかじめ文書で情報提供を受けた患者について、病状の急変等に伴い、当該別の保険医療機関からの求めに応じて入院させた場合に、緩和ケア病棟緊急入院初期加算として、入院した日から起算して15日を限度として、1日につき200点を更に所定点数に加算する、と規定されています。要点を表にまとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 200点/日 |
| 算定期間の上限 | 入院した日から起算して15日を限度 |
| 対象となる入院料 | 緩和ケア病棟入院料(注2) |
| 対象医療機関 | 病院(緩和ケア病棟入院料の届出病棟を有する保険医療機関) |
| 本加算単独の届出 | 当サイトの整理では不要(緩和ケア病棟入院料の届出に含まれる) |
みらい(新人医療事務)
15日を過ぎたらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
15日を超える期間については、この加算の対象外の可能性が高いです。その後は通常の緩和ケア病棟入院料の点数(入院期間の区分に応じた点数)が適用される、という理解になります。実際の請求では入院日からの日数を必ず数えて確認してください。

対象患者・対象となる場面
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
条文上、対象になりうる患者の条件は次のとおりです。
対象になりうる患者の条件(要件のすべてを満たす必要があります)
- 連携している在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院により、在宅で緩和ケアを受けている患者
- その連携医療機関からあらかじめ文書で情報提供を受けている患者
- 病状の急変等により、連携医療機関からの求めに応じて緩和ケア病棟に入院させた患者
みらい(新人医療事務)
「あらかじめ文書で情報提供」というのが必須なんですね。もし急なことで文書が間に合わなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、円滑な受入れのため、病状及び投薬内容のほか、患者及び家族への説明等について、当該連携保険医療機関より予め文書による情報提供を受ける必要がある、とされています。ただし、当該情報についてICTの活用により、当該保険医療機関が常に連携保険医療機関の有する診療情報の閲覧が可能な場合、文書による情報提供に関する要件を満たしていると見なすことができる、という代替手段も示されています。紙の文書がその場になくても、日頃からICTで連携先の診療情報を閲覧できる体制であれば要件を満たせる可能性がある、という整理です。
算定要件: 連携医療機関との実績が問われます
みらい(新人医療事務)
情報提供以外にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、連携医療機関との実績も要件に含まれています。留意事項通知には、当該保険医療機関と連携保険医療機関の間では、過去1年以内に、緩和ケアを受ける患者の紹介、緩和ケアに係る研修又は共同でのカンファレンスの実施等の際に、医師その他の職員が面会した実績が記録されている必要がある、とあります。
みらい(新人医療事務)
つまり、急に連携を始めた医療機関からの依頼だと、対象外の可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。過去1年以内の面会実績(患者紹介、研修、カンファレンスなど)が記録として残っていることが前提になっています。初めて連携する医療機関からの緊急入院依頼の場合は、この要件を満たしているかどうかを慎重に確認する必要があります。「記録されている必要がある」という表現なので、実績があっても記録が残っていなければ要確認、という整理になります。
届出・施設基準についての整理
みらい(新人医療事務)
この加算自体の届出は別途必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算そのものに独立した施設基準の届出は求められていません。緩和ケア病棟入院料の届出病棟であることが前提になっており、その届出の枠内で扱われる加算という位置づけです。
届出の有無と算定要件は別問題です
本加算単独の届出が不要とされていても、算定要件(事前の文書情報提供またはICT代替、過去1年以内の面会実績の記録)を満たしていなければ算定候補にはなりません。届出状況だけでなく、要件の充足状況を必ず自院で確認してください。
関連加算: 緩和ケア病棟入院料の他の加算とセットで確認
みらい(新人医療事務)
緩和ケア病棟入院料には、他にも加算がありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ注に規定されている緩和ケア疼痛評価加算(注4)は、疼痛の評価等を実施した場合の加算で、この緊急入院初期加算(注2)とは要件が異なります。また、緩和ケア病棟以外の病棟で算定する加算として緩和ケア診療加算もありますが、こちらは緩和ケア病棟以外の一般病棟等が対象で、緩和ケア病棟入院料とは対象病棟の区分が異なります。自院がどの入院料・加算の組み合わせに該当するかは、病棟の届出区分から確認するのが確実です。
| 加算名 | 対象となる病棟等 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 緩和ケア病棟緊急入院初期加算(本加算) | 緩和ケア病棟入院料の届出病棟 | 在宅緩和ケアからの緊急受入れを評価 |
| 緩和ケア疼痛評価加算 | 緩和ケア病棟入院料の届出病棟 | 疼痛評価等の実施を評価 |
| 緩和ケア診療加算 | 緩和ケア病棟以外の一般病棟等 | 緩和ケアチームによる診療を評価 |
令和8年度改定での変更点(前回改定からの確認)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、緩和ケア病棟緊急入院初期加算について、点数(200点、15日を限度)や算定要件に令和6年度からの変更を明示した記述は確認されていません。前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・当サイト収録の一次資料ベース)。念のため、自院で算定を検討される際は、最新の告示・留意事項通知の該当箇所もあわせてご確認ください。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で見落としやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますので、まとめておきますね。
よくある取り漏れ・確認漏れ
- 入院した日からの15日カウントを誤り、上限を超えて算定してしまう
- 連携医療機関からの事前の文書情報提供(またはICT閲覧)の記録が残っていない
- 連携医療機関との過去1年以内の面会実績(紹介・研修・カンファレンス等)が記録として残っていない
- 対象となる病棟が緩和ケア病棟入院料の届出病棟かどうかを確認せずに算定してしまう
対象外の可能性がある場面
在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院以外の医療機関からの紹介、事前の文書情報提供やICT閲覧の体制がない場合、また緩和ケア病棟以外への入院については、この加算の対象外の可能性があります。個別のケースは自院の届出状況と公式資料で確認が必要です。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 入院させた病棟が緩和ケア病棟入院料の届出病棟であるかを確認する
- 連携している在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院からの事前の文書情報提供(またはICTによる診療情報閲覧)の記録があるかを確認する
- 連携医療機関との過去1年以内の面会実績(患者紹介・研修・カンファレンス等)が記録として残っているかを確認する
- 入院した日から起算して何日目かをカウントし、15日以内であるかを確認する

みらい(新人医療事務)
これだけ確認事項があると、自分たちだけで判断するのは少し不安になりますね。
あおい(元・医療事務)
そんなときは加算チェッカーが役立ちます。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や連携の実態を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか疑問点を聞いてもいいですか?診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、この加算は病院の緩和ケア病棟入院料の届出病棟が対象で、診療所は対象外の可能性があります。自院がどの入院料区分に該当するかは、届出内容を確認してください。
みらい(新人医療事務)
一般病棟に一時的に入院させた場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
条文は緩和ケア病棟への受入れを前提としているため、緩和ケア病棟以外への入院は対象外の可能性が高いです。緩和ケア病棟入院料の届出病棟への入院であるかどうかがポイントになります。
みらい(新人医療事務)
連携先が在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院でなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
条文では連携医療機関を「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る」と規定しています。それ以外の医療機関からの紹介の場合は、対象外の可能性が高いため、連携先の区分を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
事前の文書がなくても、普段からカルテを共有できる体制があれば大丈夫ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ICTの活用により連携保険医療機関の診療情報を常に閲覧できる体制であれば、文書による情報提供の要件を満たしていると見なすことができる、とされています。ただし、実際にその体制が機能しているかどうかは自院で確認しておく必要があります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、算定要件の充足と連携医療機関との実績の記録を必ず自院で確認してください。