みらい(新人医療事務)
「精神科複数回訪問加算」という名前をレセプトで見かけたんですけど、これって精神科の訪問看護に関係する加算ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、精神科の訪問看護・指導に関わる加算です。正式には医科点数表のI012「精神科訪問看護・指導料」の注11に規定されている加算で、令和8年度(2026年度)の点数表にも引き続き設けられています。同じ日に複数回の精神科訪問看護・指導を行った場合に、所定点数へ上乗せする仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「同じ日に複数回」ということは、1日に2回とか3回とか訪問した場合ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。対象になるのは、I016「精神科在宅患者支援管理料」を算定している患者さんです。その患者さんに対する診療を担う保険医療機関(訪問看護を行うところに限ります)の保険医が「1日に2回、または3回以上の精神科訪問看護・指導が必要」と認めて実施した場合に、精神科複数回訪問加算として1日につき加算します。
この加算はどんな場面で検討されますか
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で療養していて、精神科の医師が計画的に訪問診療・訪問看護を行っている患者さんのうち、精神科在宅患者支援管理料を算定している方が前提になります。その上で、状態が不安定なときなどに医師が「今日は複数回の訪問看護が必要」と判断したケースが対象候補になります。入院中の患者さんは対象ではなく、あくまで在宅療養中の患者さんへの訪問看護の場面です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも病院でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトの整理では診療所・病院のどちらも対象に含まれています。ただし実際に算定候補になるかどうかは、精神科在宅患者支援管理料を算定できる体制(届出状況や訪問看護の実施体制)を自院が持っているかどうかに左右されますので、この点はケースごとに確認が必要です。

点数区分を確認しましょう(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
1日の訪問回数(2回か、3回以上か)と、同一日に同じ加算または類似の加算を算定する患者さんの合計人数(同一建物等居住者としての人数)によって区分が変わります。まず1日に2回の場合の点数区分を見てみましょう。
| 同一建物内の合計人数 | 1日に2回の場合 |
|---|---|
| 1人又は2人 | 450点 |
| 3人以上9人以下 | 400点 |
| 10人以上19人以下 | 370点 |
| 20人以上49人以下 | 350点 |
| 50人以上 | 330点 |
みらい(新人医療事務)
3回以上訪問した場合はもっと点数が高くなるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、1日に3回以上の場合は点数がさらに区分されていて、月の日数によっても変わります。
| 同一建物内の合計人数 | 月20日目まで | 月21日目以降 |
|---|---|---|
| 1人又は2人 | 800点 | 800点 |
| 3人以上9人以下 | 720点 | 690点 |
| 10人以上19人以下 | 630点 | 520点 |
| 20人以上49人以下 | 480点 | 350点 |
| 50人以上 | 410点 | 300点 |
人数の数え方に注意
ここでいう「合計人数」は、精神科複数回訪問加算そのものだけでなく、区分番号C005-1-2「同一建物居住者訪問看護・指導料」の注3に規定する「難病等複数回訪問加算」を同一日に算定する患者さん(同一建物等居住者に限る)も合わせた人数で区分を判断します。自院の患者さんだけで数えると区分を誤る可能性があるため、確認が必要です。
算定要件を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
算定するための条件は、具体的にはどう書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の算定要件には次のように記載されています。
算定要件(一次資料引用)
区分番号I016に掲げる精神科在宅患者支援管理料を算定する患者に対して、当該患者に対する診療を担う保険医療機関(訪問看護を行うものに限る。)の保険医が必要と認めて、1日に2回又は3回以上の精神科訪問看護・指導を行った場合には、精神科複数回訪問加算として、同一日に、当該加算又は区分番号C005-1-2に掲げる同一建物居住者訪問看護・指導料の注3に規定する難病等複数回訪問加算を算定する患者(同一建物等居住者に限る。)の合計人数に応じて次に掲げる区分に従い、1日につき、いずれかを所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
「保険医が必要と認めて」というのがポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。単に訪問回数が多いというだけでなく、保険医が医学的に複数回の訪問看護・指導が必要と判断したことが前提になっています。留意事項通知でも次のように説明されています。
留意事項(一次資料引用)
「注 11」に規定する精神科複数回訪問加算は、精神科在宅患者支援管理料を算定する保険医療機関が、精神科在宅患者支援管理料を算定し、医師が複数回の精神科訪問看護・指導が必要であると認めた患者に対して、1日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合に、患者1人につき、それぞれの点数を加算する。
みらい(新人医療事務)
この2つを読むと、精神科在宅患者支援管理料を算定していることと、医師の必要性の判断の両方が確認ポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で進めていただいて大丈夫です。ただし最終的にどちらも満たしているかどうかは、カルテの記載や算定状況を見て自院で確認する必要があります。
届出・施設基準はどう考えればいいですか
みらい(新人医療事務)
この加算自体に届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、精神科複数回訪問加算そのものに単独の施設基準・届出は設けられていません。ただし、前提となる精神科在宅患者支援管理料(I016)は、区分(1・2・3)によって「地方厚生局長等に届け出たものに限る」とされる施設基準が定められています。つまり、この加算を算定候補として検討する前段階として、自院が精神科在宅患者支援管理料の届出をしているかどうかの確認が必要になります。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科在宅患者支援管理料自体を算定できていない可能性があるため、その場合はこの複数回訪問加算も算定候補にならない可能性があります。届出状況は自院の届出書類や地方厚生局への届出受理状況で確認するのが確実です。
届出は加算単体でなく前提の管理料で確認
精神科複数回訪問加算そのものに個別の届出義務はありませんが、前提となる精神科在宅患者支援管理料の届出状況(区分1・2・3のどれで届出しているか)によって算定できるかどうかの構図が変わります。届出書類と地方厚生局の受理状況を必ず確認してください。
医療機関と訪問看護ステーション、どちらが算定するか
みらい(新人医療事務)
さっきの点数表の名前と同じ「精神科複数回訪問加算」って、訪問看護ステーション側にもある気がするんですが……
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。実は訪問看護療養費側にも同じ名称の加算があり、どちらが算定するかは精神科在宅患者支援管理料のどの区分を算定しているかによって決まります。一次資料の注意点には次のように書かれています。
注意点(一次資料引用)
精神科在宅患者支援管理料1又は3を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合は、当該訪問看護ステーションは訪問看護療養費に係る精神科複数回訪問加算を算定せず、当該保険医療機関が「注 11」に規定する精神科複数回訪問加算を算定する。精神科在宅患者支援管理料2を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合、当該訪問看護ステーションが訪問看護療養費に係る精神科複数回訪問加算を算定し、当該保険医療機関は「注 11」に規定する精神科複数回訪問加算を算定できない。
みらい(新人医療事務)
つまり、精神科在宅患者支援管理料1か3を算定しているなら医療機関側(このページで扱っている医科点数表の加算)が算定候補で、管理料2を算定しているなら訪問看護ステーション側が算定候補になる、ということですか?
あおい(元・医療事務)
資料の記載を読み解くとそのような構図になります。管理料の区分(1・2・3のどれで届出・算定しているか)を取り違えると、医療機関と訪問看護ステーションのどちらが算定すべきかを誤ってしまう可能性があります。この点は自院と連携する訪問看護ステーションの双方で認識をすり合わせておくことをおすすめします。
同名加算の取り違えに注意
「精神科複数回訪問加算」という名称は、医科点数表I012の注11(このページの対象)と、訪問看護療養費側の加算の両方に存在します。算定できるのはどちらか一方であり、精神科在宅患者支援管理料の区分(1・2・3)によって決まります。名前だけで判断せず、区分と算定主体を必ず確認してください。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
頭の中を整理したいので、確認する順番を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次のような順番で確認していくとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが精神科在宅患者支援管理料(I016)を算定しているかを確認する
- 保険医が1日に2回、または3回以上の精神科訪問看護・指導が必要と判断し、実際に行ったかをカルテで確認する
- 精神科在宅患者支援管理料が1・3(医療機関側算定)か2(訪問看護ステーション側算定)かを区分して、自院と連携先のどちらが算定候補になるかを確認する
- 同一建物等居住者としての合計人数(他の類似加算の算定者も含む)を数え、点数区分を確認する
- 自院の届出状況・様式が最新かを確認し、不明点があれば審査支払機関に確認する
よくある取り漏れ
医師の必要性の判断の記録漏れ
点数区分や訪問回数だけに気を取られ、「保険医が複数回の訪問看護・指導を必要と認めた」根拠がカルテに残っていないケースが起こりえます。算定要件は訪問回数だけでなく医師の判断が前提になっているため、記録の残し方も含めて確認が必要です。
合計人数の数え間違い
同一建物内の人数は、自院が算定するこの加算だけでなく、区分番号C005-1-2の注3「難病等複数回訪問加算」を同一日に算定する患者さんも合算して数える決まりになっています。自院分だけで数えて区分を誤ると、点数の取り違えにつながる可能性があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、精神科複数回訪問加算の点数区分・算定要件・注意点について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年7月確認・厚労省一次情報ベース)。ただし、改定は個別の告示・通知に基づいて随時見直されるものなので、最新の告示・通知や疑義解釈が出ていないか、自院でも定期的に確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番にお答えしますね。
みらい(新人医療事務)
外来だけで訪問看護を行っていない診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は精神科訪問看護・指導を実際に行う保険医療機関が対象です。訪問看護を行っていない場合は、算定要件を満たさない可能性が高いと考えられます。自院の診療体制と照らして確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
精神科在宅患者支援管理料を算定していない患者さんでも、複数回訪問すれば算定できますか?
あおい(元・医療事務)
算定要件の前提として精神科在宅患者支援管理料を算定している患者さんであることが求められています。管理料を算定していない患者さんについては、この加算の対象にならない可能性が高いと考えられます。
みらい(新人医療事務)
同一日に2回訪問した場合と3回訪問した場合で、どちらの区分を使うか迷ったらどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
実際に行った訪問回数(2回か、3回以上か)に応じた区分を確認要件と照らして選ぶことになりますが、迷うケースでは自院だけで判断せず、審査支払機関に確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 精神科訪問看護・指導料 や 精神科在宅患者支援管理料 のページも参考にしてみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。