みらい(新人医療事務)
あおいさん、「経腸栄養管理加算」って加算、見慣れないんですけど、これはどういう患者さんが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは療養病棟入院基本料を算定している患者さんが対象の加算です。経腸栄養(経鼻胃管や胃瘻など)を新しく開始したときに、1日につき300点が算定候補になります。厚生労働省の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)では、こう規定されています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、療養病棟入院基本料を算定する患者について、経腸栄養を開始した場合、経腸栄養管理加算として、入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として、1日につき300点を所定点数に加算する」とされています。
みらい(新人医療事務)
療養病棟が対象ということは、診療所や外来では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
条文上、対象は「療養病棟入院基本料を算定する患者」に限定されています。療養病棟は病院の入院病棟の一区分ですので、診療所や外来、在宅の場面は対象外の可能性が高いです。ただし個別の運用は自院の届出状況によって変わりますので、「対象外です」と言い切るのではなく、自院が療養病棟入院基本料を算定しているかどうかをまず確認してください。
対象患者はどう決まるか
みらい(新人医療事務)
療養病棟に入院していれば誰でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象患者はさらに条件があります。留意事項通知には次のように書かれています。「「注11」に規定する経腸栄養管理加算の算定対象となる患者は、次のア又はイに該当し、医師が適切な経腸栄養の管理と支援が必要と判断した者である」。
みらい(新人医療事務)
ア・イって、具体的にはどんな患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の原文をそのまま書き出すと、こうなります。
対象患者ア・イ(留意事項通知より)
- ア: 入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とする場合
- イ: 経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始した場合
あおい(元・医療事務)
なお「経腸栄養を行っている場合は、経口栄養又は中心静脈栄養を併用する場合においても算定できる」とも書かれていますので、経腸栄養だけに限定されているわけではありません。ただし、前回改定(令和6年度)の疑義解釈では「入棟前の1ヶ月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない」「他の保険医療機関又は在宅で経腸栄養が実施されていた場合であっても算定できない」との回答も示されています。この取り扱いが令和8年度でも維持されているかは、対象患者を確定させる前に自院で公式資料を確認しておきたいポイントです。
点数と算定期間の整理
みらい(新人医療事務)
300点は、何日も続けて算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、期間に限度があります。「経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として」「入院中1回に限り」算定できるという条文です。7日を過ぎたら終わり、かつ入院1回の療養につき1回きりという理解になります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 300点(1日につき) |
| 算定期間 | 経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度 |
| 算定回数 | 入院中1回に限る |
| 対象入院料 | 療養病棟入院基本料 |

みらい(新人医療事務)
途中で経腸栄養を中止して、また再開したらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも疑義解釈で回答が出ています。「経腸栄養を開始して7日以内に中止・再開した場合であっても、経腸栄養を開始した日から7日間に限り算定できる」とされていますので、中断・再開があっても7日という上限自体は延びない、という考え方が示されていました(前回改定=令和6年度の疑義解釈)。この考え方が令和8年度でも変わっていないかは、算定の都度、公式資料で確認が必要な要確認事項です。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、条文にも「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提として明記されています。施設基準通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)には、次の2点が挙げられています。
経腸栄養管理加算の施設基準(一次資料より)
- (1) 「A233-2」の栄養サポートチーム加算を届け出ていること又は療養病棟における経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士を1名以上配置していること
- (2) 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施する体制を有していること。なお、当該検査等については、耳鼻咽喉科又はリハビリテーション科その他必要な診療科を標榜する他の保険医療機関との協力により確保することでも差し支えない
みらい(新人医療事務)
(1)は「または」なので、NSTを届け出ていなくても、専任の管理栄養士がいれば足りるということですか?
あおい(元・医療事務)
条文の書きぶりだけを見ればそう読めますが、専任配置の常勤要件や兼務可否まではこの通知本文だけでは確認できません。「専任の管理栄養士」の定義や配置状況は自院の届出書類・地方厚生局への確認が必要な部分ですので、要確認として扱ってください。(2)についても、自院に内視鏡下嚥下機能検査の設備が無くても、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科を標榜する他院との協力で体制を確保できるとされています。
栄養サポートチーム加算との関係に注意
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「栄養サポートチーム加算」って、施設基準の(1)にも出てきましたよね。届け出ていれば併算定もできるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは分けて考える必要があります。施設基準の(1)は「NSTを届け出ているか、専任管理栄養士を配置しているか、どちらかで施設基準を満たす」という届出の話です。一方、点数の条文には「この場合において、区分番号A233-2に掲げる栄養サポートチーム加算、区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料又は区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料は別に算定できない」と明記されています。つまり、施設としてNSTを届け出ていても、経腸栄養管理加算を算定している期間・患者については、栄養サポートチーム加算・入院栄養食事指導料・集団栄養食事指導料を同時に算定することはできない、という併算定除外です。施設基準の話と、個別の併算定可否の話を混同しないよう注意してください。
併算定の注意
経腸栄養管理加算を算定している間は、栄養サポートチーム加算(A233-2)・入院栄養食事指導料(B001の10)・集団栄養食事指導料(B001の11)は別に算定できません。施設基準としてNSTを届け出ていることと、個々の患者について両方を同時に算定できることは別の話ですので、レセプト作成時に取り違えないようご注意ください。
算定にあたって実施すべきこと
みらい(新人医療事務)
届出と対象患者の条件がそろえば、それだけで算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
もう一段、実施すべき手順が留意事項通知に定められています。「「注 11」に規定する経腸栄養管理加算は、経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養を開始することで栄養状態の維持又は改善が見込まれる患者に対して新たに経腸栄養を開始する場合に、日本栄養治療学会の「静脈経腸栄養ガイドライン」等の内容を踏まえた説明を本人又はその家族等に実施した上で、適切な経腸栄養の管理と支援を行うことを評価したものであり、次のアからウまでを実施した場合に算定できる」とされています。
あおい(元・医療事務)
ア〜ウの内容も、通知の原文どおりに書き出すとこうです。
実施すべき手順ア〜ウ(留意事項通知より)
- ア: 医師より本人又はその家族等に対し、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえて経腸栄養と中心静脈栄養の適応やリスク等について説明を行うこと。説明した内容の要点について診療録に記載すること
- イ: 経腸栄養の開始に当たっては、開始時期や栄養管理の内容について、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等によるカンファレンスを実施すること
- ウ: 管理栄養士は、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を参考に、医師、看護師、薬剤師等と連携し、栄養管理を実施すること。ただし、1日当たりの算定患者数は、管理栄養士1名につき、15人以内とする
みらい(新人医療事務)
「説明してから経腸栄養を始めないといけない」ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で緩和的な回答が出ています。「経腸栄養の開始後に本人又はその家族等に説明を行った場合であっても算定できるか」という問いに対して「説明を行った日から算定できる。ただし、この場合であっても、算定期間は、経腸栄養を開始した日から7日を限度とする」との回答でした(前回改定=令和6年度の疑義解釈)。順序が前後しても説明日からは算定候補になり得ますが、7日という上限自体は動かない、という整理です。この取り扱いが令和8年度でも変わっていないかは、念のため公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
白湯や薬だけを経管から入れている場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
それは対象になりません。疑義解釈では「白湯や薬剤のみを経鼻胃管や胃瘻等から投与している場合は算定可能か」という問いに「不可」と明確に回答されています(前回改定=令和6年度の疑義解釈)。経腸栄養剤による栄養管理そのものが行われていることが前提になり、この取り扱いが令和8年度でも同様かは公式資料でご確認いただくと安心です。
早期栄養介入管理加算との違い
みらい(新人医療事務)
「早期栄養介入管理加算」っていう似た名前の加算も見たことがあるんですけど、これと同じものですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、これは別の加算です。名前が似ているので混同されやすいのですが、条文上の対象が違います。早期栄養介入管理加算は、救命救急入院料や特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料などを算定する患者が対象で、点数も「入室した日から起算して7日を限度として250点(入室後早期から経腸栄養を開始した場合は、当該開始日以降は400点)」という別建ての条文です。今回の経腸栄養管理加算は療養病棟入院基本料に付く注加算で、点数も300点、対象病棟が異なります。自院がどちらの入院料を算定しているかで、検討すべき加算が変わってきますので、取り違えないよう確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度に新しくできたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、令和6年度の疑義解釈資料に既にこの加算に関する質疑応答が複数出ていますので、令和6年度時点で既に運用されていた加算だと確認できます。当サイトが確認した一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号・関連通知)の範囲では、点数(300点)・算定期間(7日限度・入院中1回)・施設基準・併算定除外の内容に、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。
時系列の整理
- 前回改定(令和6年度): 経腸栄養管理加算が運用されており、算定可否に関する疑義解釈(問28・問30〜33)が複数示されていた
- 今回改定(令和8年度): 当サイトが確認した一次資料の範囲では、点数・施設基準・算定要件の変更は確認されていない
あおい(元・医療事務)
ただし、疑義解釈で示された細かい運用ルール(入棟前1か月の経腸栄養実施の扱い、入院期間が通算される転棟・退院後再入院の扱りなど)が令和8年度でも同じ解釈で運用されているかどうかは、当サイトの確認範囲を超える部分もあります。念のため最新の疑義解釈・通知を確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて整理しきれないので、確認する順番を教えてください。
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- 入院料を確認 — 自院の当該病棟が療養病棟入院基本料を算定しているか
- 対象患者を確認 — 中心静脈栄養からの移行、または経口摂取困難による経腸栄養開始という条件に該当する患者か
- 施設基準を確認 — 栄養サポートチーム加算の届出、または専任管理栄養士の配置、内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影の実施体制のいずれも満たしているか
- 届出状況を確認 — 経腸栄養管理加算そのものを地方厚生局長等に届け出ているか
- 実施記録を確認 — 医師によるガイドラインを踏まえた説明と診療録記載、多職種カンファレンス、管理栄養士による栄養管理(1人15人以内)の記録が整っているか
- 併算定の整理 — 同一患者について栄養サポートチーム加算・入院栄養食事指導料・集団栄養食事指導料を重ねて算定していないか

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントはどこですか?
あおい(元・医療事務)
実務で見落とされやすいのは次のような点です。
よくある取り漏れ
- 施設基準(1)を「NSTを届け出ていること」だけで判断し、専任管理栄養士配置というもう一つの選択肢を見落とす
- 経腸栄養管理加算の算定期間中に、栄養サポートチーム加算や入院栄養食事指導料を重ねて算定してしまう
- 入棟前1か月以内に他院や在宅で経腸栄養が実施されていたケースを見落とし、対象外の患者を算定してしまう
- 説明・カンファレンス・栄養管理の実施記録(診療録記載)が整っておらず、算定要件の「実施した場合」を満たしていない
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認しておきたいことがあります。中心静脈栄養と経腸栄養を併用している場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
通知には「経腸栄養を行っている場合は、経口栄養又は中心静脈栄養を併用する場合においても算定できる」とありますので、経腸栄養が行われていれば、他の栄養補給と併用していても算定候補になり得ます。ただし対象患者の条件(ア・イ)を満たしているかは別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
転棟や退院・再入院をした場合、また7日分算定できますか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重な取り扱いが必要です。疑義解釈では「入院期間が通算される場合は算定できない」との回答が示されています(前回改定=令和6年度の疑義解釈)。入院期間が通算されるかどうかは個別の入退院の事情によりますので、レセプト担当者だけで判断せず、自院のルールと照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算の対象になるか、自分でも確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。療養病棟の入院料、対象患者の状況、施設基準の充足状況などを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式資料・参考情報
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠にしています。詳細な文言・最新の訂正状況は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(前回改定=令和6年度、2024年3月28日) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。