みらい(新人医療事務)
先輩、マスターデータを整理していたら「小規格病棟病床数加算」という項目が出てきたんですけど、これって普通のクリニックや病院でも関係ある加算なんでしょうか?名前だけ見ると病床数に応じた入院料の加算のように見えるんですが…。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。結論から言うと、この加算は心神喪失者等医療観察法(医療観察法)に基づく指定入院医療機関だけが対象の、かなり特殊な項目です。一般の急性期病院や診療所が算定するものではありません。令和8年度(2026年度)の時点でも、この位置づけは変わっていません。
みらい(新人医療事務)
医療観察法……聞いたことはありますが、普段の診療報酬とはだいぶ毛色が違いそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。医療観察法は、心神喪失などの状態で重大な他害行為を行った方の医療と社会復帰を目的にした法律で、対象者を受け入れる「指定入院医療機関」は全国でもごく限られた病院だけです。診療報酬もこの法律の第83条第2項に基づく別建ての算定方法(厚生労働省告示)で定められていて、普通の医科点数表とは体系が異なります。ですから、この記事にたどり着いた方の多くは「うちの病院には関係なさそうだ」という結論になる可能性が高いです。その前提でお読みください。
この加算はどんな病院・病棟が対象?

みらい(新人医療事務)
具体的には、どんな病棟がこの加算に関わってくるんですか?
あおい(元・医療事務)
名前にある「小規格病棟」という言葉がポイントです。医療観察法の指定入院医療機関には、通常規模の病棟のほかに、病床数が少ない「小規格病棟」を一部に持つ病院があります。この小規格病棟を持つ病院では、看護職員の配置基準の計算方法が通常の病棟と別扱いになる、という枠組みが設けられています。
みらい(新人医療事務)
「小規格」という表記、ちょっと珍しいですね。「小規模」の誤記じゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
私も最初そう思ったんですが、社会保険診療報酬支払基金が発行しているコードマスターの正誤通知(平成24年)でも、令和8年度の指定入院医療機関向け資料でも、一貫して「小規格病棟」という表記が使われています。当サイトが確認できた公式資料の範囲では、この表記が正式名称として使われているため、本記事でもそのまま「小規格病棟」と記載しています。
まず確認したいこと
貴院は医療観察法の指定入院医療機関ですか?: 一般の精神科病院・診療所であっても、医療観察法の指定を受けていなければこの加算は関係しません。 小規格病棟に該当する病棟がありますか?: 指定入院医療機関の中でも、病床数の少ない病棟を運営している場合に関わってくる区分です。
コード区分について(病床数15床〜29床の15段階)
みらい(新人医療事務)
マスターデータには複数のコードがぶら下がっていましたが、これはどういう意味なんですか?
あおい(元・医療事務)
社会保険診療報酬支払基金が管理する診療行為コードでは、この加算が病床数の段階ごとに別コードで用意されています。当サイトが確認できた資料(平成24年の支払基金コードマスター正誤通知)では、15床から29床まで1床刻みで15段階のコードが設定されていることが確認できました。
| 病床数 | コード | 資料上の名称(正誤通知の表記そのまま) |
|---|---|---|
| 15床 | 188001070 | 小規格病棟病床数加算(15床) |
| 16床 | 188001170 | 小規格病棟病床数加算(16床) |
| 17床 | 188001270 | 小規格病棟病床数加算(17床) |
| 18床 | 188001370 | 小規格病棟病床数加算(18床) |
| 19床 | 188001470 | 小規格病棟病床数加算(19床) |
| 20床 | 188001570 | 小規格病棟病床数加算(20床) |
| 21床 | 188001670 | 小規格病棟病床数加算(21床) |
| 22床 | 188001770 | 小規格病棟病床数加算(22床) |
| 23床 | 188001870 | 小規格病棟病床数加算(23床) |
| 24床 | 188001970 | 小規格病棟病床数加算(24床) |
| 25床 | 188002070 | 小規格病棟病床数加算(25床) |
| 26床 | 188002170 | 小規格病棟病床数加算(26床) |
| 27床 | 188002270 | 小規格病棟病床数加算(27床) |
| 28床 | 188002370 | 小規格病棟病床数加算(28床) |
| 29床 | 188002470 | 小規格病棟病床数加算(29床) |
みらい(新人医療事務)
15段階もあるんですね。病床数がぴったりコードに対応しているということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。支払基金のコードマスター正誤通知(平成24年3月30日)を確認すると、「16床〜20床」のようにまとめた範囲名は原文には出てこず、1床ごとに「小規格病棟病床数加算(16床)」「(17床)」…と個別の名称・コードが割り振られていました。コードも188001070(15床)から100刻みで188002470(29床)まで並んでいます。上の表はその15項目をそのまま列挙したものです。ただし、これはあくまで「コードが区分されている」という事実であって、現在の各区分の点数までは、当サイトが今回確認できた一次資料の範囲では裏付けが取れていません。次の章でその点をお伝えします。
点数について(確認できたこと・できなかったこと)
みらい(新人医療事務)
一番知りたいのはやっぱり点数なんですが、いくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えしますね。当サイトの内部整理データには「91点〜672点(15区分)」という数値が記録されているのですが、今回、支払基金のコード正誤通知や、厚生労働省告示第百四十六号(令和8年3月31日、医療観察法の費用算定方法の一部改正)、厚生労働省障害保健福祉部の令和8年度医療観察診療報酬改定資料を確認した範囲では、この加算そのものの現在の点数を裏付ける記載を見つけることができませんでした。
みらい(新人医療事務)
え、そうなんですか。じゃあこの91点〜672点という数字は…?
あおい(元・医療事務)
出典が確認できていない数字なので、この記事では点数を確定情報としては書きません。誤った点数を載せてしまう方が、確認せずに算定してしまうリスクより問題だと考えています。正確な点数が必要な場合は、医療観察法の医療に要する費用の額の算定方法(厚生労働省告示)の別表そのものか、貴院を所管する地方厚生局にご確認いただくのが確実です。
点数は未確認情報です
小規格病棟病床数加算(15床〜29床の各区分)の現行点数は、当サイトが今回確認した一次資料の範囲では確認できませんでした。算定にあたっては、必ず厚生労働省告示の別表または地方厚生局への確認をお願いします。
施設基準・小規格病棟の考え方(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は確認できなかったとして、施設基準はどうですか?
あおい(元・医療事務)
こちらは令和8年度の資料で具体的な記載が見つかりました。厚生労働省障害保健福祉部の「令和8年度医療観察診療報酬改定について(入院処遇)」には、医療観察法病棟の看護職員配置の施設基準を説明する文脈で「また、その一部に小規格病棟を有している病院の病棟にあっては、当該病院の病棟において、一日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病院の病棟の入院患者の数が十五又はその端数を増すごとに一以上であり、かつ、その最小必要数の四割以上が看護師であって、当該小規格病棟について入院対象者の入院医学管理を行うにつき十分な体制が整備されていること」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、小規格病棟がある病院は、看護職員の人数の数え方が普通の病棟と違うということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解でいいと思います。通常の病棟のように「入院対象者の数」だけで看護師配置を計算するのではなく、小規格病棟を持つ病院全体の入院患者数を基準に、15人またはその端数を増すごとに1人以上、かつ最小必要数の4割以上が看護師であること、という別の計算式が使われる、という内容です。この施設基準の考え方自体は、令和8年度の医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料のどちらの施設基準にも共通して出てきます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)

みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
加算そのものというより、その土台になっている入院料の体系が大きく変わりました。厚生労働省告示第百四十六号(令和8年3月31日)の新旧対照表を確認すると、「1 医療観察法病棟入院料」という区分が新設される一方、それまでの「2 入院対象者入院医学管理料」という項目番号自体は削除されず、令和8年度も「2」のまま再編されて残っていました。単純にどちらかへ置き換わったわけではなく、2階建ての構成に変わった、というのが正確なところです。
| 項目 | 改定前(〜令和6年度) | 改定後(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 基本の入院料区分(新設) | 該当する区分なし | 医療観察法病棟入院料(1日につき): 医療観察一般病棟入院料 3,900点/医療観察地域移行支援病棟入院料 3,500点 |
| 2 入院対象者入院医学管理料(項目番号は据え置きで再編・存続) | 急性期入院対象者入院医学管理料 6,798点/回復期入院対象者入院医学管理料 5,012点/社会復帰期入院対象者入院医学管理料 5,926点(1日につき) | 医療観察一般病棟入院料の内訳(急性期3,100点/回復期1,200点/社会復帰期2,200点)、医療観察地域移行支援病棟入院料の内訳(急性期2,800点/回復期1,000点/社会復帰期3,000点)(1日につき) |
みらい(新人医療事務)
「2」の入院医学管理料が2,000点や3,000点になっていると、単純に半分近くまで下がったように見えてしまいます……。
あおい(元・医療事務)
そこが誤解しやすいポイントです。厚生労働省告示第百四十六号の「2 入院対象者入院医学管理料」の注1には「別に厚生労働大臣が定める基準に適合している対象者に限る」と明記されていて、この管理料は基準に適合する対象者について、新設された「1 医療観察法病棟入院料」に上乗せして算定する仕組みになっています。つまり、基準に適合する対象者であれば、急性期なら1(3,900点)+2の急性期区分(一般病棟3,100点、地域移行支援病棟2,800点)を合算した点数になる場合があり、「2」の点数だけを改定前の6,798点や5,926点と単純比較して『大幅に下がった』と結論づけるのは正確ではありません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「2」は無くなったわけじゃなく、「1」に乗せる追加の管理料として生まれ変わった、というイメージですね。この変更で「小規格病棟」という言葉自体はどうなったんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。小規格病棟という考え方自体も無くなっていません。令和8年度の医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料、どちらの施設基準の説明文にも、先ほど引用したのと同じ「小規格病棟を有している病院の病棟にあっては」という文言がそのまま出てきます。つまり、看護職員配置の考え方としての小規格病棟は令和8年度も維持されています。ただし、コード表にある「小規格病棟病床数加算」という個別の加算項目そのものが、令和8年度改定後の告示・改定概要資料の中で名指しで新設・変更・廃止のいずれかとして扱われている記載は、当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした。この加算が現行の点数表にそのままの形で残っているのか、名称や算定方法が変わっているのかは、今回の調査だけでは断定できません。
変更点の確認範囲について
本セクションは厚生労働省告示第百四十六号(令和8年3月31日)の新旧対照表を照合した結果です。基本の入院料区分として「1 医療観察法病棟入院料」が新設される一方、「2 入院対象者入院医学管理料」は項目番号を維持したまま再編され、基準に適合する対象者には1に上乗せで算定される場合があります。単純な点数の引き下げと決めつけず、自院で算定する場合は1と2の関係を告示原文または地方厚生局で必ず確認してください。「小規格病棟病床数加算」という個別項目自体の令和8年度時点での存廃・点数変更は、確認できた資料の範囲では判断できませんでした。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院がもし対象だったら、どこから確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法まわりは通常の診療報酬とかなり違う体系なので、順番に確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
医療観察法の指定入院医療機関かどうかを確認する: 貴院が心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関でなければ、この加算はそもそも関係ありません。 病棟の中に小規格病棟に該当する区分があるかを確認する: 病床数が15床〜29床程度の小規模な病棟区分を運営しているかを院内の施設基準担当者に確認します。 現行の告示・別表で該当項目と点数を確認する: 医療観察法の医療に要する費用の額の算定方法(厚生労働省告示)の最新の別表を確認し、小規格病棟病床数加算に相当する項目が現在どう扱われているかを確認します。 地方厚生局に確認する: 告示だけで判断がつかない場合は、貴院を所管する地方厚生局の医療課に直接確認するのが確実です。
よくある誤解・取り漏れ
みらい(新人医療事務)
名前が紛らわしいので、勘違いしやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
一番多そうなのは、一般の入院基本料等加算の中にある「病床数」に関係した別の加算と混同してしまうケースです。「病床数加算」という言葉だけで検索すると、医療観察法とは無関係な通常の医科点数表の項目がヒットすることもあります。項目名だけでなく、対象が医療観察法の指定入院医療機関に限られている点を必ず確認してください。
混同しやすい点
通常の医科点数表の加算と混同しない: 「病床数加算」という名前だけで判断せず、医療観察法特有の項目であることを確認します。 点数を未確認のまま算定計画に入れない: 本記事では点数を確定情報として掲載していません。算定前に必ず最新の告示・別表を確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。ただしこの加算は医療観察法の指定入院医療機関に限られる特殊な項目なので、まずは貴院がその対象かどうかから確認してみてくださいね。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。