みらい(新人医療事務)
先生、「心身医学療法(20歳未満)加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これって何に対する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
心身医学療法そのものに、患者さんが20歳未満のときだけ上乗せできる加算です。心身医学療法は「I004」という区分の診療行為で、心身症の患者さんに対して身体症状と心理・社会的な要因の関わりを見立てながら治療する、精神科専門療法の一つですよ。
みらい(新人医療事務)
「心身症」の患者さんが対象なんですね。うちのクリニックでも算定候補になるか、順番に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。まずは加算のもとになる心身医学療法の仕組みから、点数、施設基準、届出、注意点の順に見ていきましょう。令和8年度(2026年度)の一次資料をもとに整理します。
心身医学療法(20歳未満)加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも心身医学療法って、どんな治療法なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、心身医学療法を「心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法」と定義しています。自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれるとされています。
みらい(新人医療事務)
結構いろいろな療法がまとまって「心身医学療法」って呼ばれているんですね。その上に乗る「20歳未満加算」は、何が条件になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示(医科点数表)の注5に「20歳未満の患者に対して心身医学療法を行った場合は、所定点数に所定点数の100分の200に相当する点数を加算する」と明記されています。つまり、基礎点数に対して200%(2倍)に相当する点数を上乗せする加算で、単純な「◯点固定」の加算ではない点に注意してください。
見落としやすいポイント
この加算は「200点」という固定点数ではなく、心身医学療法の所定点数に対する「100分の200(200%)」の上乗せです。入院・入院外・初診・再診で基礎点数が異なるため、加算後の点数も場面ごとに変わります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
精神科の看板を掲げていないクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1に「精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関においても算定できるものとする」とあるので、精神科標榜の有無だけでは対象外にはなりません。ただし留意事項通知(2)では「当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する」とされていて、担当医師が心身医学療法に習熟していることが前提です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの年齢以外に、何か条件はありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(7)に「『注5』に規定する加算は、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して、心身医学療法を行った場合に、所定点数を加算する」とあります。年齢だけでなく、必要に応じた児童相談所等との連携と、保護者等への指導が前提になっている点は見落としやすいところです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
心身医学療法(I004)の基礎点数と、20歳未満加算(100分の200)を加えた点数は次のとおりです。
| 区分 | 基礎点数 | 加算(100分の200) | 加算後の点数 |
|---|---|---|---|
| 入院中の患者 | 150点 | 300点 | 450点 |
| 入院中の患者以外・初診時 | 110点 | 220点 | 330点 |
| 入院中の患者以外・再診時 | 80点 | 160点 | 240点 |
みらい(新人医療事務)
初診時と再診時で点数が違うんですね。初診時はどんな条件がありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において心身医学療法を行った場合は、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する」とあります。留意事項通知(3)でも同様に、初診時は診療時間が30分を超えた場合に限り算定できるとされ、この診療時間には医師自らが行う問診・理学的所見(視診・聴診・打診・触診)・心身医学療法に要する時間を含み、それ以外の診療時間は含まないとされています。初診時に算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に診療に要した時間を記載する必要があります。

施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、心身医学療法および本加算について、個別の施設基準の届出を求める記載は確認できていません。告示の注1で精神科標榜の有無を問わず算定できるとされていることからも、特別な施設基準の届出は不要な区分と位置づけられている可能性がありますが、断定はできません。届出要否は自院の地方厚生局への確認、または最新の施設基準通知でのご確認をおすすめします。
担当医師の要件は個別確認を
留意事項通知(2)の「当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する」という要件は、具体的な資格・研修年数などの数値基準までは今回確認できた一次資料に記載がありません。院内でこの要件をどう満たしているか整理しておくことをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
何回でも算定していいわけではないですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注3・注4に回数制限があります。入院中の患者については、入院の日から起算して4週間以内は週2回、4週間を超える期間は週1回が上限です。入院中の患者以外については、初診日から起算して4週間以内は週2回、4週間を超える期間は週1回が上限とされています。20歳未満加算も心身医学療法本体の算定を前提にした加算なので、この回数制限をそのまま超えることはできません。
みらい(新人医療事務)
他の精神療法と一緒に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(8)に「『I001』入院精神療法、『I002』通院・在宅精神療法又は『I003』標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない」とあります。これらを算定している患者さんについては心身医学療法自体が算定できないため、20歳未満加算も候補になりません。
併算定の確認は必須
入院精神療法・通院/在宅精神療法・標準型精神分析療法のいずれかを算定している患者さんは、心身医学療法(基礎点数)自体が算定できず、20歳未満加算も算定候補になりません。レセプト作成前に他の精神療法の算定有無を必ず確認してください。
記録・記載の注意点
みらい(新人医療事務)
カルテやレセプトの書き方で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(4)に、心身医学療法を算定する場合は診療報酬明細書の傷病名欄で、心身症による身体的傷病名の次に「(心身症)」と記載するとあります。例として「胃潰瘍(心身症)」という記載例が示されています。また(5)では、心身医学療法を行った場合はその要点を診療録に記載することとされています。20歳未満加算を算定する場合は、これに加えて保護者等への指導内容や、必要に応じた児童相談所等との連携状況も記録しておくと、後日の確認がしやすくなります。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)時点の心身医学療法および本加算に関する告示・留意事項通知そのものは確認できておらず、令和8年度との直接比較ができていません。今回確認できた令和8年度の告示・留意事項通知の内容としては、「20歳未満の患者に所定点数の100分の200を加算する」という仕組み自体は、精神科専門療法の枠組みとして以前から継続してきた考え方と整合的です。確定的な「変更なし」の断定は避け、前回改定からの変更点は現時点で確認されていない、という表現にとどめます。届出済みの医療機関や、過去の算定実績がある医療機関は、必要に応じて自院の最新版点数表や地方厚生局への確認をおすすめします。
前回→今回の整理(現時点でわかっている範囲)
令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知では、20歳未満加算は「所定点数の100分の200(200%)を加算」という形で規定されています。当サイト収録の一次資料の範囲では、この点数の仕組み自体に変更があったという記載は見当たりません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 患者さんが20歳未満かどうかを確認する
- その患者さんに心身医学療法(I004)の基礎点数を算定しているかを確認する(入院精神療法・通院/在宅精神療法・標準型精神分析療法を算定していないか)
- 担当医師が心身医学療法に習熟しているか、院内での位置づけを確認する
- 必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行ったかを確認する
- 診療録に心身医学療法の要点と、保護者等への指導内容を記載する
- 初診時に算定する場合は、診療時間が30分を超えているか、摘要欄への記載も含めて確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れしやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、心身医学療法の基礎点数だけ算定して20歳未満加算を付け忘れるケースです。逆に、対象患者が入院精神療法や通院・在宅精神療法を算定していることに気づかず、心身医学療法自体を誤って算定してしまうケースもあります。
取り漏れ・誤算定の例
- 20歳未満の患者に心身医学療法を行ったのに、加算の付け忘れに気づかないまま請求している
- 入院精神療法・通院/在宅精神療法・標準型精神分析療法を算定中の患者に、誤って心身医学療法(および加算)を併算定してしまっている
- 初診時に診療時間が30分を超えていないのに算定し、摘要欄への時間記載も欠けている
よくある質問
みらい(新人医療事務)
20歳になった直後の患者さんはどう扱えばいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知や告示の文言は「20歳未満の患者」とされているため、算定日時点で20歳に達している患者さんは対象外の可能性が高いです。誕生日をまたぐタイミングでの算定は、算定日の年齢を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
児童相談所等との連携は、毎回必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(7)では「必要に応じて」という表現になっています。すべてのケースで連携が必須というわけではなく、個々の患者さんの状況に応じて必要性を判断する趣旨と読み取れます。判断に迷う場合は、院内の担当医師・地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
入院と入院外を同じ月にまたいで算定することはありますか?
あおい(元・医療事務)
制度上想定されていますが、回数制限(4週間以内週2回・4週間超週1回)は入院・入院外それぞれの起算日で管理されます。レセプト担当者だけで判断せず、算定日の記録を医師・看護記録と突き合わせて確認することをおすすめします。
関連する加算
みらい(新人医療事務)
似たような「20歳未満加算」は他にもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。精神科専門療法の分野には、対象となる療法ごとに20歳未満加算が設けられています。たとえば医療観察通院精神療法(20歳未満)加算も、対象となる療法は異なりますが同じ考え方の加算です。あわせて確認しておくと、自院の精神科専門療法まわりの加算候補を整理しやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。