みらい(新人医療事務)
心臓血管外科の先生から「弁置換術後の再置換で、心臓弁再置換術加算って算定できますか?」と聞かれたんですけど、私、この加算をちゃんと説明できなくて……。
あおい(元・医療事務)
心臓弁再置換術加算ですね。令和8年度(2026年度)の医科点数表に載っている手術加算で、名前のとおり「弁の手術をやり直したとき」に関わる加算です。まずは対象になる手術と、算定の考え方を一緒に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! そもそも、どんな手術のときに関係してくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している厚生労働省の医科点数表・留意事項通知の範囲では、対象となる手術はいくつかあります。区分番号K555「弁置換術」、K555-3「胸腔鏡下弁置換術」、K557-3「弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術」、K560「大動脈瘤切除術」の各注に、心臓弁再置換術加算に関する規定が置かれています。
みらい(新人医療事務)
手術の種類がいくつもあるんですね。それぞれ別の加算コードになっているんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第7号)の一覧を見ると、心臓弁再置換術加算という名前だけで複数のコードが並んでいます。対象手術(弁置換術・胸腔鏡下弁置換術・弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術・大動脈瘤切除術)と弁の数(1弁・2弁・3弁など)の組み合わせごとに、コードが分かれている形です。当サイトが確認できた範囲では8通りのコードを掲載しています。
心臓弁再置換術加算とは(対象となる手術と算定の考え方)
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう手術のときにこの加算がつくんですか? 「再置換」という言葉から、2回目の手術というイメージはあるんですけど。
あおい(元・医療事務)
イメージはだいたい合っています。留意事項通知には「心臓弁再置換術加算は弁置換術後の再置換、弁置換術後の違う弁の置換又は弁形成後の弁置換を行った場合に算定する。なお、前回の手術から3か月以上経過していること。」と書かれています。つまり、①弁置換術のあとに、もう一度弁を置き換える再置換をした場合、②弁置換術のあとに、前回とは違う弁を置き換えた場合、③弁形成術のあとに弁置換をした場合、のいずれかに該当し、かつ前回の手術から3か月以上経っていることが条件です。
みらい(新人医療事務)
「3か月以上」っていうのは、けっこう明確な基準なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ここは数字がはっきり決まっているので、確認しやすいポイントです。前回の弁の手術日と、今回の手術日の間隔を診療録で確認するところから始めるとよいと思います。
みらい(新人医療事務)
逆に言うと、同じ入院中に続けて弁の手術をやり直した、というようなケースは対象になりにくそうですね。
あおい(元・医療事務)
3か月未満であれば、この規定に沿う限りは算定候補にはなりません。ただし、実際の症例ごとの判断は個別性が高いところなので、断定はできません。診療録の記載を整理したうえで、確認が必要な項目として扱ってください。
点数の考え方(対象手術の所定点数の50%相当)
みらい(新人医療事務)
気になっていたんですけど、心臓弁再置換術加算そのものに固定の点数ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、固定の点数ではなく、「対象手術の所定点数に対する割合」で決まる仕組みです。区分番号K555弁置換術の注には「過去に心臓弁手術を行ったものに対して弁手術を行った場合には、心臓弁再置換術加算として、所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。」とあり、実施した手術の所定点数の50%相当額が加算される、という考え方です。K555-3胸腔鏡下弁置換術の注にも同じ文言があり、K557-3弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術の注には「区分番号K555弁置換術の所定点数の100分の50に相当する点数を加算する」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
具体的な点数のイメージがつかめると、もっと分かりやすいです。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している医科点数表の範囲で確認できる例をいくつか挙げますね。
| 対象手術 | 所定点数 | 心臓弁再置換術加算(50%相当) |
|---|---|---|
| 弁置換術(1弁) | 85,500点 | 42,750点 |
| 弁置換術(2弁) | 100,200点 | 50,100点 |
| 弁置換術(3弁) | 114,510点 | 57,255点 |
| 弁置換術(大動脈弁、僧帽弁及び中心線維体の再建を含むもの) | 198,000点 | 99,000点 |
| 胸腔鏡下弁置換術(1弁) | 115,500点 | 57,750点 |
| 胸腔鏡下弁置換術(2弁) | 130,200点 | 65,100点 |
| 弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術 | 157,840点 | 78,920点 |
点数は対象手術ごとに異なります
心臓弁再置換術加算は「弁置換術」「胸腔鏡下弁置換術」「弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術」「大動脈瘤切除術」のどの区分で実施したかによって加算額が変わります。上の表は当サイトが確認できた一部の例で、すべての区分の点数を網羅したものではありません。実際の請求に用いる点数は、必ず最新の医科点数表・医科診療行為マスターでご確認ください。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「加算だから一律〇点」というものではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。まずどの手術区分に該当するかを特定してから、その手術の所定点数の50%を計算する、という順番で考えると整理しやすいと思います。

対象となる手術区分(コードの内訳)
みらい(新人医療事務)
さっき「複数のコードがある」というお話でしたけど、どんな組み合わせなんですか?
あおい(元・医療事務)
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の一覧に、対象手術別のコードが具体的に載っています。たとえば次のような組み合わせです。
| コード | 名称(一部抜粋) |
|---|---|
| 150359470 | 心臓弁再置換術加算(弁置換術) |
| 150375570 | 心臓弁再置換術加算(弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術)(1弁) |
| 150375670 | 心臓弁再置換術加算(弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術)(2弁) |
| 150375770 | 心臓弁再置換術加算(弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術)(3弁) |
| 150375870 | 心臓弁再置換術加算(大動脈瘤切除術)(1弁) |
| 150375970 | 心臓弁再置換術加算(大動脈瘤切除術)(2弁) |
| 150376070 | 心臓弁再置換術加算(大動脈瘤切除術)(3弁) |
| 150485370 | 心臓弁再置換術加算(大動脈瘤切除術)(大動脈弁等の再建を含む) |
コードは実施した手術で決まる
心臓弁再置換術加算のコードは、実施した対象手術(弁置換術・胸腔鏡下弁置換術・弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術・大動脈瘤切除術)と弁の数の組み合わせで自動的に決まります。どのコードに該当するかを自院で判断するのではなく、実施した術式そのものから特定するのが確実です。迷う場合は医科診療行為マスターで手術名から探すか、加算チェッカーで確認してみてください。
みらい(新人医療事務)
コードを先に覚えるより、どの手術をしたかがまず大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。レセプトの摘要欄記載なども含めて、術式の確定が起点になります。
算定要件とレセプト記載(前回の手術日・術式・医療機関名)
みらい(新人医療事務)
3か月以上経過していること以外にも、確認すべき要件ってありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、レセプトの記載についての規定があります。留意事項通知には「心臓弁再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。」とあります。つまり、前回の手術がいつ・どんな術式で・どこの医療機関で行われたかを、摘要欄に明記する必要があります。
みらい(新人医療事務)
前回の手術が自院ではなく他院で行われていた場合は、どうするんですか?
あおい(元・医療事務)
その場合も、把握できている範囲の情報(手術日・術式・医療機関名)を記載することになります。ただし、他院での手術歴の確認方法や、情報が不足している場合の扱いは、資料の範囲では詳細までは確認できていません。診療情報提供書や紹介状などで確認したうえで、不明点があれば審査支払機関に確認する、という進め方が現実的だと思います。
対象手術かどうかは要確認
心臓弁再置換術加算は「弁置換術後の再置換」「弁置換術後の違う弁の置換」「弁形成後の弁置換」のいずれかに該当する場合の加算です。これ以外のパターン(たとえば初回の弁置換術そのもの)は対象外の可能性が高いですが、個別の症例判断は自院の診療内容に基づいて確認する必要があります。
施設基準・届出(ベースとなる手術の実施体制が前提)
みらい(新人医療事務)
心臓弁再置換術加算そのものに、独自の施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している資料の範囲では、心臓弁再置換術加算に固有の施設基準・届出事項は確認できていません。この加算は、弁置換術・胸腔鏡下弁置換術・弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術・大動脈瘤切除術という「対象手術」を実施できることが前提になっている加算です。
みらい(新人医療事務)
ということは、対象手術自体の施設基準が満たせているかが先に来るんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。弁置換術や胸腔鏡下弁置換術には、心臓血管外科の実施体制などに関する施設基準が別途定められています。心臓弁再置換術加算の算定候補になるかどうかを考える前に、まず「その手術自体を保険診療として実施できる届出状況にあるか」を確認しておくことが土台になります。この部分の具体的な基準は、当サイトの資料だけでは全項目を確認しきれていないため、施設基準の届出内容を管轄の地方厚生局や院内の届出書類で確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
心臓弁再置換術加算について、当サイトが収録している令和8年度の医科点数表・留意事項通知の範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。対象手術(弁置換術・胸腔鏡下弁置換術・弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術・大動脈瘤切除術)、算定要件(前回の手術から3か月以上経過)、レセプト記載事項(前回の手術日・術式・医療機関名)のいずれも、当サイトが確認できた資料の範囲では令和8年度時点の内容として整理しています。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、それはそれで安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、当サイトが未収録の個別の改定資料に変更点の記載がある可能性はゼロではないので、「確認した範囲では変更なし」という位置づけで捉えていただくのが正確です。最新の告示・通知は随時ご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最後に、実際に自院で確認するときの順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で見ていくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 実施した手術が対象手術(弁置換術・胸腔鏡下弁置換術・弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術・大動脈瘤切除術)に該当するか確認する
- その手術が「弁置換術後の再置換」「弁置換術後の違う弁の置換」「弁形成後の弁置換」のいずれかに当たるか確認する
- 前回の弁の手術から3か月以上経過しているか、診療録・紹介状で確認する
- 前回の手術日・術式・医療機関名を把握し、レセプト摘要欄に記載する準備をする
- 対象手術自体の施設基準・届出状況を院内の届出書類で確認する
- 不明点があれば加算チェッカーや審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
これなら、先生から聞かれてもすぐに整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に「前回の手術から3か月」という期間の確認と、摘要欄への記載事項は見落としやすいポイントなので、忘れずにチェックしてみてください。
よくある取り漏れ
3か月未満での再手術
前回の弁の手術から3か月未満で再度手術を行った場合は、留意事項通知の要件に沿う限り心臓弁再置換術加算の対象外の可能性があります。手術日の間隔は日数まで確認しておくと安心です。
摘要欄の記載漏れ
心臓弁再置換術加算を算定する際は、前回の手術日・術式・医療機関名をレセプト摘要欄に記載することが留意事項通知で定められています。加算のコードだけを入力して、摘要欄の記載を忘れるケースには注意が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した手術の種類や、前回の手術からの経過期間を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する手術加算として、心拍動下冠動脈、大動脈バイパス移植術用機器加算 のページもあわせてご覧いただけます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。