みらい(新人医療事務)
部長、「特定機能病院一般病棟入院期間加算」ってレセプトの摘要欄で見かけたんですけど、これって何の加算なんですか?名前が長くて、正直よくわかっていません…。
あおい(元・医療事務)
実はこれ、単独で「算定するかしないか」を選ぶタイプの加算ではなくて、A104 特定機能病院入院基本料の中に組み込まれた仕組みなんです。令和8年度の点数表でも、A104の「注3」に定められています。
みらい(新人医療事務)
「入院基本料の中に組み込まれている」ってどういうことですか?普通の加算みたいに、別立てで請求するものじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
レセプト上は別コードで出てきますが、算定の考え方としては「特定機能病院入院基本料を算定している一般病棟の患者について、入院期間の長さに応じて自動的に上乗せされる点数」です。うちの病院が特定機能病院で、一般病棟入院基本料を算定していれば、対象患者には基本的について回る加算候補になります。
特定機能病院一般病棟入院期間加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「特定機能病院」ってどこの病院でも当てはまるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、特定機能病院は高度医療の提供・開発・評価や研修を担う病院として厚生労働大臣の承認を受けた医療機関に限られます。大学病院の本院や、国立高度専門医療研究センターなどが該当することが多いです。一般の中小病院や診療所は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、特定機能病院じゃないとそもそも土俵に乗らないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。その上で、令和8年度の医科点数表ではA104 特定機能病院入院基本料の注1に、こう定められています。「特定機能病院の一般病棟、結核病棟又は精神病棟であって、看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する」となっています。今回の加算は、この一般病棟に入院している患者が対象です。
みらい(新人医療事務)
つまり、特定機能病院の一般病棟に入院している患者さん全員に関係してくる可能性があるってことですね。
あおい(元・医療事務)
対象になり得るという意味ではそうです。ただし、実際に算定候補になるかどうかは、入院期間の長さと、病棟の施設基準の届出状況によって変わってきますので、そこは順番に確認していきましょう。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点くらいになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、一般病棟の場合、入院期間に応じて次の2区分が定められています。1日につき、入院基本料の所定点数に加算する形です。
| 区分 | 入院期間 | 点数(1日につき) |
|---|---|---|
| (1) | 14日以内の期間 | 712点 |
| (2) | 15日以上30日以内の期間 | 207点 |
みらい(新人医療事務)
14日以内だと712点で、15日目からは207点にぐっと下がるんですね。31日目以降はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
一般病棟の場合、この入院期間加算は14日以内と15日以上30日以内の2区分のみが定められています。31日以上の期間については、この注3の加算区分に該当する記載がなく、加算の対象外という整理になります。ちなみに結核病棟や精神病棟には、それぞれ別の区分・点数が定められていて、区分の数も異なりますので、一般病棟のケースと混同しないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
病棟の種類ごとに全然違うんですね…。うちは一般病棟の話だけ押さえておけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
今回の「特定機能病院一般病棟入院期間加算」という概念で扱っているのは一般病棟の区分だけなので、まずはこの2区分を押さえてもらえれば大丈夫です。結核病棟・精神病棟をお持ちの病院は、別途その病棟向けの区分を確認する必要があります。

対象になる病院・患者
みらい(新人医療事務)
もう少し具体的に、どんな患者さんが対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
主に次のような患者さんが算定候補になります。
算定候補になり得る患者のイメージ
病院要件: 特定機能病院として承認され、A104特定機能病院入院基本料(一般病棟)の施設基準に適合し届出済みであること 病棟要件: 対象患者が入院しているのが、その届出済みの一般病棟であること 期間要件: 入院期間が14日以内、または15日以上30日以内であること(31日以上は対象外の可能性)
みらい(新人医療事務)
逆に、対象外になりそうなケースも知っておきたいです。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注1には「第3節の特定入院料を算定する患者を除く」という文言があります。つまり、同じ特定機能病院の一般病棟でも、救命救急入院料やICU管理料など特定入院料を別途算定している患者は、この入院期間加算の対象からは外れる整理になります。この点は自院のレセプトシステムでの区分管理と合わせて確認が必要です。
診療所・一般病院は対象外の可能性が高い区分です
特定機能病院として承認を受けていない医療機関(一般の診療所・中小病院など)は、この加算の対象にはなりません。自院が特定機能病院に該当するかどうかは、厚生労働省の承認状況で必ず確認してください。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?この加算専用の届出書とかあるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここが少しわかりにくいポイントなんですが、この入院期間加算そのものに専用の届出様式があるわけではありません。前提になっているのは、あくまでA104特定機能病院入院基本料(一般病棟)本体の施設基準です。告示の注1にあるとおり、看護配置・看護師比率・平均在院日数その他の事項について厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た病棟であることが条件になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、入院基本料の届出さえ済んでいれば、入院期間加算は自動的についてくるということですか?
あおい(元・医療事務)
実務上はそういう整理になりますが、「自動的に算定できる」と言い切るのは早計です。届出内容が実際の看護配置や平均在院日数の実態と合っているか、直近の状況に変化がないかは、定期的に確認が必要です。施設基準の充足状況の最終判断は、自院の看護部・医事課と地方厚生局への確認を通じて行ってください。
施設基準の充足は自院で確認
看護配置・看護師比率・平均在院日数などの施設基準を実際に満たしているかどうかは、当サイトでは判定できません。届出内容と現状に差がないか、必ず自院で確認してください。
算定のタイミングと入院期間の数え方
みらい(新人医療事務)
「14日以内」とか「15日以上30日以内」って、入院した日から何日目でカウントするんですか?
あおい(元・医療事務)
入院期間の起算日については、厚生労働省の訂正通知に「注3の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする」という定めがあります。つまり、点数表の入院料等の通則に基づいて起算日を数える、という考え方です。
みらい(新人医療事務)
具体的に何日目から数え始めるのか、細かいところまでは資料だけだとちょっと自信が持てないです…。
あおい(元・医療事務)
そこは私も同じ感覚です。転棟・転科があった場合の扱いなど、細かい数え方は個別のケースで変わることがあるので、断定はできません。レセプト作成の実務では、自院の医事課や審査支払機関に、具体的な入院期間の数え方を確認しながら進めるのが確実です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定と比べて、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では、令和8年度の医科点数表に定められている一般病棟の区分は「14日以内712点」「15日以上30日以内207点」の2区分で、これらの点数・区分構成に関する変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、ここ数年は同じ仕組みが続いているということですね。
あおい(元・医療事務)
現時点で当サイトが参照できる一次資料からはそう見えますが、届出済みの施設基準側の要件(看護配置や平均在院日数の基準など)が改定のたびに見直されることもあります。点数区分だけでなく、前提になる入院基本料本体の施設基準についても、改定のたびに最新の告示・通知を確認することをおすすめします。
前回→今回のイメージ
令和6年度以前: 令和8年度以前の区分・点数については、当サイトが直接確認できる一次資料の範囲を超えるため、ここでは扱いません 令和8年度(現行): 一般病棟は「14日以内712点」「15日以上30日以内207点」の2区分(区分・点数の変更は確認されていません)
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院がこの加算の候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
私だったら、こんな順番で確認します。
自院で確認する順番
自院が特定機能病院として承認されているかを確認する A104特定機能病院入院基本料(一般病棟)の施設基準の届出状況を医事課・看護部に確認する 対象患者が特定入院料(救命救急入院料等)を別途算定していないかを確認する 対象患者の入院期間が14日以内か、15日以上30日以内かを確認する 自院のレセプトシステムで該当コードが正しく反映されているかを確認する
みらい(新人医療事務)
一番最初でつまずいたら、その先の話は関係なくなるということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特定機能病院でなければ、この加算自体が対象外になります。逆にここまでクリアできれば、あとは入院期間に応じて確認していく作業になります。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある取り漏れの例
期間の区分間違い: 15日目以降も14日以内の712点のまま計算してしまい、区分の切り替えを見落とすケース 特定入院料との重複算定: 救命救急入院料やICU管理料などを算定している期間にも、この入院期間加算を重ねて計算してしまうケース 31日目以降の取り扱い: 一般病棟では31日以上の期間に区分がないにもかかわらず、区分がある前提で入力してしまうケース
みらい(新人医療事務)
特に2番目は、うっかりやってしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
特定入院料を算定する期間の患者と、一般病棟の通常の入院基本料を算定する患者が、同じ病棟の中で入り混じることもあるので、レセプトシステム上の区分管理をこまめに確認しておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、上乗せ元になっている特定機能病院入院基本料(A104)のページも確認しておくと、全体像がつかみやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。