特定機能病院入院基本料(A104)とは何か


みらい(新人医療事務)
あおいさん、「特定機能病院入院基本料」ってよく聞くんですけど、普通の入院基本料とはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院入院基本料は、厚生労働省から「特定機能病院」として承認を受けた病院が算定する入院基本料です。区分番号「A104」に位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
特定機能病院って、どんな病院のことですか?
あおい(元・医療事務)
高度な医療の提供・開発・評価や研修を担う病院として厚生労働大臣の承認を受けた病院です。大学病院の本院や一部の国立がん研究センターなどが該当します。算定できるのは、この承認を受けた病院に限られます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちの病院が特定機能病院でないと、この入院基本料は関係ないんですね。
令和8年度(2026年度) 特定機能病院入院基本料の基本情報
- 区分番号: A104
- 算定単位: 1日につき
- 対象医療機関: 特定機能病院として厚生労働大臣の承認を受けた病院のみ
- 対象病棟: 一般病棟・結核病棟・精神病棟(いずれも施設基準届出が必要)
- 根拠: 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分A104
特定機能病院 入院基本料 2026: 区分と算定の構造
みらい(新人医療事務)
入院基本料の区分って、どういう仕組みになっているんですか?
あおい(元・医療事務)
告示第69号の点数表(別表第一)では、看護配置や平均在院日数などの施設基準によって区分が設けられています。一般病棟・結核病棟・精神病棟の3種類の病棟ごとに、さらに看護配置の比率によって細分されています。具体的な各区分の所定点数は、告示第69号の別表第一でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
入院した日数によっても点数が変わるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、入院期間に応じた加算(注3)が所定点数に上乗せされます。病棟の種類によって加算の期間と点数が異なります。
| 病棟種類 | 入院期間 | 加算点数(1日につき) |
|---|---|---|
| 一般病棟 | 14日以内 | 712点 |
| 一般病棟 | 15日以上30日以内 | 207点 |
| 結核病棟 | 30日以内 | 330点 |
| 結核病棟 | 31日以上90日以内 | 200点 |
| 精神病棟 | 14日以内 | 505点 |
| 精神病棟 | 15日以上30日以内 | 250点 |
| 精神病棟 | 31日以上90日以内 | 125点 |
| 精神病棟 | 91日以上180日以内 | 30点 |
| 精神病棟 | 181日以上1年以内 | 15点 |
みらい(新人医療事務)
精神病棟は長い期間にわたって加算があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。長期入院が生じやすい精神病棟の特性を反映しています。ただし入院期間が長くなるにつれて加算点数は逓減します。
施設基準と届出(算定の前提条件)
みらい(新人医療事務)
施設基準ってどんなことを届け出ないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示と留意事項通知によると、特定機能病院入院基本料の注1では「看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟」が対象です。
自院で確認する順番
- 特定機能病院の承認を受けていることを確認する
- 算定対象の病棟(一般・結核・精神)を特定する
- 看護配置、看護師比率、平均在院日数などの施設基準の充足状況を自院で確認する
- 施設基準に適合している場合、地方厚生局長等への届出を実施する
- 届出後、対象病棟に入院する患者について区分ごとに算定する
みらい(新人医療事務)
届出なしでは算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準に適合しているうえで届出が完了していることが算定の前提条件です。届出の有効性については自院の事務担当部署や地方厚生局でご確認ください。
算定の前提条件について
特定機能病院入院基本料は、施設基準の充足と地方厚生局長等への届出がいずれも必要です。「特定機能病院に入院しているから算定できる」ということにはならず、病棟ごとの施設基準適合と届出の状況を確認することが必要です。
関連する加算と算定制限
みらい(新人医療事務)
この入院基本料と一緒に算定できる加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
注8に規定された加算のみが算定対象です。告示第69号の注8に列挙されているものとして、臨床研修病院入院診療加算、救急医療管理加算、超急性期脳卒中加算(一般病棟に限る)、妊産婦緊急搬送入院加算、在宅患者緊急入院診療加算、診療録管理体制加算、医師事務作業補助体制加算、急性期看護補助体制加算(一般病棟に限る)、看護職員夜間配置加算(一般病棟に限る)、電子的診療情報連携体制整備加算、乳幼児加算・幼児加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算などが確認できます。
みらい(新人医療事務)
全部の入院基本料等加算が使えるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。注8で列挙された加算に限られます。第3節の特定入院料を算定している患者には、そもそも特定機能病院入院基本料自体が算定されません。
算定に関する注意点(告示第69号 注8より)
- 注8に規定する加算以外の入院基本料等加算は算定できない
- 第3節の特定入院料を算定している患者は対象外
- 精神病棟に入院する重度認知症患者(所定の要件を満たす場合)については入院1か月以内に限り1日300点の重度認知症加算(注4)が算定候補
- 注6・注7に規定する算定の取り扱い(退院時刻・入退院の集中に関する要件)は、告示第69号の原文をご確認ください
みらい(新人医療事務)
「看護必要度加算」というものもありましたが、これは何ですか?
あおい(元・医療事務)
注5に基づく加算で、患者の重症度・医療・看護必要度(看護必要度)に係る施設基準を別途届け出ることで算定候補となります。加算1(55点)・加算2(45点)・加算3(25点)の3区分があります。
| 看護必要度加算の区分 | 加算点数(1日につき) |
|---|---|
| 看護必要度加算1 | 55点 |
| 看護必要度加算2 | 45点 |
| 看護必要度加算3 | 25点 |
結核病棟に関する特別な算定要件
みらい(新人医療事務)
結核病棟の場合は何か特別なことがありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知によると、結核病棟に入院している結核患者に化学療法を行う際には、日本結核病学会の「院内DOTSガイドライン」を踏まえた対応が求められています。具体的には服薬支援計画の作成、服薬確認の実施、患者教育の実施、保健所との連携の4点です。
みらい(新人医療事務)
服薬支援計画って何を書くんですか?
あおい(元・医療事務)
「個々の患者の服薬中断リスクを分析し、服薬確認、患者教育、保健所との連携等に関する院内DOTS計画を策定すること。計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、副作用の発生や退院後の生活状態等による服薬中断リスクを考慮すること」と留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)に規定されています。
みらい(新人医療事務)
DOTS計画の基準を満たさないとどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
当該基準を満たさない場合は、A102(結核病棟入院基本料)の注2に規定する特別入院基本料を算定することになります。また、注2には感染症法(第19条、第20条、第22条)に基づく入退院が行われている結核患者に適用される特別入院基本料の規定もあります。退院できることが確定した日以降は特別入院基本料での算定に切り替わります。
結核病棟における確認事項
- 院内DOTSガイドラインに沿った服薬支援計画の作成・実施
- 服薬確認の方法(看護師による内服確認など)
- 患者教育(服薬の必要性の説明・退院後の継続服薬)
- 保健所との連携(DOTSカンファレンスの実施・診療録記載)
- 退院基準(2週間以上の標準的化学療法・臨床症状消失・培養検査3回陰性・患者の理解確認)
- 基準を満たさない場合はA102注2の特別入院基本料を算定
令和8年度(2026年度)改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定でA104に何か変わったことはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定での特定機能病院入院基本料(A104)に関する変更については、厚生労働省が公開している「個別改定項目について」や告示・通知の比較確認が必要です。現時点で手元の一次資料(告示第69号・留意事項通知・施設基準告示第70号)の範囲では、注5の看護必要度加算の体系(55点・45点・25点)や注3の入院期間加算の点数・日数区分については、前回改定(令和6年度・2024年度)からの変更が個別改定項目の資料で明示されている内容を確認できていません(2026年6月時点・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「変わっていない」とも断言できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。「変更は確認されていない」という表現が正確です。特定機能病院入院基本料は施設基準・届出要件も含め、最終的な確認は厚労省の令和8年度改定資料や地方厚生局の届出案内でご確認ください。
令和8年度改定の確認ポイント
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」の関連資料で確認
- 告示第69号(令和8年厚生労働省告示第69号)で点数・算定要件を確認
- 施設基準告示第70号(令和8年厚生労働省告示第70号)で施設基準の詳細を確認
- 地方厚生局への届出様式・記載要領が変更されていないか確認
- 前回改定(令和6年度・2024年度)との差分は厚労省「個別改定項目について」で照合
よくある質問
みらい(新人医療事務)
特定機能病院じゃない病院が、間違って届け出てしまったらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院は厚生労働大臣が承認した病院に限られるため、承認を受けていない医療機関はそもそも届出できません。「うちは特定機能病院に相当するくらいの規模だから…」という理由では算定できません。自院が特定機能病院として承認されているかどうかは、厚生労働省の公表リストや地方厚生局への確認でわかります。
みらい(新人医療事務)
複数種類の病棟(一般と精神など)があっても、それぞれ算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(5)によると、「当該特定機能病院において同一種別の病棟が複数ある場合の入院基本料の算定」については、一般病棟入院基本料の例などに従うとされています。また、一般病棟・結核病棟・精神病棟それぞれが施設基準の届出をしていれば、それぞれの病棟で算定候補となります。
みらい(新人医療事務)
「看護必要度加算」と「入院期間加算」は同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
注3の入院期間加算と注5の看護必要度加算は、それぞれの要件を満たしていれば同時に所定点数に加算される仕組みです。ただし看護必要度加算は別途施設基準の届出が必要です。実際の算定可否は、算定の組み合わせも含めて審査支払機関や公式資料で確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院期間の起算日はどう数えますか?
あおい(元・医療事務)
「注3」の加算に係る入院期間の起算日は「第2部通則7に規定する起算日」とされています。同一の傷病での入院が繰り返された場合の扱いなど詳細は、留意事項通知の第2部通則の規定をご確認ください。
関連する入院基本料の記事
病棟の種別ごとに入院基本料の区分・施設基準は異なります。自院の病棟種別に応じて、あわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。