みらい(新人医療事務)
部長、レセプトの勉強をしていたら「特定機能病院等紹介患者受入加算」という初診料の加算を見つけました。名前が長くて身構えちゃうんですが、うちのクリニックにも関係あるものでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。これは令和8年度の医科点数表で初診料(A000)に上乗せする加算の一つです。名前は長いですが、仕組みは意外とシンプルですよ。大きな病院から紹介されてきた患者さんを、診療所や中小規模の病院が初診で受け入れたときに算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「大きな病院からの紹介」がポイントなんですね。具体的にどんな病院からの紹介だと対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(医科点数表・初診料の注15)には、次のように定められています。「保険医療機関(診療所又は許可病床数が200床未満である病院に限る。)において、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)、紹介受診重点医療機関(一般病床の数が200床未満であるものを除く。)又は許可病床の数が400床以上の病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)の紹介を受けて初診を行った場合は、特定機能病院等紹介患者受入加算として、60点を所定点数に加算する。」つまり紹介元は4パターン、受け入れる自院側の条件と組み合わせて確認する加算です。
みらい(新人医療事務)
4パターンもあるんですね…整理して教えてください!
対象医療機関・対象患者はどう決まる?
あおい(元・医療事務)
まず受け入れる側(自院)の条件から見てみましょう。告示上、対象になる保険医療機関は「診療所」または「許可病床数が200床未満である病院」に限られています。病床規模が大きい病院がこの加算の対象になることはありません。
みらい(新人医療事務)
診療所ならどこでも当てはまるということですか?
あおい(元・医療事務)
病床規模の条件はそのとおりですが、それだけでは足りません。紹介元の医療機関が、告示に列挙された4種類のいずれかに該当している必要があります。
紹介元として対象になる4類型(令和8年度)
特定機能病院: 病床規模の除外条件なし 地域医療支援病院: 一般病床数200床未満の病院は対象外 紹介受診重点医療機関: 一般病床数200床未満のものは対象外 許可病床数400床以上の病院: 一般病床数200床未満の病院は対象外
みらい(新人医療事務)
なるほど、紹介元にも病床規模の条件がついているんですね。地域医療支援病院からの紹介ならどこでも算定候補になるわけではない、と。
あおい(元・医療事務)
そうです。地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関・400床以上の病院については、いずれも「一般病床数200床未満のものを除く」という除外規定が付いています。つまり、比較的大きな一般病床を持つ病院からの紹介に限られる設計です。紹介状(診療情報提供書)を確認するときに、紹介元がこの4類型のどれに当たるかを見極める必要があります。
| 確認する側 | 条件(令和8年度) |
|---|---|
| 受入側(自院) | 診療所、または許可病床数200床未満の病院 |
| 紹介元 | 特定機能病院/地域医療支援病院(一般病床200床以上)/紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上)/許可病床400床以上の病院(一般病床200床以上) |

点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
対象がわかったところで、点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では60点と定められています。初診料の所定点数に上乗せする加算ですので、初診料本体(291点)に60点を加算した点数を算定候補として計算することになります。
| 区分 | 点数 | 算定の考え方 |
|---|---|---|
| 初診料(基本) | 291点 | 通常の初診時に算定 |
| 特定機能病院等紹介患者受入加算 | 60点 | 上記の対象条件を満たす初診に上乗せ |
みらい(新人医療事務)
レセプトの記載欄にも何か決まりはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の訂正通知(レセプト電算処理システム用コードの一覧)では、この加算を算定した場合の記号として「特紹受」という略称が「初診」欄に用いられると案内されています。自院のレセプトコンピュータでこの略称が正しく反映されているか、一度確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
60点というと、金額にすると600円くらいの上乗せなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし点数は目安の計算であり、実際の算定候補になるかどうかは条件を満たしているかどうかで決まります。点数の大きさよりも、まずは対象条件に当てはまるかを確認することが大切ですよ。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?機能強化加算とかは届出が必要だったと記憶しているんですが。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。今回確認できた告示の条文(注15)を見る限り、サーベイランス強化加算や抗菌薬適正使用体制加算のように「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という届出を前提とする文言は入っていません。紹介元医療機関の類型と、自院の病床区分という客観的な条件によって決まる加算だと読み取れます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出は一切いらないということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。告示の条文自体に届出の文言が無いことは確認できていますが、届出の要否や運用上の取り扱いについては、地方厚生局の通知やレセプトの記載ルールも含めて確認が必要です。「届出不要」と決めつけず、自院の地方厚生局への確認、または顧問の社会保険労務士・レセプト担当者への相談をおすすめします。
届出の要否は自己判断しない
告示条文には届出を前提とする記載が見当たりませんが、運用上の取り扱いは地方厚生局や審査支払機関によって確認が必要な場合があります。届出の要否を自己判断せず、必ず地方厚生局や顧問社労士等に確認してください。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は「初診を行った場合」に算定候補になる加算です。つまり再診では算定できません。また、紹介状(診療情報提供書)を伴う紹介であることが前提になりますので、紹介状なしで受診した患者さんには当てはまりません。
| 確認項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 算定単位 | 初診時に限り加算候補(再診では算定不可) |
| 前提となる事実 | 紹介状(診療情報提供書)を伴う紹介であること |
| レセプト記載 | 「特紹受」の略称を「初診」欄に反映 |
みらい(新人医療事務)
機能強化加算と一緒に算定できたりするんですか?
あおい(元・医療事務)
機能強化加算は、かかりつけ医機能に関する別の施設基準に基づく加算で、対象要件が異なります。留意事項通知では、初診料の機能強化加算と特定機能病院等紹介患者受入加算がそれぞれ別項目として挙げられている箇所がありますが、同一の初診で両方を重複算定できるかどうかは、今回確認できた資料の範囲では明記されていません。この点は自院のレセプトコンピュータの設定や、審査支払機関への確認を通じて個別に確かめる必要があります。
紹介状の確認ポイント
紹介元の医療機関名だけでなく、その医療機関が「特定機能病院」「地域医療支援病院(一般病床200床以上)」「紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上)」「許可病床400床以上の病院(一般病床200床以上)」のいずれに該当するかを確認しましょう。病床規模の条件を見落とすと、算定候補にならないケースがあります。
紹介の目的にも条件がある(疑義解釈で明確化)
みらい(新人医療事務)
さっき「紹介状を伴う紹介が前提」というお話がありましたが、紹介状さえあればどんな紹介でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは厚生労働省の疑義解釈資料(令和8年9月2日事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その12)」別添1 医科 問1)で明確にされています。この加算は、継続的な治療管理を行うため、特定機能病院等より紹介された患者に対して初診を行った場合を評価するものだと説明されています。具体的には、特定機能病院等の医師が、他の保険医療機関での診療の必要性を認め、診療状況を示す文書(電子的に送付されたものも含みます)を添えて紹介した患者について初診料を算定する場合に、算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「継続的な治療管理」という言葉が出てきましたが、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
同じ問1では、当該加算の対象となる紹介は複数回の受診を通じた継続的な治療管理を前提とするものだと説明されています。裏を返すと、単回の画像検査のみを目的とした紹介等、その後の継続的な診療を予定していない場合は該当しないとされています。紹介状が添えられていても、紹介の目的が単発の検査だけであれば、算定候補にならない可能性があるということですね。
疑義解釈(問1・令和8年9月2日事務連絡)で確認できたポイント
紹介の要件: 特定機能病院等の医師が診療の必要性を認め、診療状況を示す文書(電子的送付も含む)を添えて紹介し、初診料を算定する場合に算定候補 前提となる診療の形: 複数回の受診を通じた継続的な治療管理が前提 対象外の例: 単回の画像検査のみを目的とした紹介等、その後の継続的な診療を予定していない場合
みらい(新人医療事務)
じゃあ、紹介状を受け取ったときは「この後も継続して診てほしい」という趣旨かどうかを確認する必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。診療状況を示す文書の内容から、紹介の目的が継続的な治療管理にあるのか、単発の検査依頼にとどまるのかを確認しておくと安心です。判断に迷う場合は、紹介元の医療機関に趣旨を確認する、または審査支払機関に相談するとよいでしょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの確認)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度時点におけるこの加算の記載内容を確認できておらず、前回改定からの変更点は確認されていません。令和8年度の告示に基づく現行の要件を、この記事では整理してご案内しています。改定経緯を厳密に確認したい場合は、厚生労働省が公表する「個別改定項目について」など一次資料をあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 自院が「診療所」または「許可病床数200床未満の病院」に該当するか確認する
- 紹介状を持参した患者さんの紹介元医療機関を確認する
- 紹介元が「特定機能病院」「地域医療支援病院(一般病床200床以上)」「紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上)」「許可病床400床以上の病院(一般病床200床以上)」のいずれかに該当するか確認する
- 診療状況を示す文書の内容から、紹介の目的が複数回受診を通じた継続的な治療管理にあるか、単回の画像検査等にとどまるかを確認する
- 当該診療が「初診」に当たるか(再診ではないか)を確認する
- レセプト記載時に「特紹受」の略称が正しく反映されるか確認する
- 届出の要否や運用の取り扱いについて、地方厚生局や顧問社労士に確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
実務でありがちなのは、紹介状を受け取ったことだけで満足してしまい、紹介元医療機関の病床規模条件を確認しないまま算定を見送ってしまうケースです。逆に、紹介元の類型を確認せずに算定してしまうケースにも注意が必要です。
よくある取り漏れ
・紹介元が地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関であっても、一般病床数が200床未満であれば対象外になる点を見落としやすい ・紹介状を伴わない受診(患者さんが自発的に他院から移ってきた場合など)は対象にならない点を見落としやすい ・レセプトの記載欄(「特紹受」)への反映漏れ
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。紹介元医療機関の種類や自院の病床区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する加算として、初診料に上乗せする 機能強化加算 や、紹介元病院側の 紹介受診重点医療機関入院診療加算 もあわせてご確認ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。