みらい(新人医療事務)
精神科病棟のあるA病院さんから「うちは特定機能病院なんですけど、精神病棟入院期間加算って何ですか?」って聞かれて、答えられなかったんです…。特定機能病院精神病棟入院期間加算って、そもそもどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院の精神病棟に入院している患者さんについて、入院期間の長さに応じて入院基本料に上乗せする加算のことです。厚生労働省の医科点数表では、区分番号A104「特定機能病院入院基本料」の中の「注3」に規定されていて、精神病棟の場合は入院期間の区分ごとに1日につき所定点数へ加算する仕組みになっています。令和8年度時点でこの区分は5段階あります。
みらい(新人医療事務)
5段階もあるんですね。日数が経つほど加算が減っていくイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院初期は点数が高く、長期入院になるほど段階的に下がっていきます。急性期の手厚い医療を評価しつつ、長期入院への偏りを抑える設計になっていると考えられます。具体的な点数は次のセクションで見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、どんな病院のどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は特定機能病院の精神病棟に入院している患者さんです。厚労省の点数表では「特定機能病院の一般病棟、結核病棟又は精神病棟であって、看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「特定入院料を算定する患者を除く」というのが気になります。
あおい(元・医療事務)
そこは重要な注意点です。精神科救急急性期医療入院料などの特定入院料(第3節に規定される入院料)を算定している患者さんは対象外になります。つまり、A104特定機能病院入院基本料(精神病棟)の各区分(7対1・10対1・13対1・15対1)で入院基本料を算定している患者さんが対象、という整理になります。
A103との混同に注意
特定機能病院ではない一般の病院の精神病棟にも「精神病棟入院期間加算」(A103精神病棟入院基本料の注3)があります。ただしこちらは点数が異なり(14日以内465点・15日以上30日以内250点・31日以上90日以内125点・91日以上180日以内10点・181日以上1年以内3点)、対象も「病院(特定機能病院を除く。)の精神病棟」と定められています。特定機能病院の精神病棟が対象になるのは、あくまでA104側の入院期間加算(本記事の対象)です。名称が似ているため取り違えないよう注意が必要です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚労省の医科点数表では、当該病棟の入院患者の入院期間に応じて、次の点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算すると定められています。精神病棟の場合は次の5区分です。
| 入院期間の区分 | 加算点数(1日につき) |
|---|---|
| 14日以内の期間 | 505点 |
| 15日以上30日以内の期間 | 250点 |
| 31日以上90日以内の期間 | 125点 |
| 91日以上180日以内の期間 | 30点 |
| 181日以上1年以内の期間 | 15点 |

みらい(新人医療事務)
この5区分、医科診療行為マスター上でも別々のコードで管理されているんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に対応する管理コードが5つ存在することは確認できていますが、どのコード番号がどの日数区分に対応するかまでは、点数表の本文からは特定できていません。数字を推測で当てはめることは避け、区分名(「14日以内」「181日以上1年以内」など)でご案内しています。個別コードの対応は、自院のレセプトコンピューターや医科診療行為マスターで確認いただくのが確実です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか? 別途この加算だけの届出が必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
点数表の規定上、この入院期間加算は「特定機能病院の…精神病棟であって、看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして…届け出た病棟に入院している患者」について算定するとされています。つまり、A104特定機能病院入院基本料(精神病棟)の各区分(7対1・10対1・13対1・15対1)の施設基準に適合し、届出済みであることが前提です。入院期間加算そのものについて、別枠の追加届出を行う規定は、当サイトが確認した一次資料の範囲では見当たりません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、A104の届出さえ済んでいれば、日数に応じて自動的に算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
大枠としてはそのとおりですが、「届出済みであれば候補」という表現にとどめておきたいところです。実際の算定可否は、入院期間の起算日の数え方や、特定入院料を算定していないかなど、個別の患者の状態によって変わります。最終的には自院のレセプト担当者や審査支払機関での確認が必要です。
施設基準の充足はAIが判定できません
届出の有効性や施設基準の充足状況(看護配置・看護師比率・平均在院日数など)は、当サイトや本記事では判定できません。地方厚生局への届出内容と、実際の病棟の人員体制・在院日数の実績を照合し、必ず自院で確認してください。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず、この加算は「1日につき」の加算なので、入院期間の区分が切り替わるタイミング(14日を超えた、30日を超えた、など)で加算点数も切り替わります。日々のレセプト処理で、入院日数のカウントがずれないように注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院日数はいつから数え始めるんですか?
あおい(元・医療事務)
入院期間の起算日は、点数表の入院料等に関する通則の規定に基づいて定まります。起算日の考え方自体は複数のケース(転棟・再入院など)で変わり得るため、当サイトの一次資料の範囲だけで断定的な結論は出せません。起算日の具体的な数え方は、自院のレセプトコンピューターの設定や審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
もうひとつ、特定入院料との関係も気になります。
あおい(元・医療事務)
すでに触れたとおり、精神科救急急性期医療入院料などの特定入院料(第3節)を算定している期間は、この入院期間加算を含むA104の入院基本料そのものを算定していません。病棟を移動して特定入院料の対象病棟から一般のA104精神病棟へ移った場合など、算定の切り替えタイミングは個別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表)の範囲を確認した限りでは、この特定機能病院精神病棟入院期間加算の点数区分・点数そのものに関する変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。ただし、これは「一次資料で照合できる範囲では変更点が見当たらない」という意味であり、施設基準や関連する周辺加算(精神病棟看護・多職種協働加算など)に細かな見直しがある可能性はあります。気になる点は、必ず最新の告示・留意事項通知でご確認ください。
改定年度ごとの点数を混同しない
令和6年度改定時点の点数表と令和8年度改定時点の点数表では、周辺の加算体系(精神病棟看護・多職種協働加算の新設など)が変わっている場合があります。本記事は令和8年度の点数表を基準にしています。古い年度の資料と混在させないよう、参照する際は必ず年度を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 自院が特定機能病院として承認されているかを確認する
- 対象の病棟が精神病棟で、A104特定機能病院入院基本料(精神病棟・7対1〜15対1のいずれか)の施設基準に適合し、届出済みであるかを確認する
- 対象の患者が精神科救急急性期医療入院料などの特定入院料(第3節)を算定していないかを確認する
- 入院期間の起算日から数えて、患者が現在どの日数区分(14日以内〜181日以上1年以内)に該当するかを確認する
- 該当する区分の点数で、日々のレセプトに加算が反映されているかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは次のようなケースです。
取り漏れやすいポイント
入院期間区分の切り替え忘れ: 14日・30日・90日・180日を超えたタイミングで加算点数が変わることに気づかず、古い区分の点数のまま算定を続けてしまうケースがあります。 A103との取り違え: 特定機能病院でない一般病院向けのA103精神病棟入院基本料の入院期間加算(点数が異なります)と混同し、誤った点数で算定してしまうケースがあります。 特定入院料期間の混在: 精神科救急急性期医療入院料などの特定入院料を算定していた期間と、A104精神病棟の入院基本料を算定する期間が混在する患者で、算定区分の切り替えを見落とすケースがあります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。