みらい(新人医療事務)
先輩、未記事化リストに「回復期入院対象者入院医学管理料」という名前があったんですけど、これってうちのクリニックでも算定候補になったりしますか?名前だけ見ると入院料っぽいので気になって。
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。でも結論を先に言うと、これは一般のクリニックや普通の病院が対象になる管理料ではなさそうです。医療観察法という特別な法律に基づく管理料で、対象は国が指定した一部の医療機関に限られています。まずは制度の背景から一緒に確認していきましょう。
回復期入院対象者入院医学管理料とは
みらい(新人医療事務)
医療観察法という言葉自体、あまり聞いたことがないです。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の制度概要ページには、「心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、不同意性交等、不同意わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度」と説明されています。この制度で入院による医療の決定を受けた人が対象で、一般の診療報酬(医科点数表)とは別建ての「医療観察診療報酬」という枠組みで算定される点がまず押さえておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
医科点数表とは別の点数表があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「回復期入院対象者入院医学管理料」は、その医療観察診療報酬のなかで、入院対象者の治療段階を区分して評価するための管理料の一つでした。厚生労働省が公開している算定告示・留意事項通知には、「入院対象者の治療段階をそれぞれ『急性期』、『回復期』、『社会復帰期』の3期に分け評価することにより、早期退院(概ね18ヶ月以内)を目指すものである」と記載があります。つまり回復期は、急性期を終えたあと社会復帰期に移る前の中間段階として位置づけられていた区分ということですね。
対象になる医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここが一番大事なところです。厚生労働省の説明では、「審判の結果、医療観察法の入院による医療の決定を受けた人に対しては、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定入院医療機関)において、手厚い専門的な医療の提供が行われる」とされています。つまり算定できるのは、厚生労働大臣から個別に指定を受けた「指定入院医療機関」だけで、一般のクリニックや通常の精神科病院がそのまま算定できる管理料ではありません。
みらい(新人医療事務)
普通のクリニックは対象外の可能性が高い、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、資料の範囲ではそう読み取れます。ただし届出状況や指定の有無は個々の医療機関で異なりますから、二値で言い切るのではなく、自院が指定入院医療機関にあたるかどうかをまず確認する、という順番が大切です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの中でも、誰が「回復期」と判断されるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、「入院対象者の各期別の評価は、多職種チームによる治療評価会議において行い、その評価結果については、運営会議において報告聴取を行うものとする。当該評価結果に基づき、当該指定入院医療機関の管理者は、急性期から回復期、回復期から社会復帰期への移行についての決定を行うものとする」とあります。医師だけでなく看護師や作業療法士、精神保健福祉士などの多職種チームが評価し、最終的には指定入院医療機関の管理者が移行を決定する、という流れです。
点数(令和8年度改定でどう変わったか)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは令和8年度改定でとても大きな変更があった部分なので、順番に説明しますね。改定前の点数は、厚生労働省が公開している改定資料に整理されています。
| 区分(改定前) | 点数(改定前) |
|---|---|
| 急性期入院対象者入院医学管理料 | 6,798点 |
| 回復期入院対象者入院医学管理料 | 5,012点 |
| 社会復帰期入院対象者入院医学管理料 | 5,926点 |
みらい(新人医療事務)
5,012点、けっこう高いですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和8年度改定では、まず病棟単位の新しい入院料が新設されました。改定資料の「医療観察法病棟入院料の新設」には「(新)医療観察一般病棟入院料(1日につき)3,900点」「(新)医療観察地域移行支援病棟入院料(1日につき)3,500点」と明記されています。これは病棟ごとに算定する日額の基本料にあたる新設項目です。
| 区分(改定後・令和8年度・新設) | 点数 |
|---|---|
| 医療観察一般病棟入院料(1日につき) | 3,900点 |
| 医療観察地域移行支援病棟入院料(1日につき) | 3,500点 |
みらい(新人医療事務)
この新しい入院料が、さっきの「急性期入院対象者入院医学管理料」などと入れ替わったということですか?
あおい(元・医療事務)
そこが誤解しやすいところです。改定資料の別セクション「入院対象者入院医学管理料の見直し①」を確認すると、現行の「イ 急性期入院対象者入院医学管理料6,798点/ロ 回復期入院対象者入院医学管理料5,012点/ハ 社会復帰期入院対象者入院医学管理料5,926点」という区分が、改定後は「イ 医療観察一般病棟入院料 ⑴急性期入院対象者入院医学管理料3,100点 ⑵回復期入院対象者入院医学管理料1,200点 ⑶社会復帰期入院対象者入院医学管理料2,200点/ロ 医療観察地域移行支援病棟入院料 ⑴急性期入院対象者入院医学管理料2,800点 ⑵回復期入院対象者入院医学管理料1,000点 ⑶社会復帰期入院対象者入院医学管理料3,000点」に対応すると明記されています。つまり「急性期/回復期/社会復帰期入院対象者入院医学管理料」という名称・区分そのものは令和8年度改定後も存続していて、廃止されたわけではありません。
| 区分(改定後・令和8年度) | 医療観察一般病棟入院料の場合 | 医療観察地域移行支援病棟入院料の場合 |
|---|---|---|
| 急性期入院対象者入院医学管理料 | 3,100点 | 2,800点 |
| 回復期入院対象者入院医学管理料 | 1,200点 | 1,000点 |
| 社会復帰期入院対象者入院医学管理料 | 2,200点 | 3,000点 |
みらい(新人医療事務)
名前は残っているけど、点数はかなり下がっているんですね。さっきの医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料(3,900点・3,500点)とは別に算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
資料の構成からは、医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料(1日につき3,900点・3,500点)は病棟単位で算定する新設の日額基本料、急性期・回復期・社会復帰期の各入院対象者入院医学管理料は、その病棟の種別と入院対象者の治療段階に応じて別枠で算定する管理料、という位置づけで整理されています。「医療観察一般病棟入院料」「医療観察地域移行支援病棟入院料」という名称が、日額の病棟入院料そのものと、管理料側の区分名(イ・ロ)の両方に出てくるため、混同しないよう注意が必要です。
管理料の名称は令和8年度改定後も存続しています(廃止ではありません)
「急性期/回復期/社会復帰期入院対象者入院医学管理料」という名称・区分は、令和8年度改定(令和8年6月1日から)後も存続しています。改定で変わったのは点数で、算定する病棟が医療観察一般病棟入院料の病棟か医療観察地域移行支援病棟入院料の病棟かに応じて、回復期であれば1,200点または1,000点に改定されました。これとは別に、病棟単位で算定する新設の入院料(医療観察一般病棟入院料3,900点/日、医療観察地域移行支援病棟入院料3,500点/日)もあります。詳細は必ず最新の告示・通知でご確認ください。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定後の医療観察一般病棟入院料について、改定資料には人員配置の基準が示されています。たとえば医師の配置は、「当該病棟における医師の数は、当該病棟の入院対象者の数が八又はその端数を増すごとに一以上であり、かつ、当該病棟に勤務する医師の過半数は常勤の医師であること」とされています。このほか常勤の精神保健指定医の配置数、看護師の配置数、作業療法士・精神保健福祉士等の配置数についても細かく基準が定められています。
みらい(新人医療事務)
かなり厳しい人員基準ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。指定入院医療機関というだけあって、通常の精神科病棟よりも手厚い人員配置が前提になっています。施設基準の詳細な数値要件は改定資料でも「概要」扱いとされていて、「本資料は現時点での改定の概要をご紹介するためのものであり、必ずしも最終的な施行内容が反映されていない場合等があります。算定要件・施設基準等の詳細については、関連する告示・通知等をご確認下さい」という注記もあります。実務での適用にあたっては、必ず個別の告示・通知の原文で確認することが必要です。
届出・算定タイミング
みらい(新人医療事務)
届出のタイミングはいつだったんですか?
あおい(元・医療事務)
改定資料には、「令和8年6月1日から算定を行うためには、令和8年6月1日まで(必着)に、届出を行う指定入院医療機関等の所在地を管轄する地方厚生局への届出が必要となります」と書かれています。つまり新しい医療観察法病棟入院料は令和8年6月1日から施行されていて、算定するには地方厚生局への届出が前提になります。
みらい(新人医療事務)
もう届出の締切は過ぎてしまっていますね。
あおい(元・医療事務)
はい、これから新たに算定を検討する場合は、この記事の情報だけで判断せず、必ず所在地を管轄する地方厚生局に最新の届出状況・経過措置の扱いを確認してください。経過措置が設けられている項目もあるため、確認が必要です。
よくある取り漏れ
急性期・回復期・社会復帰期という入院対象者入院医学管理料の名称・区分は、令和8年度改定後も存続しています。改定で変わったのは点数(算定する病棟の種別に応じた点数に改定)と、これとは別に病棟単位の新しい入院料(医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料)が新設された点です。「名称が廃止された」「新しい入院料に完全に置き換わった」と思い込むのは取り漏れ・誤りのもとになりやすいポイントです。
令和8年度改定での変更点(点数の見直しと病棟単位の入院料新設)
みらい(新人医療事務)
ここまでの話をまとめると、変更点がかなり大きいですよね。
あおい(元・医療事務)
順を追ってお伝えしますね。まず新設について、令和8年度改定で病棟単位の日額入院料として「医療観察一般病棟入院料(3,900点/日)」「医療観察地域移行支援病棟入院料(3,500点/日)」が新設されました。これとは別に、既存の「急性期入院対象者入院医学管理料(6,798点)」「回復期入院対象者入院医学管理料(5,012点)」「社会復帰期入院対象者入院医学管理料(5,926点)」という3区分の管理料は、名称・区分を維持したまま、算定する病棟の種別(医療観察一般病棟入院料の病棟か、医療観察地域移行支援病棟入院料の病棟か)に応じて点数が大きく引き下げられました(回復期であれば1,200点または1,000点)。施行時期は令和8年6月1日です。
みらい(新人医療事務)
点数だけ見ると下がっているように見えますが、単純に「負担が減った」と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に見る必要があります。改定資料には「入院処遇における各治療段階の目標期間を超えている対象者が相当数いる現状等を踏まえ、入院対象者の更なる社会復帰の取組を推進する観点から、指定入院医療機関の機能分化等を図るため、評価体系を見直す」という改定の趣旨は記載されていますが、増減の評価(有利・不利)についての明確な記載は今回確認した資料の範囲では見当たりませんでした。単純な点数の大小だけで負担の増減を判断せず、施設基準や算定要件全体を含めて確認することをおすすめします。
改定差分チェックのポイント
点数の変更だけでなく、①急性期・回復期・社会復帰期の入院対象者入院医学管理料という名称・区分自体は存続していること、②これとは別に病棟単位の新しい入院料(医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料)が新設されたこと、③長期入院に関する減算・算定終了ルールが複数設けられたこと(後述)、の3点は必ずあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
さっき「2年180日」というルールがあるとおっしゃっていましたが、それも今回の変更点なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ただしここは性質の異なる2つのルールを混同しやすいので整理しますね。1つは、新設された医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料(病棟単位の日額入院料)についての減算ルールで、改定資料には「各治療段階(『急性期』、『回復期』、『社会復帰期』)に移行した日から起算して、各治療段階において通算して2年180日を超える期間にあっては、入院料及び各治療段階に応じた点数を減算する」と記載されています。もう1つは、急性期・回復期・社会復帰期の入院対象者入院医学管理料そのものについてのルールで、改定資料の「入院対象者入院医学管理料の見直し①」には「急性期入院対象者入院医学管理料、回復期入院対象者入院医学管理料及び社会復帰期入院対象者入院医学管理料を算定した日から起算して、2年を超える期間にあっては、算定しない」と記載されています。前者は「点数が減る」ルール、後者は「そもそも算定できなくなる」ルールなので、対象と効果が違う点に注意してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関がもし関係するとしたら、どんな順番で確認したらいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 自院が厚生労働大臣の指定を受けた「指定入院医療機関」にあたるかどうかを確認する
- 該当する場合、対象の入院対象者がどの治療段階(急性期・回復期・社会復帰期)にあるかを、治療評価会議・運営会議の記録で確認する
- 医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料の施設基準(人員配置等)を満たしているか、届出の内容を確認する
- 所在地を管轄する地方厚生局に、最新の届出状況・経過措置の扱いを確認する

みらい(新人医療事務)
指定入院医療機関にあたるかどうかが最初の分かれ道なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。指定入院医療機関にあたらない場合は、この管理料・入院料はそもそも算定候補にならない可能性が高いです。逆に指定入院医療機関にあたる場合は、令和8年度改定後の点数(急性期・回復期・社会復帰期の各入院対象者入院医学管理料は病棟種別に応じた点数、これとは別に病棟単位の医療観察一般病棟入院料・医療観察地域移行支援病棟入院料)の両方をあわせて確認する必要があります。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。