在宅医療充実体制加算ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「在宅医療充実体制加算」という名前を見かけたんですけど、これはどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設された加算です。厚生労働省の疑義解釈でも「令和8年度診療報酬改定で新設された『在宅医療充実体制加算』」と説明されていて、前回改定(令和6年度)以前には存在していませんでした。
みらい(新人医療事務)
新設なんですね! どんな場面で算定する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けて2つの場面で登場します。1つ目は「在宅時医学総合管理料」(区分番号C002)や「施設入居時等医学総合管理料」(区分番号C002-2)を算定している患者について、体制の充実した医療機関がさらに上乗せする形。2つ目は「往診料」(C000)や「在宅患者訪問診療料(Ⅱ)」(C001-2)で算定する「在宅ターミナルケア加算」に、施設基準を満たす医療機関がさらに上乗せする形です。
みらい(新人医療事務)
上乗せ、というのがポイントなんですね。単独では算定できないということですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。在宅医療充実体制加算という名前の点数が単体で存在するわけではなく、既存の管理料や加算に「体制が整っている医療機関への上乗せ」として組み込まれている点数、というイメージを持っていただくのが正確です。
どんな医療機関・患者が対象になりますか?
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックは在宅医療をやっているんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料を算定している患者がいることが出発点です。告示では「区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料を算定している患者については算定しない」(施設入居時等医学総合管理料側の規定)というように、C002とC002-2は同じ患者について同時には算定できない関係にあります。
みらい(新人医療事務)
つまり、どちらか一方の管理料を算定している患者さんが対象、ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。加えて、往診料や在宅患者訪問診療料(Ⅱ)で在宅ターミナルケア加算を算定する場面でも、施設基準を満たしていれば在宅医療充実体制加算の上乗せが候補になります。ただし、これは「体制の届出をしている医療機関」であることが前提で、届出をしていなければ対象になりません。
みらい(新人医療事務)
病院でも診療所でも関係あるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設入居時等医学総合管理料の告示では「診療所、在宅療養支援病院及び許可病床数が200床未満の病院(在宅療養支援病院を除く。)に限る」という枠組みが定められています。在宅医療を行う診療所・在宅療養支援病院・200床未満の病院が中心的な対象と考えられますが、実際にどの区分に該当するかは自院の届出状況によって変わりますので、確認が必要です。
点数はいくらですか?
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください!
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の点数をお伝えします。まず在宅時医学総合管理料(C002)への上乗せはこちらです。単一建物診療患者数(同じ建物に住む対象患者の人数)の区分によって点数が変わります。
| 単一建物診療患者数の区分 | 在宅医療充実体制加算(C002上乗せ) |
|---|---|
| 1人の場合 | 800点 |
| 2人以上9人以下の場合 | 400点 |
| 10人以上19人以下の場合 | 200点 |
| 20人以上49人以下の場合 | 170点 |
| (1)〜(4)以外の場合 | 150点 |

みらい(新人医療事務)
施設入居時等医学総合管理料(C002-2)のほうは違う点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、少し低い点数設定になっています。
| 単一建物診療患者数の区分 | 在宅医療充実体制加算(C002-2上乗せ) |
|---|---|
| 1人の場合 | 600点 |
| 2人以上9人以下の場合 | 300点 |
| 10人以上19人以下の場合 | 150点 |
| 20人以上49人以下の場合 | 128点 |
| (1)〜(4)以外の場合 | 113点 |
みらい(新人医療事務)
もう1つの「ターミナルケア加算への上乗せ」のほうはどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
こちらは人数区分ではなく、届出をしていれば一律で加算される点数です。告示には「当該基準に掲げる区分に従い、在宅医療充実体制加算、在宅療養実績加算1又は在宅療養実績加算2として、それぞれ2,000点、750点又は500点を、(中略)更に所定点数に加算する」と規定されています。在宅医療充実体制加算に該当する区分であれば2,000点が、在宅ターミナルケア加算に上乗せされる形です。この規定は往診料(C000)と在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(C001-2)で確認できます。在宅患者訪問診療料(Ⅰ)等でも同様の枠組みが定められている可能性がありますが、本記事では確認できた区分の条文のみを掲載していますので、該当区分の告示原文もあわせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
がん患者さんの酸素療法にも関係するって聞いたんですが?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ条文の中で「がん患者に対して酸素療法を行っていた場合は酸素療法加算として2,000点を」更に加算する、という規定もあります。ただしこちらは在宅医療充実体制加算そのものとは別建ての加算ですので、混同しないようにしたいですね。酸素療法加算については、別の記事で詳しく確認できます。
施設基準はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
これだけの点数がつくということは、施設基準もしっかりしているんでしょうね……。
あおい(元・医療事務)
はい、いくつかの要件が組み合わさっています。まず医師の体制について、疑義解釈で次のように示されています。「在宅医療充実体制加算の施設基準における『在宅医療を担当する常勤換算医師数が3名以上かつ常勤医師数が2名以上』の要件について」という問いに対して、常勤換算医師数の算出方法が説明されています。
医師数要件の考え方(令和8年度・疑義解釈より)
常勤換算医師数3名以上・常勤医師数2名以上: 在宅医療を担当する医師の体制要件です。 常勤換算の算出: 実労働時間が週31時間以上の非常勤医師は常勤とみなし常勤換算1名として算入できます。週31時間未満の非常勤医師は、自院の常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)を基準に換算します。
みらい(新人医療事務)
医師の人数以外にも要件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。疑義解釈では「『第9』の2の(3)のエに規定する重症の患者の割合について」という問いも示されており、重症患者や重度の認知症患者などの診療実績割合に関する要件が定められています。この延べ診療月数の割合の考え方は複雑で、疾患や状態ごとに細かい取り扱いが疑義解釈で補足されていますので、詳細は原文と自院の実績データを突き合わせて確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
訪問診療の実施状況についても要件があるんですね?
あおい(元・医療事務)
はい。「訪問診療を担当する時間について常勤換算した医師数1人当たりの、当該保険医療機関において訪問診療を実施する患者の実人数」という要件もあります。疑義解釈によれば、算出の対象期間は「届出前1か月」を基本とし、「届出の3か月前から前月までの直近3か月において、月ごとに算出した値の平均値を用いても良い」とされています。
みらい(新人医療事務)
要件が結構多いですね……。全部満たしているか、自院だけで判断するのは難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。医師数・実績割合・実人数など複数の要件が組み合わさっているので、確認が必要な箇所が多い加算です。断定はできませんが、要件を1つずつ照らし合わせていくことが確認の近道になります。
届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
届出は必須なんですか?
あおい(元・医療事務)
必須です。厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」の訂正版にも、新設項目として「別添1の『第14の2』の2の(3)に規定する在宅医療充実体制加算」が掲載されています。届出をしていない医療機関では、この上乗せ点数の対象にならないと考えられます。
みらい(新人医療事務)
この加算、新設されたばかりだから届出のタイミングにも特例があったりしますか?
あおい(元・医療事務)
あります。疑義解釈では実績要件について「令和8年度中に届出を行う場合に限り、直近3か月の実績を用いることができる」とされ、「令和9年度に算定を継続する場合には、過去1年間の実績を必要とする」、また「令和9年度以降に届出を行う場合は、過去1年間の実績を必要とする」という経過措置が示されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、令和8年度中に届出をするかどうかで、必要な実績期間が変わるということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出を検討するタイミングによって用意すべき実績データの期間が変わりますので、届出時期は慎重に確認したいところです。
算定のタイミングや併算定で注意することは?
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いちばん基本的なところですが、在宅時医学総合管理料(C002)と施設入居時等医学総合管理料(C002-2)は、同じ患者について同時には算定しません。告示では「区分番号C002-2に掲げる施設入居時等医学総合管理料を算定している患者については算定しない」(C002側)、「区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料を算定している患者については算定しない」(C002-2側)と、それぞれ相互に規定されています。
併算定・区分に関する注意(令和8年度)
在宅医療充実体制加算は、C002またはC002-2のどちらか一方の枠組みの中で成立する上乗せです。同一患者について両方の管理料を算定することはできないため、上乗せもどちらか一方の点数区分でのみ発生します。往診料・在宅患者訪問診療料の在宅ターミナルケア加算への上乗せ(2,000点)は、それとは別の届出区分に基づくものです。
みらい(新人医療事務)
人数区分は、患者さんの人数を数え間違えると点数も変わってしまいますよね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「単一建物診療患者」の人数区分(1人/2人以上9人以下/10人以上19人以下/20人以上49人以下/それ以外)は、月ごとの訪問診療の実施状況によって変わり得るものです。レセプト作成時に区分を都度確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度のときはどうなっていたんですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度には存在していませんでした。疑義解釈にも「令和8年度診療報酬改定で新設された『在宅医療充実体制加算』」と明記されており、令和8年度改定で新たに設けられた加算です。前回改定(令和6年度)からの変更点としては「新設」そのものが最大のポイントになります。
みらい(新人医療事務)
新設されたばかりだと、細かいルールもこれから固まっていくんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
実際に、施行後も疑義解釈が複数回にわたって発出されています。医師数の算出方法、重症患者の実績割合、実人数要件の算出期間など、制度開始後に実務上の疑問点が明確化されてきた経緯があります。新設加算らしく、運用の細部は疑義解釈を継続的に確認する必要がある加算だといえます。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院がどうなのか確認するにはどう進めればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこうなります。
自院で確認する順番
- 管理料の算定状況を確認する: 対象患者について、在宅時医学総合管理料(C002)または施設入居時等医学総合管理料(C002-2)のどちらを算定しているかを確認します。
- 医師の配置状況を確認する: 在宅医療を担当する常勤換算医師数が3名以上、かつ常勤医師数が2名以上いるかを確認します。非常勤医師の常勤換算の考え方も要確認です。
- 診療実績の割合を確認する: 重症患者や重度の認知症患者などに関する延べ診療月数の割合要件を、直近の実績データで確認します。
- 訪問診療の実人数要件を確認する: 常勤換算した医師数1人当たりの訪問診療の実人数要件を、届出前1か月または直近3か月平均で確認します。
- 施設基準の届出状況を確認する: 地方厚生局への届出が受理されているか、施設基準届出チェックリストと照らし合わせます。

みらい(新人医療事務)
1つでも欠けていたら、算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
医師数・実績割合・実人数・届出、いずれも施設基準の要素として挙げられていますので、どれか1つでも未確認のままだと算定候補として自信を持って進めるのは難しいと思います。順番に確認していくのが安全です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントがあれば教えてください。
取り漏れやすいポイント①: 上乗せ加算だという理解不足
在宅医療充実体制加算は単独の点数として算定するものではなく、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料、または在宅ターミナルケア加算への上乗せです。ベースとなる管理料や加算の算定要件を満たしていない場合、そもそも上乗せの対象になりません。
取り漏れやすいポイント②: 経過措置の期限を見落とす
令和8年度中に届出を行う場合は直近3か月の実績で足りるという経過措置がありますが、令和9年度に算定を継続する場合や令和9年度以降に新たに届出を行う場合は、過去1年間の実績が必要になります。届出のタイミングによって用意すべきデータの範囲が変わる点は見落としやすいところです。
みらい(新人医療事務)
この2つ、両方ともうちの事務長に伝えておきます。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事でご紹介した点数・施設基準は、以下の厚生労働省の公式資料に基づいています。詳細な要件・様式は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(医科点数表 C000/C001-2/C002/C002-2) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」の一部訂正について https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001706142.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その4)(令和8年4月21日 保険局医療課事務連絡・問18〜21) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001694332.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日 保険局医療課事務連絡・問21) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707505.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。