みらい(新人医療事務)
婦人科の手術のレセプトを見ていたら「子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算」という名前の加算が出てきたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
子宮の悪性腫瘍(子宮体がん・子宮頸がんなど)の手術のときに、リンパ節への転移の有無を調べる「センチネルリンパ節生検」という検査を行った場合に、本体の手術に上乗せする加算です。令和8年度の診療報酬点数表では、区分番号「K879 子宮悪性腫瘍手術」と「K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術」の「注」に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「上乗せする加算」ってことは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。子宮悪性腫瘍手術そのもの、または腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術そのものを行ったうえで、センチネルリンパ節生検を実施した場合に、その手術の所定点数に加算する形になります。まずは自院でこの2つの手術を行っているかどうかが出発点ですね。
対象となる手術・患者
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんに対しての手術で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料である留意事項通知には、次のように書かれています。「画像診断の結果、所属リンパ節への転移が認められない子宮悪性腫瘍に係る手術の場合のみ算定する」とされていて、事前の画像診断でリンパ節転移が無いと判断された子宮悪性腫瘍の手術が前提です。
みらい(新人医療事務)
転移がすでに疑われているケースは対象外の可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で大きくは間違っていません。ただし個別の症例判断は医師の診断領域ですので、当サイトが可否を判定するものではありません。あくまで請求実務の確認ポイントとして押さえていただく位置づけです。
みらい(新人医療事務)
手術の種類は開腹と腹腔鏡下の2つがあるんですよね。
あおい(元・医療事務)
そうです。開腹の「K879 子宮悪性腫瘍手術」と、腹腔鏡下の「K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術」の両方に、同じ内容のセンチネルリンパ節生検加算の規定が置かれています。なお、K879-2(腹腔鏡下)については、子宮体がん・子宮頸がんそれぞれで対象となる病期(ステージ)が定められている点も、留意事項通知に記載がありますので、本体の手術要件とあわせて確認してください。
点数の区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(令和8年度診療報酬点数表)には、検査の方法によって2種類の加算が定められています。「注1」がインドシアニングリーンを用いたリンパ節生検で子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算1(5,000点)、「注2」が放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検で子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算2(3,000点)です。これがK879とK879-2のそれぞれに規定されているので、組み合わせは合計4区分になります。
| 本体の手術 | 加算区分 | 検査方法 | 加算点数 |
|---|---|---|---|
| K879 子宮悪性腫瘍手術 | 子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算1 | インドシアニングリーンを用いたリンパ節生検 | 5,000点 |
| K879 子宮悪性腫瘍手術 | 子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算2 | 放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検 | 3,000点 |
| K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算1 | インドシアニングリーンを用いたリンパ節生検 | 5,000点 |
| K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 | 子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算2 | 放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検 | 3,000点 |

みらい(新人医療事務)
加算1と加算2は同時に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には、加算1は「注1」、加算2は「注2」として別々に規定されており、どちらも「センチネルリンパ節生検を行った場合」の加算です。実施した検査方法(色素法か、放射性同位元素法か)に応じてどちらか一方を算定する構成として読める規定になっています。両方を同時に算定できるかどうかは、実施した検査の内容次第になりますので、レセプトを起こす前に術式記録・検査記録で使用した方法を確認しておくと安全です。
断定はできません
点数区分は令和8年度の一次資料にもとづく整理です。実際にどちらの加算が算定候補になるかは、実施した検査方法・手術記録・画像診断結果によって変わります。当サイトの整理だけで算定を確定させず、自院のカルテ・手術記録で確認してください。
算定要件(留意事項の要件)
みらい(新人医療事務)
点数区分はわかりました。ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知には「注1」の子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算1と「注2」の子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算2について、次の4つの要件に留意して算定することが明記されています。
留意事項通知に定められた4つの要件
ア 対象となる手術: 画像診断の結果、所属リンパ節への転移が認められない子宮悪性腫瘍に係る手術の場合のみ算定する。 イ 薬剤料の扱い: センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、「K940」薬剤により算定する。 ウ 検出費用の扱い: 放射性同位元素の検出に要する費用は、「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)の「1」部分(静態)(一連につき)により算定する。 エ 病理診断費用の扱い: 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。
みらい(新人医療事務)
イ・ウ・エは、加算そのものの点数とは別に、検査や診断の費用をどう請求するかのルールなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。加算点数(3,000点または5,000点)の中に薬剤料や検出費用、病理診断費用まで含まれているわけではなく、それぞれ決められた区分(K940、E100の「1」部分、第13部病理診断)で別立てに算定する、という整理です。ここを混同して加算点数だけで完結していると思い込むと、算定漏れにつながりやすいポイントです。
施設基準・届出の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは手術の種類によって一次資料の記載が分かれていて、少し複雑です。「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」という一次資料には、K879については「注1又は注2に規定する加算を算定する場合に限る」、K879-2については無条件で、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する」と定められています。つまり、K879(開腹)はセンチネルリンパ節生検加算を算定する場合に限り、K879-2(腹腔鏡下)は加算の有無にかかわらず、施設基準に適合し届出をした医療機関でなければ算定できない、という規定です。
みらい(新人医療事務)
では両方とも届出が必要ということですね。
あおい(元・医療事務)
基本はそうなのですが、同じ一次資料には別の箇所で、K879-2について「注1又は注2に規定する加算を算定する場合に限る」もの等の一群は「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす場合に限り、地方厚生局長等に届け出ることを要しない」という記載もあります。つまり、K879-2でセンチネルリンパ節生検加算を算定する部分については、施設基準を満たしていれば、その加算のための個別の届出手続き自体は不要と読める規定です。K879(開腹)側の加算については、この届出不要の対象には含まれていません。
届出の要否は術式によって異なる可能性(要確認)
一次資料の記載上、K879(開腹)にセンチネルリンパ節生検加算を算定する場合と、K879-2(腹腔鏡下)にセンチネルリンパ節生検加算を算定する場合とで、施設基準の届出の取り扱いが異なって読める記載があります。この違いは請求実務上重要なポイントですので、断定はせず、自院の実施術式に応じて地方厚生局・審査支払機関に確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多いので、確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で見ていくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 実施した手術がK879(子宮悪性腫瘍手術)かK879-2(腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術)かを確認する
- 術前の画像診断で所属リンパ節への転移が認められないことを確認する
- センチネルリンパ節生検で使用した検査方法(インドシアニングリーンか放射性同位元素か)を確認し、該当する加算区分を確認する
- 放射性同位元素を用いた場合は、薬剤料(K940)・検出費用(E100の「1」部分)・病理診断費用(第13部)をそれぞれ別区分で算定できているか確認する
- 自院の施設基準の適合状況と届出状況を、実施術式(K879かK879-2か)に応じて確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが減りそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に4番目の「加算点数以外の費用の別立て算定」は見落とされやすいところなので、レセプト担当者だけでなく、術者・看護記録側とも情報共有しておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際にありがちな取り漏れのパターンってありますか?
よくある取り漏れ・確認ポイント
加算点数だけで完結させてしまう: 放射性同位元素の薬剤料(K940)・検出費用(E100の「1」部分)・摘出したセンチネルリンパ節の病理診断費用(第13部)を、加算点数に含まれていると誤解して別立て算定を忘れるケース。 手術術式の違いを混同する: K879(開腹)とK879-2(腹腔鏡下)で施設基準の届出の取り扱いが異なる可能性がある点を確認せずに、同じ扱いだと思い込んでしまうケース。 画像診断の記録が残っていない: 「所属リンパ節への転移が認められない」という前提条件について、術前の画像診断記録が診療録に明確に残っていないケース。
関連する加算
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算、ほかにもありますよね。
あおい(元・医療事務)
はい、センチネルリンパ節生検加算は対象となるがんの種類ごとに区分が分かれています。婦人科領域では女子外性器悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算もありますし、乳がん領域では乳癌センチネルリンパ節生検加算が別の区分として設けられています。名前が似ているので、対象部位を取り違えないよう、レセプト入力の際は加算名と手術区分を必ずセットで確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの確認事項)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料は令和8年度のものが中心で、前回改定(令和6年度)時点でこの加算がどう扱われていたかについては、変更は確認されていません。婦人科領域のセンチネルリンパ節生検加算は、がんの部位ごとに段階的に区分が整備されてきた経緯があるとみられますが、この加算が令和8年度改定で新設されたものか、それ以前から存在していたものかを含め、新設・点数変更の有無を正確に確認したい場合は、厚生労働省の「個別改定項目について」等の一次資料でご確認ください。
改定差分の確認について
点数据え置きに見える加算でも、施設基準や算定要件だけが改定で変わっているケースがあります。前回改定からの正確な差分は、当サイトの整理だけで判断せず、告示・留意事項通知の原文でご確認いただくことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施した手術・検査の内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。