みらい(新人医療事務)
入退院支援加算って、退院のときに算定できる加算って聞いたんですけど、うちの病院でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
入退院支援加算は、退院困難な患者さんへの在宅移行支援や地域連携を評価する加算です。令和8年度(2026年度)時点では加算1・加算2・加算3の3種類があって、それぞれ施設基準と届出が必要です。まず「自院がどの区分の届出をしているか」を確認するところから始めてみましょう。
みらい(新人医療事務)
区分によって点数が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。令和8年度の点数表(告示第69号)では次のようになっています。点数は退院時1回の加算で、継続算定ではありません。加算1と加算2は病棟区分でさらに点数が分かれています。
令和8年度の点数・算定コード一覧

| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| A246-1-イ | 入退院支援加算1(一般病棟入院基本料等) | 700点 | 退院時1回 |
| A246-1-ロ | 入退院支援加算1(地域包括医療・回復期リハ・地域包括ケア病棟) | 1,000点 | 退院時1回 |
| A246-1-ハ | 入退院支援加算1(療養病棟入院基本料等) | 1,300点 | 退院時1回 |
| A246-2-イ | 入退院支援加算2(一般病棟入院基本料等) | 190点 | 退院時1回 |
| A246-2-ロ | 入退院支援加算2(療養病棟入院基本料等) | 635点 | 退院時1回 |
| A246-3 | 入退院支援加算3 | 1,200点 | 退院時1回 |
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2で点数がかなり違いますね。何が違うんでしょう?
あおい(元・医療事務)
施設基準の厳しさが違います。加算1は入退院支援専従の看護師と社会福祉士がペアで配置されていることが求められるのに対して、加算2は体制要件が加算1より緩くなっています。届出区分によって算定できる点数も変わるので、まず届出状況の確認が必要です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は 病院のみ が対象で、診療所での算定はできません。対象患者は、告示(A246 注1)に「退院困難な要因を有する入院中の患者であって、在宅での療養を希望するもの」と定められています。具体的には次のような状況が「退院困難な要因」に該当します。
退院困難な要因の例
- 悪性腫瘍、認知症、誤嚥性肺炎等の疾患を有する患者
- 介護保険制度サービスの利用が見込まれる患者
- 虐待を受けている、またはその疑いがある患者
- 一人暮らし・老老介護など在宅環境に課題がある患者
- 退院後の住居が未定の患者
(公式告示・留意事項通知で確認が必要。具体要件は施設基準通知を参照してください)
みらい(新人医療事務)
転院してくる患者さんも対象になることがあるって聞いたんですが?
あおい(元・医療事務)
そうです。加算1では、「連携する他の保険医療機関において当該加算を算定した患者の転院(1回の転院に限る。)を受け入れ、入退院支援を行った場合」も算定候補になります。他病院からの転院患者の受け入れでも算定できる可能性があるので、地域連携室として把握しておきたいポイントです。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準が複雑そうで、何から確認すればいいか迷います。
あおい(元・医療事務)
加算区分ごとに求められる体制が違います。告示第70号(施設基準)に基づいて整理すると、こんな構成です。
施設基準の主な確認項目(加算1)
- 入退院支援部門の設置: 院内に入退院支援及び地域連携業務を担う部門が設置されていること
- 専従看護師または専従社会福祉士の配置: 当該部門に専従の看護師 or 専従の社会福祉士が配置されていること
- ペア配置要件: 専従看護師を置く場合は専任の社会福祉士も、専従社会福祉士を置く場合は専任の看護師も配置されていること
- 病棟専従者の配置: 各病棟に入退院支援及び地域連携業務に専従として従事する専任の看護師または社会福祉士が配置されていること
- 誘導禁止規定: 退院患者を特定の介護保険施設等へ誘導することによって、当該施設等から金品その他の財産上の利益を収受していないこと
(告示第70号 第六 入退院支援加算の施設基準等(1)より)
みらい(新人医療事務)
加算2のほうは条件が少し違いますか?
あおい(元・医療事務)
加算2は部門設置と専従配置の要件は同様ですが、加算1で求められる「病棟担当の専従者」の要件がない分、体制要件が緩やかです。ただし、どちらの区分も届出が必要で、「届出済みであれば算定候補になります」という表現が正確です。施設基準の充足状況は自院の状況と公式通知で必ず確認してください。
届出なしでは算定できません
この加算は地方厚生局長等への届出が必要です。施設基準の要件を満たしていても、届出なしでは算定できません。現在の届出状況を事務部門・院長等と確認してください。
算定タイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
退院のたびに毎回算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示に「退院時1回に限り」と明記されています。同一入院中に算定できるのは1回です。また、同じ患者に加算1と加算2を重ねて算定することはできません。
算定上の主な注意点
- 算定は退院時1回のみ: 同一入院中に複数回算定不可
- 加算1・2の重複算定不可: 同一患者に加算1と加算2は同時算定できない
- 加算3の対象患者: 新生児特定集中治療室管理料等を算定したことがある患者(NICUからの退院等)が主な対象
- 地域連携診療計画加算(300点): 別途届出・要件を満たした場合に重ねて算定できる可能性がある(併算定の可否は公式確認が必要)
- 小児加算(200点): 加算1または加算2を算定する患者が15歳未満の場合に更に加算できる可能性がある
- 入院時支援加算(240点または200点): 入院前に支援を行った場合に更に加算できる可能性があるが、別途施設基準・届出の確認が必要
みらい(新人医療事務)
入院時支援加算っていうのも絡んでくるんですね。整理が大変です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。入退院支援加算の本体(退院時算定)とは別に、入院前の支援に対する「入院時支援加算」(注8)があります。両方算定するにはそれぞれ届出が必要です。地域連携室の実務ではこのあたりの整理が重要になってきます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度に何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の告示(告示第69号 A246)を令和6年度(2024年度)告示と比較すると、加算1に「ロ」区分が新設されています。
令和8年度改定の主な変更点(令和6年度との対比)
新設された区分:
- 令和8年度から「入退院支援加算1ロ(地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料の場合 1,000点)」が新設
令和6年度(2024年度)の加算1の構成:
- イ 一般病棟入院基本料等の場合 700点
- ロ 療養病棟入院基本料等の場合 1,300点
令和8年度(2026年度)の加算1の構成:
- イ 一般病棟入院基本料等の場合 700点
- ロ 地域包括医療・回復期リハ・地域包括ケア病棟の場合 1,000点(新設)
- ハ 療養病棟入院基本料等の場合 1,300点
(令和8年厚生労働省告示第69号 A246、令和6年厚生労働省告示第57号 A246 との対比・2026年6月確認)
みらい(新人医療事務)
地域包括医療病棟や回復期リハ病棟を持つ病院では、令和8年度からあらたに加算1ロが算定候補になりえるということですか?
あおい(元・医療事務)
告示上はそのような区分が設けられています。ただし、算定できるかどうかは施設基準の充足状況と届出内容によります。自院が当該病棟を有しており、加算1の届出を行っている場合は「算定候補」として確認する価値がある点です。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際に算定できるか確認するには、どこから手をつければいいですか?
自院で確認する順番
- 届出状況の確認: 地方厚生局への施設基準届出票を確認する。何区分(加算1・2・3)で届出しているかを確認。
- 入退院支援部門の設置確認: 院内に入退院支援・地域連携業務を担う部門が設置されているかを確認。
- 専従・専任配置の確認: 届出区分に応じた看護師・社会福祉士の専従・専任配置の状況を確認。
- 対象患者の特定: 退院困難な要因を有し、在宅療養を希望する入院中患者を抽出。
- 入退院支援の実施確認: 当該患者に対し、実際に入退院支援(スクリーニング・支援計画作成・多職種カンファレンス等)を実施しているかを確認。
- 退院時のレセプト計上確認: 算定要件を満たした退院時に加算が計上されているかをレセプトで確認。
みらい(新人医療事務)
レセプトで計上されているかの確認も必要なんですね。取り漏れが心配です。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に「入退院支援をしているのに加算が計上されていない」というケースは取り漏れになります。定期的に医事課と地域連携室が連携して確認することをおすすめします。
よくある取り漏れポイント
地域連携室・医事課がよく見落とすポイント
- 転院受け入れ時の算定確認: 加算1では他院からの転院受け入れ患者も算定候補。転院入院患者のスクリーニングが漏れていないか
- 加算1ロ(令和8年度新設)の確認: 地域包括医療病棟・回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟に入院した患者への算定確認が必要
- 入院時支援加算との組み合わせ: 入院前支援を行っている場合は入院時支援加算も算定候補。入院前後の実施記録と届出状況を確認
- 小児患者(15歳未満)の小児加算確認: 加算1・2を算定する患者が15歳未満の場合は小児加算(200点)も算定候補
- 地域連携診療計画加算との組み合わせ: 別途要件を満たせば300点の加算も候補になる可能性がある
よくある質問
みらい(新人医療事務)
短期間で退院した患者さんでも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示では「退院時1回」と規定されており、入院期間による明示的な制限はありません。ただし「退院困難な要因を有する患者」「在宅療養を希望する患者」という対象患者の要件と、実際に入退院支援を行っているかどうかが算定の前提です。個々の患者ごとに要件充足を確認することが必要です。
みらい(新人医療事務)
加算3はとても特殊な患者さんが対象なんですね。NICUを使った患者さんへの退院支援ですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。加算3は「新生児特定集中治療室管理料等を算定したことがある患者」と「他の保険医療機関において加算3を算定した転院患者」が対象です。NICUや新生児集中治療室を持つ病院や、そこから転院を受け入れる病院が確認すべき区分です。小児専門病院や周産期医療センター等では要確認です。
みらい(新人医療事務)
同じ患者で連続入院した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示では「退院時1回」とあり、同一入院ごとに判断します。ただし、「1回の転院に限る」など細かい要件がありますので、連続入院や転院が絡む場合は個々の事例ごとに施設基準通知と疑義解釈を確認することをおすすめします。
自院が算定候補かを確認する
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補かどうか、もっと詳しく確認したいです。
あおい(元・医療事務)
届出状況や実際の体制をチェックリストで確認できる「加算チェッカー」を使うと、病院の状況を整理しやすくなります。加算1・2・3のどれが自院に合致するか、確認の糸口として活用してみてください。自院の算定可否は、届出状況・施設基準の充足状況・実際の診療内容によって異なります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・施設基準の充足状況・公式資料(厚生労働省告示・通知・疑義解釈等)・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年度)の告示・施設基準を参照して作成していますが、改定や訂正通知により内容が変わる場合があります。