生活習慣病管理料って何?診療所で脂質異常症・高血圧・糖尿病を診るときの管理料
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「生活習慣病管理料」って名前はよく聞くんですが、うちの診療所でも算定できるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。生活習慣病管理料は、脂質異常症・高血圧症・糖尿病のいずれかを主病とする外来患者に対して、療養計画書を使いながら継続的に管理するときに算定を検討できる管理料です。令和8年度(2026年度)診療報酬改定でも引き続き位置づけられていますよ。
みらい(新人医療事務)
療養計画書って何ですか?
あおい(元・医療事務)
患者さんに治療方針や生活改善目標をわかりやすく示した書類です。算定月に患者さんに説明して同意をもらい、その写しを診療録に添付するのが要件になっています。毎月交付しなくても継続算定は可能ですが、求めがあれば交付すること、概ね4月に1回以上は交付することが求められています。
みらい(新人医療事務)
なるほど!じゃあ点数はどのくらいなんですか?
令和8年度の点数(区分別)
| 区分 | 主病 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)B001-3-1 | 脂質異常症 | 610点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)B001-3-2 | 高血圧症 | 660点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)B001-3-3 | 糖尿病 | 760点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅱ)B001-3-3-II | いずれも対応 | 333点 | 月1回 |

あおい(元・医療事務)
ご覧のとおり、Ⅰの糖尿病が760点と最も高く、Ⅱは疾患を問わず333点になります。これらの点数・算定単位はいずれも令和8年度(2026年度)の公式留意事項通知(保医発0305第6号)の一次情報をもとにしています。ⅠとⅡの違いは検査・注射などの包括範囲にあります。
みらい(新人医療事務)
ⅠとⅡで何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
生活習慣病管理料(Ⅰ)は検査・注射・病理診断なども点数に含まれる(包括)のに対し、(Ⅱ)は検査や注射を出来高で別途算定する構造になっています。診療内容や患者状況に合わせてどちらが適切か、自院の運用と照らして確認が必要ですね。
みらい(新人医療事務)
包括というのは、その費用が全部この点数の中に入っているということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。たとえば(Ⅰ)を算定した月に血液検査を行っても、その検査料は別に請求できません。逆に言えば、その分を含めて月1回の管理料として評価されているわけです。一方(Ⅱ)を選んでいれば、血液検査は出来高での算定が候補になります。月々の診療内容によってどちらが収益・患者負担ともに合理的か、院内で整理してみてください。
包括範囲の確認が重要です
生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定した場合、外来管理加算・第1部医学管理等(一部除く)・第3部検査・第6部注射・第13部病理診断の費用は所定点数に含まれ、別途算定できません。(Ⅱ)ではこの包括範囲が異なります。算定前に必ず確認してください。
対象になる医療機関と患者
みらい(新人医療事務)
うちは許可病床が50床の病院なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
許可病床数200床未満の病院、および診療所が対象の医療機関です。50床なら対象医療機関の条件には該当する可能性がありますね。ただし施設基準の届出要否や他の要件も確認が必要なので、「算定候補になるかも」という段階でまず要件を整理してみましょう。
みらい(新人医療事務)
病院でも算定できるんですね。患者さんの条件は?
あおい(元・医療事務)
患者側の条件は「脂質異常症、高血圧症、または糖尿病を主病とすること」です。複数の疾患がある方でも主病として当てはまれば算定候補になります。ただし初診料(A000)を算定した月は算定できません。翌月以降から検討することになります。
みらい(新人医療事務)
200床以上だと対象外になるんですか?大きい病院はどうするんでしょう?
あおい(元・医療事務)
許可病床200床以上の病院では、この管理料ではなく別の管理体系(例えば特定疾患療養管理料等)を確認することになります。自院の病床規模を踏まえて、対象になる管理料を整理するのが出発点ですね。
初診月は算定不可
初診料を算定した日の属する月は、生活習慣病管理料を算定できません。転医・初回受診月は注意してください。
療養計画書のポイント
みらい(新人医療事務)
療養計画書ってどんな様式を使えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
別紙様式9またはこれに準じた様式を使います。患者さんに説明・同意取得のうえ交付し、写しを診療録に添付してください。
みらい(新人医療事務)
毎月交付しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
継続して算定する月は、療養計画書の内容に変更がなければ毎月交付しなくても大丈夫です。ただし患者さんから求めがあれば必ず交付し、概ね4月に1回以上は渡しておくことが求められています。
みらい(新人医療事務)
「内容に変更がない場合」というのは、たとえば治療薬が変わったときはどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
治療方針や目標が変わったときは、計画書の内容も更新して交付するのが望ましいです。「変更なし」と判断するかどうかは、患者さんの状況変化に応じて医師が判断します。いずれにしても、4月に1回以上は必ず渡すルールは守ってください。「交付していない期間が長い」という状況を避けるために、電子カルテに定期交付のリマインダーを設定している診療所も多いですよ。
療養計画書チェックポイント
- 別紙様式9またはこれに準じた様式を使用しているか
- 患者への説明・同意が記録されているか
- 写しが診療録に添付されているか
- 概ね4月に1回以上交付できているか
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
療養計画書って、もともとこんなに重視されていたんですか?
あおい(元・医療事務)
近年の改定で位置づけが大きく変わった部分なんです。令和6年度(2024年度)改定で、特定疾患療養管理料の対象疾患から脂質異常症・高血圧症・糖尿病が除外され、その受け皿として生活習慣病管理料(Ⅱ)が新設されました。これらの疾患を主病とする患者さんの継続管理は、療養計画書を作成・交付しながら生活習慣病管理料で行う形に移行したんですよ。
みらい(新人医療事務)
ということは、特定疾患療養管理料で算定していた医療機関は、計画書を書く手間が増えたんですね。
あおい(元・医療事務)
そこが令和6年度改定で現場の話題になったポイントです。従来は療養計画書なしで算定できていた医療機関にとって、計画書の記載と交付という事務負担が新たに発生しました。
みらい(新人医療事務)
その負担は、令和8年度(2026年度)の改定では何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
患者さんの署名が不要になりました。厚生労働省は令和8年度改定で、院内で使用したり患者さんに直接手渡したりする様式について、署名又は記名・押印を廃止し記名のみで足りるよう見直しています。生活習慣病療養計画書もこの対象に含まれ、患者・医療機関双方の負担を軽減することが目的とされています。
みらい(新人医療事務)
署名をもらう手間がなくなるのは助かりますね。
あおい(元・医療事務)
ええ、現場の負担軽減につながる見直しです。様式も簡素化され、令和6年度(2024年度)までは初回用(別紙様式9)と継続用(別紙様式9の2)の2種類に分かれていた療養計画書が、令和8年度(2026年度)では「初回・継続」をチェックで選ぶ1つの様式(別紙様式9)に統合されました。ただし最新の様式や細かな運用は、厚生労働省の通知や別紙様式9で必ず確認してくださいね。
療養計画書をめぐる改定の流れ
- 令和6年度(2024年度): 特定疾患療養管理料から脂質異常症・高血圧症・糖尿病を除外し、生活習慣病管理料(Ⅱ)を新設。療養計画書による管理に移行
- 令和8年度(2026年度): 生活習慣病療養計画書の患者署名を廃止(記名のみ)。初回用・継続用を1様式(別紙様式9)に統合し、患者・医療機関の負担を軽減
血液検査の要件
みらい(新人医療事務)
血液検査も要件にあると聞いたんですが…
あおい(元・医療事務)
そうなんです。生活習慣病管理料の算定にあたっては、少なくとも6月に1回以上、必要な血液検査等を実施し、結果を診療録に記録することが求められています。他院の検査結果を参照できる場合などは例外もありますが、原則として自院で検査の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
6か月に1回でいいんですね。それなら忘れずにチェックできそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ「6月に1回以上」という要件は最低ラインです。実際には疾患や患者状況によってより頻回に検査が必要な場合もあります。また(Ⅰ)で包括算定しているため、検査を実施しても別途検査料を請求できない点も注意が必要です。6月ごとに検査記録が残っているかを定期的に確認する仕組みを院内で作っておくと安心ですよ。
みらい(新人医療事務)
検査記録がない月が続くと算定要件を満たせなくなるということですか?
あおい(元・医療事務)
その通りです。「いつ検査を実施したか」が診療録から確認できることが大切です。電子カルテの検索機能で患者ごとの最終検査日を確認できる運用にしておくと、取り漏れ防止に役立ちます。
よくある取り漏れポイント
見落としやすい要件
1. 長期投薬・リフィル処方の掲示 28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋の交付が可能である旨を「見やすい場所に掲示」し、患者から求めがあれば適切に対応することが必要です。
2. 糖尿病患者への眼科・歯科受診の促し 糖尿病を主病とする患者には、年1回程度の眼科受診と歯科受診を促すことが求められています。
3. 6月ごとの血液検査の実施記録 検査実施・結果記録が診療録に残っているか定期的に確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
長期投薬の掲示まで必要なんですね、知らなかったです…
あおい(元・医療事務)
見落としがちですよね。院内の目立つ場所への掲示と、実際に患者さんから求められたときに対応できる体制も一緒に整えておきましょう。
みらい(新人医療事務)
糖尿病の患者さんへの眼科・歯科の促しというのは、診療録に記録しておかないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
「促す」こと自体が要件で、実際に受診したかどうかは患者さんの判断によります。診療録に「眼科受診を勧めた」「歯科受診を案内した」と記録しておくと、後から確認が必要なときにも対応しやすいです。年1回の確認を診療フローに組み込んでおくのがおすすめですよ。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 医療機関の要件確認: 許可病床数200床未満の病院または診療所であるか確認
- 対象患者の確認: 脂質異常症・高血圧症・糖尿病を主病とする外来患者がいるか確認
- 初診月の確認: 算定月に初診料を算定していないか確認
- 療養計画書の整備: 別紙様式9(またはそれに準じた様式)を用意し、運用フローを確認
- 血液検査の実施体制: 6月に1回以上の血液検査実施と診療録記録の運用を確認
- 長期投薬・リフィル処方の掲示: 院内掲示の有無を確認
- 包括範囲の把握: (Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらを算定するか、包括内容を確認

みらい(新人医療事務)
この順番で確認していけばいいんですね。ありがとうございます!
あおい(元・医療事務)
実際に運用を始めるときは、ステップ4の療養計画書の整備がボトルネックになりやすいです。別紙様式9の書式をあらかじめ電子カルテに登録しておき、初回交付・更新交付の手順をスタッフ全員で共有しておくとスムーズに動き出せますよ。
みらい(新人医療事務)
計画書の様式を事前に準備しておくことが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。算定開始後も「誰が計画書を印刷して患者に説明するか」「同意書はどこに保管するか」といった実務フローを整理しておかないと、月次の締め処理でバタバタしがちです。まず1人か2人の患者さんで試験的に運用してみることをおすすめします。
生活習慣病管理料(Ⅱ)との使い分け
みらい(新人医療事務)
そういえば、(Ⅱ)の333点を選ぶケースってどんなときですか?
あおい(元・医療事務)
月ごとに検査の実施頻度が高い患者さんや、多項目の検査が必要な方には(Ⅱ)を選んで出来高で請求するほうが合理的なケースもあります。また(Ⅱ)はⅠと異なり検査料を包括しないので、投薬のみで経過観察が主体の安定した患者さんはⅠ、検査を頻回に行う患者さんはⅡ、というように患者ごとに区分を検討する診療所もあります。
みらい(新人医療事務)
患者さんごとに(Ⅰ)と(Ⅱ)を使い分けることはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、患者さんごとに選択できます。ただし同一月に同じ患者さんへ(Ⅰ)と(Ⅱ)を重複して算定することはできません。どちらを選んでいるかが診療録・レセプト上で明確になるように管理してください。
ⅠとⅡの選択ポイント
- 検査を月1〜2回以上実施する患者 → (Ⅱ)で出来高算定を検討
- 投薬中心で安定した経過観察の患者 → (Ⅰ)の包括算定を検討
- 選択後も月ごとに患者状況に応じて変更可能
- 同一患者への同月重複算定は不可
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、うちの診療所が本当に算定候補かどうか、もっと詳しく確認できる方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。要件チェックを一度しっかりやりたい場合は、加算チェッカー を使ってみてください。自院の状況を入力しながら確認できますよ。「うちは200床未満だけど他の条件は?」など、対話形式で確認できます。
みらい(新人医療事務)
わかりました!早速試してみます。
あおい(元・医療事務)
算定を始める前に、院内のスタッフ全員が療養計画書の運用フローを把握していることも大切です。医師・事務・看護スタッフが連携して対応できる体制を整えてから算定を開始するとトラブルが少なくなりますよ。
最終確認のお願い
本記事は令和8年度(2026年度)の公式留意事項通知(保医発0305第6号・厚生労働省)をもとに作成しています。記事の内容は「算定候補かどうかの参考情報」です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・最新の公式資料(告示・通知)・審査支払機関等の判断を確認してください。