精神病棟入院基本料とは?まずは基本から
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神病棟入院基本料」って、一般病棟の入院基本料と何が違うんですか?うちの病院にも精神病棟があるんですが、算定要件がよくわからなくて。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。精神病棟入院基本料(区分番号A103)は、病院の精神病棟に入院している患者さんに対して1日単位で算定する基本料です。令和8年度(2026年度)改定でも引き続き設定されている重要な区分ですよ。一般病棟の入院基本料(A101)とは別の区分で、精神病床に係る病棟として地方厚生局長等に届出を行っていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
「精神病床」として届出が必要なんですね。じゃあ、精神科がある病院なら全部算定できるわけじゃないということ?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず「医療法第7条第2項第1号に規定する精神病床に係る病棟として地方厚生局長等に届出のあったもの」である必要があります。そのうえで、看護配置・看護師比率・平均在院日数その他の施設基準に適合していることを保険医療機関が届け出た場合に、各区分の点数が算定候補となります。特定機能病院は対象外ですので、その点も確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準への適合と届出、両方が必要なんですね。なるほど。

点数の区分と構成(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数がいくつかに分かれていると聞きました。どんな区分があるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科診療報酬点数表(厚労省告示)によると、精神病棟入院基本料は大きく「急性期病院精神病棟入院基本料」と「精神病棟入院料」の2つに分かれています。以下の表で整理しますね。
| 区分 | 入院料種別 | 点数(1日につき) |
|---|---|---|
| 急性期病院A精神病棟入院料 | 10対1入院基本料 | 1,519点 |
| 急性期病院A精神病棟入院料 | 13対1入院基本料 | 1,162点 |
| 急性期病院A精神病棟入院料 | 15対1入院基本料 | 966点 |
| 急性期病院B精神病棟入院料 | 10対1入院基本料 | 1,502点 |
| 急性期病院B精神病棟入院料 | 13対1入院基本料 | 1,145点 |
| 急性期病院B精神病棟入院料 | 15対1入院基本料 | 949点 |
| 精神病棟入院料 | 10対1入院基本料 | 1,471点 |
| 精神病棟入院料 | 13対1入院基本料 | 1,114点 |
| 精神病棟入院料 | 15対1入院基本料 | 918点 |
| 精神病棟入院料 | 18対1入院基本料(1年未満) | 816点 |
| 精神病棟入院料 | 18対1入院基本料(1年以上) | 703点 |
| 精神病棟入院料 | 20対1入院基本料(1年未満) | 754点 |
| 精神病棟入院料 | 20対1入院基本料(1年以上) | 649点 |
みらい(新人医療事務)
看護配置の割合や、急性期かどうかで大きく点数が変わるんですね。「13対1施設基準」を満たしているかどうかも重要な確認ポイントですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「13対1入院基本料」の施設基準を満たして届け出ているかどうかで算定できる点数区分が変わります。平均在院日数の基準も区分によって違いますので、自院の届出区分が何になっているか、まず地方厚生局への届出内容を確認してみてください。届出済みの区分で施設基準を満たし続けていれば、その点数が算定候補になります。
算定の対象となる患者と除外事項
みらい(新人医療事務)
精神病棟に入院している患者さんなら全員が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則として、届け出た精神病棟に入院している患者さんが対象です。ただし、「第3節の特定入院料を算定する患者」は除外されます。例えば、精神科救急入院料(A311)や精神科急性期治療病棟入院料(A311-2)などを算定している患者さんには、A103は算定できません。
みらい(新人医療事務)
特定入院料を算定していたら対象外なんですね。病棟の中でも患者によって分かれるということ?
あおい(元・医療事務)
そうです。同じ病棟でも、特定入院料を算定している患者さんとそうでない患者さんが混在する場合があります。レセプト請求の際には患者ごとに確認が必要です。また、当該保険医療機関に複数の精神病棟がある場合は、特定入院料(病棟単位で行うもの)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の精神病棟入院基本料を算定するルールがあります。
入院期間加算(注3)の仕組み
みらい(新人医療事務)
入院期間によって加算があるって聞いたんですが、どういう仕組みですか?
あおい(元・医療事務)
「注3」に規定されている、入院期間に応じた加算があります。急性期の入院初期に高い点数が設定されており、長期入院になるほど逓減していく仕組みです。
| 入院期間 | 加算点数(1日につき) | 特別入院基本料等の場合 |
|---|---|---|
| 14日以内 | 465点 | 300点 |
| 15日以上30日以内 | 250点 | 155点 |
| 31日以上90日以内 | 125点 | 100点 |
| 91日以上180日以内 | 10点 | 10点 |
| 181日以上1年以内 | 3点 | 3点 |
みらい(新人医療事務)
入院直後は加算が大きくて、長期入院になるほど少なくなるんですね。この起算日はどう計算するんですか?
あおい(元・医療事務)
「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則7に規定する起算日による、とされています。同一傷病で一定期間内に再入院した場合は通算されるケースがあるなど、複雑なルールがあります。留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)も必ず確認してください。
主な関連加算・注加算について
みらい(新人医療事務)
入院基本料の他にも加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。A103には複数の「注加算」が設定されています。主なものを紹介しますね。
精神病棟入院基本料の主な注加算(令和8年度)
重度認知症加算(注4): 施設基準を届け出た病棟で、対象患者が要件を満たす場合、入院日から1か月以内に限り1日につき300点を加算する候補があります。施設基準適合と届出が必要で、既に入院中の患者が入院期間中に要件を満たしても算定不可です。
救急支援精神病棟初期加算(注5): 精神科救急搬送患者地域連携受入加算(A238-7)を算定した患者が入院した場合、入院日から14日を限度に1日につき100点を加算する候補があります。
精神病棟看護・多職種協働加算(注7): 施設基準を届け出た病棟の患者について、看護配置区分によって1日につき196点または357点を加算する候補があります。退院支援・社会生活機能の回復支援・心理に関する支援等に向け、精神保健福祉士・作業療法士・公認心理師の病棟配置を評価したものです。
精神保健福祉士配置加算(注8): 施設基準を届け出た病棟の患者について、1日につき30点を加算する候補があります。早期退院を目的として退院支援計画を全入院患者に作成する要件があります。
みらい(新人医療事務)
重度認知症加算は要件が細かいんですね。既に入院中の患者さんは対象外というのは知らなかったです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。重度認知症加算については、留意事項通知に「入院時において、当該加算の施設基準に基づくランクがMであること」「患者の身体障害の状態及び認知症の状態を評価し、評価日を診療録に記載」「診療報酬明細書の摘要欄に算定根拠となる評価及び評価日を記載」という3つの要件を満たす必要があります。算定を検討する場合は、要件を必ず一次情報(通知原文)で確認してください。
13対1施設基準・平均在院日数の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
「精神病棟 入院基本料 13対1施設基準」って、何をクリアしていれば届出できるんですか?
あおい(元・医療事務)
A103の施設基準の詳細は、告示第70号(基本診療料の施設基準等)に定められています。精神病棟入院基本料の施設基準として、主に以下の要素が確認事項です。
自院で確認する順番
確認ステップ1: 看護配置(患者対看護職員の割合)が届出区分(10対1・13対1・15対1・18対1・20対1)の基準を満たしているか
確認ステップ2: 看護師比率(看護職員に占める看護師の割合)が基準を満たしているか
確認ステップ3: 平均在院日数の基準に適合しているか(区分によって異なる)
確認ステップ4: 月平均夜勤時間が基準を超えていないか(超過した場合は減算対象)
確認ステップ5: 精神病床として地方厚生局長等への届出が完了しているか
みらい(新人医療事務)
「平均在院日数」の基準って具体的にはどんな数字なんですか?
あおい(元・医療事務)
平均在院日数の上限は施設基準告示・通知に規定されており、看護配置の区分によって異なります。自院の施設基準の詳細は、告示第70号および保医発の留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)を一次情報として確認することをお勧めします。数字をここで断定的に伝えると誤解を招く可能性があるため、必ず原文で確認してください。
特別入院基本料・月平均夜勤時間超過減算について
みらい(新人医療事務)
「特別入院基本料」とか「月平均夜勤時間超過減算」って何ですか?
あおい(元・医療事務)
注1に規定する施設基準を満たしていない精神病棟(届出なし)については、当分の間、別の施設基準に適合していれば「特別入院基本料として618点」を算定できる規定があります。ただし「当分の間」の経過措置的な扱いです。
あおい(元・医療事務)
一方、施設基準に適合していた病棟が一部の基準のみに適合しなくなった場合は、直近3か月に限り月平均夜勤時間超過減算として所定点数の15%が減算されます。また、さらに夜間看護体制が一定条件を下回った場合は、注10の「夜勤時間特別入院基本料」として所定点数の70%に相当する点数(最低628点保証)で算定する扱いになります。
減算への注意
施設基準の一部に適合しなくなった場合は、速やかに地方厚生局への届出変更が必要です。減算期間や手続きの詳細は、告示・通知の原文および審査支払機関へ確認してください。
算定できる入院基本料等加算(注6)
みらい(新人医療事務)
A103の病棟では、他の入院基本料等加算も算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。注6に規定された加算については、各算定要件を満たす場合に算定候補となります。精神病棟入院基本料で算定候補となる主な加算を例示します。
| 加算名 | 備考 |
|---|---|
| 急性期総合体制加算 | 急性期病院精神病棟入院基本料に限る |
| 医師事務作業補助体制加算 | 50対1・75対1・100対1補助体制加算に限る |
| 精神科措置入院診療加算 | 算定要件の確認が必要 |
| 精神科隔離室管理加算 | 算定要件の確認が必要 |
| 精神病棟入院時医学管理加算 | 算定要件の確認が必要 |
| 精神科入退院支援加算 | 算定要件の確認が必要 |
| 精神科急性期医師配置加算 | 届出区分に制限あり(注参照) |
| 感染対策向上加算 | 算定要件の確認が必要 |
| データ提出加算 | 算定要件の確認が必要 |
| 精神科地域密着多機能体制加算 | 精神病棟入院料の10対1・13対1・15対1に限る |
みらい(新人医療事務)
精神保健福祉士配置加算を算定した場合は、一部の加算が算定できなくなるって聞いたんですが?
あおい(元・医療事務)
そうです。注9の規定で、精神保健福祉士配置加算を算定した場合は、精神科地域移行実施加算・精神科入退院支援加算・退院時共同指導料2・介護支援等連携指導料・精神科退院指導料・精神科退院前訪問指導料は算定できません。算定の組み合わせには注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で精神病棟入院基本料は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科診療報酬点数表(厚労省告示)の記載内容を確認した範囲では、令和8年度改定での主な変更として以下が記述されています(前回改定との差分は厚労省「個別改定項目について」での確認が必要です)。
令和8年度 改定の主なポイント(一次情報確認済み)
区分の規定: 令和8年度告示に「急性期病院精神病棟入院基本料」として急性期病院A・Bの区分が規定されています(前回改定(令和6年度)からの差分は個別改定項目で要確認)。
精神病棟看護・多職種協働加算: 令和8年度の医科診療報酬点数表(厚労省告示)において、注7として「精神病棟看護・多職種協働加算」が規定されています。精神保健福祉士・作業療法士・公認心理師の病棟配置と看護職員配置を評価するものです(前回改定からの新設か否かは個別改定項目で要確認)。
精神科地域密着多機能体制加算: 令和8年度告示において、精神病棟入院料の一部区分について注6の算定可能加算として規定されています(前回改定からの変更の有無は個別改定項目で要確認)。
あおい(元・医療事務)
一方で、前回改定(令和6年度/2024年度)からの差分の全項目について、当サイト収録の告示のみから確認できる範囲には限りがあります。個別改定項目(厚労省「令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について」)との照合が必要な事項については、一次資料(厚労省公式サイト・改定資料)で確認いただくことをお勧めします。
みらい(新人医療事務)
区分が増えているんですね。自院がどの区分に該当するか、しっかり確認しないといけませんね。
よくある取り漏れと確認ポイント
みらい(新人医療事務)
精神病棟入院基本料で算定を見落としやすいポイントってありますか?
よくある取り漏れ・確認ポイント
入院期間加算(注3)の確認: 入院期間14日以内は1日465点の加算が対象となります。入院直後の加算漏れは点数への影響が大きいため、入院初日から確認が必要です。
重度認知症加算の対象判断: 入院時にランクMかどうかの評価・診療録への記載・摘要欄への記載が要件です。入院後に要件を満たしても算定できないため、入院時の評価が重要です。
看護・多職種協働加算の施設基準: 精神保健福祉士・作業療法士・公認心理師の配置が新たな施設基準として必要です。配置状況の確認が必要です。
精神保健福祉士配置加算との併算定制限: 注9の規定による算定不可の加算の組み合わせを事前に整理しておくことが重要です。
複数精神病棟の統一区分要件: 同一病院で複数の精神病棟がある場合(特定入院料算定病棟を除く)は同じ区分で届け出る必要があります。
みらい(新人医療事務)
入院直後の加算は1日でも漏れると大きいですね。入院時のチェックが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。特に入院期間加算は入院日から起算されるため、初日・2日目のタイミングを見落とさないよう、入院時のルーティンに確認を組み込んでおくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院の精神病棟がA103の算定候補かどうか、どう確認すればいいですか?

あおい(元・医療事務)
以下の順番で確認してみてください。
自院で確認する順番
確認ステップ1: 自院の精神病棟が「医療法第7条第2項第1号に規定する精神病床」として地方厚生局長等に届出済みであることを確認する
確認ステップ2: 現在の届出区分(10対1・13対1・15対1・18対1・20対1等)を確認し、対応する施設基準(看護配置・看護師比率・平均在院日数等)を満たし続けているか確認する
確認ステップ3: 第3節の特定入院料(精神科救急入院料等)を算定する病棟との区分を確認する。特定入院料算定患者はA103算定の対象外
確認ステップ4: 注加算(重度認知症加算・救急支援精神病棟初期加算等)の施設基準・要件を満たしているか確認する
確認ステップ5: 注6で算定できる入院基本料等加算について、自院が各加算の届出・要件を満たしているか確認する
確認ステップ6: レセプト上の算定区分・加算漏れ・摘要欄記載が適切か確認する
みらい(新人医療事務)
地方厚生局への届出状況の確認から始めればいいんですね。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?まず、A103は診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
診療所は対象外です。A103は「病院(特定機能病院を除く)の精神病棟」が対象ですので、診療所には算定の適用がありません。
みらい(新人医療事務)
特定機能病院も対象外なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。特定機能病院の精神病棟は、A103ではなくA104(特定機能病院入院基本料)の精神病棟の区分が適用されます。
みらい(新人医療事務)
月平均夜勤時間が超過してしまった場合、すぐに点数が下がるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の一部(月平均夜勤時間等)にのみ適合しなくなった場合は、直近3か月に限り月平均夜勤時間超過減算(所定点数の15%減算)の対象となります。その後も改善されない場合は特別入院基本料等の扱いとなる可能性があります。減算になった場合は速やかに地方厚生局へ届出が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出変更を忘れたらペナルティがあるんですね。気をつけないと。
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準への適合状況は定期的に確認し、要件を満たさなくなった場合は速やかに届出変更を行うことが重要です。
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みらい(新人医療事務)
うちの精神病棟が算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。