新生児特定集中治療室管理料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「新生児特定集中治療室管理料」って、名前だけ見るとNICUの入院料っていう感じですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、区分番号A302として告示されている特定入院料のひとつです。新生児特定集中治療室(いわゆるNICU)に入院している新生児のうち、医師が集中治療管理が必要と認めた患者について、1日につき算定できる管理料になります。
みらい(新人医療事務)
「特定入院料」ということは、診療所では対象外ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。告示の注1では、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、必要があって新生児特定集中治療室管理が行われた場合に算定する、とされています。実質的にNICUを備えた病院が対象で、診療所では算定できません。
みらい(新人医療事務)
病院ならどこでも算定候補になるわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。届出が必要で、施設基準(専任の医師配置・専用室の広さ・必要な医療機器・看護配置など)を満たしていることが前提です。届出済みであれば算定候補になる、という順番で確認していきましょう。
対象となる新生児はどんな状態ですか?
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな赤ちゃんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、次のいずれかの状態にあって、医師が新生児特定集中治療室管理が必要と認めた新生児が対象とされています。
対象となる新生児の状態(留意事項通知より)
- 高度の先天奇形
- 低体温
- 重症黄疸
- 未熟児
- 意識障害又は昏睡
- 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
- 急性心不全(心筋梗塞を含む)
- 急性薬物中毒
- ショック
- 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
- 大手術後
- 救急蘇生後
- その他外傷、破傷風等で重篤な状態
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いですね。この状態に当てはまらない赤ちゃんが治療室に入院していたらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
その場合は、この管理料ではなく入院基本料等を算定することになります。留意事項通知でも「新生児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
レセプトを書くときに何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。新生児特定集中治療室管理料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、先ほどの状態一覧(先天奇形・低体温・未熟児…)のどれに該当するかを記載することが求められています。この記載漏れは査定の対象になりやすいポイントなので、確認が必要です。
点数・算定コードを確認したいです
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の告示では、新生児特定集中治療室管理料は1日につき2区分に分かれています。
| 区分 | 点数(1日につき) | 対象 |
|---|---|---|
| 新生児特定集中治療室管理料1 | 10,931点 | 施設基準(管理料1)を満たす病院 |
| 新生児特定集中治療室管理料2 | 8,790点 | 施設基準(管理料2)を満たす病院 |

みらい(新人医療事務)
管理料1と2で2,000点以上も差があるんですね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
主な違いは施設基準です。管理料1のほうが求められる医師配置・実績要件がより厳しく設定されています。詳しくは次の施設基準のところで確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
この点数には、他の入院基本料とか検査の点数も全部含まれているんですか?
あおい(元・医療事務)
一部が含まれます。告示では、入院基本料や多くの入院基本料等加算、点滴注射、中心静脈注射、酸素吸入(酸素・窒素の費用を除く)、インキュベーター(同)、検体検査判断料を除く検査、病理標本作製料などが、この管理料に含まれるものとされています。ただし、医師事務作業補助体制加算やデータ提出加算、感染対策向上加算など一部の入院基本料等加算は除かれており、別途算定できる場合があります。個別の項目が含まれるかどうかは、告示の除外リストと自院のレセプトコンピュータの設定を照らし合わせて確認することをおすすめします。
算定できる日数に上限はありますか?
みらい(新人医療事務)
この管理料、ずっと算定し続けられるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、日数の上限があります。告示の注1では、原則として通算21日を限度とすると定められています。しかもこの「通算」は、A302-2(新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料)、A303の2(新生児集中治療室管理料)、A303-2(新生児治療回復室入院医療管理料)を算定した期間も合わせて数える仕組みです。
みらい(新人医療事務)
21日を超えて入院が必要な赤ちゃんもいますよね?
あおい(元・医療事務)
はい、その場合は出生時体重に応じて上限日数が延長される仕組みになっています。
| 出生時体重・状態 | 算定日数の上限(通算) |
|---|---|
| 原則 | 21日 |
| 1,500g以上で厚生労働大臣が定める疾患を主病とする新生児 | 35日 |
| 1,000g以上1,500g未満 | 60日 |
| 1,000g未満 | 90日 |
| 500g以上750g未満で慢性肺疾患 | 105日 |
| 500g未満で慢性肺疾患 | 110日 |
日数上限は関連する管理料と通算
上記の日数は、A302-2(新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料)、A303の2(新生児集中治療室管理料)、A303-2(新生児治療回復室入院医療管理料)を算定した期間と通算して数えます。単独の管理料の算定日数だけで判断しないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
体重が軽いほど上限日数が長くなるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし、これは告示に定められた上限の考え方であって、実際の算定可否は個々の患者の状態やカルテ記載、レセプトの記載内容によって変わります。上限日数に近づいてきた患者については、早めに算定期間を確認しておくと安心です。
施設基準はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
病院がこの管理料を算定するには、具体的にどんな体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年3月5日付けの保医発0305第7号(施設基準等の届出に関する手続きの取扱いについて)に、管理料1・管理料2それぞれの施設基準が定められています。まず管理料1から確認しましょう。

新生児特定集中治療室管理料1の施設基準(主な項目)
- 専任の医師が常時、新生児特定集中治療室内に勤務していること(宿日直を行う医師は不可。入退室時に看護師と連携し支障がなければ一時的な離室は可)
- 専用の新生児特定集中治療室を有し、1床あたり内法で7平方メートル以上であること
- 救急蘇生装置(気管挿管セット)、新生児用呼吸循環監視装置、新生児用人工換気装置、微量輸液装置、経皮的酸素分圧監視装置又は経皮的動脈血酸素飽和度測定装置、酸素濃度測定装置、光線治療器を常時備えていること
- 自家発電装置を有し、電解質定量検査・血液ガス分析等の必要な検査が常時実施できる病院であること
- 治療室勤務の医師・看護師は、勤務時間帯に他の場所での勤務や宿日直を併せて行わないこと
- 直近1年間の出生体重1,000g未満の新規入院患者数が4件以上、又は開胸・開頭・開腹・胸腔鏡下・腹腔鏡下手術の年間実施件数が6件以上であること
- A234医療安全対策加算1の届出を行っていること
みらい(新人医療事務)
管理料2はもう少し要件が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。管理料2では、医師の常時勤務要件が「宿日直を行っている専任の医師を含む」となっている点や、実績要件の患者数の基準が異なります。
新生児特定集中治療室管理料2の施設基準(主な項目)
- 専任の医師(宿日直を行っている専任の医師を含む)が常時、当該保険医療機関内に勤務し、その医師のみで対応できない緊急時には別の医師が速やかに診療に参加できる体制を整えていること
- 管理料1の施設基準のうち(2)から(5)まで(専用室の広さ・必要な医療機器の常時配備・自家発電装置による検査体制、及び手術室と同程度の空気清浄度を有する個室・陰圧個室の設置が望ましいとされる基準)、及びA234医療安全対策加算1の届出((8))を満たしていること
- 治療室勤務の看護師は、勤務時間帯に当該治療室以外での夜勤を併せて行わないこと
- 直近1年間の出生体重2,500g未満の新規入院患者数が30件以上であること、又は総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センターであって直近1年間の出生体重2,500g未満の新規入院患者数が25件以上であること
みらい(新人医療事務)
実績要件の患者数のカウント、うちの病院だけで判断できますか?
あおい(元・医療事務)
直近1年間の新規入院患者数の数え方など細かい取り扱いは施設ごとに確認が分かれやすいところです。自院の統計だけで判断せず、地方厚生局への確認や院内の診療録・入退院記録との突合をおすすめします。
届出はどう進めればいいですか?
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうだとして、届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
新生児特定集中治療室管理料の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の2及び様式20を用いることになっています。届出先は地方厚生局です。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せばすぐ算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは確認が必要です。届出が受理されてから算定できる時期や、届出内容と実際の体制(医師の勤務実態・専用室の面積・機器の配備状況)が一致しているかは、地方厚生局や院内の担当部署で確認してください。届出後も、届け出た病床数を一時的に超えて患者を受け入れた場合の記録整備など、継続的な管理が必要な項目もあります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数・施設基準は、この記事で確認してきた内容のとおりです。ただし、令和6年度(2024年度)改定からの変更点については、当サイトが収集した一次資料の範囲では変更の有無を確認できていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
確認できていない、というのは正直な回答なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。新生児特定集中治療室管理料は、周産期医療の体制確保にかかわる項目のため、施設基準の実績要件などが改定のたびに見直される可能性があります。前回改定からの正確な変更点は、厚生労働省の改定関連資料や地方厚生局の届出案内で確認することをおすすめします。
改定差分の確認について
本記事は令和8年度時点の告示・留意事項通知・施設基準届出通知の内容を基に作成しています。前回改定との比較が必要な場合は、厚生労働省の公式資料で最新版をご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院がこの管理料の対象になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- NICUに入院している新生児が、対象となる状態(高度先天奇形・低体温・未熟児等)に該当し、医師が集中治療管理が必要と認めているか確認する
- 専任の医師の常時勤務体制、専用室の面積(1床7㎡以上)、必要な医療機器の配備状況を確認する
- 管理料1・管理料2それぞれの実績要件(出生体重別の新規入院患者数や手術件数)のどちらを満たすか確認する
- A234医療安全対策加算1の届出状況を確認する
- 様式42の2・様式20による届出を地方厚生局へ提出し、受理状況を確認する
- 算定日数(通算21日、体重に応じた延長)と摘要欄の記載事項を診療録・レセプトで確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは次のようなケースです。
取り漏れが起きやすいポイント
- 摘要欄に対象となる状態(ア〜スのどれに該当するか)を記載し忘れる
- 通算21日の上限を、A302-2やA303の2・A303-2との合算で管理できておらず、日数超過に気づかない
- 管理料1の施設基準を満たしていないのに、管理料2で届け出るべき体制のまま管理料1で算定してしまう
- 医師事務作業補助体制加算など、管理料に含まれない項目まで一律に「含まれる」と誤認してしまう
みらい(新人医療事務)
どれも「思い込みで進めてしまいそう」なポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に施設基準は届出時点と現状で体制が変わっていないかを定期的に見直すことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか確認してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
Q. 診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 特定入院料のため、診療所では算定できません。NICUを備え、施設基準の届出を行った病院が対象です。
みらい(新人医療事務)
Q. 対象疾患に当てはまらない新生児が治療室に入院した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 新生児特定集中治療室管理料ではなく、入院基本料等を算定することになります。留意事項通知にその旨が明記されています。
みらい(新人医療事務)
Q. 算定日数に上限はありますか?
あおい(元・医療事務)
A. 原則として通算21日が上限です。ただし出生時体重によって35日・60日・90日・105日・110日まで延長される場合があります。関連する管理料(A302-2、A303の2、A303-2)との通算である点に注意が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。